お笑いや英語学習など、さまざまなジャンルの音声コンテンツを楽しめる「ポッドキャスト」。音楽配信サービスなど、複数のアプリから聴くことができます。配信エピソードは、ストリーミングやダウンロードでいつでも再生できるので、通勤・通学途中の耳からの学習などに役立てるのにぴったりです。
この記事では、ポッドキャストを聴ける5つの主要サービスをピックアップして紹介します。ポッドキャストプレイヤーとしての機能や他の付加サービスの違いなども解説しているので、ポッドキャストサービスを選ぶ際の参考としてください。
ポッドキャストとは? ラジオとは何が違う?

ポッドキャストは、インターネット上で音声コンテンツを配信するサービスで、ラジオのように楽しめます。ニュースや英会話、お笑いなど様々なジャンルの番組が配信されており、学習や娯楽など目的に合ったコンテンツを聴くことができます。
「Podcast(ポッドキャスト)」という言葉は、Appleの携帯音楽プレーヤー「iPod」と、放送を意味する「Broadcast」を組み合わせた造語です。2000年代にWeb上で配信されている音声コンテンツを集める機能がiTunesに搭載され、リスナーや配信者が増加。世界的にポッドキャストが普及したという背景があります。現在ではApple Podcastをはじめとして、さまざまなサービスでポッドキャストを利用できます。
番組表に沿ってリアルタイムで放送されるラジオに対し、ポッドキャストは音声データをWeb上で配信しており、いつでもオンデマンドで聴けます。エピソードが蓄積されていくので、過去のコンテンツも遡りやすいのが特長です。また、外出中も聴きたい場合はWi-Fi環境で事前にダウンロードしておけば、データ通信の消費を抑えられます。
おすすめは? ポッドキャストを聴けるサービス
今回は「Apple Podcast」「Rakuten Music」「Amazon Music」「Spotify」「Google Podcast」の5つのアプリの機能や特徴を解説します。ポッドキャストプレイヤーとしての機能や配信番組だけでなく、各サービスで利用できる追加機能でもさまざまな違いがあります。
各サービスの料金や配信番組数、機能などを下表にまとめました。
料金 | 配信番組数 | オリジナル番組 | ダウンロード | 番組のフォロー | |
---|---|---|---|---|---|
Apple Podcast |
無料 (一部番組は有料プランへの加入が必要) |
非公開 | ○ | ○ | ○ |
Rakuten Music |
月額980円 (初回30日間無料) |
約330番組 | ○ | × | × |
Amazon Music | 無料 | 非公開 | ○ |
○ (Amazon Music Freeは不可) |
○ |
Spotify |
無料 |
500万番組以上 | ○ | ○ | ○ |
Google Podcasts | 無料 | 非公開 | × | ○ | ○ |
Apple Podcast
Apple Podcastは、iPhoneに標準で入っているポッドキャスト専用アプリです。Google Playストアでの取り扱いはないため、Android端末で利用したい場合はWebブラウザからiTunesのサイトにアクセスする必要があります。
基本無料ですが、購読にサブスクリプションの登録が必要な番組もあります。アプリ自体にサブスクリプションプランがあるわけではなく、番組ごとに購入することになります。Podcastを快適に利用するための機能はほぼ網羅しており、iPhoneユーザーはこちらを利用すれば間違いないでしょう。

「見つける」タブでは新作や注目の番組が常に更新される

番組の概要画面から聴きたいエピソードを選択

「再生」ボタンからエピソードを再生可能
「見つける」タブでは、新作や注目番組からおすすめのポッドキャストを紹介してくれます。また、ユーザーの視聴履歴から好みに合いそうな番組も表示されるため、次に聴きたい番組を探すにはまず「見つける」タブを確認します。
特定の番組が聴きたいなら、「検索」タブで番組名や出演者をキーワード検索が便利です。「ニュース」や「ビジネス」「コメディ」といったように、ジャンルからの番組検索もおこなえます。
聴きたい番組が見つかったら番組の概要画面を開き、再生したいエピソードを選択して[再生]をタップすればOKです。

お気に入りの番組は「+フォロー」ボタンからフォローできる

フォローすると、更新のあった番組が上に表示されるため見逃さない

「ライブラリ」ではフォローが新しい順に番組が並ぶ
お気に入りの番組は、フォローしておくと新しいエピソードが追加されたときに通知を受け取れます。番組を開き、画面右上の[+フォロー]をタップすれば該当する番組をフォローできます。
フォローした番組は、「ライブラリ」タブの「フォロー中」で管理可能です。各番組はフォローした順番に表示されます。

