サブスク型の音楽配信サービスには「ファミリープラン」(いわゆる家族割)を提供しているものもあります。家族の代表者1人が登録すれば、他の家族は追加料金なしで一緒にサービスを利用できるため、個人で登録するよりも1人あたりの月額料金が安くなるお得なプランです。
本記事では、ファミリープランのある音楽サブスクリプションサービスを5つピックアップ。そのメリットや注意点、選び方などをまとめました。
ファミリープランのある音楽サブスクを比較
家族割プランは、音楽配信サービスを家族みんなで利用できるプランです。1人のユーザーがグループの管理者となってファミリープランに登録し、そこへメンバーを招待する仕組みです。
今回は以下の5つのサービスを紹介します。
料金(税込) | 配信曲数 |
登録人数 (契約者本人含む) |
支払い方法 | 無料体験期間 | |
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1億曲以上 | 最大6人 |
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30日間 | |
Apple Music | 月額1680円 | 1億曲以上 | 最大6人 |
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1カ月間 |
LINE MUSIC |
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1億曲以上 | 最大6人 |
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1カ月間 |
Spotify | 月額1580円 | 1億曲以上 | 最大6人 |
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1カ月間 |
YouTube Music |
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1億曲以上 | 最大6人 |
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1カ月間 |
料金はサービスによりまちまちですが、個人プランの1.5倍から1.7倍程度です。利用する人数が増えるほど、1人あたりの料金は安くなります。
家族として招待できるのは最大5人までです。ファミリープランを提供する多くのサービスで同じ人数が設定されています。つまり、自分を入れて6人(6台の端末)が同時にサービスを利用できるようになります。
主要な音楽サブスク家族割プランの特徴まとめ
ファミリープランのある5つのサービスについて、個別に概要を紹介します。
Amazon Music Unlimited
Amazon Music Unlimitedは、Amazonがプライム会員向けに提供しているAmazonミュージックプライムの上位版です。Amazon Music Unlimitedはプライム会員でなくても登録可能です。

ホーム画面

再生画面
1億曲以上の楽曲を配信しており、すべてオンデマンド再生が可能です。音質面でも、空間オーディオやHD、ハイレゾ音質の楽曲を追加料金なしで楽しめるのが魅力です。スマートフォンやパソコンはもちろん、スマートスピーカー・ディスプレイのAmazon Echoシリーズや、Fire TVシリーズなどでも再生できます。
ファミリープランの月額料金は1680円で、プライム会員も非プライム会員も同額です。ただ、年間プランはプライム会員だけが利用でき、料金は1万6800円です。月額プラン10カ月分の料金で1年間分使えます。Amazonプライムサービスを利用しているユーザーはぜひ検討してみてください。
初回30日間無料
Apple Music
Apple Musicはアップルが提供している音楽聴き放題サービスです。iPhoneに最初からインストールされているミュージックアプリから直接操作できることや、Siriを通じて音楽を操作できることなど、Apple製のデバイスと相性のいいサービスです。


Apple Musicのアプリ画面
1億曲以上の楽曲を配信しているほか、ミュージックエキスパートが厳選した数万のプレイリストや、ライブのラジオ配信などApple Musicだけのオリジナルコンテンツも楽しめます。
Apple Musicのファミリープランの月額料金は1680円で、年額プランはありません。
1カ月間の無料体験に登録する

iPhon内の写真や動画などのデータをクラウド上に保存できる「iCloud+」を使っている人であれば、Apple Musicもセットになった「Apple One」もおすすめ。Appleの人気サービスであるApple Music、iCloud+、Apple TV+、Apple Arcadeの4つがワンセットになっており、個人プランは月額1200円、ファミリープランは月額1980円(いずれも税込)です。

たとえば家族4人でApple Musicファミリープランと、iCloud+(1人50GB)を単体で申し込むと、それだけでも月合計2280円かかります。Apple Oneのファミリープランのほうが月1980円で300円分お得です。Apple Oneのファミリープランも登録者除く家族を最大5人まで追加可能です。
Appleのサブスクを2つ以上登録するなら、Apple Oneを利用したほうがお得になるでしょう。Apple Oneに含まれている4サービスのうち、まだサブスクリプションに登録していないサービスについては、初回に限り1カ月間無料で体験できます。
初回30日間無料
LINE MUSIC

LINE MUSICのアプリ画面

LINEの「着うた」や「BGM」にも設定できる

LINE MUSIC会員は対象のスタンプが無料で使い放題
LINE MUSICは、1億曲以上の楽曲が聴き放題になるサブスクリプションサービスです。
LINE MUSIC内の好きな音楽を、LINEで電話がかかってきた際の着信音に使える「着うた」に設定できたり、プレミアム会員限定で対象のLINEスタンプが使い放題になったりなど、LINEと連携できるオリジナル機能を多く持っているのが特徴です。
さらに自分のLINEプロフィールに好きな音楽やミュージックビデオを設定できる機能や、ユーザーの歌声をAIで測定する「カラオケ採点」などもLINE MUSICならではです。
家族との連絡手段にLINEを活用している家庭は多いでしょう。LINE MUSICプレミアムのファミリープランに登録すれば、LINEのサービスを家族みんなで便利に活用することが可能です。

