本記事では、筆者がXperia AceⅢ(Android 12)へ機種変更した際におこなったデータ移行の作業内容をすべて解説します。
比較的新しいXperiaスマートフォンには超簡単にデータを移行できる仕組みが搭載されているので、複雑で難しい作業はありません。ショップや業者に頼らず、自分だけで機種変更を完了させることが可能なはずです。
「Xperia Transfer 2」アプリは利用できる機種が限られているため、本記事では紹介しません。同アプリを使わなくても問題なく機種変更・データ移行はできます。
【図解】Xperiaスマホへの機種変更に伴うデータ移行のやり方と流れ
Xperiaスマホへのデータ移行は、旧スマホが手元に「ある」場合と手元に「ない」場合で作業内容が変わります。それぞれの状況別に、やるべき作業とデータ移行の大まかな流れを確認しましょう。
旧スマホが手元にある場合
結論からいうと、旧スマホさえ手元にあればXperiaスマホへのデータ移行は超簡単にできます。
パソコンやSDカードなどの機材は一切使っていませんし、バックアップなどの事前準備も一切していません。また、キャリア(ドコモ・ソフトバンク・auなど)が提供している移行ツールや外部アプリなども必要ありません。

最新のXperiaスマホでは、セットアップ中にデバイス同士を付属のケーブルで接続して、古いスマホの大半のデータをコピーできます。写真や動画、音楽といったメディアファイルから、アプリ、連絡先、通話履歴まで一括で移行が可能なのです。
ただし、アプリ内に保存されている各種データや、電子マネーのデータは移行できません。これら一括移行できなかったデータは、新Xperiaスマホのセットアップが完了した後に順次引き継いでいきましょう。
旧スマホが手元にない場合
旧スマホが手元にない、もしくは故障などで操作できない場合は、デバイス同士をつなげてのデータ移行はできません。バックアップデータからの復元を試してみましょう。

AndroidスマホにはGoogleアカウントに紐付いた自動バックアップ機能(Google Oneへのバックアップ)が搭載されており、デフォルトでオンになっています。ユーザーが意識しなくても勝手にデータをバックアップしてくれている可能性がある、というわけです。
- 画像ファイルの一部
- 動画ファイルの一部
- 連絡先(電話帳)
- 通話履歴
- SMSのメッセージ送受信履歴
- インストールしていたアプリ(有料・無料問わず)
- アプリ内のデータ(一部のみ)
- Google Play Point/クレジット残高
- Google Play ストアの購入履歴
- ホーム画面の壁紙
- Wi-Fiネットワークのパスワード
- Google関連サービスのデータ(Gmail/Googleドライブ/Googleカレンダー/Googleフォト)
自動でバックアップされるデータは上記の通り。重要なデータは網羅されているので、ほとんど元通りに復元できるといっていいでしょう。
ただ、一部の画像、動画ファイルや音楽、文書ファイルなどバックアップ対象外のものもあります。また、LINEのトーク履歴など別途バックアップ作業が必要なデータも、残念ながら消えてしまうかもしれません。
Xperiaスマホへの機種変更でやること完全ガイド
ここからは、Xperia Ace Ⅲ(Android 12)を使って実際のデータ移行方法を紹介します。なお、古い端末はXperia 5とAQUOS sense5Gの2台で検証しています。
新しいXperiaスマホを起動してWi-Fiに接続する

本体の電源を入れて起動しましょう。新しいXperiaスマホを立ち上げると、「ようこそ」という画面が表示されるので
をタップします。
画面に表示される案内手順に沿って操作し、Wi-Fiまたはモバイルネットワークに接続してください。通信量が大きくなる可能性があるので、モバイルネットワーク接続での作業はおすすめしません。

ソフトウェア使用許諾契約書やプライバシーポリシーを一読し、問題なければ[承諾]をタップします。
ケーブルもしくはワイヤレスでデバイス同士を接続

「アプリとデータのコピー」画面が表示されるので、
をタップ。なお、旧スマホから新スマホへのデータ移行は、セットアップ中のこのタイミングでしかおこなえません。セットアップ完了後に再び「アプリとデータのコピー」画面を表示させることはできないので注意してください。

