格安SIMサービスでも人気の高いmineo(マイネオ)ですが、なかには楽天モバイルへの乗り換えを検討している人もいるのではないでしょうか。
楽天モバイルは、通信・通話をどれだけ使っても最大料金が3278円という魅力的な「Rakuten最強プラン」を提供し、お得なキャンペーンでも脚光を浴びています。しかし、mineoから楽天モバイルへの乗り換えにはメリットもあればデメリットもあります。
この記事では、mineoから楽天モバイルへの乗り換えによるメリットとデメリット、どんな人が乗り換えにおすすめなのかを紹介します。
本記事内に記載されている価格は、特に断りがない限りすべて税込価格で表記しています。
mineoから楽天モバイルに乗り換えるメリット
今回は、mineoから楽天モバイルに乗り換えるメリットは主に以下の4点が挙げられます。やはりデータ通信や国内通話を料金を気にせず無制限で利用できるのは魅力です。
メリット1:高速データ通信を無制限で使える

mineoの料金プラン「マイピタ」では、1GB/5GB/10GB/20GBの基本データ容量から選択して契約し、契約通信量を使い切ると通信速度は最大で200kbpsに制限されてしまいます。基本データ容量を超過してもチャージが可能ですが、100MBあたり55円の追加料金が発生します。
一方、楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」なら、高速データ通信を無制限で利用できるため、速度制限の心配をする必要はありません。楽天回線エリア外ではパートナー回線(au回線)に接続されますが、パートナー回線でも高速データ通信を無制限で利用可能です。
メリット2:国内通話とSMSを無料で利用できる


楽天モバイルのユーザーは、「Rakuten Link(楽天リンク)」という専用の通話・メッセージアプリを利用できます。
楽天モバイル(Rakuten Link利用時) | mineo | |
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国内通話 |
0円 ※基本通話料は22円/30秒 |
10円/30秒(mineoでんわ利用時) ※基本通話料は22円/30秒 【通話オプション】
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国内SMS |
0円 ※iPhoneユーザーの場合、楽天モバイルを使っていないユーザーにはiOS標準のメッセージアプリで送受信 |
1回の送信あたり3円〜33円 |
本来、楽天モバイルで通話すると30秒ごとに22円、SMSなら70文字あたり3円の利用料金が発生します。しかしRakuten Linkを利用すれば、Rakuten Linkユーザー同士の通話はもちろん、他キャリアの携帯電話番号や固定電話番号との国内通話(一部例外の番号あり)、国内SMSも無料で使えます。
ただし、iPhoneユーザーがRakuten Linkを使っていないユーザーにSMSを送る際はiOS標準のメッセージアプリでメッセージを送信することになります。
対するmineoも、専用アプリ「mineoでんわ」を使えば基本通話料の半額となる10円/30秒で通話できます。「10分かけ放題」(月額550円/キャンペーンで割引有)のオプションに加入すると10分以内の通話が何度でも無料になりますが、10分以上通話すると30秒ごとに10円の通話料金がかかってしまいます。通話オプションの「時間無制限かけ放題」(月額1210円/キャンペーンで割引有)なら時間の制限なく、何回でもかけ放題になります。
ビジネスなどで通話やSMSを頻繁に利用するという人であれば、楽天モバイルを利用したほうが料金を気にせず使えるでしょう。
メリット3:契約期間の縛りや各種手数料が発生しない

回線を契約する際、いわゆる「○年縛り」があるかどうか、契約・解約時に手数料が発生するかどうかも気になるポイントです。楽天モバイルなら契約期間による縛りはなく、契約や解約する際に手数料が発生することもありません。
しかし、申し込みから1年以内に楽天モバイルを解約し、その回線に利用実績がないと判断された場合は、1078円の解約手数料が発生します。楽天モバイルの回線で電話をかける、ブラウザでインターネット検索をするといった通常の使い方をしていれば解約手数料の心配をする必要はないでしょう。
mineo | 楽天モバイル | |
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契約事務手数料(新規・他社から乗り換え) | 3300円(SIMカード発行料:440円) | 0円 |
MNP転出手数料 | 0円 | 0円 |
契約解除料 | 0円 | 0円 ※利用実績のない回線は1078円 |
その他手数料 |
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mineoの場合、解約時には手数料は発生せず、契約期間の縛りもありません。しかし、初期契約時やプラン・タイプなどの変更時に手数料が発生します。
楽天モバイルは契約や解約、MNP転出による手数料はかからないので、契約するハードルはmineoよりも低いと言えるでしょう。ただし、SIMカードの再発行手数料や名義変更の承継など、一部手数料が発生するケースもあるため、あらかじめ確認してください。
メリット4:eSIMが使いやすい

