国内の動画配信市場を牽引する「Amazonプライム・ビデオ」と「Netflix」。いずれも高い人気を誇っていますが、実は料金プランや注目されている作品、機能、サービス内容などに大きな違いがあります。
この記事では、両者を5つのポイントから徹底比較。プライムビデオとネットフリックス、どちらに登録しようか迷っている人はぜひ参考にしてください。
AmazonプライムビデオとNetflixの大きな違い
Amazonプライムビデオ(以下、プライムビデオ)とNetflixですが、料金プランやレンタル作品の有無など、まずは大きな違いを一覧で確認してみましょう。
Amazonプライムビデオ | Netflix | |
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無料お試し期間 | 30日間 | - |
料金プラン | 500円(年会費だと408円) |
|
同時視聴 | 3台まで(同一作品は2台まで) | 1〜4台(料金プランによって異なる) |
画質 | フルHD/4K | SD/HD/4K |
有料レンタル作品 | ○ | - |
動画以外のサービス |
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- |
Netflixには、プライムビデオのような無料お試し期間がありません。また、月額あるいは年額プランのみのプライムビデオに対して、Netflixは視聴可能なデバイスの数や画質などによって3つの料金プランを用意しています。
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
【Amazonプライムビデオ】見放題に加え、最新作のレンタル・購入も利用できる

プライムビデオは、単体の動画配信サービスではなく、Amazonプライム会員(月額500円、年会費4900円)の特典の一つです。初回登録時に30日間のお試し期間があるのも、Netflixとの大きな違いです。

プライム会員は、追加料金なしでドラマや映画、アニメ、バラエティまで豊富なコンテンツが見放題になるほか、音楽聴き放題サービス「Amazon Music Prime」、対象のKindle本が読み放題の「Prime Reading」など、定額で数多くのサービスが利用できます。
動画のみを提供する他のサービスと比較すると、コストパフォーマンスの高さが際立ち、ここ数年は国内でもトップシェアを誇っています。
ただ、特典内の見放題で楽しめるのは「Prime対象作品」のみ。新作や人気作など、個別にレンタル・購入する作品も数多く含まれています。映画やアニメなど、特定のジャンルに特化した専門チャンネルが楽しめる「Prime Videoチャンネル」も、毎月のプライム会費とは別に定期購読をする必要があります。
【Netflix】全作品が見放題、ユーザー数も世界最大級

定額制のストリーミング配信をいち早く世界に広げたNetflix。日本では2015年からサービスを開始しています。
世界190カ国で展開しており、2021年6月末の時点で全世界における会員数は2億920万人にまで膨れ上がっています。

Netflixは、他では見られないオリジナルコンテンツや過去の作品がまとめて見られる動画配信サービスです。
料金プランは3つありますが、画質と同時視聴が可能なデバイス数が違うだけで、視聴できる作品は同じです。レンタルやセルはなく、すべてのコンテンツが見放題。サービス内容がわかりやすい点が大きな魅力です。

またNetflixは、新たにモバイル向けゲームの提供を開始しました。サービス開始当初はAndroid端末のみが対応していましたが、現在はiOS端末でも利用できるようになっています。
2021年11月10日現在、プレイできるゲームは次の5作品。Google Play・App Storeからゲームをダウンロードし、アプリ内課金や広告不要で楽しめます。
- ストレンジャー・シングス: 1984
- ストレンジャー・シングス3: ザ・ゲーム
- カードブラスト
- シューティング フープス
- ティーター
動画と合わせてさまざまなサービスが利用できるプライムビデオとは異なり、あくまで動画配信が軸のNetflixですが、今後の事業拡大の方向性には注目していきたいところです。
作品のラインナップで比較する
サブスク型の音楽配信サービスと違って、動画配信サービスは事業者によってラインナップの違いが出やすい特徴があります。とにかく、自分が見たいコンテンツを配信しているサービスを選ぶことが肝要です。
【Amazonプライムビデオ】日本人好みのラインナップを揃える


