読み放題サービスと一口に言っても、「Kindle Unlimited」と「dマガジン」はサービスの内容は大きく異なります。かたや和書全般を扱い、かたや雑誌に特化したサービスです。読みたい本があるサービスを選ぶというのが基本ですが、内容の異なるサービスゆえに、比較検討もしたことがないという人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、Kindle Unlimitedとdマガジンを比較して、それぞれに向いているユーザーを紹介します。
取り扱い冊数とジャンルの違い

Kindle Unlimitedのラインナップ

dマガジンのラインナップ
Kindle Unlimitedは和書・洋書合わせて500万冊以上の電子書籍が読み放題で、そのタイトル数は圧倒的です。
ジャンルも小説、雑誌、コミック、ビジネス書など全28種類用意されています。一番多いジャンルはアダルトですが、コミックや人文・思想、文学・評論がそれに続いています。こうした総合的な書籍の読み放題サービスは少数派で、Kindle Unlimitedのほかはブックパスのような限られたサービスしかありません。
対するdマガジンは、雑誌1400誌以上・約3300冊が読めます。一般的な雑誌ならだいたい揃っており、具体的な掲載誌は公式サイトの雑誌一覧で五十音順に表示されています。
雑誌に注目してラインナップを比較してみると、dマガジンの方が充実していることがわかります。Kindle Unlimitedで取り扱いのある雑誌はほぼdマガジンでも読めると思って良いでしょう。ただし、コミック誌に関してはdマガジンに取り扱いはなく、Kindle Unlimitedのほうが圧倒的に多くなっています。
Kindle Unlimitedのみ | dマガジンのみ | 両方に取り扱いがある雑誌 | |
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総合誌・週刊誌 |
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ビジネス・経済・IT | - |
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女性ファッション | - |
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芸能・音楽・エンタメ | - |
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コミック誌 |
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- | - |
2024年9月時点
料金と支払い方法を比較
Kindle Unlimitedとdマガジンの料金、支払い方法、無料体験期間などの違いを表にまとめました。
Kindle Unlimited | dマガジン | |
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月額料金 (税込) |
980円 | 580円 |
ポイントの有無 | なし |
利用状況に応じて dポイント進呈 |
支払い方法 |
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ドコモユーザー
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ドコモユーザー以外
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||
請求日 | 登録日から30日サイクル | 毎月1日 |
無料体験期間 | 30日間 | 31日間 |
それぞれの項目について、以下で詳しく説明します。
月額料金とポイントの有無
まずは月額料金を比べてみます。Kindle Unlimitedの料金980円(税込)に対し、dマガジンの料金は580円(税込)です。Kindle Unlimitedとdマガジンのサービス内容の違いが、値段の違いにもあらわれています。同列に比べるのは難しいですが、言うまでもなくコストの面でdマガジンは魅力的です。
また、dマガジンは利用額に応じてdポイントが貯まります。還元率は1%で、ポイントを料金の支払いに充当することができます。Kindle Unlimitedの利用でAmazonポイントはもらえません。プライム・ビデオなどで人気のAmazonプライムとは別料金なのも残念な点です。
対応している支払い方法
Kindle Unlimitedの支払い方法は、クレジットカード、携帯決済に加えて、デビットカードやPaidy(ペイディ)、PayPay、Amazonギフトカードも選べます。ただし、Amazonポイントやコンビニ払いなどには対応していません。
dマガジンは、ドコモユーザーであれば携帯料金合算払い、dポイントでの支払いが可能です。ドコモユーザーでない場合は、クレジットカード払い、dポイント払いに対応しています。ただし、期間・用途限定のdポイントは利用できないので注意しましょう。
無料体験の期間


Kindle Unlimitedとdマガジンはどちらも無料お試し期間があります。Kindle Unlimitedは30日間、dマガジンは31日間です。
Kindle Unlimitedは、Amazonのビッグセール開催に合わせて「3カ月間99円」などのキャンペーンプランを提供することがあります。通常の無料体験と併用はできませんが、格安で長期間利用できるチャンスなので、タイミングが合えばぜひ利用したいところです。
請求日の違い
dマガジンは毎月1日に1カ月分の料金を請求されます。月の途中で登録しても日割り計算はないので、登録日に注意が必要です。
たとえばdマガジンを初めて登録する人が月末の3月28日に登録すると、無料体験期間(31日間)の4月28日まではサービスを無料で利用できます。
次の課金日は4月29日になりますが、4月29〜30日の2日間しか使っていなくても4月分の料金として580円全額請求され、さらに翌月5月1日にもすぐ5月分の料金を支払うことになります。dマガジンについては、よほど必要にかられている場合でなければ、月の初めに登録しないと損になるでしょう。
Kindle Unlimitedは登録日から30日ごとのサイクルで課金されるため、登録時期を気にする必要はありません。
キャンペーンの違い

