Hulu(フールー)とNetflix(ネットフリックス)を徹底比較、どっちを選ぶのが正解?
「話題のドラマやアニメを見まくりたい!」。こんな願いを叶えてくれる定額制の動画配信サービスですが、いくつもあるサービスの中からどれを選ぶべきか迷ってしまうところ。
本記事では、知名度の高い「Hulu(フールー)」と「Netflix(ネットフリックス)」を様々な視点から比較してみたいと思います。どちらの動画配信サービスが自分に合っているか、悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
配信タイトルのラインナップで比較する
左:Huluで人気の作品右:Netflixで人気の作品
動画配信サービスで一番気になるのが、ラインナップです。つまり、自分の見たい作品があるかどうかということ。どのサービスでも同じタイトルが見られると思うのは大間違いで、ジャンルごとに各サービスの得手不得手が現れやすいところです。そのため、見たい作品に合わせてサービスを選ぶ必要があります。
7万本の作品が見放題のHulu
Huluの特色は、海外ドラマや日本のTV番組に強いことと、リアルタイム配信(「ライブTV」)があることです。作品数が7万本以上と豊富で、国内外の番組を広く楽しむことができます。
数ある動画配信サービスの中でも、Huluの海外ドラマのラインナップは充実しています。『ウォーキング・デッド』や『ウェントワース女子刑務所』『クリミナル・マインド』といった人気ドラマが勢揃い。『ゲーム・オブ・スローンズ』を筆頭に、シーズン1から見放題で楽しめるのはHuluだけ、といった作品が数多くあります。
「Huluプレミア」ではHuluでしか観られない良質な作品が豊富に揃う。
特に注目したいのが、最新ドラマを国内最速配信する「Huluプレミア」。アメリカ、アジア、ヨーロッパなど海外の注目ドラマを日本で初放映するHuluならではの試みです。
UNIVERSAL製作『ゴーン』、『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』、MARVEL製作『ランナウェイズ』など、ドラマのセレクトもよくハズレが少ないという印象。観たことのないドラマも第1話から楽しめるのが嬉しいポイントです。
Huluでは、スポーツ中継やニュース、ドキュメンタリーなど12チャンネルでライブ配信している
リアルタイム配信の「ライブTV」が観られるのも大きな特徴。リアルタイム配信では、海外ドラマやドキュメンタリー、スポーツ、ニュースなどを配信しています。スマホで観ることもでき、魅力的なコンテンツが多数揃っています。
たとえばFOXチャンネルでは、2020年2月に『ウォーキング・デッド』シーズン10後半のエピソードを日本最速リアルタイム配信。直前であるシーズン10前半の見逃し配信も他社サービスに先駆けて開始しました。ケーブルテレビで放送されるのと同じタイミングで、いち早く観ることができるのはHuluユーザーならではの特権です。
また、海外ドラマと同じくらい充実しているのが日本のテレビ番組です。Huluは日本テレビ系列ということもあり、日テレオンデマンドの番組が見逃し配信や過去の作品も含めて見放題です。
TBSやWOWOWなど、日テレ以外の各テレビ局とも提携しており、ドラマだけでなくアニメやバラエティなど、豊富なジャンルの番組を配信しています。過去のドラマを観返したい人などには非常に嬉しい特徴です。

レベルの高い独自コンテンツが魅力のNetflix
ローラ・ダーンが2020年アカデミー賞助演女優賞を獲得した『マリッジ・ストーリー』
一方、Netflixが得意とするのも海外ドラマです。ただしHuluと違って、Netflixの特色は質の高いオリジナルのコンテンツにあります。
Netflixが配信・供給を手がけた映画『ROMA/ローマ』が、ストリーミングサービスのオリジナル作品として初めて2019年アカデミー賞作品賞にノミネートされて以来、翌年2020年には『マリッジ・ストーリー』『アイリッシュマン』など5作品がノミネーションを果たすなど躍進を続けています。
