インターネット回線「BIGLOBE光」でも知られるビッグローブの手掛ける格安SIM「BIGLOBEモバイル(ビッグローブモバイル)」。細かなデータ容量プランを用意する一方で、データ無制限プランはありません。データ通信を気にせず使う目的で「楽天モバイル」への乗り換えを検討している人もいるのではないでしょうか。
楽天モバイルはデータ使用量が20GBを超えると月額3278円でデータ無制限となる「Rakuten最強プラン」を提供しています。また、専用アプリ「Rakuten Link」を使えば通話料金も無料(一部例外あり)で使えます。データ無制限という点ではBIGLOBEモバイルよりも優れているように感じられますが、それぞれの使用状況によってメリットだけでなく、デメリットが生じてしまうこともあります。
この記事では、BIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換えるメリットとデメリット、どんな人が乗り換えにおすすめなのかを紹介しています。
BIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換えるメリット
BIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換える最大のメリットは料金面でしょう。楽天モバイルなら月額3278円でデータ通信無制限です。また、専用アプリ「Rakuten Link」を使うと通話料金が無料(一部例外あり)となったり、各種手数料がかからなかったりといったメリットもあります。
メリット1:プラン料金を抑えられる

楽天モバイル「Rakuten最強プラン」の料金の仕組み
楽天モバイルのメリットは、何といってもプラン料金の安さです。データ使用量に応じて料金が変動し、月額3278円で高速データ通信が無制限となります。
以下、BIGLOBEモバイルとの料金を比較してみましょう。
楽天モバイル | BIGLOBEモバイル |
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いずれも割引などを適用しない基本料金を記載
両者の基本料金を比べれば、楽天モバイルのほうが割安なのは明らかでしょう。BIGLOBEモバイルは月額3740円でデータ使用量12GBですが、楽天モバイルならBIGLOBEモバイルよりも安い月額3278円でデータ使い放題となります。
唯一、毎月のデータ使用量が3GB〜6GBの人はBIGLOBEモバイルのプランL(6ギガ)を契約したほうが安くなります。つまり、毎月のデータ使用量が3GB未満の人および6GB以上の人は、BIGLOBEモバイルより楽天モバイルのほうが安く利用できるという結論になります。
BIGLOBEモバイルは、YouTube・Amazon Music・U-NEXTなど対象のサブスク使用時にデータ容量を消費しない「エンタメフリー」オプションを月額1078円(データSIMの場合)を提供しています。プランLと組み合わせると合計で月額2948円です。一方の楽天モバイルなら、20GB超過後はサブスクの使用も含めたすべてのデータ通信が使い放題となり月額3278円です。
また、BIGLOBEモバイルでは契約したデータ使用量を使い切ると最大で200kbpsの速度制限がかかってしまいます。基本データ超過時には追加購入が可能ですが、100MBごとに330円の料金が発生します。楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」なら、速度制限の心配をする必要はありません。
メリット2:国内通話とSMSを無料で利用できる



Rakuten Linkの電話帳画面・通話画面・チャット画面
楽天モバイルのユーザーは、「Rakuten Link(楽天リンク)」という専用の通話・メッセージアプリを利用できます。
楽天モバイル | BIGLOBEモバイル | |
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国内通話 | 0円 ※国内通話は一部対象外番号あり ※基本通話料は22円/30秒 |
9.9円/30秒(BIGLOBEでんわ利用時)
【通話オプション】
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国内SMS | 0円 ※通常のSMS利用時は全角70文字/3.3円 |
1回の送信あたり3.3〜33円 |
本来、楽天モバイル回線で通話すると30秒ごとに22円、SMSなら70文字あたり3.3円の利用料金が発生します。
しかしRakuten Linkを利用すれば、Rakuten Linkユーザー同士の通話はもちろん、他キャリアの携帯電話番号や固定電話番号との国内通話(一部例外の番号あり)、さらにSMSも無料で使えます。

