スマホやPCのデータをオンライン上にバックアップとして保存できる「クラウドサービス」。Googleには「Google One(グーグルワン)」というクラウドサービスがあり、フォトストレージのGoogleフォトなどを中心に人気を集めています。
本記事では、Google Oneのサービス内容や料金、メリット・デメリット、登録手順を紹介。また解約方法や、解約後にデータがどう扱われるかなど気になる点についても解説します。
Google Oneとは? 料金やストレージは?

Google Oneは、グーグルが提供する有料のクラウドサービスです。GoogleフォトやGoogleドライブ、GmailといったGoogle系サービスのデータをクラウド上に保存しておくことができます。
そもそも、すべてのGoogleアカウントには無料で15GBの保存容量がついています。Google Oneは、その15GB以上の容量を必要とする人に向けたアップグレードプランです。Google Oneには7つの有料プランが用意されており、それぞれ使用できる容量や月額または年額料金が異なります。
容量 | 月額料金 | 年額料金 |
---|---|---|
15GB | 無料 | |
100GB | 250円 | 2500円 |
200GB | 380円 | 3800円 |
2TB | 1300円 | 1万3000円 |
5TB | 3250円 | 3万2500円 |
10TB | 6500円 | ー |
20TB | 1万3000円 | ー |
30TB | 1万9500円 | ー |
無料の15GBプランを利用していた人が初めにアップグレードするときは、100GB・200GB・2TBの3つのプランからしか選べません。一度Google Oneでいずれかのプランに加入すると、5TB以上のプランにもアップグレードできるようになります。
いずれのプランも、年額料金のほうが月額で1年間支払うよりも料金は2カ月分お得です。ただし、10TB・20TB・30TBのプランは月額プランのみで、年額プランの設定はありません。自身のスマホのストレージ使用状況や、写真・動画の撮影頻度などから最適なプランを見つけましょう。
なお、Google Oneは個人のGoogleアカウント専用のサービスなので、ビジネス向けのGoogle Workspace(旧G Suite)のアカウントを利用している場合は、Google Oneへのアップグレードはできません。
Google Oneのメリット・デメリット
Google Oneを利用するときに考えられるメリットとデメリットをまとめました。
【メリット1】容量の上限をほぼ気にせずGoogleフォトが利用できる

Googleフォトのアプリ画面
Googleフォトでは、「高画質」設定であっても写真や動画の無料保存容量には15GBの上限が設けられています。15GBで保存できる写真の枚数は、3MBの写真で約5000枚です。「高画質」設定は、オリジナルの写真や動画を圧縮してサイズをコンパクトにするものですが、日常的に撮影していると容量は不足気味になります。
オリジナルの画質で保存したい場合や、GmailやGoogleドライブを併用するだけでも容量を消費します。Googleフォトを写真や動画のバックアップに利用していきたい人は、Google Oneへのアップグレードが現実的な選択といえます。
Google Oneにアップグレードすれば上限100GB以上の容量が使えるようになるので、「高画質」や「元の画質」のどちらを使っても多くの写真や動画のバックアップが作成できるようになります。
ちなみにアプリ版のGoogleフォトは、フィルタや一部の機能にロックがかかっています。Google Oneへアップグレードすると、これらのロックが解放されるという特典もあります。
【メリット2】家族で大容量のストレージを共有できる

Google Oneで提供されているプランは、すべて追加料金なしで最大5人までの家族と共有できるようになっています。そのため、家族で共有する前提で2TBの大容量プランにアップグレードする、という手もあります。
仮に4人家族で2TBプラン(年額1万3000円)を共有する場合、単純計算で1人500GBの容量が割り当てられることになります。料金も年額プランで考えると1人につき年額3250円(月換算270円程度)の負担となります。
200GBプランを4人それぞれ単独で利用するだけでも、1人年額3800円(月換算316円程度)かかってしまいます。1人が大容量プランに登録し、家族で共有したほうがより安く大容量のストレージが利用できます。
ちなみに、家族とGoogle Oneのストレージを共有したとしても、各アカウントが保存したファイルなどを互いに確認することはできないので安心してください。
【メリット3】Googleからのサポートを受けられる