ファミリープランの月額料金

ファミリープランの年額料金
LINE MUSICのファミリープランの月額料金は1680円・年額料金1万6800円です。
なおLINE MUSICを利用するには、ファミリープランに入るメンバー全員のLINEアカウントを用意する必要があります。また、登録者がLINEのメッセージ機能を使ってファミリーグループへの招待状を送る形式になるため、メンバーとなる相手は事前に友だち登録しておきましょう。初回登録時には無料体験期間が1カ月間用意されています。
1カ月間の無料体験に登録する
Spotifyプレミアム

Spotifyのアプリ画面
Spotify(スポティファイ)は全世界で2億3900万人の有料会員を持つ人気のストリーミングサービスです。配信楽曲数は1億曲を超え、600万以上のポッドキャスト番組や、40億以上のプレイリストを楽しめます。

ファミリープランは月額払いのみで料金は1580円です。Spotifyはカップル向けの「Duo」プランもあり、月額1280円です。2人だけでSpotifyを使うなら「Duo」プランのほうがお得です。
ファミリープランは3人以上の家族、特に子どもがいる家庭におすすめです。ファミリープランに登録すると、「キッズ機能」が追加されます。専用の「Spotify Kids」アプリを利用して、Spotifyキュレーターが厳選した音楽を楽しめるサービスです。

Spotify Kids

Family Mix
Spotify Kidsは保護者向けフィルタリング機能も備えており、年齢に応じたオーディオカタログを設定可能です。オーディオカタログは3〜6歳までの幼児向けと、それ以上の子ども(5〜12歳)向けに用意されています。いずれも不適切な歌詞の含まれている楽曲が再生されることがないよう配慮されています。大人も子どもも安心して楽しめるのは、他の聴き放題サービスにない特徴です。
そのほかファミリー全員のお気に入り音楽がミックスされたプレイリスト「Family Mix」を利用できるのもファミリープラン限定です。ドライブなど家族みんなで音楽を聴くときに、メンバー全員の好みの音楽が流れます。
同時接続数を増やしただけのファミリープランサービスが多い中、Spotifyは家族で使ううえで便利な機能を提供しているのが大きな魅力です。
1カ月間無料で利用する
YouTube Musicプレミアム

アプリのホーム画面

MVの再生画面
YouTube Musicプレミアムは、YouTubeにアップされた音楽を広告なしで、オフライン再生、バックグラウンド再生で聴き放題になるサービスです。
公称の配信曲数は1億曲以上ですが、サブスク解禁していないようなアーティストの楽曲もYouTubeにアップされていれば聴くことができる点は、他のサービスにはない強みです。
動画コンテンツにも力を入れており、アプリ内でアーティストの公式MVだけでなく、さまざまな音源の動画コンテンツを見られます。

iOS版アプリから登録

WebサイトまたはAndroid版アプリから登録
ファミリープランの月額料金は登録方法により異なります。いずれも年間プランはありません。
- Webサイト・Android版アプリから登録:月額1680円
- iOS版アプリから登録:月額2180円
iPhoneユーザーは、アプリで登録するとWebサイトから登録したときよりも月500円も高額となってしまいます。よほどの理由がない限り、Webサイトから登録するのがおすすめです。Androidスマホユーザーはアプリ、Webサイトどちらから登録しても料金は変わりません。
ファミリープランは同世帯の家族を最大5人まで追加できます。ただし、13歳未満のアカウントは追加できない点にも注意しましょう。
なお、YouTubeで動画や音楽をより楽しむための有料会員サービス「YouTubeプレミアム」も存在します。YouTube Musicプレミアムを契約している人は、追加の差額を月額料金に上乗せすることで、YouTubeプレミアムの機能も利用できるようになります。
1カ月間無料で使う
ファミリープランのメリットと注意点
登録する前に、ファミリープランのメリットと注意点について見ていきましょう。
【メリット】1人ずつ登録するよりコストを減らせる
ファミリープランの相場は月額1600円前後です。これに対して個人プランはだいたい月額1000円前後なので、家族で同じサービスを使うなら、個人プラン×人数分払うよりもファミリープランでまとめたほうが料金は安くなります。
どのファミリープランも、登録者を除いてさらに最大5人まで家族を追加できます。

たとえばApple Musicのファミリープランは月額1680円で、個人プランの月額1080円と月600円の差です。しかし家族2人でApple Musicを使うなら、個人プラン2人分の料金(2160円)よりもファミリープランの料金(1680円)のほうがトータルで見ると安いことが分かります。
このように、ファミリープランは人数が増えるほど、1人あたりの月額料金を低く抑えられるのです。
ファミリープランに登録する