オリジナルコンテンツを製作している動画配信サービスはHuluを含め多いのですが、Netflixは頭一つ飛び抜けています。何より予算が大きいのです。2017年は60億ドル(約6600億円)、2018年には120億ドル〜130億ドル(約1.4兆円)と年々増加し、2020年には173億ドル(約1.9兆円)という膨大な額の大半をオリジナルコンテンツに投じると発表。NHKの年間予算約7200億円(2020年度)と比較してみるとその規模の大きさが伺えます。
この他にも、大ヒットを続けている話題の韓国ドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』、デヴィッド・フィンチャー監督とケヴィン・スペイシーらが製作総指揮し、100億円もの予算を投じて制作された『ハウス・オブ・カード 野望の階段』、MARVELとの共同製作による『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』など、魅力的なタイトルが並んでいます。
また、国内のニーズに合わせた作品も製作されています。2016年には、又吉直樹氏が発表した芥川賞受賞作の映像化作品『火花』が全10話配信され、世界中に公開されています。
この他にも、人気コミックをドラマ化した『深夜食堂 -Tokyo Stories-』、地上波では観られないオリジナルバラエティなど、話題性のあるコンテンツが揃っています。
Netflixは近年、日本のアニメスタジオや一流クリエイターとパートナーシップを締結して話題に。今後はオリジナルアニメの拡充に期待がかかる
さらに、Netflixが配信するアニメ作品からも目が離せません。Netflixは日本のアニメに注力しており、現在650作品以上が配信されています。
最近では、週刊少年ジャンプでの連載が惜しまれつつも終了した大ヒット作品『鬼滅の刃』や、古代中国の春秋戦国時代末期を舞台に描かれる時代劇作品『キングダム』、地下闘技場の最年少チャンピオン・範馬刃牙と父親を中心に、さまざまな格闘家との闘いが繰り広げられる長編格闘アニメ『バキ』などが配信されています。
『日本沈没2020』『泣きたい私は猫をかぶる』などの新作も続々に配信。さらにNetflixオリジナル作品では、結末の映像化が不可能と言われてきた『デビルマン』、映画の続編アニメ『ボス・ベイビー: ビジネスは赤ちゃんにおまかせ!』のほか、中澤一登原作のクライムファンタジー『B:The Beginning』、ドリームワークス・アニメーション制作、Netflix独占配信の『シーラとプリンセス戦士』や人気ゲームが原作の『悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-』など、話題に事欠きません。
オリジナルコンテンツは2020年2月時点で1000本を超えます。ドラマから映画、アニメ、さらにバラエティなど多数のタイトルが生まれていて、それが会員増加への呼び水となっています。
Netflixは190カ国以上で1億9300万人のユーザーを抱えており、この人気を支えているのがNetflixが提供するオリジナルコンテンツです。Netflixならではの作品を楽しみたい、という人にはたまらない魅力です。

Huluはお試し期間、Netflixは無料作品を用意
ラインナップについて一例を挙げましたが、Huluにも話題のオリジナルコンテンツやアニメは多数ありますし、Netflixでも海外ドラマや映画以外の豊富なテレビ番組を楽しめます。観たい作品があるかどうかは、実際にサービスを利用してみなければわからない点が多いと思います。
Huluには2週間無料のお試し期間が用意されており、無料期間中にじっくり内容を吟味できます。
Netflixは一部の作品をアカウント登録不要でお試し視聴することができるほか、2020年10月現在、一部の新規ユーザーを対象に「30日間無料」あるいは「2カ月目が無料」になるキャンペーンを試験的に展開しています。
料金プランで比較する
