「Googleバックアップ」はどこまで復元される? 漏れなくデータを引き継ぐ方法

「Googleバックアップ」だけで保存されるデータの範囲を調べてみた

Android OSには、スマホのデータをGoogle Oneに自動でバックアップする機能が搭載されています。機種・キャリアを問わず、Googleアカウントさえあれば誰でも利用できる便利な機能です。

ただ、このGoogleバックアップでどこまでバックアップされるのか、まるごと復元できるのか、疑問に思っている人は多いはず。そこで今回、実際に自動バックアップで取得したデータをAndroidスマホに復元させて、不足がないか検証してみました。その上で、漏れがあったデータを補い、本当の意味で「まるごと」データを引き継ぐ方法について解説します。

Googleバックアップで復元できたデータ/できなかったデータ

冒頭述べたように、今回はGoogle Oneバックアップ(以降「Googleバックアップ」)のみでどこまでデータを復元できるかの検証です。そのため、Googleバックアップ以外は何も作業はしていません。

バックアップ

「設定」アプリから[Google]→[バックアップ]と進み「Google Oneバックアップ」をオンにする

具体的には、まず上の手順で「Google Oneバックアップ」を有効化し[今すぐバックアップ]を押します。

バックアップが終了し次第、すぐに端末を初期化させ、クラウドからデータを復元させました。さっそく、検証結果として復元できたデータとできなかったデータを紹介します。

メディアファイル(画像・動画・音声・文書)はGoogleバックアップだけでは不十分

まず、画像・動画・音声・文書といったメディアファイルは、基本的にGoogleバックアップだけでは不十分だと考えておいたほうがよさそうです。

Googleバックアップで復元できたメディアデータ
データ種類 復元の可否
画像ファイル(.JPEG/.PNG/.GIF) △(一部のみ)
動画ファイル(.MP4/.MOV) △(一部のみ)
オーディオ形式(MP3/MPEG/WAV) ×
Adobeファイル(.PDF) ×
Microsoft関連ファイル(.XLS/.XLSX/PPT/.PPTX/.DOC/.DOCX) ×

デフォルト設定のままだと、端末のカメラで撮影したデータ以外はバックアップされません。

たとえば、スクリーンショットやLINEアルバムから端末にダウンロードした写真、Webサイトで保存した動画などは自動バックアップの対象外でした。音声ファイルや文書ファイルもバックアップ対象外で復元できなかったので、手動で保存しておく必要があります。

Googleアカウント

もう一つ注意が必要なのが、Google Oneの無料で使える容量が1アカウントあたり15GBまでという点。

筆者は運良く15GBに収まりましたが、これを超えた場合バックアップ自体ができません。SDカードパソコンにデータを退避させたり、Amazonフォトなど他のクラウドストレージを利用したりといった工夫が必要になるでしょう。

アプリデータは一部のみ復元される

続いてユーザーが気になるのが「アプリ」のデータでしょう。この点、Googleバックアップがオンになっていれば、スマホにインストールしていたアプリは有料・無料問わずすべて復元されます。1つひとつ手動でインストールしたり、購入し直したりする必要はありません。

Googleバックアップで復元できたアプリ関連データ
データ種類 復元の可否
インストールしていた無料アプリ
インストールしていた有料アプリ
アプリ内のデータ △(一部のみ)
Google Play Point
Google Playクレジット残高
Google Playストアの購入履歴

また、一部アプリ内データ もバックアップされる仕組みです。復元する際は、アプリごとに記録されているさまざまなデータを引き継いだ状態でアプリがインストールされました。

ただし、すべてのアプリ内データを元通りに復元できるわけではありません。アプリ側がGoogleバックアップに対応していないケースも多いので、大切なアプリデータは個別の対応が必要そうです。実際、筆者手持ちのスマホには60個のアプリがインストールされていますが、アプリ内データが復元されたのは43個ほどでした。