対するBIGLOBEモバイルも、専用アプリ「BIGLOBEでんわ」を使えば基本通話料の半額の9.9円/30秒で通話できます。さらに「3分かけ放題」(月額660円)や「10分かけ放題」(月額913円)のオプションに加入すると3分または10分以内の通話が何度でも無料になります。
また、通話オプションの「通話パック60」(月額660円)なら月間累計60分、「通話パック90」(月額913円)なら月間累計90分までの通話料金は無料です。ただし、いずれも無料時間超過後は基本通話料金(9.9円/30秒ごと)が発生します。
ビジネスなどで通話やSMSを頻繁に利用するという人であれば、楽天モバイルでRakuten Linkを利用したほうが料金を気にせず使えるでしょう。
メリット3:契約・解約時などに手数料が発生しない

楽天モバイルは各種手数料が0円
キャリア・格安SIM業者によっては契約・解約時やSIMカードの再発行時などに事務手数料が発生する場合があります。楽天モバイルなら事務手数料が発生しないので、気軽に回線を申し込めるのがメリットです。
楽天モバイル | BIGLOBEモバイル | |
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契約事務手数料(新規・他社からの乗り換え) | 0円 |
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MNP転出手数料 | 0円 | 0円 |
契約解除料 |
0円 ※利用実態がないと判断された回線の解約は1078円の契約解除料が発生 |
0円 |
その他手数料 | 0円 |
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BIGLOBEモバイルの場合、プラン申し込み時に事務手数料+SIMカード準備料として合計3733円が発生します。また、SIMカードのタイプ変更や再発行にも手数料がかかります。
楽天モバイルなら契約や解約などによる手数料はかからないので、契約するハードルはBIGLOBEモバイルよりも低いと言えるでしょう。ただし、利用実態がないと判断された回線の解約は1078円の契約解除料が発生する点には注意してください。
メリット4:eSIMに対応している
楽天モバイルは、eSIMに対応しています。eSIMとは、物理型タイプのSIMカードとは異なり、端末一体型のSIMを指します。
端末にSIMカードとeSIMの両方を設定すれば、電話番号やモバイル通信を使い分けることも可能です。また、海外旅行の際に現地のSIMカードと挿し替える必要がないため、SIMカードを紛失してしまう心配もありません。

楽天モバイルなら契約時にeSIMを選択できる
楽天モバイルの場合、契約時にSIMカード(nanoSIM)かeSIMか選択できます。どちらを選択しても事務手数料は発生しません。契約の用途にあわせて選ぶといいでしょう。
eSIMを選択すれば、最短3分で開通できる「AIかんたん本人確認(eKYC)」による本人確認を利用できます。即日開通も可能なので、すぐに回線を使いたい人にとってeSIMの選択肢があるのは大きなメリットです。
一方のBIGLOBEモバイルはeSIMに対応しておらず、SIMカードしか選択できません。SIMカードの場合、申し込み後に手元に届くまで数日かかってしまいます。普段使いするぶんにはSIMカードでも不自由はありませんが、電話番号やモバイル回線を1つの端末で使い分けたい、1日でも早く回線を開通したい人は、eSIMに対応した楽天モバイルのほうがメリットが大きいと言えます。
BIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換えるデメリット
BIGLOBEモバイルから楽天モバイルへの乗り換えは、メリットばかりではありません。回線の繋がりやすさやインターネット回線とのセット割がなくなるなどの注意点もあります。
ここではBIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換える際のデメリットを4つ紹介しています。
デメリット1:BIGLOBEモバイルと比べて回線が未成熟
BIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換えるにあたって最も気になるのは、回線がどれだけ繋がりやすいかという点でしょう。
楽天モバイルは、2023年6月に「Rakuten最強プラン」に移行したことで、楽天回線とパートナー回線(au回線を使用)をあわせて4G回線の人口カバー率が99.9%に到達しました。
対するBIGLOBEモバイルは申し込み時にドコモまたはauから回線を選択します。4G回線の人口カバー率は、ドコモ回線が99.7%、au回線が99.9%(いずれも2021年度時点)で楽天モバイルと同等です。