有料の番組は価格が書いてあるのでわかりやすい

トライアルが可能な番組も
Apple Podcastのコンテンツは基本的に無料となっているものの、一部の番組は有料で提供されています。とはいえ、知らないうちに課金されるということはなく、有料であるという点がユーザーに分かるようになっているので安心です。
Apple純正のアプリだということもあって、UIのデザインがApple Musicと似ています。音楽配信サービスにApple Musicを使っているという人は、Apple Podcastでの操作に迷う心配はないでしょう。iPhoneユーザーのポッドキャスト入門に最適のサービスと言えます。
Rakuten Music
楽天による音楽配信サービス「Rakuten Music」は、1億曲以上の配信曲数という豊富な楽曲ラインナップに加え、2023年2月から新たにポッドキャストの提供を開始しています。約330の番組と、Rakuten Musicオリジナル番組の配信もおこなっています。
Rakuten Musicでは、毎日1曲を聴くと楽天ポイントが1ポイントもらえます。楽天カードや楽天モバイルなど楽天の関連サービスを利用している人や、楽天ポイントを貯めている人におすすめです。ポッドキャストだけでなく、音楽配信サービスも同時に楽しみたいという人にも向きます。
一方で、現時点でRakuten Musicのポッドキャスト機能はベータ版として提供されています。他のポッドキャストサービスに比べて使える機能が少ないため、ポッドキャストだけを聴くという目的には適していると言えません。

「ポッドキャスト」タブから番組にアクセスできる

番組を選択すると詳細情報が見られる

バックナンバーのある番組も
Rakuten Musicでポッドキャストを聴くには、「ポッドキャスト」タブを選択します。「ピックアップエピソード」や「ピックアップ番組」「カテゴリー」から聴きたい番組を検索可能です。ただし、現時点ではキーワードでの番組検索には対応していません。
気になる番組を選択すると、番組の詳細情報を確認できます。番組のトップ画面からは最新のエピソードを再生でき、バックナンバーのある番組の場合は、画面下部から過去のエピソードを再生可能です。


Rakuten Musicだけのオリジナル番組も配信中
配信コンテンツの中には、Rakuten Musicのオリジナル番組もあります。記事執筆時点では、『K-POPに夢中!』と『Radio Kitchen』の2番組が配信されています。
国内の音楽配信サービスという強みを活かして、今後さらに多くのジャンルでオリジナルコンテンツが増えていくことが期待されます。
Amazon Music
Amazonの音楽配信サービス「Amazon Music」でもポッドキャストを視聴できます。特長はAmazonのアカウントがあれば誰でもポッドキャストを楽しめるという点です。
Amazon Music PrimeとAmazon Music Freeでは音楽を聴く場合、ダウンロード機能がなかったり任意の楽曲を選べなかったりといった制限がありますが、ポッドキャストの視聴に関しては機能制限がありません。番組のフォローやスリープタイマーといった機能も利用できます。
Amazonアカウントを持っているなら、ポッドキャストを聴くサービスとしてAmazon Musicを利用するとスムーズでしょう。

Amazon Musicトップページの「ポッドキャスト」からポッドキャストの画面を開ける

特集やカテゴリ、フォロー中の番組から聞きたいエピソードを探す

21種類のカテゴリからの検索も可能
Amazon Musicでポッドキャストを視聴するには、Amazon Musicアプリのトップ画面にある[ポッドキャスト]を選択して、「ポッドキャストを見つける」画面を開きます。同画面では、Amazon Musicの作成した特集や、番組のカテゴリ、自身のフォローしている番組などからエピソードを見つけられます。
「見つける」タブからは、ポッドキャストをカテゴリで探すことも可能です。21個ものカテゴリに分けられており、「トーク・お笑い」「ニュース」「スポーツ」など聴きたいテーマから新しい番組を探せます。『ビジネス・ウォーズ』や『死の医師』といったポッドキャスト番組を制作しているスタジオ「Wondery」の番組も、「Wondery」のカテゴリからまとめてチェック可能です。