定額制の動画配信サービスでは、毎月利用料金がかかります。どこも同じようなものかと思いきや、サービスごとに違いがあります。単純に安い高いで比べられるわけでもなく、独自の会員サービスや画質、対応機器の数などで差別化されています。
Huluの月額料金は1026円(税込)です。さらに、2020年6月10日からは会員向けの都度課金サービス「Huluストア」をスタート。最新の映画や話題のアニメ作品などを個別に購入することもできるようになりました。
画質は最高フルHD(1080p)で、4Kには非対応です。注意したいのは同時に視聴できる端末の数が1つに限られていること。2か所以上で再生できないことはありませんが、規約に違反することになります。家族で同時に使いたい場合には不自由を感じるかもしれません。
一方のNetflixは、ベーシックプラン、スタンダードプラン、プレミアムプランの3種類から選ぶことができ(下表)、画質や同時にストリーミングできる端末の数が異なります。
月額料金(税込) | 画質 | 同時再生 | |
---|---|---|---|
ベーシックプラン | 880円 | SD(480p) | 1台まで可能 |
スタンダードプラン | 1320円 | HD(720p/1080p) | 2台まで可能 |
プレミアムプラン | 1980円 | HD/UHD 4K(2160p) | 4台まで可能 |
最安値だけで比較するとNetflixですが、ベーシックプラン(SD画質)はスマホ専用と考えたほうがよいでしょう。テレビで見ると粗く感じます。スマホ以外で見るなら、Huluと比べて割高になるものの1200円のスタンダードプラン(HD画質)がおすすめ。
Netflixの場合、スタンダードプランでも2カ所で同時再生ができますので、家族とシェアするのに便利です。また4K映像も見たいなら超高解像度に対応したプレミアムプランというように、自分に合ったコースを選べるのがポイントです。


スマホアプリの使い勝手で比較する
時間や場所にとらわれないで好きなコンテンツを楽しめるのが、動画配信サービスのよいところです。HuluとNetflixはどちらもスマホ版アプリを公開しています。使ってみると分かりますが、お互いによく似ています。
基本的にトップ画面でおすすめのコンテンツを探し、そのほかのコンテンツはキーワード検索やジャンル別に探します。各タイトルを開いてみると、あらすじやキャスト、関連したおすすめ作品などが表示され、ドラマなら再生可能なエピソードが表示されるといった具合です。
また、どちらのアプリも再生中はシークバーをスライドするとサムネイルが表示されます。ドラマなどで毎回流れるオープニングを飛ばしたい時など、ぴたっと目的の場所に合わせやすいのが使いやすいです。ウェブ版とも連携しており、パソコンやテレビで見た続きをスマホで楽しむということも簡単におこなえます。
左:Hulu、右:Netflix。どちらも見やすく操作しやすいのが特徴
Huluのアプリは、タテ画面で見られるのが特徴です。手に持つ時はタテ持ちで操作したい、という人には嬉しいはず。またジャンル検索では、サブジャンルや年代別に並べ替えることができるので、より細かい絞り込みが可能です。Huluは作品数が多いので、こうした絞り込み検索は必須でしょう。
このほか前述したように、リアルタイム配信の「ライブTV」がアプリで楽しめるのが便利です。「BBC」(日/英)や「CNN」「日テレNEWS24」などのニュース番組やスポーツ中継、「ナショナルジオグラフィック」など、人気の高いコンテンツを生放送で楽しむことができます。
左:ウェブ版と同じように年代やサブジャンルで絞り込むことができるHuluアプリ右:動画の視聴履歴や評価でトップページのおすすめがどんどん変わっていくNetflixアプリ
一方でNetflixアプリは、コンテンツの評価機能を備えています。動画が気に入れば「評価」ボタンをタップしてサムズアップのアイコンを、気に入らなければサムズダウンのアイコンをタップしておきます。こうすることで、トップ画面に自分好みの作品が並んで表示されます。
レコメンデーション機能では特定の好みの傾向が強く出やすいのですが、Netflixでは55〜100%の値で「パーセントマッチ」を作品ごとに表示しています。これによって、ある程度多様な作品がトップ画面に並ぶような工夫が施されています。