楽天モバイル契約時にSIMカード(nanoSIM)かeSIMのどちらかを選択できる
楽天モバイルはeSIMに対応しています。eSIMとは、物理型タイプのSIMカードとは異なり、端末一体型のSIMを指します。
端末にSIMカードとeSIMの両方を設定すれば、電話番号やモバイル通信を使い分けることも可能です。また、海外旅行の際に現地のSIMカードと挿し替える必要がないため、SIMカードを紛失してしまう心配もありません。
楽天モバイルの場合、契約時にSIMカード(nanoSIM)かeSIMか選択できます。どちらを選択しても事務手数料は発生しません。契約の用途にあわせて選ぶといいでしょう。
一方のmineoは、Aプラン(au回線利用)とDプラン(ドコモ回線)でeSIMに対応しています。Sプラン(ソフトバンク回線)はeSIM非対応です。また、申込時にeSIMプロファイル発行料440円もかかります。
普段使いするぶんにはSIMカードでもeSIMでも不自由はありませんが、電話番号やモバイル回線を1つの端末で使い分けたい、1日でも早く回線を開通したい人は、楽天モバイルのほうが使いやすいでしょう。
mineoから楽天モバイルに乗り換えるデメリット
すべてのmineoユーザーが手放しで楽天モバイルに乗り換えたほうがいいとは限りません。料金が思ったより安くならなかったり、繋がりにくい可能性があったりといったデメリットも事前に把握したうえで、乗り換えを検討しましょう。
デメリット1:mineoが使う3キャリアに比べて回線が未成熟
mineoから楽天モバイルへ乗り換える際に心配になるのが、楽天モバイルの回線対応エリアです。「楽天モバイルは繋がりにくい」という声があるのは、「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯を用いた通信サービスが未提供であることが関係していると考えられます(ドコモ・au・ソフトバンクの大手3キャリアは提供)。
プラチナバンドは700〜900MHzの電波を中心とする周波数帯の俗称で、ビル群や地下などでも電波が届きやすい性質を持っています。楽天モバイルは現時点でプラチナバンドを使用しておらず、4G/LTE通信では1.7GHzという高周波数帯を使用しています。高周波数帯の電波はビル群や地下では繋がりにくかったり通信速度が遅くなったりする場合があります。
しかし楽天モバイルは、2023年10月にプラチナバンド(700MHz帯)の取得を発表。2024年5月から順次プラチナバンドを投入していく予定で、関連した新サービスを提供するとの報道もあります。現時点(2024年3月)では運用予定の段階であり、確実に5月からプラチナバンドを用いたサービス提供が始まる保証はありませんが、近い将来は屋内や地下などでも繋がりやすくなることに期待できそうです。

楽天モバイルの4G回線は、楽天回線エリアとパートナー回線エリア(au回線)あわせて人口カバー率99.9%を達成しています(2023年8月時点)。
対するmineoは、回線契約時にドコモ/au/ソフトバンクから回線を選択できます。4G回線の人口カバー率は、ドコモ回線が99.7%、au回線が99.9%、ソフトバンクは99.8%(いずれも2021年度末時点)。楽天モバイルとmineoの人口カバー率に大きな差はないといえます。

楽天モバイルの回線対応エリアは公式サイトで確認できる
数字だけを見れば差はありませんが、地方や山奥などでは楽天モバイルのほうが繋がりにくい可能性が高いと考えられます。また、前述のように楽天モバイルはプラチナバンドの運用を開始していないため、屋内や地下などでも繋がりにくいかもしれません。
一方、MVNOのmineoはあくまで3キャリアの回線を借りている立場。回線の帯域幅をフルに使えるわけではなく、昼休みや夜間の混雑によって通信速度が落ちるといった声は聞こえてきます。
なお、5G回線エリアについては楽天モバイルとmineoどちらもまだ限定的で、mineoは3キャリアそれぞれが提供している5G回線エリアに依存します。4G・5Gともに自身の住んでいる地域で使えるかどうか、事前に楽天モバイル公式サイトのサービスエリアマップで確認してみてください。
デメリット2:料金はmineoとさほど変わらない

