Pixelスマホへの機種変更でデータ移行する方法 バックアップなしで簡単に引き継げる
Google製のスマートフォンとして人気の「Pixel」シリーズ。2020年10月には新機種のPixel 4a(5G)とPixel 5が登場し、買い替えを考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Androidスマホから「Pixel」スマホに機種変更する際のデータ移行方法を紹介します。バックアップなしでできるPixelならではのデータ移行方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Pixelスマホにデータ移行する3つの手段
Pixelスマホに機種変更をする時のデータ移行方法は、3通りあります。それぞれの特徴を確認して、自分に合ったデータ移行方法を選択しましょう。
手段1:ケーブルを接続してデータを直接移行する
- 短時間で確実にデータを移行できる
- 事前にバックアップをする必要がない(個別のアプリデータを除く)
- 通信環境に左右されない
- 旧端末が手元に必要なのでスマホの紛失・故障時などは利用できない
旧端末が手元にあるなら、旧端末とPixelスマホをUSB Type-Cケーブルで繋いで直接データを転送するのが圧倒的に便利です。本体ストレージに保存されているデータを丸ごと移行できるので、バックアップなどの事前準備はほとんど必要ありません。
ただし旧端末が必須なので、故障や紛失で旧端末が手元にない場合は利用できないのが難点です。その場合は、後述するバックアップ復元によるデータ移行を利用しましょう。
ケーブル接続によるデータ移行の具体的な手順は、セクション2以降で解説しています。
手段2:Googleアカウント経由でデータをバックアップ・復元する
- ネットワーク環境さえあれば、専用機材は必要ない
- 旧端末がなくても最新の状態が復元可能(自動バックアップをオンにしている場合)
- 直接データ移行するケースに比べて準備に手間がかかる
- 通信環境が悪いとバックアップ・復元がうまくいかない
Android OSのスマホには、標準機能としてGoogleアカウントによるバックアップ機能が実装されています。ネットワークを経由してデータを保存・復元するため、ケーブルやパソコンは必要ありません。スマホひとつで、いつでもおこなえるのが最大の魅力でしょう。
デメリットとしては、ケーブルによるデータ移行に比べて事前に準備・確認する項目が多いことが挙げられます。
Googleアカウントによるバックアップ・復元手順については以下の特集で解説しているので、本記事では割愛します。

手段3:キャリアショップ(ドコモ・au・ソフトバンク)に相談する
携帯電話会社の3大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)ユーザーなら、ショップ・量販店などで機種変更手続きと同時にデータ移行についての相談もできるはずです。
「自分で移行するのは不安」という人は近くのショップや量販店でスタッフに相談するのもひとつの手でしょう。ただ、個人情報の観点から、やり方は教えてくれても代行はしてくれないケースが多いのが現状です。
データ移行前にやっておきたい準備
ケーブルを繋いで直接データを移行する場合、事前準備としてやることは以下のとおり。バックアップの必要がないので、比較的スムーズにおこなえるはずです。
なお、旧端末はデータ移行後も初期化されたりデータが消えたりすることはないので、アプリやおサイフケータイの引き継ぎは機種変更後でも問題ありません。
ケーブルを繋いで一括移行できるデータ・できないデータを確認
まずは、ケーブル接続による移行方法で、まとめて移行できるデータとそうではないデータを確認しましょう。移行できないデータに関しては、別途対策が必要なケースもあります。
- インストールしているアプリとアプリのデータ
- 端末に保存している音楽・写真・動画
- Googleアカウント
- スマートフォンやSIMカードに保存されている連絡先
- SMSのテキストメッセージ
- SMSでやりとりした写真や動画・音声ファイル
- スマートフォンのほとんどの設定(機種やAndroid OSのバージョンにより異なる)
