第4のキャリアとして注目を集める「楽天モバイル」と、ソフトバンクが提供するオンライン専用ブランド「LINEMO(ラインモ)」。どちらもテレビCMなどで頻繁に見かける人気のスマホ回線です。楽天モバイルとLINEMOのどちらに乗り換えるべきか迷っている人もいるかもしれません。
本記事では、「料金」「キャンペーン」「加入者特典」「通話」「繋がりやすさ」の5項目で楽天モバイルとLINEMOを比較。どちらのスマホ回線がどのような人におすすめなのかを解説します。

【料金で比較】データ量が少ない人はLINEMO、無制限なら楽天モバイル
楽天モバイルかLINEMOかを選ぶうえで最初に考えるのが、どちらのほうがプラン料金が安いのかでしょう。この点、毎月のデータ使用量によってどちらが割安となるのかは異なります。結論から言えば、データ使用量が少ない人はLINEMO、データ無制限で使いたい人は楽天モバイルが向いています。
以下、楽天モバイルとLINEMOのプラン料金を見比べてみます。
楽天モバイル | LINEMO |
---|---|
|
|

楽天モバイル「Rakuten最強プラン」の仕組み
楽天モバイルが提供するのは「Rakuten最強プラン」のワンプランのみ。データ使用量に応じて3段階で料金が変動する仕組みで、データ通信をあまり使わない人は月額料金を抑えられます。20GBを超過すると、月額3278円でデータ無制限の使い放題となります。

LINEMOのプランは「ベストプラン」(左)と「ベストプランV」(右)の2種類
LINEMOは「ベストプラン」と「ベストプランV」の2種類のプランを提供しています。廉価版のベストプランはデータ使用量に応じて2段階に変動するプランで、上位版のベストプランVはデータ使用量30GBで月額2970円です。
自身がデータ通信をどれくらい使うのかに応じて、契約時にベストプランかベストプランVを選んで申し込みます。

毎月のデータ使用量によってどちらが割安かは異なる
上図でデータ使用量ごとのプラン料金を比較してみましょう。毎月のデータ使用量がどの程度なのかによって、どちらが割安か導き出せます。
- データ使用量が「10GB未満」の人:LINEMO(ベストプラン)のほうが割安
- データ使用量が「10GB〜20GB」の人:楽天モバイルのほうが割安
- データ使用量が「20GB〜30GB」の人:LINEMO(ベストプランV)のほうが割安
- データ使用量が「30GB超え」の人:楽天モバイルがおすすめ
データ通信をあまり利用せず毎月10GBに収まる人は、LINEMOのベストプランのほうが割安です。3GBまでは、3GB〜10GBいずれのパターンも楽天モバイルより月88円安くなります。
外出先でオンラインゲームをプレイしたり動画を視聴したりして30GBを超える人は、楽天モバイルが向いています。LINEMOのベストプランV(月額2970円)の場合、30GB超過後は速度制限がかかってしまいます。楽天モバイルはデータ使用量が20GBを超えると月額3278円でデータ無制限となるので、速度制限の心配はありません。
【キャンペーンで比較】お得度はどちらも非常に高くほぼ互角
楽天モバイルもLINEMOも、乗り換えで契約した際のキャンペーンが充実しています。
キャンペーンのお得さで比較すると、両者ほぼ互角といったところでしょう。以下、それぞれで常時開催されている主なキャンペーンを比較してみます。
キャンペーン | 付与ポイント | キャンペーン概要 |
---|---|---|
楽天従業員からの紹介キャンペーン(通称:三木谷キャンペーン) | 1万4000ポイント | キャンペーンページから乗り換えで楽天モバイルを契約すると1万4000ポイントを付与(新規契約の場合は7000ポイント) |
楽天モバイル紹介キャンペーン | 1万3000ポイント | 楽天モバイルユーザーから紹介してもらい、他社からの乗り換えで楽天モバイルを契約すると、紹介した側に7000ポイント、紹介された側に1万3000ポイントを付与(新規契約の場合は6000ポイント) |
乗り換えキャンペーン | 6000ポイント(楽天カード会員は+3000ポイント) | 他社からの乗り換えで6000ポイントを付与。楽天カード会員は3000ポイント加算されて9000ポイントを付与 |
キャンペーン | 付与ポイント | キャンペーン概要 |
---|---|---|
【ベストプラン】全額戻ってくるキャンペーン | 最大1万2540ポイント | 新規契約または他社からの乗り換え(ソフトバンク・ワイモバイル・LINEモバイル除く)でベストプランを契約すると、利用開始2カ月目〜7カ月目までのプラン料金がPayPayポイントとして全額戻ってくる。実質6カ月分のプラン料金が無料 |
【ベストプランV】PayPayポイントプレゼントキャンペーン | 2万ポイント | 他社からの乗り換え(ソフトバンク・ワイモバイル・LINEモバイル除く)でベストプランVを契約すると2万円相当のPayPayポイントを付与(新規契約の場合は1万ポイント) |
紹介キャンペーン | 5940ポイントまたは1万5000ポイント |
LINEMOを紹介し、被紹介者がLINEMOのベストプランに乗り換えると5940円相当、ベストプランVに乗り換えると1万5000円相当のPayPayポイントを付与。紹介者(LINEMO未契約者も可)も2500円相当もらえる |

