音楽サブスクの「Amazon Music Unlimited」で提供されている「ワンデバイスプラン」について紹介します。
ワンデバイスプランは、音楽配信サービスを低料金で利用できるユニークなプランです。スマホやタブレットではなく、Echo端末やFire TV端末などに話しかけて操作するのが特徴。会員登録や楽曲の再生などもすべて音声操作でおこない、他プランにはない制限もあります。
そこで本記事では、Amazon Music Unlimitedのワンデバイスプランの魅力やデメリットなどをまとめました。
ワンデバイスプランを他の料金プランと比較

ワンデバイスプラン(旧Echoプラン)は、Amazon Music Unlimitedが提供している有料プランの1つです。月額料金が580円と安価な代わりに、利用できるのは1台のデバイスに限定されます。
アクセスできる楽曲はAmazon Music Unlimitedのそのほかのプランと同じ1億曲。低価格でAmazon Musicのすべての楽曲に制限なしでアクセスできるのが、ワンデバイスプランの特徴です。
ワンデバイスプラン | 個人プラン | ファミリープラン | 学生プラン | |
---|---|---|---|---|
月額料金 | 580円 | 980円 (非プライム会員は1080円) |
1680円 | 580円 |
年額料金 | なし | 9800円 (プライム会員のみ) |
1万6800円 (プライム会員のみ) |
なし |
HD/Ultra HD | × | ◯ | ◯ | ◯ |
空間オーディオ | × | ◯ | ◯ | ◯ |
オフライン再生 | × | ◯ | ◯ | ◯ |
対応デバイス | Echo端末、Fire TV端末 | Amazon Music対応のすべての端末 | Amazon Music対応のすべての端末 | Amazon Music対応のすべての端末 |
同時再生数 | 一度に1台の対応端末 | 一度に1台の端末 | 一度に6台の端末 | 一度に1台の端末 |
登録端末数 | 1台 | 10台 | 1つのアカウントにつき10台 | 10台 |
各プランの違いを表にまとめました。ワンデバイスプランとほかのプランとの大きな違いは、登録できるデバイスの数です。また機能面ではオフライン再生やHD/Ultra HDに対応していません。
表には現れませんが、操作方法も大きく違います。ワンデバイスプランはEchoやFire TV Stickシリーズ専用のプランのため、音声やリモコンで操作しながら使用します。使い勝手の点で、スマートフォンやパソコンから利用するAmazon Music Unlimitedのそのほかのプランとは少し異なります。
ワンデバイスプランの対応端末

Echo Dot with clock
ワンデバイスプランを利用できるのは、Echo端末とFire TV端末に限られます。
「Echo Input」や「Echo Plus」などすでに販売が終了しているモデルも、ワンデバイスプランを利用可能です。
Echoシリーズには、EchoとペアリングできるEcho Sub(Echoシリーズ用のサブウーファ)があります。こちらは一台のEcho端末とペアリングしたときのみワンデバイスプランで利用できます。
EchoやFire TV端末でもワンデバイスプランを利用できないケースもあります。Fire TV StickにEcho端末をワイヤレスで接続してスピーカーとして利用するホームシアターシステムや、自宅にあるEchoデバイスすべて同じ楽曲を再生するマルチルームミュージックはワンデバイスプランで利用できません。また、2台のEchoデバイスをペアリングさせるステレオペアも、ワンデバイスプランでサポートされていません。
ワンデバイスプランの登録方法
ワンデバイスプランの登録はスマホからでも手続き可能です。あらかじめAmazonアカウントにデバイスを追加したうえで、以下のリンクをタップしてください。



支払い画面で「ワンデバイスプラン」が表示されているか要確認
登録画面で[今すぐ始める]をタップ。支払い画面で「ワンデバイスプラン」が表示されていることを確認したら、[今すぐ登録]をタップしてください。これで登録は完了です。
このときAmazonアカウントにデバイスを登録できていないと、支払い画面にワンデバイスプランではなく個人プランが表示されてしまいます。ワンデバイスプランが表示されていなければ、まずデバイスを登録してください。
Amazonアカウントにデバイスを登録する方法
ブラウザからワンデバイスプランを登録する場合、「Amazon Alexa」アプリを使ってAmazonアカウントにデバイスを登録する必要があります。
ここではAmazon Alexaアプリを通じて「Echo Dot with clock」を登録する方法を例に、やり方を紹介します。


「デバイス」タブを開いたら画面右上の[+]ボタンをタップし、[デバイスを追加]を選択します。


[Amazon Echo]→[Echo、Echo Dot、Echo Popなど]と進みます。ここではEcho Dot with clockを例にした手順なので、自身が利用する端末に応じた項目を選択してください。

ペアリングボタンを長押し(ボタンの場所はデバイスにより異なる)

オレンジのライトが光ればペアリングできる状態
デバイスのペアリングボタンを長押しすると、オレンジのライトがつきます。これでペアリング可能な状態となります。


デバイスのオレンジのライトがついていることを確認したら、[はい]をタップ。アプリがデバイスを検出するので、デバイス名をタップしてください。


デバイスがWi-Fiを検出・接続すれば登録は完了です。アプリの「デバイス」タブにデバイスが追加されていることを確認できます。
ペアリング完了から数分後、ワンデバイスプランの登録ページを開くとプランに「ワンデバイスプラン」が表示されるようになります。