楽天モバイルは2024年6月27日よりプラチナバンドの提供を開始
両者の差は、「プラチナバンド」にあります。プラチナバンドとは700〜900MHzの電波を中心とする周波数帯の俗称で、ビル群や地下などでも電波が届きやすい性質を持っています。
BIGLOBEモバイルは、プラチナバンドに対応しているドコモ回線またはau回線を使用しています。一方の楽天モバイルも、2024年6月からプラチナバンドの商用利用を開始。主要都市部を中心に順次エリアを拡大する予定です。
これまで楽天モバイルはプラチナバンドを有していなかったことで「繋がりにくい」と評されることが多々ありましたが、プラチナバンドをスタートさせたことで大手キャリアと足並みを揃えられた形です。
とはいえ、楽天モバイルのプラチナバンドはまだ始まったばかり。主要都市部の中でもプラチナバンドを利用できる範囲はかなり限られていると考えられます。ドコモ回線やau回線を使用しているBIGLOBEモバイルにはまだ及ばないのが実情でしょう。
楽天モバイルではプラチナバンドのエリア拡大のほか、東京都内の5G(Sub6)の通信速度を増加する取り組みなど繋がりやすさの改善に力を注いでいます。将来的には、楽天モバイルの繋がりやすさが大きく改善される可能性はあります。
デメリット2:手持ちの端末が楽天モバイルに対応しない可能性がある

たとえば、同じ機種でもSIMフリー版は対応しているがドコモ版は対応していないなどのケースもある
楽天モバイルに乗り換える際に注意すべきなのは、自身の利用している端末が楽天モバイルに対応しているかどうかです。楽天モバイル非対応の端末だと、せっかく乗り換えても使えない可能性があります。
現状の楽天モバイルではiPhoneのほぼ全機種を利用できるので、BIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換えた際にそのままiPhoneを使いたいという人は、問題なく利用できるでしょう。
しかし、Androidスマホの場合は楽天モバイルに対応していない機種もあります。同じ機種でも販売元が違うだけで対応していないケースもあるので、乗り換える前に必ず対応端末を確認してください。
デメリット3:インターネット(BIGLOBE光)とのセット割などが適用されなくなる

BIGLOBEでは、インターネットサービス「ビッグローブ光」とBIGLOBEモバイルをセットで契約すると、毎月の料金から毎月220円割引になるセット割サービスがあります。
自宅のインターネット回線とスマホ回線をセットで契約している人は、BIGLOBEモバイルを解約してしまうと以降の割引を受けられなくなります。

楽天モバイルにも、楽天ひかりとセットで契約することで月額基本料が6カ月無料になるキャンペーンが用意されています。ただし、BIGLOBE光からの移行が必要となるので、解約にかかわる費用や、楽天ひかりの初期費用などが別途発生する場合もあります。
家の通信をすべてBIGLOBEでまとめていた人にとっては、セット割が使えなくなる点や、移行の手間などがデメリットに感じられるかもしれません。
デメリット4:シェアSIMが利用できなくなる

BIGLOBEモバイルには、家族を代表して契約したデータ容量を複数の端末でシェアできる「シェアSIM」というサービスがあります。
SIMをシェアする際には、シェア用のSIMカードを発行します。データ通信のみであれば1枚のSIMにつき月額220円で利用でき、LINE通話などで普段連絡をとる家族なら格安の月額料金で回線の利用が可能です。
また、1人ずつ別々の回線を契約しなくてもよいため、回線ごとの基本料金などのダブリを解消し、携帯料金の無駄の節約にもつながります。
一方で、楽天モバイルはデータ通信量やSIMをシェアできるサービスはないため、家族全員がそれぞれ回線を契約して持つ必要があります。家族で楽天モバイルに申し込むなら、家族割サービス「最強家族プログラム」を利用するのがおすすめです。
楽天モバイルに向いている人とは?
ここまで、BIGLOBEモバイルから楽天モバイルに乗り換えた場合のメリットとデメリットを紹介しました。それらを踏まえたうえで、どんな人がBIGLOBEモバイルから楽天モバイルへの乗り換えに向いているのかまとめてみます。
毎月大量のデータ容量を使用する人