国やジャンルの枠を超えたオリジナルコンテンツが魅力
最近はほとんどの動画配信サービスが、オリジナルコンテンツと既存の作品の2つを軸に配信を展開しています。プライムビデオもオリジナルコンテンツに力を入れており、日本のオリジナル番組も40作品以上制作されています。
日本向けに作られたオリジナル番組のラインナップで特徴的なのは、ドラマと同じくらいバラエティやドキュメンタリーの比率が高いということ。「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」のように、シーズン9まで作られた長寿番組もあります。現地に根付いた作品、つまり日本人が好きそうなコンテンツに力を入れているという印象です。
- HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル
- 有吉弘行の脱ぬるま湯大作戦
- バチェラー・ジャパン
- はぴまり〜Happy Marriage!?〜
- ザ・マスクド・シンガー
オリジナルコンテンツに加えて、プライムビデオは独占配信という強みもあります。

配信スケジュールにも独占配信作が数多く並ぶ

作品の入れ替わりが多く、途中でプライム対象外になる作品も
最近では、直前まで劇場公開していた「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が、公開終了後1カ月と経たずに独占配信されるということがあり、大きな話題になりました。また2021年5月には映画製作会社MGMの買収を発表。ここでもまたオリジナル作品の制作や独占配信がされると見込まれています。
ただ、プライムビデオのコンテンツは頻繁に入れ替わりがあるのも気になるところ。その分、最新ドラマの配信も比較的早く、いつも新しい作品選びが楽しめます。
【Netflix】質の高いオリジナルコンテンツをグローバルに展開


Netflixといえば、世界各国で制作されているオリジナルコンテンツが最大の魅力です。普段観ることの少ない海外の作品に触れることができ、2020年から続く第4次韓流ブームの背景にも、Netflixオリジナルコンテンツの存在があります。
また、「リミテッドシリーズ」と呼ばれる1シーズンのみのオリジナルドラマも増えています。6話から10話程度で完結し、シーズンを重ねるごとに間延びした展開になりがちな連続ドラマと違って、気軽に視聴できます。ヒット作も多数生まれており、Netflixの質の高いドラマを体験するのにぴったりです。
- クリックベイト
- クイーンズ・ギャンビット
- 瞳の奥に
- DEVILMAN crybaby
日本のオリジナル作品も注目されています。『今際の国のアリス』のシーズン2をはじめ、『カウボーイビバップ』や『幽☆遊☆白書』の実写化など、2022年までに15作品以上の配信がすでに予定されています。
Netflixの作品は20以上の言語に翻訳され、世界190カ国に向けて配信されます。ローカルの地域の人にだけ通じればよいというのではなく、グローバルを意識した作品作りがNetflixの最大の強みです。
料金プランで比較する
圧倒的なコストパフォーマンスを誇るプライムビデオに対し、Netflixは画質と同時視聴が可能なデバイスの数によって料金プランを3つの中から選択できます。
【Amazonプライムビデオ】ワンコイン以下で楽しめる、見放題対象には4K作品も

プライムビデオを視聴するには、プライム会員への登録が必要です。料金は月額500円。年間プランなら4900円で、月換算にすると408円になり、月額プランよりも年間で1100円お得になります。
大学生や専門学校生であれば、通常会員の半額(月額プラン250円、年額プラン2450円)で利用できる「Prime Student」の登録も可能です。Netflixのような複数プランもなくシンプルで、作品によっては4K画質の動画も追加料金不要で楽しめます。

