Android 10以降のXperiaスマホには、機種変更時にワイヤレス(Bluetooth)でデータ移行できる機能が搭載されています。手軽におこなえて非常に便利なのですが、筆者が試した際は、この機能だけで旧スマホの全データを一括で移行できませんでした。
旧スマホの環境をまるごと引き継ぐには、別の手段も併用する必要がありそうです。本記事では実際に作業して感じた注意点なども含め、Xperiaスマホへの機種変更でやったことを具体的に紹介します。
Xperiaスマホへの機種変更でやること完全ガイド
さっそく、Xperiaスマホへの機種変更でのデータ移行、設定方法を紹介します。
なお、ここではPixel 4aからXperia 5に機種変更するケースを例にしていますが、筆者が調べた限り、Android 10以上を搭載しているXperiaスマホであればほぼ同じ手順でデータ移行できるようです。旧スマホは、どのメーカーのスマホでも構いません。
新しいXperiaスマホを起動してWi-Fiに接続する
本体の電源を入れて起動しましょう。新しいXperiaスマホを立ち上げると、「ようこそ」という画面が表示されるので
をタップします。画面に表示される案内手順に沿って操作し、Wi-Fiまたはモバイルネットワークに接続してください。データの移行自体はBluetooth接続でおこないますが、Googleアカウントへのログインなどのネットワーク環境が必要です。
新旧スマホをペアリングしてデータ移行する
「アプリとデータのコピー」画面が表示されたら
をタップ。データの引き継ぎメニューが表示されるので、 を選択します。「古いデバイスでGoogleアプリを開いてください」と表示されたら、新スマホの近く(0.5メートル以内)に旧スマホを置いて「Google」アプリを開きます。
検索欄に「デバイスのセットアップ」と入力し、検索結果に進みます(もしくは「OK Google、デバイスのセットアップ」と話しかける)。しばらくすると旧スマホにスタートガイドが表示されるので、問題なければ
をタップしてください。ペアリングが正しくできていれば、新旧スマホに同じシェイプ(模様と数字)が表示されます。シェイプが同じことが確認できたら、旧スマホで
をタップしてください。旧スマホでコピーボタンを押してしばらく待つと、旧スマホでログインしていたGoogleアカウントが自動的に検出されます。アカウント名などに間違いがなければ、パスワードを入力してログインしましょう。
Googleアカウントが認証されると、旧スマホから復元(移行)できるデータの一覧で表示されます。デフォルトではすべての項目にチェックが入っているので、問題なければ
ボタンをタップしましょう。なお、写真・動画・音楽・文書などのメディアファイルは移行対象ではありません。セットアップ後に手動で移行させる必要があります(後述)。
セットアップを完了させる
続く画面で、「Googleドライブへのバックアップ」設定がおこなえます。
オンにしておくことで、Galaxyスマホで蓄積されたさまざまなデータが自動的にクラウド(Google One)にバックアップされるようになります。故障や紛失に備えて、オンにしておくことをおすすめします。
あとは、案内に従って最後までセットアップすれば、データの移行は完了です。
しばらくすると、旧スマホにインストールされていたアプリが順次復元(ダウンロード)されます。Wi-Fiに接続した状態を保ってしばらく待ってください。
旧スマホから新スマホにSIMカードを入れ替える
アプリがすべてインストールされたら、旧スマホから新スマホにSIMカードを入れ替えましょう(SIMカードとXperiaスマホをセットで購入した場合は入れ替える必要はありません)。
なお、旧スマホからSIMカードを抜いても、旧スマホが初期化されたり操作不能になったりすることはありません。SIMカードを抜いたあとも、Wi-Fiに接続されていれば旧スマホでアプリ操作やWebサイトのアクセスなどがおこなえます。
SIMカードを入れ替える手順
SIMカードの入れ替えをおこなう前には、新旧両方のスマホの電源を切りましょう。起動したまま入れ替え作業をおこなうと、端末の故障につながるおそれがあります。
続いて、旧スマホの側面や上部にある小さな穴をSIM取り出し用ピンなどでプッシュして、挿し込み口(トレイ)を取り出します。穴がないタイプは、そのままトレイを爪で引き出して取り出せます。
トレイが引き出せたらSIMカードを取り外し、XperiaスマホのSIMカードトレイに乗せて挿し込みます。
チップ部分に皮脂や汚れ、ほこり、水分などがつくと不具合の原因になります。なるべくICチップ(金属部分)に触れないよう、取り扱いには注意してください。
最後に電源をオンにして、画面上部のステータスバーで回線が変わっているか確認しましょう。
必要に応じてAPN設定をおこなう
SIMカードを入れ替えたら、モバイルデータ通信ができるか確認します。Wi-Fiをオフにした上で、Googleで何か適当に検索するなどしてみてください。
インターネットに接続できなかった場合は「APN設定」が必要となります。正常に検索結果を表示できた場合は、APN設定が済んでいるのでここは飛ばして次項に進みましょう。
XperiaスマホでAPN設定をする手順
日本には飛び交っているさまざまな通信会社の回線から、自身が契約している通信会社の回線を特定するためにあるのが「APN設定」です。
基本的に、SIMフリーのスマホを使う場合は、手動でAPN設定をしなければモバイルデータ通信ができません。たとえば、SONYのオンラインストアで購入したXperiaスマホに、手持ちのSIMカードを入れて使う場合などです。
また、ドコモで購入したXperiaスマホに楽天モバイルのSIMカードを入れるケースなど、他社製品同士を組み合わせて使う場合もAPN設定をしなければなりません。
「設定」アプリを開き
をタップ。メニューから を選択します。下にスクロールし「詳細設定」下に隠れているアクセスポイント名をタップしてください。続く画面で右上の