Googleからのサポートが受けられる
Google Oneにアップグレードしたユーザーは、特典としてグーグルからの「特別サポート」を受けられるようになります。
このサポートは、Google Oneに関連する内容だけでなく、GoogleマップやYouTube、Chromeなどグーグルが提供するあらゆるサービスが対象です。
【メリット4】VPN機能や最大24時間のグループビデオ通話が使える

すべてのプランで受けられる特典

2TB以上のプランで使えるようになる特典
Google Oneに登録すると、前述したGoogleフォトの機能解放のほかに、VPN保護やダークウェブのモニタリング機能といった特典が用意されています。
VPN機能は、通信のセキュリティを高める機能です。一般の公衆回線を専用線のように利用する技術で、通信内容を暗号化したりIPアドレスを非表示にしたりすることで、通信の傍受やオンラインでのトラッキングを減らすことができます。
GoogleはVPNシステムをオープンソース化することで、ユーザーのプライバシーが守られていることを保証しています。Google OneでVPNを使うには、アプリでVPNを有効にするだけなので、手軽に使えます。VPNを提供するサービスは複数ありますが、安心・安全が担保されていることや手軽さを理由にGoogle OneのVPNを選ぶ意義は大いにありそうです。
ダークウェブのモニタリングは、データの侵害により個人情報が漏洩した場合にアラートやガイダンスを受け取ることができる機能です。
さらに2TB以上のプランを契約すると、特典としてGoogle Meetでの最大24時間のグループビデオ通話や高度な予約スケジュール機能が利用できます。
【メリット5】「消しゴムマジック」を利用できる
Google Oneに加入していると、Googleフォトにて画像・動画のコントラスト調整、ポートレートのぼかし、カラーポップなどさまざまな編集機能を利用可能となります。中でも特筆すべき編集機能は「消しゴムマジック」です。
Google PixelのテレビCMでも度々紹介される消しゴムマジックですが、Google Oneに加入していればPixel以外の機種でも利用できることは案外知られていないことでしょう。もちろん、iPhoneでも利用できます。



指でなぞった部分を消去できる「消しゴムマジック」
Googleフォトで編集したい画像を選択し、[編集]→[消しゴムマジック]と進みます。消したい部分を指でなぞるだけで、不要な映り込みを消去できます。
【デメリット】Googleのサービスを通さないとバックアップを作成できない
Google Oneでデータを保存するには、GoogleフォトやGoogleドライブといったグーグル系のサービスを介する必要があります。
GoogleフォトやGmailは自動的にバックアップをとってくれますが、その他のファイル(PDFファイルなど)をGoogle Oneに保存するには、自分でGoogleドライブ上にファイルをアップしなければなりません。

Androidスマホは端末内のデータをまるごとGoogle Oneにバックアップできる
また、Androidスマホの場合はスマホ自体のバックアップデータを保存しておくことができますが、iPhoneでは連絡先とカレンダー、写真・動画のバックアップにとどまり、スマホ本体のバックアップは作成できないようになっています。
Google Oneに登録する方法
Google Oneは、Google Oneアプリから簡単に登録できます。iOS版アプリとAndroid版アプリで登録方法はほとんど同じです。


Google Oneアプリの「ホーム」画面を開き、画面下部の[アップグレード]をタップします。
続いて、プラン選択の画面に遷移するので、契約したい容量と料金を選択してください。

iOS版アプリの場合

Android版アプリの場合
スマホ上で定期購入の認証をすれば、Google Oneの契約は完了です。

現在の契約プランを確認できる
Google Oneアプリに戻ると、[メンバーシッププラン]にて現在の契約プランが確認できます。
Google Oneにバックアップを作成する方法
スマホからGoogle Oneにバックアップを作成するには、Google Oneアプリを利用します。


