SIMカードの入れ替えは、携帯会社の乗り換えで必須の作業です。また、スマホを修理に出す際に取り出しが求められる場合もあります。ただ、普段めったに触る機会がないため、その扱いに戸惑う人も多いでしょう。
本記事では、iPhoneやAndroidスマホからSIMカードを取り出し、入れ替える手順をわかりやすく紹介します。SIMカードを取り出す際にはデータ移行が必要なのか、SIMなしの状態で何ができるかなど、気になる疑問についても解説しています。
SIMカードを入れ替える手順(iPhone/Androidスマホ)
スマホの電源をオフにする
SIMカードの入れ替えをおこなう前には、必ず端末の電源を切りましょう。起動したまま入れ替え作業をおこなうと、端末の故障につながるおそれがあります。

電源をオフにするには、iPhone X以降なら電源ボタンといずれかの音量ボタンを同時に長押し、iPhone 8以前やiPhone SE(第2世代)では端末の右側面もしくは上部にある電源ボタンを長押しします。

Androidスマホは、端末の電源ボタンを2~3秒間長押しします。
電源ボタンの位置はメーカー・機種によって異なりますが、多くの端末で側面もしくは上部にあるはずです。
スマホの側面もしくは上部にある小さな穴をプッシュ

続いて、端末の側面や上部にある小さな穴をSIM取り出し用ピンなどでプッシュして、挿し込み口(トレイ)を取り出します。
一部Androidスマホ(Xperiaなど)穴がないタイプは、そのままトレイを爪で引き出して取り出せます。
SIMトレイを引き出すには、通常SIMカードやスマホの購入時に付属される「SIMピン」を使いますが、手元にない人も多いでしょう。その場合は、ペーパークリップ、つまようじ、安全ピンなど、身近にある先端が細いものでも代用可能です。

つまようじでも代用できた
ただ、あくまで代用品なので、機種によってはサイズが合わなかったり、うまく押し込めなかったりする可能性もあります。使う場合は、角度や力の入れ具合に注意しておこなってください。
検証端末:iPhone XS、Xperia 5、Pixel 4a、AQUOS sense plus、Galaxy A20
トレイを取り出してSIMカードを入れ替える

トレイが引き出せたら、既存のSIMカードを取り外し、新しいSIMカードを乗せて挿し込みます。
このとき、斜めに欠けている角部分が合うようにSIMカードを置き、トレイと端末のプッシュ穴の位置を合わせて水平に押し込むと正しい向きで装着できます。
チップ部分に皮脂や汚れ、ほこり、水分などがつくと不具合の原因になります。なるべくICチップ(金属部分)に触れないよう、取り扱いには注意してください。

なお、Androidスマホでは、SIMカードのほかにmicroSDカードのスロットが搭載されている場合があります。
小さいスロットがSIMカード、大きいほうがmicroSDカードのスロットです。間違えないように注意しましょう。
スマホを起動させる

SIMカードを挿し替えたら、スマホの電源をオンにしてみましょう。SIMロック解除済みのスマホなら、画面上部のステータスバーで回線が変わっていることが確認できます。
AndroidスマホでSIMロックの解除コード入力が求められた場合は、SIMロック解除時に表示されたコードを画面に入力し、ロック解除ボタンをタップしてください。
必要に応じてAPN設定をおこなう
APNはAccess Point Nameの略で、インターネットに接続するために各通信事業者のアクセスポイント(中継地点)を経由する設定が必要になります。

現状、日本にはさまざまな通信会社の回線が飛び交っています。数ある回線のなかから、自身が契約している通信会社の回線を特定するためにあるのが「APN設定」です。
キャリア3社(ドコモ/au/ソフトバンク)以外のSIMカードを使うには、基本的に手動でのAPN設定が必要だと覚えておきましょう(iPhoneの場合、例外あり)。
iPhoneでAPN設定をする
iPhoneでは、「APN構成プロファイル」というデータを専用サイトからインストールすることでAPN設定をおこないます。
ただしiPhoneの場合、手動でのAPN設定が不要なケースが増えています。たとえばahamo(アハモ)やpovo(ポヴォ)では、キャリア3社と同じようにSIMカードを入れるだけでモバイルデータ通信を開始できます。楽天モバイル・LINEMO・ワイモバイルでは、「iOS 14.5」にアップデートしたiPhoneに限り、APN構成プロファイルが不要です。
まずはSIMカードに付属する説明書などを読み、APN設定が必要なのか確認してください。必要であると記載されていた場合は、案内に従ってAPN構成プロファイルをインストールしましょう。
iPhoneでは、1台に複数のAPN構成プロファイルをインストールしておけません。
そのため、インストールする前には、既存のSIMカードのAPN構成プロファイルを削除する必要があります。