年額プランを利用できると、さらにお得です。年額プランは月額料金×10カ月分の料金で12カ月使えるため、月額プランで1年間継続するよりも2カ月分安くなります。
長く継続するつもりなら年額プランを選択したほうがいいでしょう。年額プランを提供しているのは、Amazon Music Unlimited(プライム会員のみ)とLINE MUSICです。
ファミリープランに登録する
【メリット】 複数の端末で同時再生が可能

ファミリープランを利用すると、同時に再生できるストリーミング数が増えます。
個人プランの場合、同時に再生できるのは1台(1箇所)までです。たとえば家族がリビングで音楽を再生しているとき、自分の部屋のパソコンで音楽を聴くことができません。また、他の家族が家で音楽を聞いているときも、自分は移動中の車内や列車内で音楽を再生できません。
ファミリープランを利用すると、家族がそれぞれアカウントを持つことになります。家族の誰かがどこかで音楽を再生していても、好きな場所、好きなタイミングで音楽を再生できます。「ほかのデバイスで再生中です」といったメッセージを目にすることがなくなります。
【メリット】 各ユーザーごとにお気に入りやプレイリストを管理できる


Amazon Music Unlimitedの画面。ファミリープランでも各ユーザーごとにアプリ画面の表示は異なる
聴き放題サービスには、普段よく聴く音楽や、ユーザーの好みを学習しておすすめの楽曲を紹介してくれるサービスがあります。1つのアカウントを家族みんなで共用していると、おすすめの楽曲や再生履歴の中身が他の家族の好みばかり表示され、普段聴かないジャンルの音楽ばかりだったということは珍しくありません。
ファミリープランでは、各メンバーが自分専用のライブラリを持ちます。ライブラリに登録した楽曲やチャンネル、再生履歴などを他のメンバーと共有することはありません。自分の好みを反映したアプリ画面にでき、過去に再生した楽曲などを他の家族に見られてしまうことも防げます。
【注意点】ファミリープランに追加できる人の条件は要確認
どのサービスも、ファミリープランは「家族」と使えるサービスという説明があります。追加できる「家族」は、どこまで含まれるのか気になるかもしれません。
「家族」を言葉通りに捉えると、血族(親兄弟)や婚姻関係(配偶者と子ども)にあることが要件となります。しかし、ファミリープランの「家族」はそこまで厳密ではなく、はっきりと書かれていないことも多いのが現状。そのためサービスごとに判断していく必要があります。
YouTube Music・Spotifyは「同じ住所に居住している」ことが条件

Youtube Musicプレミアムのファミリープランで共有できる「家族」の条件
YouTube Musicプレミアムは追加できる家族(ファミリーメンバー)の要件として、「同じ住所に居住している」ことを挙げています。
Spotifyプレミアムのファミリープランも同様です。血縁関係や婚姻関係は明記していない代わりに、別居している家族や離れた場所で暮らしている親族などは家族として追加できないことになります。
LINE MUSICは家族以外でも追加可能だが、デメリットも
家族の要件が明確に提示されていないサービス(LINE MUSICなど)では、家族以外の友達やカップルもファミリーとして追加することは可能です。ただ、デメリットがないわけではありません。
LINE MUSICは一度ファミリーグループを作成すると、代表者を途中で交代することができないため、どうしても変えたい場合は一旦解約した後で、別の人が代表者として登録し直す必要があります。また、ファミリープランに参加しているメンバーはファミリーグループから退会すると、3カ月間は他のファミリーグループに参加できません。
Apple Musicで必須の「ファミリー共有」には個人情報も含まれるので注意

家族以外のユーザーを招待することで問題が起こることもあります。
たとえばApple Musicでファミリープランを利用するには、iOSの「ファミリー共有」の設定が必要です。この機能では、代表者のクレジットカードを他のメンバーが利用できたり、位置情報やアプリの購入履歴なども共有されたりします。家族以外の他人をファミリーメンバーとして追加するのは、あまりおすすめできません。
【注意点】家族もアカウント作成が必要だが、未成年者は年齢制限がある
ファミリープランでは、管理者(代表者)のユーザーがファミリーグループを作成し、そこへメンバーを招待して利用します。招待されたメンバーがログインしてサービスを利用するには、家族も同様にそのサービスのアカウントを持っている必要があります。たとえばApple MusicならApple ID、Amazon Music UnlimitedならAmazonアカウントです。

注意したいのは、未成年者を招待する場合です。YouTube Music Premiumで必要なGoogleアカウントや、Amazon Music UnlimitedのAmazonアカウントは13歳以上でなければ作成できません。
さらにAmazonは、未成年者のアカウントは保護者の監視の下に作成する必要があることや、Amazon Music Unlimitedのファミリーへの招待は保護者による同意が必要としています。
LINE MUSICではLINEのアカウント(とLINEアプリ)が必要ですが、利用推奨年齢は12歳以上となっています。またLINEは、SMSや通話認証が利用できないとアカウントを作れません。
Apple Musicのファミリープランに子どもを招待する場合、13歳未満であれば自分でApple IDを作成することはできず、親が子ども向けのApple IDを用意しなければなりません。
サービスを利用する家族全員のアカウントを用意できるかどうか、最初に確認しておきたいところです。