Google Oneアプリのホーム画面でメニューボタン
を選択し、[設定]をタップします。


iOS版アプリの場合
iOS版アプリでは自動同期の設定をおこないます。「設定」画面で[同期設定]を選択してください。
「写真と動画」はGoogleフォトアプリで、残る2つは画面をタップした先で同期を設定します。手動でバックアップすることはできません。


Android版アプリの場合
Android版アプリなら「設定」画面で[バックアップの設定を管理]を選択。「デバイスのデータ」「マルチメディアメッセージ」「写真と動画」からバックアップを作成したい項目を選択し、[今すぐバックアップ]をタップするとバックアップがスタートします。
なおマルチメディアメッセージは、メッセージアプリで送受信した写真、動画、音声ファイルを対象に保存します。
Google Oneを解約する方法
Google Oneはいつでも解約することができますが、解約方法はiPhoneとAndroidスマホで異なります。
iPhoneの場合
iPhoneは、Apple IDを使ってGoogle Oneの解約をおこなうのが一番簡単です。


iPhoneの設定アプリを開き、アカウント名部分をタップし、[サブスクリプション]を選びます。


サブスクリプション一覧からGoogle Oneを選択し、[サブスクリプションをキャンセルする]をタップします(上掲のように、無料トライアル期間中だった場合は[無料トライアルをキャンセルする]となる)。


[確認]を押すとGoogle Oneの解約が完了します。
Androidスマホの場合
AndroidスマホはGoogle Oneアプリから簡単に解約できます。


Google Oneアプリのメニューボタン
から[設定]を開き、[メンバーシップを解約]を選択します。確認メッセージが表示されるので、再度[メンバーシップを解約]をタップすればGoogle Oneの解約は完了です。
Google Oneを解約するとデータはどうなる?
Google Oneの解約手続き後は、月額プランや年額プランでそれぞれ支払った分の契約期間が終了するまではサービスを利用できます。そして請求期間の終了時に、各サービスの保存容量の上限が無料レベルにリセットされます。
契約終了時にGoogleフォトやGoogleドライブなどに15GB以上のファイルがある場合でも、すぐに容量超過分のデータが削除されたりアクセスできなくなったりはしません。
ただし、ファイルを新たに保存できなくなるほか、Gmailでメールの送受信ができなくなるなど一部の機能が制限されます。普段からGmailやGoogleドライブなどを利用している人は、解約前に容量を15GBまで減らしておいたほうがよいでしょう。
なお2021年6月1日以降は、保存容量が超過した状態が2年以上続いているアカウントに対して、すべてのコンテンツを削除する対応を取る可能性があるとしています。また過去2年以上使用されていない個人アカウントは無効状態と判定されて、削除の対象となります。アカウントの削除は2023年12月1日より開始されています。
「Google One」と「iCloud+」 どっちを選べばいい?
Google Oneと同じくクラウドサービスで有名なのが、アップルの提供する「iCloud+(アイクラウドプラス)」です。保存容量や価格帯はほぼ同じなので、どちらを使ったらいいか迷う人もいるかもしれません。

Google Oneのプラン

iCloud+のプラン
AndroidスマホユーザーはiCloud+を契約するメリットがほぼないのでGoogle Oneを第一選択として問題ないですが、iPhoneユーザーはそうとは限りません。
iCloud+には、iPhone内のほぼ全データのバックアップが作成できるというメリットがあります。Apple製品との相性もよく、MacやiPadなどのデータもまとめてバックアップが取れてデバイス間での連携もしやすいです。iCloud+で十分な容量を確保すれば、これまであの手この手で無料利用を駆使してきた結果としてあらゆるサービスに散逸していたバックアップデータを一手に管理できるようになります。
「どうせお金をかけるなら」という視点で考えるのであれば、やはりiPhoneユーザーはiCloud+という結論に落ち着くのではないでしょうか。iCloud+と合わせてApple Musicも利用するなら、Appleのサブスク4つがセットになった「Apple One」に登録すると、単独で登録するよりも料金が少しお得になります。
とはいえ、スマホの使い方は千差万別。“これ”という答えはないので、iPhoneユーザーもAndroidスマホユーザーも自分にとって使いやすい最適なサービスを選んでみてください。