電話帳や通話履歴、設定は問題なく復元できた

その他、設定や履歴などはほぼ「まるごと」バックアップ・復元できるといっていいでしょう。連絡先(電話帳)や通話履歴、ホーム画面の壁紙などの細かい部分まで、もれなく復元できていました。

Googleバックアップで復元できたその他データ
データ種類 復元の可否
連絡先(電話帳)
通話履歴
SMSのメッセージ送受信履歴
ホーム画面のアプリ配置 ×
ホーム画面の壁紙
Googleアカウントに同期されているサービスのデータ
(Gmail/Googleドライブ/Googleカレンダー/Googleフォトなど)
日付と時刻
Wi-Fiネットワークとパスワード
Bluetoothの設定

また、デフォルト状態ではGmailやGoogleカレンダーなどGoogle提供サービスのデータは常にGoogleアカウントに同期されています。したがって、デバイス問わずGoogleアカウントにログインすれば、最新の状態にアクセスできます。

Googleバックアップの不足を補い、漏れなく保存する方法

前述の結果を踏まえ、Googleバックアップで補えていなかった各種データのバックアップ方法を紹介します。手順通りに実行すれば、Androidスマホのデータをまるごとバックアップできるはずです。

「Google Oneへのバックアップ」をオンにする

まず前提として「Google Oneバックアップ」は確実に有効化させておきましょう。

Androidバックアップ
Androidバックアップ

端末の「設定」からGoogleに進みます。

Android バックアップ
Android バックアップ

Googleアカウントのメニューから[バックアップ]を選択。続く画面で「Google Oneへのバックアップ」スイッチをオンになっていることを確認してください。

機種変更などを伴う場合は今すぐバックアップボタンを押して、最新の状態を保存してください。

Googleアカウントのパスワードを確認しておく

そもそもの前提条件として、Googleアカウントにログインできなければバックアップデータは復元できません。

端末の紛失や故障などでいつ復元が必要になるか分からないので、Googleアカウントのログイン情報は正確に把握しておきましょう。パスワードの記憶があいまいであれば、確実なものを再登録しておくと安心です。

Googleアカウント
Googleアカウント

Googleアカウントのパスワードを再設定するには、端末の「設定」からGoogleに進みます。Googleアカウントの管理を押して「セキュリティ」タブのパスワードをタップし、再設定をおこなってください。

Googleフォトで「デバイスのフォルダのバックアップ」をオンにする

デフォルト設定のままでは、端末のカメラで撮影したもの以外バックアップされません。たとえば、スクリーンショットやLINEアルバムから端末にダウンロードした写真、Webサイトで保存した動画などは、別途バックアップ設定を有効化させておく必要があります。

アプリ「Googleフォト」をダウンロード
Googleフォト
Googleフォト

「Googleフォト」アプリを開き、右上のアカウントアイコンをタップ。展開したメニューで[フォトの設定]を選択します。

デバイスのフォルダ
デバイスのフォルダ
デバイスのフォルダ

バックアップと同期項目へ進み、[デバイスのフォルダのバックアップ]をタップ。すべてのフォルダの同期をオンに切り替えてください。

音声ファイル/文書ファイルなどをGoogleドライブにバックアップする

以下に挙げているような音声、文書ファイルはGoogleバックアップの対象ではありません。必要なデータは「Googleドライブ」に手動でアップロードしておきましょう。

  • オーディオ形式(MP3/MPEG/WAV)
  • Adobeファイル(.PDF)
  • Microsoft関連ファイル(.XLS/.XLSX/PPT/.PPTX/.DOC/.DOCX)

ここでは、多くのAndroidスマホにプリインストールされている「Files by Google」アプリを使ってバックアップする手順を紹介しますが、どのファイラーでも同じ要領でおこなえるはずです。