「設定」アプリを開き
→ の順に進みます。構成プロファイル名(ここではLINEMO)をタップして ボタンを押しましょう。ここで構成プロファイル名が表示されていない場合には、構成プロファイルがインストールされていないので削除する必要はありません。
構成プロファイルのインストールが不要な場合も、過去のAPN構成プロファイルは削除しておくのが無難でしょう。過去のAPN構成プロファイルが残っていると、インターネットに上手く接続できない場合があるようです。
AndroidスマホでAPN設定をする
Androidスマホでキャリア以外のSIMカードを使う場合、手動でAPN情報を入力する必要があります。iPhoneのように、自動でAPN設定をしてくれる機能は搭載されていません。


「設定」アプリを開き
や などの項目をタップ。メニューから 選択します。

下にスクロールし、[アクセスポイント名]をタップしてください。「詳細設定」下に隠れている場合もあるので注意しましょう。
続いて、画面右上のメニューボタン
をタップし、 をタップします。

利用するSIMカードに付属されている説明書を確認し、APNの設定情報を入力します。主な設定項目は「APN」「ユーザー名」「パスワード」「認証タイプ」などです。
入力できたら、メニューボタン
から をタップ。最後に、登録したAPNにチェックを入れれば設定完了です。SIMカードを入れ替える際の注意点
SIMカードを抜いたり、入れ替えたりするとどのような影響があるのか、以下で解説していきます。
SIMカードを抜くとモバイルデータ通信/電話の発着信/SMSの送受信ができなくなる

SIMとは「Subscriber Identity Module」の略称で、SIMカードは契約者の電話番号や固有のID番号が記録されたICカードです。
通信会社(ドコモ、au 、ソフトバンク、楽天モバイル、MVNOなど)が契約時に発行します。

ざっくりいうと、SIMカードは自身が契約している通信会社の電波を利用するための役割を担っています。
SIMカードを抜くと契約者の識別ができなくなるため、モバイルデータ通信、電話の発着信、SMSの送受信はおこなえなくなります。また、au、ドコモ、ソフトバンクの場合は、キャリアメールも利用できません。
一方で、SIMカードが抜かれた状態でも、上記以外の機能なら使用可能です。たとえば、Wi-Fi経由でインターネット接続したり、アプリを使ったり、写真を撮ったりといったことなら問題なくおこなえます。
SIMカードを抜いても写真やアプリ、電話帳などのデータは消えない

SIMカードはデータを保存するものではありません。写真や音楽、電話帳、インストールしているアプリなどあらゆるデータは、スマホの内部ストレージやmicroSDカード、クラウドストレージに保存されています。
SIMを入れ替えても、保存されているデータは元のままです。消えたり、初期化されたりといったことは通常起こりません。
しかし万が一、予期せぬ不具合が端末側に起きて、データが破損・消失する可能性もないとは言い切れません。不安な人は、事前にデータのバックアップを取っておくと安心でしょう。
手持ちのスマホでSIMカードが使えない場合がある
SIMカードは、電話番号や通信回線を利用するための情報が記録されたもの。理屈としては、SIMカードを挿し替えれば、簡単に携帯会社(回線)の乗り換えができるということになります。
ただ、実際はそんな単純な話ではありません。SIMカードを入れ替えて使うには、手持ちのスマホがそのSIMカード(通信会社)の周波数を掴める仕様になっているか確認する必要があります。いわゆる「動作確認済み」の端末かどうか、ということです。

ドコモ/au/ソフトバンクなどのキャリアは、それぞれに異なる周波数が国から割り当てられています。キャリアモデルのAndroidスマホは、自社の周波数にぴったり対応した仕様になっているので、他社のSIMカードを挿しても上手く通信できない(周波数を掴めない)可能性があるのです。
全く使えないことはないかもしれませんが、周波数の関係で繋がりづらくなるリスクがあります。SIMカードを入れ替えだけでは乗り換えできないケースがある、という点だけ覚えておきましょう。