楽天モバイルへの乗り換えで1万4000ポイントもらえる「三木谷キャンペーン」
楽天モバイルで常時開催されているキャンペーンのうち最もお得なのは、「楽天従業員からの紹介キャンペーン(通称:三木谷キャンペーン)」です。
楽天の三木谷会長が楽天モバイルの契約1件あたり1万円の支援金をガザ・能登半島の被災者支援団体に寄付する取り組みの一部として実施されていることから「三木谷キャンペーン」といった通称で呼ばれています。
キャンペーンページを経由して楽天モバイルに乗り換えるだけで1万4000ポイントもらえます(新規契約の場合は7000ポイント)。

ベストプランの契約でプラン料金の最大6カ月分、ベストプランVへの乗り換えで2万円相当のPayPayポイントがもらえる
いっぽうのLINEMOは、ベストプランを契約すると6カ月分のプラン料金が後日まとめて返ってくる「全額戻ってくるキャンペーン」と、ベストプランVを他社からの乗り換えで契約すると2万円相当(新規契約の場合は1万円相当)のPayPayポイントがもらえる「PayPayポイントプレゼントキャンペーン」を実施しています。
ベストプランなら6カ月分のプラン料金が実質無料
常時開催されている乗り換えキャンペーンのお得さで比較すると、
- 楽天モバイル vs LINEMOのベストプラン:楽天モバイルがお得
- 楽天モバイル vs LINEMOのベストプランV:LINEMOのベストプランVがお得
となります。
どの回線・プランを選ぶかによって、楽天モバイルとLINEMOのどちらがお得かは異なります。両サービスとも非常にお得なキャンペーンを実施していることに違いないので、キャンペーンのお得さでは甲乙つけ難いでしょう。
貯めたいポイントが「楽天ポイント」なのか「PayPayポイント」なのかという選び方もあります。楽天モバイルでキャンペーンを利用すると「楽天ポイント」、LINEMOでキャンペーンを利用すると「PayPayポイント」が付与されます。
なお、楽天モバイルでは回線の契約と同時に対象の端末を購入すると、端末の本体代金が割引されるキャンペーンなども実施しています。回線の契約とセットで端末を購入したい人は楽天モバイルのほうがお得です。
【通話で比較】国内通話無料のRakuten Linkがある楽天モバイルが圧勝
通話の面で楽天モバイルとLINEMOを比較すると、楽天モバイルが圧勝しているといえます。その理由は、楽天モバイルユーザー専用アプリ「Rakuten Link(楽天リンク)」の存在です。


楽天モバイルユーザー専用アプリ「Rakuten Link(楽天リンク)」
楽天リンクの通話は、モバイルデータ通信やWi-Fiに接続している際に利用できます。
一般に音質の劣化が少ないと言われるRCSという通信規格を採用しており、通話品質にそこまで強いこだわりがなければ気になることはあまりないでしょう。通信環境次第ですが、LINEの無料通話と同等の品質という印象です。
7カ月目まで | 8カ月目以降 | ||
---|---|---|---|
ベストプラン | 通話準定額 |
無料 【オプション料金+プラン料金】
|
月額550円 【オプション料金+プラン料金】
|
通話定額 |
月額1100円 【オプション料金+プラン料金】
|
月額1650円 【オプション料金+プラン料金】
|
|
ベストプランV | 通話準定額 | 無料 | |
通話定額 | 月額550円 (オプション料金+プラン料金:月額3520円) |
月額1100円 (オプション料金+プラン料金:月額4070円) |
※通話準定額:5分以内の国内通話が無料、通話定額:国内通話かけ放題