ダウンロードボタンから各エピソードを保存できる

スリープタイマーを使う場合は、再生画面の月マークを選択

ポッドキャストを自動でオフにする時間を選択する
ポッドキャストのエピソードをダウンロードするには、各エピソードのダウンロードボタン
をタップします。エピソードは「ライブラリ」タブの「ダウンロード済」に保存され、オフライン環境でも聴けるようになります。また、就寝前にポッドキャストを聴くときには「スリープタイマー」も便利。再生画面で月マークをタップすると設定できます。5分から1時間の決まった時間を選択するか、「エピソード終了」を選択すれば設定は完了です。
Amazon Musicは、Amazonアカウントを持っている人すべてが利用できるという点が大きな魅力です。無料会員でも、ポッドキャストをはじめとしてさまざまなコンテンツを楽しめますが、プライム会員に登録すると動画配信サービス「Amazonプライムビデオ」や、お急ぎ便無料などさらに多くの特典を利用できるようになります。Amazon Musicの無料会員向けサービスに物足りなさを感じた人は、プライム会員への登録を検討してみるとよいでしょう。
また、Amazon Musicで音楽配信もフルで楽しみたいという人は、Amazon Music Unlimitedへのアップグレードという手もあります。
Amazon Music Unlimitedは、1億曲以上の楽曲をオンデマンドで再生でき、対応する楽曲はロスレス音質やハイレゾ音質といった高音質で聴くことができます。個人プランの月額料金は1080円/月ですが、プライム会員の場合は880円/月の割安な料金で利用可能です。
Spotify
Spotifyは、音楽配信サービスにおけるポッドキャスト配信の先駆け的な存在です。500万以上の番組を配信しており、オリジナル番組も豊富なラインナップとなっています。また、Spotifyは無料会員でもすべてのコンテンツを楽しめます。番組が切り替わる際などに音声広告が入るものの、そのほかの機能制限はなく、ポッドキャストのプレイヤーとして利用する上で問題はありません。
1億曲以上の楽曲も聴き放題となっているため、ポッドキャストも含めて無料で十分に使い倒せるサービスと言えます。

Spotifyは音楽配信サービスにおけるポッドキャストのパイオニア

配信番組のカテゴリは50以上

オリジナル番組や独占配信番組も数多い
他のサービスでも配信している有名番組に加えて、オリジナル番組や独占配信番組も数多く用意されています。ポッドキャスト番組のカテゴリは50種類以上。「トーク」や「ビジネス」といった定番カテゴリだけでなく、「哲学」「総合格闘技」「都市伝説・ミステリー」など他サービスではなかなか見られないジャンルの番組もあります。
オリジナル・独占配信番組では、著名人がパーソナリティを務める番組やTVアニメとのコラボ番組など、Spotifyでしか聴けない注目コンテンツを楽しめます。

ダウンロードやプレイリスト・キューへの追加に対応する

スリープタイマーも搭載

最新エピソードが追加されるたびに自動でダウンロードする設定も
Spotifyのポッドキャスト再生機能には、ダウンロードやキューへの追加、スリープタイマーといった基本的な機能が一通り揃っています。次に聴きたいエピソードをキューに追加しておけば、番組が終わったあとにいちいち選択して再生する必要がなくなり、聴きたい番組を連続で再生できます。
ポッドキャストを含むすべてのコンテンツに無料でアクセスできますが、再生の合間などに音声広告が挟まれます。広告が煩わしいと感じた人や、音楽を良い音質で聴きたいという人は、有料プラン「Spotify Premium」に加入すると広告や機能制限から解放されます。個人プラン(月額980円)やファミリープラン(月額1280円)などのプランが用意されています。
Google Podcasts
「Google Podcasts」は、Googleによるポッドキャストサービス。Googleアカウントでログインさえすれば、あらゆるデバイスでポッドキャストサービスを無料で利用できます。
アプリ版の見た目は、Googleのサービスらしいシンプルなデザインとなっています。とはいえ、ポッドキャストプレイヤーとしての必要な機能は十分に揃っています。

利用にはGoogleアカウントでのサインインが必要

アプリのデザインはシンプル
アプリを開いたら、まずはGoogleアカウントでサインインします。「ホーム」「探す」「アクティビティ」の3つのタブで構成されています。
まずは「探す」タブでピックアップされている番組や、キーワード検索から聴きたい番組を探してみましょう。気になる番組をタップすると、利用可能なエピソードの一覧が表示されます。