- 壁紙
- 通話履歴
- メール
- カレンダーの予定
- Googleアカウントに関連付けられたその他の情報
- Androidバックアップを使用していないアプリのデータ
- ダウンロードしてあるだけのファイル
- 非表示のフォルダに保存された写真、動画、音楽
- Google Play ストア以外からダウンロードしたアプリ
- Google 以外のサービスと同期する連絡先とカレンダー
- 着信音
- 特定の機種だけの設定
一括移行できないデータの中でも特に注意が必要なのが、アプリ内データです。一応、標準機能としてアプリ内データのバックアップ機能がありますが、すべてのアプリ内データをこの機能だけでカバーするのは難しいのが現状。
後述するように、別途バックアップ・復元が必要なアプリもあるので、使っているアプリをいま一度確認してみましょう。
旧端末・新端末を両方充電しておく
機種や内容量にもよりますが、機種変更時のデータの移行にはおよそ十数分以上かかります。
途中で電源が切れると、データ移行が上手くいかないばかりか、データが失われてしまう可能性も。バッテリー残量が70%以上あるのが理想ですが、できればフル充電もしくは充電器に接続した状態で引き継ぎをしましょう。
旧端末のAndroid OSを最新バージョンにアップデートする
左:「設定」アプリから[システム]もしくは[ソフトウェア更新]をタップ右:[システムアップデート]や[ソフトウェアアップデート]をタップしアップデートが利用できるかチェック
旧端末のAndroid OSが最新バージョンでない場合は、なるべくアップデートしておくことをおすすめします。
旧端末と新端末のOSバージョンがあまりにも離れていると、データの移行が上手くいかないおそれがあります。特に、数年アップデートを放置したままの端末から新品のPixel端末に買い換えるケースなどは注意が必要です。
アップデートの方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

Googleアカウントの情報確認と各サービスの同期
左:端末の「設定」アプリで[アカウント]をタップ右:自分のアカウントを確認
データ移行の途中、新しいPixelスマホで「Google アカウント」にログインする作業があります。
Googleアカウント(メールアドレスとパスワード)の情報は、再入力できるように必ず確認しておきましょう。パスワードの記憶があいまいであれば、再登録して正確なものを把握しておくと安心です。
また「Gmail」「Googleフォト」「Google カレンダー」といったGoogle関連サービスのデータは、すべてGoogleアカウントに紐付いています。機種変更前に設定アプリで各サービスの「同期」がオンになっているか確認しましょう。
アプリ内データのバックアップをとる(LINEのトーク履歴など)
左:「設定」アプリから、[システム(もしくはバックアップ等)]→[バックアップ]と進む右:「Google ドライブへのバックアップ」の項目がオンになっているか確認
搭載OSがAndroid 6.0以降で、かつ「Googleドライブへのバックアップ」がオンの状態なら、アプリ内データがGoogleドライブ上にバックアップされます。これにより、機種変更時には最新のデータが反映された状態で、アプリをインストール(復元)できるわけです。
ただし、この機能は「万能」ではないため、以下で挙げている点に注意しなければなりません。
- データを自動復元できるアプリ/できないアプリがある
- バックアップできるデータは1アプリにつき25MBまで
- LINEやインスタ、Twitterなどは(復元に)再ログインが必要
データを自動復元できるアプリ/できないアプリがある
左:Googleドライブアプリのメニューボタン[]から[バックアップ]をタップ中:[アプリデータ]をタップ右:バックアップ対象のアプリを確認
自動バックアップ機能では、すべてのアプリデータを元通りに復元できるわけではありません。仕様上、自動バックアップの対象ではないアプリもあります。事前に、Googleドライブアプリで自動バックアップの対象アプリの一覧と、最終バックアップ日時を確認しておくのがおすすめです。