一方でLINEMOは、加入から7カ月目まで通話オプションの割引が適用されます。
LINEMOが提供する通話オプションは、5分以内の国内通話が無料になる「通話準定額」と、国内通話かけ放題の「通話定額」の2種類。ベストプランを申し込んだユーザーは7カ月目まで通話準定額が無料、ベストプランVのユーザーは通話準定額が永年で無料です。
あくまでも割引が適用されるのは(ベストプランVの通話準定額を除いて)一時的であり、8カ月目以降は通常料金が発生します。また、通話準定額によって通話料金がかからないのは「5分以内」の通話だけで、5分を超える通話は22円/30秒の通話料金がかかります。
仕事で頻繁に通話する人や家族・友人と長時間通話したい人は、楽天リンクのある楽天モバイルがおすすめです。
【加入者特典で比較】楽天サービスが優遇される楽天モバイルに軍配
スマホ回線を選ぶ際はプラン料金や加入時のキャンペーンも大切ですが、加入後の特典も重要な要素のひとつ。加入者特典で比較するなら、楽天モバイルのほうが優れています。
以下、楽天モバイルとLINEMOの主な加入者特典をまとめています。
- 専用アプリ「楽天リンク」により国内通話(一部例外あり)・SMS・キャリアメールが無料
- 楽天市場で買い物した際のポイント倍率が+4倍分アップして5倍に
- 50GBのオンラインストレージ「楽天ドライブ」が無料
- Rakuten NBA(月額4500円)、パ・リーグSpecial(月額702円または年額5602円)が無料
- 楽天マガジンの料金が26%OFF、無料体験期間も30日間→90日間に延長
- 楽天ミュージックのスタンダードプランが月200円割引、機能が制限されたバンドルプランなら無料
- YouTubeプレミアムが3カ月無料
- Huluの申し込みで月額料金の30%、DAZNの申し込みで月額料金の15%のポイントを還元
- 楽天トラベルで楽天モバイル契約者限定のお得なキャンペーンに参加できる
- 家族に楽天モバイルユーザーがいれば「最強家族プログラム」により毎月110円割引
- 12歳以下のユーザーは「最強こどもプログラム」により毎月最大440ポイント還元
- 22歳以下のユーザーは「最強青春プログラム」により毎月110ポイント還元
- 65歳以上のユーザーは「最強シニアプログラム」により毎月110ポイント還元
- LINEアプリのトーク・音声通話・ビデオ通話など対象の機能を利用した際にデータ通信を消費しない「LINEギガフリー」
- LINE MUSICが6カ月間無料。期間中は対象のLINEスタンプが使い放題になる「LINEスタンププレミアム」も無料
- ソフトバンクが提供するAI検索エンジン「Perplexity」(月額2950円または年額2万9500円)が1年間無料
- ebookjapanで使える1000円OFFクーポンを最大6枚プレゼント

楽天モバイルユーザーは楽天市場のポイント倍率が5倍にアップ
楽天モバイルのユーザーは、楽天市場でのポイント付与率が5倍にアップします。楽天市場で頻繁に買い物して楽天ポイントを貯めたい人は楽天モバイルがおすすめです。

Rakuten NBA、パ・リーグSpecial、楽天マガジン、楽天ミュージックなど楽天関連サービスが無料または割引価格で利用できるのも嬉しい特典です。
そのほかにも、家族(血縁関係のない家族や離れて暮らす家族も含む)に楽天モバイルユーザーがいれば家族割が適用されたり、12歳以下・22歳以下・65歳以上のユーザーはポイントが還元されたりと、お得に使えるプログラムも用意されています。
前述した楽天リンクも楽天モバイルの加入者特典のひとつです。楽天リンクアプリを使うだけで国内通話が無料(一部例外の番号あり)になるのは、楽天モバイルを選ぶ理由のひとつにもなるでしょう。