楽天モバイルが提供している「Rakuten最強プラン」
楽天モバイルの最大の魅力は、なんと言っても利用料金の安さでしょう。月間データ利用量に応じて料金が変動するワンプランで、最大でも月額3278円です。
しかし、月額料金の安さで見ればmineoも負けていません。すべてのmineoユーザーが楽天モバイルに乗り換えれば料金が安くなるとは限らないのです。
楽天モバイル | mineo(マイピタプラン) | |
---|---|---|
デュアルタイプ(音声通話+データ通信) | シングルタイプ(データ通信のみ) | |
※使用したデータ容量に応じて料金が変動 |
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mineoの「マイピタ」では、契約時に1GB/5GB/10GB/20GBから基本データ容量を選択します。たとえば月間データ利用量が20GB以下の人であれば、mineoのデュアルタイプと楽天モバイルの月額料金は同じということになります。
5〜10GB未満しか使わない人や、データ通信のみのシングルタイプで契約する人は、むしろmineoのほうが割安です。
ただし、毎月のデータ利用量の変動が大きい人は、楽天モバイルのほうが安心かもしれません。楽天モバイルであれば月額2178円のレンジが3GB〜20GBと広く、仮に20GB以上使ってしまった月でも速度制限にかかることなく月額最大3278円で使えます。
デメリット3:手持ちの端末が楽天モバイルに対応しない可能性がある

たとえばSIMフリーのPixelシリーズの場合、Pixel 4以降の機種しか楽天モバイルに対応していない
楽天モバイルは、対応する端末が少ないというデメリットがあります。特にAndroidスマホは、mineoに比べると楽天モバイルの対応機種は圧倒的に少ないです。
たとえばAndroidスマホで人気のPixelシリーズのうち、SIMフリーの機種で楽天モバイルに対応しているのはPixel 4以降のみであり、Pixel 3以前の機種は対応していません。

一方のmineoは、iPhoneとAndroidスマホ合わせて600機種以上。対応端末の数では圧倒的にmineoのほうが多くなっています。
現状の楽天モバイルではiPhoneのほぼ全機種を利用できるので、mineoから楽天モバイルに乗り換えた際にそのままiPhoneを使いたいという人は、問題なく利用できるでしょう。
「mineoでは使えていた端末が、楽天モバイルに乗り換えたら使えなくなってしまった」ということがないよう、乗り換えの際は必ず対応端末を確認するようにしましょう。
デメリット4:mineoのコミュニティ機能が使えなくなる
mineoは掲示板やQ&Aのほか、「ゆずるね。」や「フリータンク」といったコミュニティ機能が充実しているのが特徴です。楽天モバイルに乗り換えると、こうしたサービスを活用できなくなります。

mineoの「ゆずるね。」の仕組み
「ゆずるね。」は、通信速度が繋がりにくくなる12時〜13時の時間帯でデータ通信量を他ユーザーと譲り合う機能です。12時〜13時にデータ容量を使わない人は、「ゆずるね。」を宣言してデータ通信量の消費を控えることでスタンプを獲得できます。
獲得したスタンプは、追加のデータ容量や夜間フリーなどの特典と交換できるため、お昼の時間にデータ通信をたくさん使う人にもあまり使わない人にもメリットがあります。

また、余った月間データ通信量を他のユーザーと分け合える「フリータンク」もmineo独自のユニークなサービスです。「フリータンク」は災害支援にも役立ちます。
楽天モバイルもサポートは充実していますが、掲示板やコミュニティ機能はありません。mineoのコミュニティ機能を愛用している人にとっては、楽天モバイルへの乗り換えはデメリットに感じてしまうかもしれません。
楽天モバイルに向いている人とは?
ここまで、mineoから楽天モバイルに乗り換えた場合のメリットとデメリットを紹介しました。それらを踏まえたうえで、どんな人がmineoから楽天モバイルへの乗り換えに向いているのかまとめてみます。
通話やSMSをたくさん使う人
前述の通り、mineoと楽天モバイルでは利用料金にあまり大きな差はありません。毎月のデータ使用量次第では、乗り換えても月額料金が安くならない可能性もあります。
しかし通話やSMSをたくさん使う人は、楽天モバイルへの乗り換えを検討する余地があります。Rakuten Linkアプリを利用すれば、他キャリアの携帯電話番号や固定電話番号への国内通話が無料になります(0570から始まる番号は料金が発生)。