「以前のスマートフォンをご用意ください」の画面で
を押します。
続いて「ケーブルをご用意ください」と表示されます。両端子が「USB Type-C」のケーブルを持っている人は、[次へ]に進みましょう。
ただ、残念ながら、最新のXperiaスマホにはUSB Type-Cのケーブルが同梱されていません。USB Type-Cケーブルを所有していない人は、[ケーブルがない場合]を選択してワイヤレスでデータ移行をしてください。
ケーブル接続のほうが素早くデータを移行できるメリットがありますが、ワイヤレス接続でも移行できるデータの種類や量は変わりません。
ケーブル接続での移行手順


「以前のスマートフォンのケーブルをご用意ください」の画面で[次へ]を選択します。続く画面でも再び[次へ]を押します。

上の画像のように、USB Type-Cケーブルで旧スマホとXperiaをつなぎましょう。旧スマホに「新しい端末にデータをコピーしますか?」と表示されるので
を押します。このまま、コピーが終了するまで旧スマホと新スマホを接続した状態にしておきましょう。
ワイヤレスでの移行手順

「以前のスマートフォンのケーブルをご用意ください」の画面で[ケーブルがない場合]を選択します。「以前のデバイスを使用してワイヤレスでデータを転送」という画面が表示されるので
をタップしてください。
「古いデバイスでGoogleアプリを開いてください」と表示されたら、デバイス同士を近く(0.5メートル以内)に置いて旧スマホで「Google」アプリを開きます。
検索欄に「デバイスのセットアップ」と入力し、検索結果に進みます(もしくは「OK Google、デバイスのセットアップ」と話しかける)。しばらくすると旧スマホにスタートガイドが表示されるので、問題なければ[次へ]をタップしてください。

ペアリングが正しくできていれば、新旧スマホに同じシェイプ(模様と数字)が表示されます。シェイプが同じことが確認できたら、旧スマホで
をタップしてください。旧スマホから新Xperiaにデータをコピーする

デバイス同士が正常に接続されると、旧スマホから移行できるデータが一覧で表示されます。デフォルトではすべての項目にチェックが入っています。問題なければ[コピー]ボタンをタップしてください。

「データをコピーしています」と数秒間表示された後、「Googleサービス」という画面が表示されます。一読して問題なければ、すべてにチェックを入れて同意するを押しましょう。
特に「Googleドライブへのバックアップ」はオンにしておくのがおすすめです。新しいXperiaで蓄積されたさまざまなデータが自動的にクラウド(Google One)にバックアップされるので、端末の故障や紛失対策として有用です。

案内に従って画面ロックの設定(PINコードやパスワード、指紋認証)、Googleアシスタント設定などのセットアップを進めましょう。なお、これらの設定は、すべて後から変更可能です。
「セットアップを続行しますか?」の画面が表示されたら、[中断しリマインダーを受け取る]をタップしても構いません。

セットアップが終わり次第、再び「データをコピーしています」と表示されます。ケーブルやワイヤレスで端末同士を接続したまま、終了まで待ちましょう。

「コピーが完了しました」と表示されたら
をタップ。ケーブル接続を解除してOKです。デバイスのデータコピーが完了し次第、ホーム画面が立ち上がりアプリが順次インストールされはじめます。すべてのアプリをダウンロードし終えるまでは時間がかかります。Wi-Fiに接続したまま、しばらく待ってください。
アプリ内データを個別に引き継ぐ

すべてのアプリがインストールできたら、それぞれの中身をチェックしましょう。Google系のアプリをはじめ、いくつかはアプリデータが自動で引き継がれているはずです。
一方、アプリデータを引き継げなかったものは、それぞれ手動で移行作業をおこなう必要があります。
アプリのログイン情報を引き継ぐ