また、LINEアプリのトーク履歴のようにバックアップを別途取得しておかないとデータを復元できないケースや、「パズドラ」や「モンスト」のように、アプリ内での引き継ぎ作業をあらかじめおこなっていないと、データが消えてしまうケースもあります。
自動バックアップ機能を過信せず、各アプリのヘルプページを見るなどして対策をしておきましょう。
左:LINEアプリの「ホーム」タブから設定ボタン[]→[トーク]へ進む右:[トーク履歴のバックアップ・復元](iOS版は[トークのバックアップ])をタップ
特にLINEのトーク履歴は、バックアップを取らずに機種変更してしまい後悔するユーザーが多くいます。以下の記事を参考に、確実にバックアップをおこなってください。

バックアップできるデータは1アプリにつき25MBまで
もうひとつの懸念点は、1つのアプリに対してバックアップ容量が最大25MBに制限されていることです。
25MBを超えると、システムによってデータがクラウドにバックアップされなくなります(データ量が25MBより少なくなると自動バックアップが再開されます)。録音アプリやお絵かきアプリなどデータ量が大きくなりそうな場合は、アプリ内にデータを置いておくのではなく、端末にダウンロードしておきましょう。
LINEやインスタ、Twitterなどは再ログインが必要
Instagram、Facebook、Twitterなど利用にログインを要するサービスのデータは、基本的に端末内ではなくサービス側でデータが保管され、データはすべてアカウントに紐付いています。
そのため、バックアップをとらなくても、機種変更後にIDやパスワードを入力してログインすれば、再び元通りに使えるようになります。
Facebookのログイン画面
とはいえ、機種変更時にすべてのアプリは一度アンインストール・ログアウトされてしまいます。再びログインするために、各サービスのログインID(メールアドレス)やパスワードを一通り確認・記録しておくと安心でしょう。
LINEアカウントのログインには少しコツがいるので、下記記事で紹介している手順を参考に準備をすることをおすすめします。
おサイフケータイのデータをサーバに預ける
Androidスマホでおサイフケータイを利用している人は、機種変更前に忘れずに残高の移行作業をしましょう。
たとえばモバイルSuicaの場合、旧端末にデータを残したまま新端末でログインしようとすると、上のような注意画面が表示されてデータにアクセスできません。
おサイフケータイの移行手続きは、各サービズのサイトにアクセスし、(1) 登録した会員情報チャージ残高などのデータを一旦サービス事業者のサーバーに預け、(2) 後にIDやパスワードでログインしてデータをサーバから受け取る、という流れです。
移行費用 | 引き継ぎ時に必要な情報 | |
---|---|---|
楽天Edy | 1. Edy残高のみ(無料) 2. Edy残高とユーザー情報(税別100円) |
ユーザーID、パスワード |
モバイルSuica | 無料 | 登録時のメールアドレス、パスワード |
モバイルPASMO | 無料 | Googleアカウントのメールアドレス、パスワード |
iD | 無料 | アクセスコード、パスワード |
モバイルWAON | 無料 | 機種変更反映用パスワード、本人情報 |
nanacoモバイル | 無料 | 引き継ぎ番号、パスワード |
QUICPay | 無料 | 受け取りID、受け取りパスワード |
データを受け取る際はアクセスコードやパスワード、ID番号などの情報を入力しなければならないため、しっかりメモを控えておきましょう。

ケーブルを接続してPixelスマホにデータを移行する手順
準備ができたら、さっそくPixelスマホにデータを移行します。なお、ここではAQUOSからPixel 4aにデータ移行するケースを例に解説しますが、旧端末がいずれの機種でも手順は変わりません。
1(必要に応じて)新端末にSIMカードを挿入する
SIM取り出し用ピンで、端末の横にある小さな穴をプッシュすると差し込み口を取り出せる
旧端末のSIMカードや購入したPixelスマホに同梱されているSIMカードを取り出し、Pixelスマホに挿入しておきます。なお、旧端末からSIMカードを抜いても、初期化されたりデータが消えたりすることはありません。