アプリ「Files by Google」をダウンロード
音声
すべて選択

ファイルのカテゴリで「音声」もしくは「ドキュメント」を選択。右上のメニューボタン​からすべて選択をタップしてください。

ドライブ
保存

共有ボタン​をタップしドライブを選択。保存先が「マイフォルダ」になっていることを確認したら、保存を押してください。同じ要領で、残りのファイルもアップロードしましょう。

各アプリのデータをバックアップする

アプリデータは基本的にGoogle Oneにバックアップされる仕様になっているものの、対象外のアプリも多く存在します。まずは、以下の手順でバックアップされるアプリとそうでないアプリを確認しましょう。

Android バックアップ
Android バックアップ

「Googleドライブ」アプリを開き、左上のメニューボタン​をタップ。バックアップに進み〇〇(機種名)のバックアップをタップします。

アプリデータ バックアップ
アプリデータ バックアップ

アプリデータに進むと、バックアップ対象のアプリを一覧で確認できます。実際、筆者が試した際も、ここに記載があったアプリはデータを復元できました。一方、記載がないアプリはデータがバックアップされない可能性が高いので、個別に対処しなければなりません。

たとえばメモ帳アプリや写真加工アプリ、録音アプリなどは、作成したデータをアプリ内に置かずに端末にダウンロードしておきましょう。

パズドラ 」や「モンスト」などアプリ自体にバックアップ・引き継ぎ機能が搭載されているケースもあります。重要なアプリは、ヘルプページを見るなどしてデータの引き継ぎについて確認しておくことをおすすめします。

LINEのトーク履歴を自動バックアップ設定にしておく

LINEアプリのトーク履歴は、Googleバックアップでは復元できません。以下の手順で自動バックアップ設定を有効にしておきましょう。

設定
トーク
トーク履歴のバックアップ・復元

LINEアプリを開き、「ホーム」タブの設定ボタン​からトークトークのバックアップの順に進みます。

Googleアカウント
アカウント選択

Googleアカウントをタップし、利用中のGoogleアカウントを選択します。

自動バックアップ
自動バックアップ

自動バックアップに進み、「自動バックアップ」横のスイッチをオンに切り替えましょう。デフォルトでは以下の両条件をすべて満たしたタイミングで指定の頻度でバックアップの取得がおこなわれます。

  • 端末が電源に接続している
  • 端末がWi-Fiに接続している

旅行などで長期間Wi-Fiに接続できないときなど、必要に応じて設定を変更してください。

各サービスのログイン情報を確認しておく

以下のようなインターネット通信およびログインを要するサービスのデータは、アプリ本体ではなくサービス提供側のサーバーに保管されています。IDやパスワードを入力してログインすれば、いつでも最新の状態が復元できるはずです。

ログインが必要なサービスの一例
  • Instagram、Facebook、TwitterなどのSNSアプリ
  • LINEやMessengerなどのメッセージアプリ
  • オンラインゲーム
  • Amazonや楽天市場、メルカリなどの通販アプリ
  • PayPayや楽天ペイなどのスマホ決済アプリ
  • 音楽や書籍、動画配信など定額制サブスクサービス

したがって、前述したアプリデータのバックアップ対象外でも問題ありません。ただ、「ログインできなければそのサービスのデータにはアクセスできない」ということになります。

バックアップの代わりに、各サービスのログインIDやパスワードを一通り確認しておくと安心でしょう。

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Googleバックアップのデータを復元させる手順

ここからは、Googleアカウントに紐付けてバックアップしたデータを復元する手順を解説します。

ここではXperia 5(Android 10)の画面で解説します。筆者手持ちの機種(後述)では手順はほぼ同じでしたが、キャリアやOSバージョンなどによっても設定項目名や操作などが異なることがあります。予めご了承ください。

  1. スマホを起動してWi-Fiに接続

    開始する

    Androidスマホを立ち上げると「はじめよう」や「ようこそ」という画面が立ち上がるので、開始をタップして進みます。

    Wi-Fi

    画面に表示される手順に沿って操作を進め、Wi-Fiまたはモバイルネットワークに接続します。データの復元はかなりの通信量になることが予想されるので、なるべくWi-Fiに接続しましょう。