ボタンをタップします。利用する通信会社の公式サイトやSIMの説明書を確認し、APNの設定情報をすべて入力します。
入力できたら、メニューボタン
から をタップ。最後に、登録したAPNにチェックを入れれば設定完了です。旧スマホから新スマホにメディアファイルを移行する
旧スマホのメディアファイル(写真・動画・音楽・文書など)を新スマホに移行しましょう。手段はさまざまですが、おすすめは以下の2つです。
- 旧スマホのメディアファイルをGoogleフォト/Googleドライブにバックアップ
- 旧スマホのメディアファイルをSDカードに移行 → 新スマホに差し替える
いずれも、新しいXperiaスマホのストレージ容量を消費しなくて済むのがポイント。特にGoogleフォト/Googleドライブはクラウドに保存されるので、端末の故障や紛失対策としても有効です。
写真・動画をGoogleフォトにバックアップする
旧スマホで「Googleフォト」アプリを開き、右上のアカウントアイコンをタップ。展開したメニューで
を選択します。項目へ進み、「バックアップと同期」をオンにします。続いて、 をタップ。すべてのフォルダの同期をオンに切り替えてください。
現時点で端末に存在するすべての画像・動画が、順次Googleフォトにバックアップされます。Wi-Fiに接続した状態でしばらく待ちましょう。
続いて、新しいXperiaスマホでGoogleフォトアプリを開き、同じアカウントを選択して
を押します。保存設定を「高画質」に指定して[確認]ボタンを押すと、旧スマホでバックアップされた写真・動画の取得が始まります。なお、バックアップした画像や動画は、クラウドストレージ(Google One)に保存されており、Googleフォトアプリ経由でのみ閲覧・共有できる状態です。端末の内部ストレージには存在しないため、標準の写真アプリやアルバムアプリでは閲覧できません。必要に応じてGoogleフォトアプリから端末にダウンロードしてください。
とはいえ、写真のシェア、編集などはすべてGoogleフォトアプリ経由でできるので、端末にダウンロードする必要性は特にないはずです。
音声・文書などをGoogleドライブにバックアップする
ここでは、多くのAndroidスマホにプリインストールされている「Files by Google」アプリを使ってバックアップする手順を紹介します(どのファイル管理アプリでも手順はほとんど同じです)。
ファイルのカテゴリで「音声」もしくは「ドキュメント」を選択。旧スマホ上の該当するファイルが表示されるので右上のメニューボタン
から をタップしてください。共有ボタン
をタップし、共有先に を選択。保存先が「マイドライブ」になっていることを確認したら、 を押してください。同じ要領で、ドキュメントファイルもアップロードしましょう。
新しいXperiaスマホで「Googleドライブ」を開き、「ファイル」タブからマイドライブにアクセスすると、旧スマホでバックアップしたファイルを確認できます。
なお、Googleフォトと同様、音声ファイルや文書ファイルもすべてクラウドストレージ(Google One)に保存されており、Googleドライブ経由でのみ閲覧できる状態です。必要に応じて端末にダウンロードしてください。
各アプリにログイン/データの引き継ぎをおこなう
LINEアプリのデータを引き継ぐ
LINEアプリは、Xperiaのデータ移行システムで引き継げません。別途、バックアップや復元作業をおこないましょう。詳しい手順は別の記事で解説しているのでここでは割愛しますが、ざっくりとした流れは以下の通りです。
- 旧スマホのLINEアプリでトーク履歴をバックアップする
- 新スマホのLINEアプリを開く
- 新スマホのLINEアプリで電話番号認証とパスワード入力してトーク履歴を復元
パソコンなどを使った難しい作業はありません。案内どおりやれば、5分ほどで終えられる内容です。
おサイフケータイのデータを移行する
モバイルSuica、楽天Edy、モバイルWAON、モバイルnanacoなど、かざして支払うタイプの電子マネーを利用している人は、アカウント情報および残高の移行作業が必要です。
例えばモバイルSuicaでは、旧スマホにデータ(残高)を残したまま新スマホでログインしようとすると、上のような画面が表示されてしまいます。
データ移行方法は各電子マネーごとに異なりますが、いずれも基本的な流れは同じです。
- 旧スマホで登録した会員情報やチャージ残高などのデータを一旦サービス事業者のサーバーに預ける
- 新スマホでIDやパスワードでログインしてデータをサーバから受け取る
データを預けたり、受け取ったりといった作業は各サービスごとにおこなう必要があります。おサイフケータイアプリやGoogle Payアプリ経由で一括でおこなえるわけではおこなえないので注意してください。
Androidスマホの機種変更で「Suica」のデータを移行・引き継ぎする方法Androidスマホの機種変更で「モバイルPASMO」を移行する(引き継ぐ)方法
旧スマホが手元にない/操作できない場合はどうする?
旧スマホが紛失して手元にない、もしくは故障などで操作できない場合は、前述したペアリングでのデータ移行はできません。Googleバックアップ経由で旧スマホのデータ復元を試みましょう。
「データの引き継ぎ」画面で
へ進みます。旧スマホで使用していたGoogleアカウントとパスワードを入力します。ここでGoogleアカウントに紐付いたバックアップデータ(スマホの機種名など)が検出されれば、旧スマホのデータの多くは復元できるはずです。
ただ、一部の画像、動画ファイルや音楽、文書ファイルなどバックアップ対象外のものもあります。また、LINEのトーク履歴など別途バックアップ作業が必要なデータも、残念ながら消えてしまうかもしれません。
Google Oneへのバックアップで復元できるデータとできないデータについては、以下の記事で詳しく解説しています。