Kindle Unlimitedでは、利用中のユーザーに向けたキャンペーンはほとんど開催されません。Amazonのセールに合わせて「3カ月無料」や「2カ月無料」「3カ月99円」などの登録キャンペーンがよく実施されるので、登録を考えている場合はAmazonプライムデーやブラックフライデーなどのセールの際にチェックすることをおすすめします。
対してdマガジンは利用中のキャンペーンが充実しています。「対象雑誌を1冊以上読んでキャンペーンにエントリーすると抽選で100名に5000ptプレゼント」「dマガジン先行配信ムックを読むとdポイント抽選で10名に2000ポイントプレゼント」などのdポイントが獲得できるキャンペーンのほか、雑誌を読むと特定のネットショップで利用できるクーポンがプレゼントされるキャンペーンなどもおこなっています。
検索や機能面など使いやすさを比較
検索機能やアプリの使い勝手など、実際に使ううえで気になる部分について比較します。
検索機能や本の探しやすさ
検索機能や本の探しやすさという点では、dマガジンに軍配が上がります。

dマガジンは、一覧や雑誌の表紙から読みたい雑誌をすぐに探すことができます。


キーワード検索をすると、雑誌タイトルはもちろん、記事名でもヒットします。興味のある分野のキーワードを入れて検索すれば、読んだことのない雑誌でも記事を横断して検索できるため、情報を集めやすいのが特徴です。該当の記事をすぐに開けるのも便利です。
トップページに表示されるおすすめ記事からも旬の話題をさっと探せます。

参加雑誌の一覧や配信予定の一覧を表示でき、タイトル(シリーズ)ごとにバックナンバーもまとまっているため探しやすくて好感が持てます。


一方のKindle Unlimitedは、おすすめ商品やジャンル別の人気タイトルから書籍を選べます。
しかし、検索機能に関してはdマガジンよりも使いづらい印象です。Kindleアプリではフィルターを使うと読み放題対象タイトルだけを絞り込めますが、フィルターを使わないと読み放題対象外の本も一緒に表示されてしまいます。
検索方法を知らない人は、書籍を探す際に戸惑うかもしれません。
ダウンロード方法
Kindle Unlimitedもdマガジンも、どちらも読みたい雑誌をダウンロードしてオフラインで読むことができます。Kindle Unlimitedは読みたい雑誌を探して1冊ずつダウンロードします。ライブラリには最大20冊の制限があり、20冊以上ダウンロードする場合はライブラリ内の本を返却しなければなりません。

お気に入りに登録した雑誌を自動ダウンロードできる

ダウンロードのモードを3種類から選べる
dマガジンは最新号を通知したり、自動でダウンロードしたりする機能を用意しています。ダウンロードした雑誌はオフラインでも読めるので、設定しておくとすぐに読み始めることができます。定期刊行されるものが多い雑誌に最適化した機能と言えます。
dマガジンは、ダウンロードを「自動モード」「節約モード」「一括モード」の3種類に設定できます。Kindle Unlimitedとは異なり、dマガジンにはダウンロード冊数に制限がないため、端末がすぐに容量いっぱいになってしまう可能性があります。ストレージに余裕がない場合は、ダウンロードモードを「節約モード」に設定するといった柔軟な使い方ができます。
レコメンド機能の違い


Kindle Unlimitedの特徴のひとつが、優秀なレコメンド機能です。Kindle Unlimitedで本を利用すると利用履歴に記録され、利用履歴に合わせたおすすめ内容がどんどん更新されます。読んだ本に近いジャンルがおすすめされるので、次々に読みたい本が見つかります。
dマガジンでは、「おすすめ」タブを初めて使うときに興味のあるジャンルを選択します。このジャンルはあとから変更ができないので注意が必要です。読んだ本からもおすすめが学習されるようですが、Kindle Unlimitedに比べるとユーザーごとのおすすめ機能は弱いといえます。ただし、dマガジンからの厳選おすすめ記事は表紙だけでなく雑誌の誌面が表示されるので、興味がなかった記事でも読んでみるきっかけになるかもしれません。
アプリの便利な付属機能

ふせん、ハイライト機能など読書に便利な機能が搭載
Kindleは主に書籍を読むのに特化したアプリのため、ふせん機能やメモ、辞書機能、ハイライト、文字サイズの変更など、書籍を快適に読む機能が充実しています。書籍を読むならKindleアプリがとても便利に感じるでしょう。なお、雑誌を読む際にもふせん機能は使用できます。