対応端末に話しかけるだけで登録できる
スマホから登録する以外にも、端末に話しかけて登録することも可能です。音声操作で登録したい場合は、「アレクサ、Amazon Music Unlimitedを登録して」と話しかけてください。
すでに個人プランやファミリープランを利用している場合、「アレクサ、Amazon Music Unlimitedをダウングレードして」と話かけます(月額プラン利用時のみ)。Fire TV端末で登録する場合は、Fire TVの「設定」ページからAmazon Musicを開きます。
Amazon Music Unlimitedに新規で申し込む際は、30日間の無料期間がワンデバイスプランでも適用されます。ただし期間中は個人プランと同じ扱いとなるため、複数のデバイスからAmazon Music Unlimitedを利用でき、試用期間終了後に使用可能な端末が1台のみに制限されます。
ワンデバイスプランのメリット
Amazon Music Unlimitedのワンデバイスプランを利用するうえでのメリットを3つ紹介します。
手頃な価格でコストを節約できる

ワンデバイスプランと個人プランの料金を比較
ワンデバイスプランの最大の魅力は、月額利用料金が580円と低価格という点です。音楽配信サービスを安価で手軽に楽しめます。
2024年1月に月額480円から100円値上げされたものの、それでも学生プランと並ぶ低料金です。年間プランはありませんが、Amazon Music Unlimitedの個人プラン(プライム会員料金)と比較すると1年間で2840円のコストを節約できます。音楽を1台の端末で聴く人にとって、大きな節約効果があります。
1億曲以上の楽曲にアクセスできる

Amazon Music Unlimited
ワンデバイスプランは、Amazon Music Unlimitedが持つ1億曲の楽曲へアクセスできます。もちろん広告は非表示です。Amazon Music Primeのようにスキップできないといった制限もなく、好きな曲を自由に再生できます。
後述のようにデメリットもありますが、話題と集めた曲や最新の曲を楽しみたいといったときに、通常よりも4割程度安い料金で利用できるのは大きなメリットです。
音声操作によるシンプルな使い勝手

Echoシリーズを使用してワンデバイスプランを利用する場合、Alexaを通じたシンプルな音声操作だけで選曲や楽曲の再生・停止などがおこなえます。
筆者が実際に音声操作を試してみたところ、下記のような操作を実行できました。
- アレクサ、◯◯(アーティスト名)の新曲をかけて
- アレクサ、よく聞く音楽をかけて
- アレクサ、クラシックをかけて
- アレクサ、次の曲
- アレクサ、今年流行った曲を流して
- アレクサ、◯◯年に流行った曲を流して
- アレクサ、音楽ストップ
- アレクサ、音量下げて(上げて)
- アレクサ、プレイリストの楽曲を再生して
- アレクサ、冬におすすめの曲を流して
- アレクサ、この曲なに?
- アレクサ、プレイリストを作って
- アレクサ、この曲をプレイリストに登録して
- アレクサ、◯◯の楽曲を1分間かけて
- アレクサ、◯◯のポッドキャストを流して
- アレクサ、鳥のさえずりを流して
楽曲の検索や再生のほか、プレイリストへの追加など、Amazon Music Unlimitedのさまざまな操作を音声だけで直感的におこなえます。プレイリストを作成する際は「アレクサ、プレイリストを作って」と話しかけたあとに、プレイリストの名前まで指定できます。
そのほか「冬におすすめの曲をかけて」「◯◯年に流行って曲を流して」といったリクエストにも応えてくれます。そのときの気分に応じた曲も流してくれるので、新しい楽曲にも出会えるでしょう。「鳥のさえずりを流して」「川のせせらぎを流して」などと言うと、作業中にあったBGMを流してくれます。
画面に触れたり、キーボードをタイプしたりする必要がないので、両手がふさがっているような状況でも問題ありません。また声が届く限り部屋のどこからでも指示ができます。スマホやPCの操作に慣れていない人でも、手軽に扱えるのがメリットです。
ワンデバイスプランのデメリット
ワンデバイスプランはEcho端末やFire TV端末を利用した低価格プランである反面、いくつかのデメリットもあります。登録する際は以下の注意点をあらかじめ確認しておきましょう。
デバイスが制限される

ワンデバイスプランを利用できるのは、1台のEcho端末またはFire TV端末です。スマートフォンやタブレット、パソコンからは利用できません。複数のデバイスで音楽を楽しみたいと考えている人には大きな制約です。
また、複数のEchoシリーズを利用している人も注意が必要です。ワンデバイスプランを登録できるデバイスは1台だけなので、このような場合端末ごとにワンデバイスプランを登録しなければなりません。当然個人プランよりも割高となり、ワンデバイスプランの金額的なメリットはなくなります。
なお、ワンデバイスプランの登録デバイスを変更することは可能です(12カ月間に2回のみ)。デバイスの買い替えや買い足しをした際に、ワンデバイスプランを登録しなおす必要はありません。
利用できない機能がある
ワンデバイスプランは、Amazon Music Unlimitedのそのほかのプランと同じライブラリを持っていますが、それ以外の機能については制限があります。たとえば、ワンデバイスプランでは、オフライン再生ができません。また空間オーディオやHD、Ultra HDといった高音質のサウンドにも非対応です。

