2021年9月にリリースされたiOS 15。今回はiOS 15で追加された新機能の見どころをまとめました。新しいiOS 15はマイナーバージョンアップも多くあります。便利そうな機能を見つけて、手元のiPhoneで活用していきましょう。
iOS 15の対応機種
iOS 15に対応しているのは次の端末です。
- iPhone 13/13 mini/13 Pro/13 Pro Max
- iPhone 12/12 mini/12 Pro/12 Pro Max
- iPhone 11/11 Pro/11 Pro Max
- iPhone XS/XS Max
- iPhone XR
- iPhone X
- iPhone 8/8 Plus
- iPhone 7/7 Plus
- iPhone 6s/6s Plus
- iPhone SE(第1世代)
- iPhone SE(第2世代)
- iPod touch(第7世代)
対応機種はiOS 14と変わりません。最新機種のiPhone 13シリーズから、最も古い機種では2015年に発売されたiPhone 6s/6s Plusまで対応しています。
1. 大幅にパワーアップした「FaceTime」
ビデオ会議をする機会が増えた2021年。FaceTimeは「空間オーディオ」や「声を分離」を搭載することで、通話の音質がよりクリアになっています。

FaceTimeのグリッド表示
空間オーディオは、画面に表示されている位置と同じ方向から音声が聞こえてくるように感じられる機能。同じ空間で会話しているように、相手の声が自然に聞こえます。
また、以前は話している人が大きく表示されていましたが、「グリッド表示」にすると全員が同じ大きさのタイル状に表示されます。発言している人は枠線で強調されるので、混乱することもありません。

「声を分離」は、マイクが拾った雑音を遮断し、声だけを明確に伝える機能です。
ボタン操作でオン/オフを切り替えられ、周囲の状況を相手に伝えたいときは「ワイドスペクトル」モードを使うといった使い分けができます。

FaceTimeではこのほか、メディアや画面を共有する「SharePlay」が年内に追加予定となっています。FaceTimeで話しながら、映画をストリーミングしたり、音楽のアルバムを聞いたり、画面を共有したりと、離れた場所にいる人たちと同じ体験が楽しめます。シェアできるコンテンツには、Apple TV+やApple Musicのほかにディズニープラス、Hulu、TikTok、Twitchなどがあります。
また、Windows PCやAndroidスマホにも対応したのは大きな変化です。FaceTimeリンクを作成してメールやメッセージなどで共有すると、Windows PCやAndroidスマホからもビデオ通話に参加できるようになります。アプリは用意されていないので、ブラウザを通じてウェブから参加することになりますが、macOSやiOS以外の端末とも暗号化された安全なビデオ通話が可能となっています。
2. 共有したコンテンツが各アプリに表示される「メッセージ」


「メッセージ」アプリでは「あなたと共有」セクションが追加されています。メッセージを通じてやりとりしたリンクや画像などのコンテンツを見る際でも、「メッセージ」アプリを開く必要がないのがメリットです。
以前ならこうしたコンテンツを利用するには、「メッセージ」アプリを開く必要がありました。しかし、「あなたと共有」が各対応アプリに組み込まれたことで、「メッセージ」アプリを開かなくてもコンテンツを直接利用できるようになったのです。
たとえばリンクを共有した場合、Safariのスタートページを開くと「あなたと共有」セクションに送られてきたリンクが表示されます。名前の部分をタップするとウインドウが開いて、相手に返信を直接送ることが可能です。
対応アプリはSafariのほか、ミュージック、Apple TV、写真、Apple Podcastsなどがあります。

このほか、複数の写真が送られてきたとき、スワイプで次々表示させたり、グリッド表示にして一覧したりできる機能も加わっています。
3. 集中時間を確保する「集中モード」


動画やゲームをがっつり楽しんでいるときに、メールやSNSの通知が届くと興ざめしてしまいます。視界に余計な通知が入り込んでくるのは邪魔以外の何者でもありません。といって、通知をオフにすると今度は必要な情報も遮断されて不便です。
「集中モード」は、通知を細かく制御できる機能です。集中モードをオンにすると、受け取りたい通知のみ届くようになり、集中力が削がれてしまうのを防ぎます。
集中モードは手動でオン/オフを切り替えるほかに、スケジュールでの切り替えや、場所や使っているアプリなどの条件を指定してオンにすることができます。たとえばゲーム用の集中モードなら、ワイヤレスコントローラが接続されたときに自動で集中モードに移行させられます。


集中モードは、「設定」アプリの「集中モード」で設定します。「おやすみモード」はここに統合されており、ほかに「パーソナル」「仕事」「睡眠」の設定が用意されています。
「おやすみモード」と「睡眠」はオンにするだけで利用可能ですが、「パーソナル」と「仕事」はそれぞれ設定が必要です。また、「ゲーム」や「運転」「フィットネス」など自分用にカスタマイズできるモードもあります。最初の設定さえ済ませれば、デバイス間で共有されます。
4. 要約機能で邪魔な通知が減る


通知機能自体も、デザインが一新するなど変化が見られます。連絡先やアプリのアイコンが大きく表示されるので、何の通知かがひと目でわかるようになりました。
注目したいのが要約機能です。設定したスケジュールをもとに、通知をまとめて届けてくれます。優先度が高いものが自動で並べられ、緊急性の低い通知をまとめてチェックできるのが便利です。なお、ダイレクトメールなど大事なメッセージは要約の対象には入らないため、重要なメッセージを見逃す心配はありません。