Android版Netflixアプリならではの新機能「再生速度コントロール」
さらに、NetflixのAndroid版アプリでは再生速度の変更も可能です。再生速度は、標準のほか、標準より遅い「0.5×・0.75×」、標準より速い「1.25×・1.5×」の4種類から選択できます。ストリーミング再生時のみだけでなく、ダウンロードした動画をオフライン再生する際にも有効です。
英語の字幕表示はHuluもNetflixも対応しています。ただ、Netflixのほうが英語字幕を表示できる作品が多く、また英語以外の字幕表示にも対応しています。外国語の習得を目指している人には重宝しそうです。
英語以外にも中国語やポルトガル語で字幕を表示できるNetflix
このほか、ダウンロード機能はHuluとNetflixのいずれでも利用可能。あらかじめ端末にコンテンツを保存してオフラインで再生できるので、通信量を気にしなくて済みます。電波の不安定な場所はもちろん、機内などでも活躍するでしょう。
Huluは視聴画面の設定ボタン[]で画質を設定できる。目安の通信量も表示されている
ダウンロードしていない動画をストリーミングで再生する場合、画質を選ぶことで通信量を節約できます。Huluでは画質ごとに目安の通信量が表示されるので、状況に応じて利用できます。Netflixでは、設定画面でスタンダード/高画質の2種類から画質を事前に設定できます。
ペアレンタルコントロールで比較する
動画配信サービスを家族で使う時、ペアレンタルコントロールの有無も気になります。HuluとNetflixではプロフィールの切り替え機能があり、全年齢を対象にしたコンテンツと子ども向けのコンテンツを分けて表示することができます。
たとえば、Huluのキッズプロフィール「Huluキッズ」では、インターフェイスがひらがなになり、アンパンマンやウルトラマンといったお馴染みのシリーズがすばやく見つけられるなど、小さなお子さんが操作しやすい環境になります。
また、プロフィール設定で吹き替え再生を標準設定にすることもできます。
Huluキッズに切り替えて子ども向けのコンテンツを探せる
Netflixでは、ウェブサイトのアカウントページでペアレンタルコントロール機能が利用できます。
Netflixでは年齢制限や特定のコンテンツを視聴するためにパスワードをかけられる
大人向け・R指定コンテンツの視聴制限や、事前に設定した特定の作品を観るためのパスワード設定など、未就学児から中高生まで年齢に合わせて細かくコントロールできる点が便利です。
複数端末での同時再生が可能なNetflixならではの機能と言えるでしょう。
Netflixのキッズプロフィール。小学生や未就学児童を対象にした動画のみを表示。設定を変えることで年齢に合わせた使い方ができる
まとめ
以上、HuluとNetflixを比較してきましたが、最後に各サービスのおすすめユーザーをまとめたいと思います。
まずHuluですが、人気の国内外ドラマを一通り楽しみたいならHuluを選んでおいて間違いありません。Huluはドラマのセレクトが秀逸で、過去の名作から最新の話題作まで満遍なく楽しめます。ハマるドラマがきっと見つかるはずです。リアルタイム配信や見逃し配信作品も豊富で、Huluでしか見られない番組が多数あります。「Huluストア」で観られる最新作を含め、バランス良くいろいろな作品・番組を楽しみたいという人には魅力が尽きません。
Netflixは、何と言ってもオリジナルのコンテンツが強力です。他のプラットフォームでも視聴できる作品ではなく、よりコアな映像体験を楽しみたいという人におすすめです。しかも、オリジナル作品のジャンルが映画、ドラマ、ドキュメンタリー、アニメと幅広いことも大きな魅力です。ペアレンタルコントロールがしっかりしているので、家族で使いたいという人にもぴったりです。


アプリバージョン/Hulu(iOS版):3.0.36 、Netflix:(iOS版)12.45.0 (Android版)7.68.4 build 38 35048