BIGLOBEモバイルと楽天モバイルの大きな差は、データ使用量の制限の有無でしょう。BIGLOBEモバイルは、最大のデータ容量プランでも30GBまでしか用意されていない一方で、楽天モバイルは20GB超過後はデータ通信無制限となります。
外出先で動画をたくさん見る人や、オンラインゲームをプレイする人、家に固定のインターネット回線を設置していない人などは、データ無制限の楽天モバイルへの乗り換えを検討してもよいでしょう。
また、データ使用量の消費が多い人は、乗り換えによって月々の料金を抑えることもできます。たとえば、BIGLOBEモバイルの30ギガプランを契約する場合、月額8195円のプラン料金がかかります。それに加えて、容量が足りなくなってしまったときは、100MBごとに330円の追加料金を支払ってデータ容量を購入する必要があります。
楽天モバイルの場合は、20GB以上はどれだけデータ通信を使っても月額3278円です。BIGLOBEモバイルで最もデータ使用量の多い30ギガプランと単純に比較しても、月5000円程度安くできる計算になります。楽天モバイルならデータ使用量が無制限なので、20GB以上使ったとしても追加の容量購入などは必要ありません。
通信制限や月々の料金など、データ使用量の大きさが原因で困っている人は、楽天モバイルのほうが適していると言えます。
回線の契約と同時に端末も新しく購入する人

楽天モバイルが実施している豊富なキャンペーンは魅力のひとつ。その中には、端末をお得に購入できるキャンペーンも含まれています。回線の乗り換えと同時に端末も購入したいと考えている人にとっては、楽天モバイルはおすすめです。
楽天モバイルはiPhoneの端末価格が「全通信キャリアで最安」とうたっており、他キャリアよりも安く販売されています。

楽天モバイルでは回線の申し込みと同時に対象のiPhoneまたはAndroidスマホを購入すると、ポイント還元や割引が適用されてお得に購入できます。
また、48回の分割払いで端末を購入し、25カ月目以降に返却すれば端末代金が実質半額になる「買い替え超トクプログラム」という端末購入支援プログラムもあります。
楽天関連サービスを多く利用している人
楽天市場や楽天ブックス、楽天マガジン、楽天ミュージックなどをはじめ、楽天の各種サービスを頻繁に利用する、いわゆる「楽天経済圏」で生活する人は、楽天モバイルへの乗り換えがおすすめです。
楽天モバイルの毎月の利用料金に対して、100円(税抜)ごとに1ポイントの楽天ポイントが貯まります。さらに、貯まったポイントを利用料金の支払いに使うことも可能です。

楽天モバイル契約者は楽天市場でポイント5倍に。他サービスの利用状況次第ではさらにポイント倍率はアップする
また、楽天モバイルは「楽天SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の対象にもなっています。楽天SPUは、対象サービスを契約したり特定の支払い方法で買い物したりするなどの条件を満たすと、楽天ポイントの付与率がアップする仕組みです。
楽天モバイルを契約しているだけで楽天市場での買い物でポイント付与率が+4倍アップします(通常分とあわせて5倍)。楽天モバイルユーザーが楽天市場で買い物すると、100円(税抜)ごとに5ポイントも貯まるのです。
また、楽天モバイルのキャリア決済で月2000円以上支払うとさらに+0.5倍となります。そのほか、楽天SPUには様々な達成条件があるので、複数を適用させればそのぶん楽天ポイントも貯まりやすくなります。
楽天ポイントをさらに貯めたい人は、楽天カードもおすすめです。普段の買い物で楽天ポイントを貯めて楽天モバイルの支払いに利用するといった使い方もできます。
本記事内に記載されている価格は、特に断りがない限りすべて税込価格で表記しています。