  2. 「以前のスマートフォンを利用できない場合」や「クラウドからの復元」を選択する

    アプリとデータのコピー

    続いて「アプリとデータのコピー」や「データの引き継ぎ」などの画面に切り替わるので、コピー次へを選択してください。

    バックアップ

    Xperia、AQUOSの画面

    以前のスマートフォンを利用できない場合

    PixelやGalaxyの画面

    ここからは、機種ごとに画面や選択肢が異なります。

    Pixel・Galaxyといった機種は「以前のスマートフォンをご用意ください」の画面が表示されるので、一番下にある以前のスマートフォンを使用できない場合を選択します。

    また、Xperia・AQUOSなどの機種では「データの引継ぎ」画面でクラウドからバックアップをタップしましょう。

  3. Googleアカウントでログインする

    ログイン

    次の画面で、Googleアカウントを入力してログインします。このとき、必ず初期化前にログインしていたGoogleアカウントでログインしてください。異なるGoogleアカウントでログインしたり、スキップした場合は、データが復元できません。

    正しくログインできたら、「ようこそ」の画面とともに利用規約が表示されます。一読して問題なければ、同意するをタップして進みましょう。

  4. バックアップしたデータを選択して復元する

    Googleアカウントに紐付いたバックアップデータ(スマホの機種名など)が検出されるので、該当するものをタップします。

    旧スマホにパスワードやパターン、PINなどを設定していた場合は、本人確認が求められます。無事に認証されるとデータの復元対象が一覧で表示されるので、すべてにチェックを入れた状態で復元ボタンをタップしてください。

  5. 「Googleドライブ(Google One)へのバックアップ」をオンにする

    同意する

    Google関連サービスの設定画面が表示されます。特に問題なければ、すべてオンにして[同意]を押してください。

    特に「Googleドライブ(Google One)へのバックアップ」は故障や紛失に備えてオンにしておくのがおすすめです。

  6. セットアップ完了と同時にアプリのインストールが順次始まる

    セットアップ

    新スマホにおける画面ロックのパスワード設定など、案内に従ってセットアップをしましょう。

    セットアップが終われば、新スマホが元のスマホと同じ状態で復元されるはずです。旧スマホにインストールされていたアプリも、順次ダウンロードされていきます。

  7. 各アプリにログインする

    インスタグラム

    インスタグラムのログイン画面

    アプリは元通りにインストールされますが、ログイン状態は保持されません。

    Instagram、Facebook、TwitterなどのSNSアプリ、オンラインゲームアプリや通販アプリ、スマホ決済アプリ、音楽や書籍のサブスクサービスなど、必要に応じて再度ログインしましょう。

  8. Googleフォトで写真・動画を確認、必要に応じてダウンロードする

    Googleフォト
    Googleフォト

    バックアップした写真や動画は、Googleフォトアプリ経由で閲覧できます。必要に応じて端末にダウンロードして復元してください。

    とはいえ、特別な理由がなければGoogleフォトにアップロードしたままにしておくことをおすすめします。Googleフォトにある写真はインターネット(クラウド)上に保管しているので、スマホの容量を消費しません。スマホの紛失や故障といったトラブルから大切なデータを守れたり、パソコンやタブレットなどからもアクセスできたりと、さまざまなメリットがあります。

  9. Googleドライブにで音声・文書を確認、必要に応じてダウンロードする

    Googleドライブ

    バックアップした音声や文書ファイルは、Googleドライブアプリ経由で閲覧できます。必要に応じて端末にダウンロードして復元してください。Googleフォトと同様、Googleドライブにアップロードしたままにしておいてもよいでしょう。

検証バージョン
Xperia 5
Android
10
Galaxy A20
Android
10
EDITED BY
MOEGI