「時間指定要約」をオンにする

要約に含めるアプリを選択する
通知要約は、「設定」アプリの[通知]で「時間指定要約」をオンにして設定します。初期状態ではオフになっているので有効にしておきましょう。
要約するアプリと通知時間を指定すれば、スケジュールに従って通知が届くようになります。
5. スピード感と使いやすさが向上した「Safari」

標準ブラウザのSafariは、アドレスバーや更新ボタンが画面の上部から下部に移動しました。これによって起こった変化は、使いやすさの向上です。
ディスプレイが大型化したiPhoneは、片手操作が以前よりもしづらくなっています。iOS 15では、すべての操作ボタンが画面下部にまとまったことで、スピード感が増しています。
タブの操作もスピードアップしています。新しいタブバーをスワイプ操作することでタブを自由に行き来できるようになりました。上方向にスワイプすると、マルチタスク画面よろしく、開いているすべてのタブを一覧できます。


Safariのタブについては、グループ機能が新しく追加されています。タブを開きすぎたときに、グループを作ってタブをまとめる機能です。タブの整理に便利なだけでなく、グループ内のタブをまとめてブックマークに追加したり、リンクを取得したりできるようになっています。
拡張機能をサポートしたのも大きな変化です。拡張機能はApp Storeから追加でき、パスワード管理やオフラインブラウズなどの機能が用意されています。

このほか、スタートページのカスタマイズ機能も搭載。表示する項目を選んだり、背景の壁紙を選んだりできるようになりました。
6. ドライビングマップを搭載した「マップ」


スマートフォンをカーナビとして利用するニーズが増えています。マップの新機能はカーナビとして使うのにぴったりの「ドライビングマップ」です。
ドライビングマップはドライブ専用の地図機能です。渋滞や事故、通行止めなどの情報を詳しく表示します。バスなどを使うときは、交通機関別のマップに自動で切り替わり、直感的に扱えます。
7. 写真に写った文字を変換できる「テキスト認識」

写真から文字を認識するOCR機能が標準装備となりました。名刺などを撮影すれば、写真に写っている文字情報を読み取り、電話をかけたりメールを送ったりできます。
撮影済みの写真だけでなく、「Googleレンズ」のようにカメラアプリの被写体から文字をコピーすることも可能です。テキストを抜き出して、友だちと共有したいときに便利かもしれません。
ただし現在のところ、英語と中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語の7つの言語のみに対応しています。日本語で利用できるようになる日を待ちたいところです。
また「テキスト認識」機能は、iPhone XSまたはiPhone XR以降の機種のみに対応しています。
8. 集中したいときにぴったりの「バックグラウンドサウンド」


作業に集中したいとき、雨の音やカフェ店内の話し声などの「環境音」(ホワイトノイズ)を流している人も多いでしょう。App Storeでも環境音を再生するアプリは人気です。
iOS 15では、環境音を再生する「バックグラウンドサウンド」が新たに追加されました。利用するには、「設定」アプリの[アクセシビリティ]→[オーディオ/ビジュアル]→[バックグラウンドサウンド]を開きます。サウンドの種類は「雨」や「オーシャン」「ブライトノイズ」など6種類から選べます。
ちなみに、「アクセシビリティ」の[ショートカット]で「バックグラウンドサウンド」を有効にしておけば、サイドボタンをトリプルクリックするだけでバックグラウンドサウンドのオン/オフができるのでおすすめです。
9.「拡大鏡」がデフォルトアプリに


「拡大鏡」がデフォルトアプリになりました。小さな文字もカメラ機能を利用して大きく表示できます。文字や細かいものが肉眼で見えにくくなっている人は使う機会が何かと増えそうです。
拡大鏡を起動するには、Spotlight検索で「拡大鏡」を検索します。コントロールセンターに登録しても、すばやく起動できます。
10.「天気」アプリはデザインが一新


天気アプリはデザインが一新しています。背景に表示されるアニメーションが、今のお天気を明確に知らせてくれます。
また降水量や空気室(汚染状況)、気温を含む天気図がフルスクリーンで表示され、雨雲の経路や予想をアニメーションで確認できるようになりました。1時間以内の降水量を通知する機能も追加されており、行動の計画を立てやすくなっています。
11. 電源がオフでも見つかる「探す」アプリ
「探す」アプリのデメリットは、電源がオフになった端末を探せないことでした。しかし、これからは24時間以内に限り、電源が切れたデバイスも見つけられるようになります。悪意のある人によって電源を切られた可能性がある場合も、紛失したデバイスを追跡できます。
また、たとえデバイスのデータが消去されたあとでも、位置を特定し見つけることができます。アクティベーションロックにより、消去後も「こんにちは」画面に所有者の情報を明示できるので、盗品を騙されて購入してしまうことも防げるでしょう。


AirPodsシリーズを探す機能も一段と進化しています。
AirTagと同様に、近く(Bluetooth範囲内)にあるAirPodsの位置を、画面と音で特定できるようになりました。AirPodsが離れると警告を表示する「手元から離れたときに通知」機能にも対応しています。
12. タグをつけて管理できるようになった「メモ」

書いたメモを、あとで取り出しやすくするタグを付けられるようになりました。
使い方は、メモの中に「#レシピ」「#」といったタグを直接挿入するだけ。1つのメモに複数のタグを付けることが可能です。タグの付いたメモはフォルダ画面の「タグ」セクションにまとめられ、簡単に見つけることができます。