Rakuten Linkの特徴
Rakuten Linkには電話帳機能も備わっており、通常の電話アプリとほぼ同じ感覚で使えるため、使い方に困ることもないでしょう。Rakuten Linkによる通話を着信した側も、それがRakuten Linkからの着信だと気付くことはありません。
他キャリアの通話オプションと比較しても、通話をたくさん利用する人はmineoに向いているとは言えません。データ利用量とあわせて、通話時間なども乗り換えの検討材料に入れるべきでしょう。また、Rakuten LinkならSMSも無料。「ビジネスで短文のSMSを頻繁に送る」という人にも楽天モバイルはおすすめです。
回線の契約と同時に端末も新しく購入する人
楽天モバイルが実施している豊富なキャンペーンは魅力のひとつ。代表的なのは、他社からの乗り換えでポイントをもらえる乗り換えキャンペーンです。
そのほか、端末をお得に購入できるキャンペーンも含まれています。回線の乗り換えと同時に端末も購入したいと考えている人にとって、楽天モバイルはおすすめです。

たとえば、楽天モバイルの回線契約と対象端末をセットで購入すると、最大2万6930円引きになるキャンペーンが実施されています。
Xperia 10 Vなら、「Rakuten最強プラン」の契約とセットで2万6930円の割引が適用されます。さらに、手持ちの端末を下取りに出せば、下取り額が楽天キャッシュに付与されるので端末購入時の実質負担額を抑えられます。
また、楽天市場が開催する「お買い物マラソン」などでも端末購入時に使えるクーポンを配布することがあるため、乗り換えとセールのタイミングが合えばチェックしておきましょう。

iPhoneを購入したいという人は、iPhoneのキャンペーンも実施されているか確認しておきたいところです。
現在(2024年3月時点)、他社からの乗り換えで楽天モバイルに初めての申し込み、対象のiPhoneを同時に購入すると、最大3万3000円相当がお得になる「iPhoneトク得乗り換え」キャンペーンが実施されています(終了日未定)。
楽天モバイルでiPhoneを購入するなら、「買い替え超トクプログラム」を利用するのがおすすめです。買い替え超トクプログラムは、iPhone購入時に48回払いを選択すると、全48回のうち最大24回の支払いが不要になるiPhone購入支援プログラム。25カ月目以降に購入したiPhoneを楽天モバイルに返却することで、実質最大半額でiPhoneを購入できます。
買い替え超トクプログラムで利用できる支払い方法は楽天カードのみ。返却時には3300円の手数料が発生します。とはいえ、最新のiPhoneも実質半額で購入可能なので、回線の契約と同時にiPhoneの購入も検討している人はチェックしてみてください。
楽天サービスを多く利用している人
楽天市場や楽天ブックス・楽天マガジン・楽天ペイ・ラクマなどをはじめ、楽天の各種サービスを頻繁に利用する、いわゆる「楽天経済圏」で生活する人は、楽天モバイルへの乗り換えがおすすめです。
楽天モバイルの毎月の利用料金に対して、100円(税別)ごとに1ポイントの楽天ポイントが貯まります。さらに、貯まったポイントを利用料金の支払いに使うことも可能です。

楽天市場のSPU(スーパーポイントアッププログラム)
また、楽天モバイルは「楽天SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の対象にもなっています。楽天SPUは、対象サービスを契約したり特定の支払い方法で買い物したりするなどの条件を満たすと、楽天ポイントの付与率がアップする仕組みです。
楽天モバイルを契約しているだけで楽天市場での買い物でポイント付与率が+4倍(楽天会員で1倍・楽天モバイルSPU+4倍)となります。以前の付与率アップは+3倍(ダイヤモンド会員は+4倍)でしたが、2023年12月より+4倍に改良されました。会員ランクに関係なく付与率が5倍になるため、楽天のサービスを頻繁に利用するという人にとっては嬉しい改良といえるでしょう。
また、楽天モバイルのキャリア決済で支払えばさらに+2倍に。そのほか、楽天SPUには様々な達成条件があるので、複数を適用させればそのぶん楽天ポイントも貯まりやすくなります。
楽天ポイントをさらに貯めたい人は、楽天カードもおすすめです。普段の買い物で楽天ポイントを貯めて楽天モバイルの支払いに利用するといった使い方もできます。