雑誌を読むのに特化した機能が用意されている

長押しタップで拡大できる
dマガジンは雑誌を読むのに特化したアプリです。横読み/縦読みの変更、ページごとのプレビュー、目次、しおりなど雑誌を読む際に欲しい便利な機能が豊富に揃っています。スマホの小さい画面では読みにくい雑誌の誌面でも、指一本でかんたんに誌面拡大ができる嬉しい機能も追加されました。
配信日・同時に保存できる冊数の違い
雑誌に関しては配信日に違いがあります。dマガジンは発売日とほぼ同じタイミングで新刊を読めて、配信予定も正確に把握できます。しかしKindle Unlimitedは、タイトルによって数日から数週間ほど遅いタイミングで配信されるものもあり、いつ配信されるのか確認のしようがありません。

またKindle Unlimitedは、同時に保持できるタイトルが最大20冊までという制限があります。ライブラリに20冊ある状態で新しく本を利用するには、手元にある本の利用を終了(返却)する必要がありますが、読み放題の本で端末のストレージを圧迫する心配はないでしょう。
反対にdマガジンは、同時にダウンロードできる本の冊数に制限がありません。ストレージに余裕がある限りいくらでもダウンロードできるので、お気に入り雑誌のバックナンバーをすべて持ち歩けます。なお、dマガジンはストレージを節約するためのモードも選択できますが、ダウンロードすればするほどストレージを使用するため、必要に応じてコンテンツの削除が必要です。
解約後の閲覧可能期間を比較
Kindle Unlimited | dマガジン | |
---|---|---|
解約手続き後 どうなるか |
次の更新日までは利用可能。更新日を過ぎると使えなくなる | すぐに使えなくなる |
解約のタイミング | いつでもOK | 月末がおすすめ |
Kindle Unlimitedはいつ解約しても、次の更新日までは利用できます。無料体験期間中であっても、解約を決めたならすぐに手続きしても30日間はサービスを使えます。解約をうっかり忘れて自動更新されてしまったというミスを防げます。
一方のdマガジンは、読み放題を解約手続きした直後から一切のサービスが利用できなくなります。無料体験期間や次の更新日までの利用期間がまだ残っていても、月の途中で解約すると直後から雑誌が読めなくなります。ダウンロードした雑誌などもすべて利用できなくなるので、解約のタイミングには注意してください。解約するなら月の末日あたりがおすすめです。
なおKindle Unlimitedは、AmazonアプリやKindleアプリからは解約できません。解約するときはSafariやChromeなどのブラウザでAmazonのWebサイトにアクセスして解約手続きをおこないます。
dマガジンもdマガジンのWebサイトから手続きしましょう。Android版アプリではアプリ内から手続きを開始できるものの、最終的にはdマガジンのWebサイトで解約手続きを進める形となります。
【まとめ】Kindle Unlimitedとdマガジン、どっちがおすすめ?
最後にKindle Unlimitedとdマガジンがそれぞれどんな人に向いているかをまとめます。
書籍・マンガ・雑誌など幅広く読みたいならKindle Unlimited

Kindle Unlimitedは月額980円と少し料金が高めである点や、Amazonプライムとは別料金である点を除けば、満足度の高いサービスと言えます。
一般書籍だけでなく、マンガや雑誌も読めるのがKindle Unlimitedの強みです。マンガや雑誌を専門とする読み放題サービスに比べると、使い勝手の面で劣るところがあるかもしれませんが、どの本もまんべんなく利用できるのはKindlle Unlimitedならではです。
1カ月(30日)単位で契約できるため、使わないときは解約をして出費を抑えるという使い方ができるのもうれしいポイント。読みたい本があれば、気軽に利用できるメリットがあります。
雑誌中心で料金を安く抑えたいならdマガジン

雑誌だけ読めればよい、料金を抑えて雑誌を読みたいという人には、dマガジンが合っています。記事を探す機能が秀逸なので、毎日新しい情報に触れられます。新しい雑誌の配信も早く、トレンドに敏感な人が幅広く情報を集めるのにもってこいです。
いわゆる雑誌読み放題サービスということから、Kindle Unlimitedより安く(月額580円)利用でき、dポイントを貯められるというメリットもあります。アプリの機能も雑誌の読み方に特化しています。
ただし、dマガジンは毎月1日に1カ月分の料金が請求される仕組みで、日割り計算システムがありません。月の途中で登録しても580円全額が請求され、解約手続き後は即座にサービスが使えなくなります。最大限サービスを使い切るには月初に登録し、月末に解約することですが、気軽に登録・解約をしにくいのはdマガジンの残念なポイントです。