プライム会員の特典は多岐にわたり、付加価値は非常に高いと言えます。1000円前後で提供されている動画配信サービスが主流のなか、コストパフォーマンスは抜群です。
「Amazon Music Prime」や「Prime Reading」は、それぞれ「Amazon Music Unlimited」「Kindle Unlimited」の下位版で、そのままでは利用できる楽曲や書籍が限られています。同じプライム特典でも、プライムビデオは有料動画こそあるものの、上位サービスはなく、追加料金なしでサービスをフルに利用できるのが大きな特徴です。
【Netflix】画質や同時再生デバイスの数によって3つの料金プランを用意
月額料金(税込) | 画質 | 同時再生可能なデバイス数 | |
---|---|---|---|
ベーシックプラン | 990円 | SD画質(標準:480p) | 1台 |
スタンダードプラン | 1490円 | HD画質(高画質:720p/1080p) | 2台 |
プレミアムプラン | 1980円 | HD/UHD 4K(超高画質:2160p) | 4台 |
Netflixの料金プランは、画質と同時視聴が可能なデバイスの数で3つのプランから選べます。プライムビデオのような年間プランはありません。料金プランは「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」の3種類。おもな違いは画質と同時に視聴できるデバイスの数です。
ベーシックプランはスマホの画面で一人で楽しむのに最適ですが、パソコンやテレビで見ると解像度的に物足りないと感じることが多いでしょう。家族別々で同時視聴したい場合や、パソコンやテレビで見るならスタンダードプラン以上がおすすめです。
プレミアムプランは最高2160pの4K画質になります。HD画質のスタンダードと比べて画質(解像度)が4倍も違うため、4K対応テレビなどで楽しむ人に向いています。
テレビやスマホアプリでの使い勝手を比較する
最近は、動画を大画面で見るために、動画配信サービスに対応したスマートテレビを選ぶ人も少なくないそうです。プライムビデオやNetflix用のボタンがリモコンに設けられていることも多く、ネットにつなぐだけで動画を楽しめます。
【Amazonプライムビデオ】アプリでもユーザーレビューが読める

作品の評価を知りたいときに、星の数だけではなく、ユーザーレビューまで参照できるのはプライムビデオならではの特徴です。
ブラウザ版では全件が、アプリ版では上位3件までのユーザーレビューが表示されます。3件では正直物足りませんが、作品の評価が気になる場合には参考になるでしょう。


字幕の切り替えは、コンテンツにより異なります。Amazonオリジナルコンテンツは再生中に字幕や音声の切り替えが可能ですが、それ以外は字幕版と吹替版を事前に選択しなければならないのが少々面倒です。
また、連続ドラマなどで次のエピソードを自動で再生する「オートプレイ」機能もあります。次回予告も見たいときは飛ばされることが多いのですが、その場合は設定でオフにできます。

スマホアプリで視聴するときに便利なのが、自動ダウンロード機能です。
これは連続ドラマなどで次のエピソードがあるときに、見終わったエピソードを削除し、新しいエピソードを自動でダウンロードするもの。ダウンロードするエピソードの数も指定できるので、連続で一気見したい人にも最適です。自動削除をオンにしておけば、ストレージスペースを無駄に消費せずにすみます。
iOS版アプリはレンタルやセル作品を今のところ購入できませんが(Android版は可能)、パソコンやブラウザで支払いを済ませると、「マイアイテム」に自動で登録されます。
【Netflix】スマートダウンロードでオフライン再生も手間いらず


Netflixも、プライムビデオと同様に、自動再生と自動ダウンロード(スマートダウンロード)機能を備えています。自動再生はアプリではなく、ブラウザのプロフィール画面でのみ切り替えられます。
ちなみにブラウザ版では、作品を選んでいる際にプレビュー映像が流れますが、邪魔に感じることも多く、この機能もプロフィール画面で停止できます。

Netflixの場合、再生中に字幕表示や再生速度を変えられるのが便利です。字幕も日本語だけでなく、英語やほかの言語で表示でき、語学学習にも役立ちます。再生速度は0.5倍から1.5倍まで変えられ、ゆっくり聞き込みたい場合や、忙しいときに時短再生したい場合に最適です。
Netflixは、iOS版、Android版、Windows 10版のアプリが用意されています。アプリのないMacでも、ブラウザを利用すれば視聴可能です。ただし、4K再生するには、macOS 11.0 Big Sur以降や、Apple T2 セキュリティチップを搭載した2018年以降のMacが必要な点には注意が必要です。
このほか、グーグルのChromecastやアマゾンのFire TV Stick、Netflix対応機能付きスマートテレビ、家庭用ゲーム機など、さまざまな機器で楽しめます。
便利なサービス内容で比較する
独自の有料コンテンツなど、それぞれの特徴的なサービス面から比較してみます。また、動画を家族で楽しみたいなら、視聴制限やプロフィールの管理機能も気になるところ。両者ともに大手サービスならではの細かい設定が可能です。
【Amazonプライムビデオ】Primeチャンネルで見たいコンテンツを増やせる