LINEMOは、LINEアプリで対象の機能を利用した際にデータ通信を消費しない「LINEギガフリー」が特徴です(一部対象外の機能あり)。トークや通話などの機能利用時はデータ使用量にカウントされず、速度制限がかかっている状態でも対象の機能を利用している間は通信速度が落ちません。
さらにLINEMOのユーザーはLINE MUSICが初回6カ月間無料です。LINE MUSICユーザーには1500万種類以上のLINEスタンプが使い放題になる「LINEスタンププレミアム」(月額240円相当)が無料で付いてきます。つまり、実質的にLINEMOユーザーはLINEスタンププレミアムも6カ月間無料というわけです。
加入者特典を比較すると楽天モバイルに軍配が上がるでしょう。楽天モバイルユーザーは楽天市場でのポイント倍率がアップするいっぽう、LINEMOユーザーはPayPayやYahoo!ショッピングの還元率がアップするといった特典はありません(キャンペーン適用時除く)。
また、LINEMOユーザーが無料で使えるサービスはLINE MUSICやPerplexityなど種類も少なく、無料で使える期間も限られています。楽天モバイルユーザーが無料または割引価格で使えるサービスは楽天ドライブや楽天ミュージック、楽天マガジンなど種類も豊富です。
【繋がりやすさで比較】ソフトバンク回線のLINEMOが優勢
データ通信の繋がりやすさで比較すれば、ソフトバンク回線を使用するLINEMOが優れています。
人口カバー率(4G)はいずれも99.9%(楽天モバイルは2024年4月、ソフトバンクは2022年5月時点)であり、日本国内のほぼすべてをカバーしています。
楽天モバイルの人口カバー率は、楽天モバイル回線エリア外で接続されるパートナー回線(au回線を使用)を含んだ数値であり、楽天モバイル回線のみの人口カバー率は明らかにされていません。

楽天モバイルは2024年6月にプラチナバンドの商用利用を開始したが、恩恵を受けられるエリアは限られる
人口カバー率だけを見れば両者の繋がりやすさに差がないように思えますが、違いは「プラチナバンド」にあります。プラチナバンドとは700〜900MHzの電波を中心とする周波数帯の俗称。ビル群や地下でも電波が届きやすい性質を持っています。
かつて楽天モバイルはプラチナバンドを保有していなかったことから「電波がつながりにくい」との声が度々聞かれましたが、2024年6月よりプラチナバンドの商用利用を開始しました。
しかし、現在は対応エリアを主要都市部から順次拡大している最中であり、楽天モバイルでプラチナバンドの恩恵を受けられるのは都市部のごく限られたエリアだけだと考えられます。将来的に繋がりやすさが改善される可能性はありますが、現時点では全国的にプラチナバンドの恩恵を受けられるとは言い難いのが実情です。
対するソフトバンクは2012年よりプラチナバンドを運用しています。プラチナバンドを運用してきた実績や安心感では、ソフトバンク回線を利用するLINEMOのほうが上回っているといえます。
まとめ:楽天モバイルとLINEMO、おすすめはどっち?

楽天モバイルとLINEMOのどちらがおすすめかは、毎月のデータ使用量や乗り換え後に何を重視するのかで異なります。
- 毎月のデータ使用量が30GBを超える人
- 外出先でも動画を視聴したいので無制限でデータ通信したい人
- 通話の頻度が高い人
- キャンペーンで「楽天ポイント」がほしい人
- 楽天市場で頻繁に買い物する人
- 楽天ミュージックや楽天マガジン、Rakuten NBAなど楽天関連サービスを利用する人
- 毎月のデータ使用量が10GBを超えない人
- キャンペーンで「PayPayポイント」を貯めたい人
- 外出先でLINEのトークや通話を頻繁に利用する人
- 回線の繋がりやすさを重視する人
サブ回線として楽天モバイルまたはLINEMOを検討しているなら、この2サービスをメイン回線とサブ回線で使い分ける選択肢もあるでしょう。
たとえばメイン回線にLINEMO、サブ回線に楽天モバイルを契約すれば、それぞれのメリットを享受しつつデメリットも補い合えます。
本記事で記載されている金額はすべて税込価格です。