セキュリティ上、アプリのログイン情報は新スマホに引き継がれません。以下のようなログインを要するアプリは、すべてログアウトされた状態で新しいスマホにインストールされてしまうのです。
- インスタグラム、Facebook、TwitterなどのSNSアプリ
- メールアプリやメッセージアプリ
- Amazonショッピングや楽天市場、メルカリなどの通販アプリ
- マンガ配信アプリや電子書籍アプリ
- PayPayや楽天ペイなどのスマホ決済アプリ
- 銀行系のアプリ
- SpotifyやYouTube Musicなどの音楽配信アプリ
- NetflixやHuluなどの動画配信アプリ
旧スマホでユーザーネームやパスワードを確認しつつ、新しいXperiaスマホで各アプリのログインを進めてください(Wi-Fiに接続されていれば、SIMカードなしでも旧スマホは利用できます)。
LINEアプリのデータを引き継ぐ
LINEアプリのデータも、個別に引き継ぎ作業をおこなわなければなりません。ざっくりとした流れは以下の通りです。

旧スマホが手元にあるなら、旧スマホで表示したQRコードを新スマホで読み取るだけでLINEアカウントの引き継ぎは完了です。トーク履歴のバックアップ・復元さえすれば、元通りにLINEを復元できます。詳しい手順は、以下の記事を参照ください。
オンラインゲームアプリのデータを引き継ぐ
オンラインゲームのアプリにも、独自のデータバックアップ・引き継ぎ機能が搭載されているケースが多いです。各アプリの案内に従って、アイテムやセーブデータなどの引き継ぎをおこないましょう。
以下、本サイトでもいくつかゲームアプリの引き継ぎ方法を記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
各電子マネーのデータを移行する
おサイフケータイやGoogle Payで“かざして支払う”タイプの電子マネーを利用している人は、別途残高などの移行作業をしなければなりません。

以下にあげているような電子マネーは、セキュリティ上、複数のスマホに同じアカウントで同時ログインできない仕様になっています。
そのため機種変更の際は、(1)旧スマホで登録した会員情報やチャージ残高などのデータをサービス事業者のサーバーに預ける、(2)新スマホでIDやパスワードでログインしてサーバからデータを受け取る、という作業が必要です。
旧スマホにデータを残したままだと、新しいXperiaで残高やアカウント情報を引き継げません。これらの電子マネーを使ったことがある人は、必ずデータの移行作業をおこなってください。
なお、データの移行作業は「おサイフケータイ」アプリや「Google Pay」アプリからはおこなえません。データを預けたり、受け取ったりするのは各サービスの個別アプリからおこなう必要があります。
必要に応じてSIMカードを入れ替える

新しいスマホのセットアップとアプリのインストールが終了し次第、スマホの電源を落としてSIMカードの入れ替えをおこないましょう。eSIMを使っている人は、専用のサイトで機種変更の手続きを済ませればOKです。
なお、旧スマホからSIMカードを抜いても、旧スマホが操作不能になったり初期化したりすることはありません。SIMカードを抜いた後も旧スマホは問題なく使えますし、Wi-Fiに接続されていればアプリ操作やWebサイトのアクセスなどもおこなえます。
必要に応じてAPN設定をおこなう
SIMカードを入れ替えたら、新スマホの電源を入れてモバイルデータ通信ができるか確認します。Wi-Fiをオフにした上で、Googleでなにか適当に検索してみてください。

上図のように表示されて検索結果が表示できなかった場合、モバイルデータ通信ができていません。以下の手順でAPN設定をおこないましょう。
正常に検索結果を表示できた場合は、APN設定が済んでいるのでそのままの状態でOKです。ここは飛ばしてステップ5に進みましょう。
XperiaスマホでAPN設定をする手順


端末の「設定」を開き、[ネットワークとインターネット]をタップ。メニューから
を選択します。

下にスクロールし、
をタップしてください。すると、挿入しているSIMカードに従って自動的にアクセスポイント名が表示されます。自身の使っている回線を選択してください。

回線が見つからない場合は、右上の
ボタンをタップしAPNの情報を手入力します。「楽天モバイル APN」などのキーワードでGoogle検索すると、APNの情報が調べられるはずです。必要な項目を埋めていきましょう。入力できたらメニューボタン
から をタップ。最後に、登録したAPNにチェックを入れれば設定完了です。