プライムビデオには、見放題のサービスとは別に定額制の「Prime Videoチャンネル」があります。Prime Videoチャンネルは、本来は個別に契約が必要な有料チャンネルをプライムビデオ内で視聴できるようにしたもの。「dアニメストア for Prime Video」や「NHK オンデマンド」「シネフィルWOWOW プラスチャンネル」「BBCワールドニュースチャンネル」など、40以上もの専門チャンネルがあります。
これらは別途料金が必要となりますが、多くのチャンネルには無料体験もあります。衛星放送やケーブルテレビを契約していなくても、他ジャンルの動画専門チャンネルを気軽に追加できるのがメリットです。

ドラマやアニメなど、シリーズものをよく見るなら、プロフィール機能も欠かせません。プライムビデオでは、1アカウントにつき6つのプロフィールを作成できます。再生履歴やおすすめはプロフィールごとに管理されるので、ドラマの続きを見たい場合や、好みに合いそうなコンテンツを探すのに便利です。
また、12歳以下の視聴に適したコンテンツのみを表示する、キッズプロフィールの設定も可能です。R15+、R18+といった刺激の強いコンテンツが非表示となるので、お子さんと一緒に使うなら専用のプロフィールを作っておくと安心でしょう。
【Netflix】行き届いたプロフィール管理機能に注目

Netflixでは、1つのアカウントで5つまでのプロフィールを登録できます。Netflixは視聴履歴によって表示される内容が変わるため、家族とシェアする場合、ユーザーごとにプロフィールを作っておくと好みに合ったコンテンツを見つけやすくなります。
子ども向けのプロフィールを作ることができ、5段階の視聴制限(ペアレンタルコントロール)が可能。さらに、各プロフィールごとに言語表示や字幕文字のフォーマットを変更したり、再生設定を個別にカスタマイズしたりすることもできます。プロフィール管理機能は、Netflixに軍配が上がると言ってもいいかもしれません。
Amazonプライムビデオが向いている人、Netflixが向いている人は?
ここまでの比較から、最後にプライムビデオとNetflixそれぞれに向いている人をまとめてみます。
国内シェアNo.1のプライムビデオは、動画だけにとどまらないコストパフォーマンスの高さが何よりの魅力です。有料コンテンツもありますが、見放題のプライム対象作品も比較的新しいものが多く、何よりオリジナルコンテンツが見放題の範囲内で視聴できるのが魅力です。
一方のNetflixは、他では観ることのできない高品質なオリジナル作品が目玉です。日々投下される新コンテンツは、ドラマや映画にとどまらず、リアリティ番組からドキュメンタリーまで知的好奇心をくすぐるものばかり。どのプランを選択しても月額料金が特別安いわけではありませんが、納得できるかどうかといった観点から考えれば決してハイコストではないでしょう。
動画配信サービスは1つに限定する必要がありません。配信しているコンテンツはサービスにより異なるので、プライムビデオとNetflixのどちらか一方に絞るのではなく、必要に応じていろいろなプラットフォームを楽しむ選択肢も現実的です。
- 月額料金をなるべく抑えて動画配信サービスを利用したい人
- ビデオ以外のプライム特典も含め、無料期間でサービス内容をしっかり確認したい人
- 独占配信のコンテンツやCS放送などで配信されているコンテンツに興味がある人
- 最新作などのレンタル・セル作品や、その他の動画配信サービスも一緒に楽しみたい人
- Netflixオリジナルコンテンツを楽しみたい人
- レンタル不要の見放題配信サービスを探している人
- 家族や親子で安心して楽しみたい人
- テレビやゲーム機などさまざまな端末で楽しみたい人