ワンデバイスプランでは空間オーディオを再生できない
空間オーディオをサポートしている「Echo Studio」であっても、ワンデバイスプランで空間オーディオを再生できない点は注意が必要です。Echo Studioで空間オーディオを楽しみたい場合、ワンデバイスプランは適切ではありません。
スマホで操作ができない
ワンデバイスプランは音声操作に限られるので、スマホでは楽曲再生などの操作ができません。音声操作は手軽ですが、操作によってはストレスを感じる場面があります。
たとえば、曲の名前を言っても認識してくれないことがあります。スマホやパソコンからは操作できないので、曲名を検索したり、アーティストのページからリストを表示して曲を探すといった対処ができません。
また人によっては、「アレクサ」と声をかけても反応が鈍く、返事が返ってこないことがあります。声を張り上げてアレクサに話しかけなければなりません。そのほか、意図しない誤作動もたまに起こします。何も指示していないのに、音楽を突然再生し始めたり、話し出したりといった具合です。
音声操作しか利用できないワンデバイスプランの使い勝手は、上記のようなアレクサの弱点にも大きく影響を受けます。
年間プランがない
380円でスタートしたワンデバイスプラン(旧Echoプラン)は、現在では580円まで値上がりしています。ワンデバイスプランには年間プランがないので、1年間利用すると6960円かかります。
Amazon Music Unlimitedの個人プランはプライム会員と非プライム会員で料金が異なりますが、ワンデバイスプランにはそのような割引システムがありません。ワンデバイスプランのさまざまな制約を考慮すると、割安感が薄れてきていると感じる人も多いでしょう。
ワンデバイスプランに勝手に登録された? 解約・プラン変更の方法
ワンデバイスプランは、対応端末に向けて「アレクサ、Amazon Music Unlimitedに登録して」と話しかけると登録できます。このとき、本来はAmazon Music Unlimitedの個人プランに登録するつもりだったのに、意図せずワンデバイスプランに登録されてしまったという人もいるかもしれません。
個人プランもワンデバイスプランもAmazon Music Unlimitedが提供するプランですが、利用用途が大きく異なるため、ワンデバイスプランを解約して個人プランに入り直したいという人もいるでしょう。
ここでは誤ってワンデバイスプランに登録してしまったときの対処法や解約・プラン変更の方法を紹介しています。
誤ってワンデバイスプランに登録してしまったときの対処法


個人プランに登録するつもりで、対応端末に「アレクサ、Amazon Music Unlimitedに登録して」と話しかけたらワンデバイスプランに登録されてしまった、というケースもあるでしょう。その場合は、Amazonのカスタマーサービスに問い合わせると返金を受けられる可能性があります。
Amazonのカスタマーサービスに問い合わせて誤ってワンデバイスプランに登録してしまった旨を申し出てください。利用状況によっては、プラン料金を返金してくれる場合があります。もし無料期間中に登録してしまった場合、過去の利用状況次第で無料期間を再度利用できる可能性もあります。
個人プランに登録する際は、以下のリンクからあらためて登録をし直してください。
ワンデバイスプランを解約する

ワンデバイスプランを解約する際は、Amazonのブラウザから手続きできます。Amazonのトップページ上部にある自分の名前をタップし、[お客様の会員資格と定期購読]を選択。「Amazon Music Unlimited」の[定期購読をキャンセルする]をタップします。
あとは案内に沿って解約手続きを進めてください。Amazon Music Unlimitedを解約する方法は以下の記事でも詳しく解説しています。
そのほか、対応端末に向かって「アレクサ、Amazon Music Unlimitedを解約して」と話しかけて解約することも可能です。解約に関する注意点を読み上げたあと、解約の確認を尋ねてくるので「はい」と答えれば解約できます。
ワンデバイスプランから別のプランに変更する



プラン変更はブラウザから簡単に手続きできます。Amazonのトップページ上部にある自分の名前をタップし、[お客様の会員資格と定期購読]を選択。次に[Amazon Musicの設定]をタップします。
現在は「ワンデバイスプラン」が選択されているはずなので、変更したいプランを選択してください。[確認]をタップするとプラン変更が適用されます。
まとめ:ワンデバイスプランはどんな人におすすめ?
ワンデバイスプランは、EchoまたはFireTVといった特定のデバイスでのみ音楽を聴きたい人のためのプランです。低料金でAmazon Music Unlimitedの豊富なライブラリを楽しめるのが魅力と言えます。
しかし、プランに拡張性がないため、移動中にスマホで音楽を聴きたくなった場合、ワンデバイスプランでは目的を果たせません。
以上のことから、日常的に音楽を楽しむけれど、外出時に音楽を聴かない人や複数デバイスが必要ない人にワンデバイスプランはおすすめです。