お気に入りの番組は[+登録]でお気に入り登録が可能

登録した番組は、新着エピソードの自動ダウンロードや新着エピソードの通知といった機能も利用可能

登録番組は「ホーム」タブで管理できる
お気に入りの番組を見つけたら、番組の詳細画面で[+登録]をタップしてお気に入り登録をします。番組の登録時に、新着エピソードの自動ダウンロードや通知といった機能を有効にすることもできます。
お気に入りに追加した番組は「ホーム」タブで管理可能です。「ホーム」タブ内では、お気に入りに追加した番組のエピソードが逆時系列で表示されます。最新のエピソードほど上部に表示され、登録番組の更新状況を追うのに使いやすいデザインです。
一方で、日にち別などのソートには対応していないため、複数の番組を登録した場合や更新の多い番組を登録すると「ホーム」タブのタイムラインが埋め尽くされてしまいます。エピソードの管理という面ではやや使いづらい仕様となっています。
どのサービスを選ぶべき?
ポッドキャストは上記のようにさまざまなサービスで視聴できます。無料で利用できるサービスも多く、どのサービスを選んだらよいか迷ってしまう人も多いでしょう。そこで、想定されるユーザータイプ別におすすめのポッドキャストサービスを紹介します。
ポッドキャストだけでなく音楽も楽しみたい人は「Amazon Music」か「Spotify」


Amazon MusicとSpotifyは無料会員でも配信楽曲を楽しめる
ポッドキャストだけでなく音楽も同時に楽しみたいという人は、「Amazon Music」か「Spotify」がおすすめです。どちらも無料でポッドキャストと音楽を楽しむことができます。
無料会員として音楽を楽しむ上で2つのサービスの大きな違いは、楽曲の選択機能の有無です。Amazon Musicは楽曲を再生する場合は、すべてシャッフル再生のみとなっており、好きな楽曲のみを聴くという使い方は基本的にできません。一方のSpotifyは、無料会員でもすべての楽曲を選択して好きなように楽しめます。どちらのサービスもポッドキャストを聴く分には大きな機能制限はありませんが、音楽を聴くという点においてはSpotifyのほうが使い勝手がいいと言えるでしょう。
本格的に音楽配信サービスを利用したいなら、Amazon Music UnlimitedまたはSpotify Premiumの契約が選択肢に入ってきます。個人プランの料金は、Amazon Music Unlimitedで月額1080円(税込)、Spotify Premiumで980円(税込)となっています。Amazon Music UnlimitedのほうがSpotify Premiumよりも100円高くなっていますが、プライム会員であれば月額880円(税込)となり、Spotify Premiumよりも安い金額で契約可能です。すでにプライム会員であれば、割安なAmazon Music Unlimitedがおすすめです。
楽天カードや楽天モバイルなどのユーザーは「Rakuten Music」

楽天カードや楽天モバイルなど、楽天関連のサービスを多く利用している人は「Rakuten Music」の利用がおすすめです。Rakuten Musicでは、配信楽曲を1日1曲以上聴くと毎日楽天ポイントが1ポイント貯まるので、「楽天経済圏」で楽天ポイントを稼ぐサービスのひとつとしても活用できます。

また、Rakuten Musicには、楽天カードと楽天モバイルユーザー向けのお得なプラン「楽天カード/モバイル会員対象プラン」が用意されています。「楽天カード/モバイル会員対象プラン」は月額780円(税込)で、Rakuten Musicを機能制限なくフルで利用できます。
楽天関連のサービスをよく使っていて、ポッドキャストが聴ける音楽配信サービスの契約を検討しているという人は、楽天カードを作成してRakuten Musicを契約するというのもひとつの手です。楽天カードは年会費無料なので、ひとまず楽天カードを作成してRakuten Musicを契約すれば、お金をかけずにRakuten Musicをお得に利用できるようになります。
iPhone・iPadユーザーなら「Apple Podcast」

Apple PodcastのUIはApple Musicに似ており、Apple Musicユーザーなら操作に迷うことはないはず
iPhoneやiPadを利用している人であれば、「Apple Podcast」がおすすめです。Apple PodcastアプリはiPhoneとiPadにプリインストールされており、わざわざインストールする必要がありません。
Apple PodcastのUIは、Apple Musicと似ています。普段からApple Musicを使っている人なら、ポッドキャストの再生や管理といった操作にも迷うことはないはずです。