2スマホを起動してWi-Fiに接続する
本体の電源を入れて起動しましょう。Pixelスマホを立ち上げると、「ようこそ」という画面が表示されるので[開始]をタップします。
画面に表示される手順に沿って操作し、Wi-Fiまたはモバイルネットワークに接続してください。
データの移行自体にネットワーク環境は必要ありませんが、Googleアカウントへのログインなどに必要となります。
3旧端末とPixelスマホをUSB Type-Cケーブルで接続する
「アプリとデータのコピー」画面が表示されるので、[次へ]をタップ。「以前のスマートフォンをご用意ください」と表示されたら、旧スマホと付属のUSB Type-Cケーブルを準備します。
旧スマホとPixelスマホをUSB Type-Cケーブルでつなぐ
下の画像のように、付属のUSB Type-Cケーブルで旧端末とPixelスマホをつないで[次へ]をタップしましょう。
旧スマホに対応したケーブルのUSB側をクイックスイッチアダプターに差し込んでPixelスマホとつなぐ
なお、旧スマホの端子がUSB Type-C以外の場合は、旧スマホに対応した充電用のケーブルを同梱の「クイックスイッチアダプター」に挿し込み、Pixelスマホと接続します。
4旧端末の画面ロックを解除して「コピー」ボタンをタップ
ケーブルで繋いでしばらくすると、旧端末に「新しいスマートフォンにデータをコピーしますか?」の画面が表示されます。旧端末の画面ロックを解除して、[コピー]ボタンをタップしてください。
5PixelスマホでGoogleアカウントにログインする
しばらく待つと、旧端末でログインしていたGoogleアカウントが自動的に検出されます。アカウント名などに間違いがなければ、パスワードを入力してログインしましょう。
6データを選択してコピー(移行)する
Googleアカウントが認証されると、旧端末から移行できるデータの一覧で表示されます。デフォルトではすべての項目にチェックが入っているので、問題なければ[コピー]ボタンをタップしてください。
旧端末に「コピー中」と表示されるのでしばらく待ちましょう。
7Pixelスマホで自動バックアップ設定をする
続く画面で、「Googleドライブへのバックアップ」設定がおこなえます。オンにしておくことで、Pixelスマホで蓄積されたさまざまなデータが自動的にGoogleドライブにバックアップされるようになります。
故障や紛失に備えて、オンにしておくことをおすすめします。
8コピー完了と同時にアプリのインストールが順次始まる
左:旧スマホ(AQUOS sense plus)右:新スマホ(Pixel 4a)
案内に従って最後までセットアップすれば、データの移行は完了です。設定していた壁紙から、アラームの設定など細かい部分まで復元できました。
しばらくすると、旧スマホにインストールされていたアプリが順次復元(ダウンロード)されていきます。
9「おサイフケータイ」のデータをサーバーから受け取る
機種変更前にサーバに預けておいた「おサイフケータイ」の残高を受け取ります。
移行費用 | 引き継ぎ時に必要な情報 | |
---|---|---|
楽天Edy | 1. Edy残高のみ(無料) 2. Edy残高とユーザー情報(税別100円) |
ユーザーID、パスワード |
モバイルSuica | 無料 | 登録時のメールアドレス、パスワード |
モバイルPASMO | 無料 | Googleアカウントに連携していること |
iD | 無料 | アクセスコード、パスワード |
モバイルWAON | 無料 | 機種変更反映用パスワード、本人情報 |
nanacoモバイル | 無料 | 引き継ぎ番号、パスワード |
QUICPay | 無料 | 受け取りID、受け取りパスワード |
案内に従ってアクセスコードやパスワード、ID番号などの情報を入力し、データを受け取ってください。


10各アプリにログイン・データの復元
LINEやInstagram、Twitterなどのサービスでは、アプリを再インストールするとログアウトされます。IDやパスワードを入力して再度ログインしましょう。

検証端末:Pixel 4a(Android 11)、AQUOS sense plus(Android 10)、Galaxy A20(Android 10)