「機内モード」は、スマートフォンやタブレットの通信を遮断する機能です。
名前のとおり、おもに飛行機など通信機器の利用が制限される場所での使用が想定されたものですが、実はこの機内モードには本来の用途以外で役立つ側面があります。たとえば、バッテリーの節約に寄与する、既読をつけずにLINEを読める、といった効果がそれです。
本記事では、機内モードを設定/解除する方法はもちろん、機内モードにするからこそ得られる6つのメリットを紹介します。
「機内モード」とは?
機内モードは、飛行機の安全な離着陸を確保するためにスマホやタブレットの通信を制限する機能です。機内モードのおかげでわざわざ電源を落とさずに済むので、スマホやタブレットに予めダウンロードしておいた音楽や映画を楽しんだり、写真を撮影したりと、飛行機の中でもオフラインで端末を使えるようになります。
しかし、機内モードは飛行機に搭乗するとき以外にも様々なシーンで活躍します。スマホをオフライン状態にすることで、データ通信量を節約したり、通信が繋がりにくいときに電波状況を改善したりするなど、いざというときにも役立つ機能です。
機内モードに設定するメリットは、主に以下の6つが考えられます。
機内モードを設定/解除する方法
iPhoneおよびAndroidスマホで機内モードを設定/解除する(オン/オフを切り替える)方法を解説します。
iPhoneの場合
iPhoneで機内モードのオン/オフを切り替える
iPhoneでは、コントロールセンターを表示して飛行機ボタン[]をタップすることでオン/オフを切り替えられます。
左:ホームボタンがない機種:画面右上から下にスワイプ右:ホームボタンがある機種:画面下から上にスワイプ
ホームボタンがない機種(iPhone X以降)であれば画面右上から下方向にスワイプ、ホームボタンがある機種(iPhone SE 第2世代やiPhone 8以下の機種)であれば画面下から上方向にスワイプし、コントロールセンターを表示します。
左:機内モードが「オフ」の状態右:機内モードが「オン」の状態
飛行機ボタン[]をタップすると、アイコンがオレンジ色に変化して機内モードがオンの状態になります。機内モードをオンにすることで、モバイル通信とWi-Fiが一括でオフになります(Wi-Fiはオンに切り替え可能)。
もう一度飛行機ボタン[]をタップすれば、機内モードがオフになり通常モードに戻ります。
なお、機内モードがオンの状態だと、ステータスバーに飛行機のアイコンが表示されます。
Androidスマホの場合
検証端末:Pixel 3a(Android 11)
Androidスマホで機内モードのオン/オフを切り替える場合、クイック設定パネルからおこないます。機種やバージョンによって操作方法が異なる場合がありますが、ほとんどの機種はこの方法で切り替え可能です。
左:画面上から下にスワイプ中:機内モードが「オフ」の状態右:機内モードが「オン」の状態
画面上から下方向にスワイプし、[機内モード]または飛行機ボタン[]をタップすることで、機内モードをオンにできます。もう一度タップすれば解除されます。
機内モードがオンの状態だと、ステータスバーに飛行機のアイコンが表示されます。
設定アプリから機内モードのオン/オフを切り替える
クイック設定パネルで設定できない場合、設定アプリからオン/オフを切り替えましょう。[ネットワーク]あるいは[ネットワークとインターネット]などの項目を選択し、[機内モード]のオン/オフを切り替えてください。
わざわざ機内モードにする6つのメリット
通信をオフ状態にする「機内モード」は飛行機以外のさまざまなシーンでも活躍します。知っていて損はない6つの使い道を紹介していきます。
メリット1:バッテリーを節約できる
機内モードでは端末の通信が基本的にすべてオフになり、通信によってバッテリーを余計に使わないため、結果的に電池残量を節約できます。
とくに山奥や地下など電波状態が悪い場所では、端末が基地局を探して通信を試み続けてしまうため、バッテリー消費が激しくなります。そこで機内モードを活用すると電池の消耗をかなり軽減できるというわけです。
メリット2:充電時間を短縮できる
充電中に「機能モードのみ」にしておけば、その間の余計な通信が遮られ、充電時間を短縮できます。
機内モードにした状態で充電している
利用している機種やバッテリー状態、ケーブルなど状況によって差はありますが、一般的には通常モードよりも機内モードの方が充電時間を短縮できます。
大幅な時間短縮という程ではなく、あくまでもわずかな短縮にしか過ぎないので、出掛ける直前に充電が少ないことに気付いた場合など、短い時間で少しでも多く充電したいというときには機内モードで充電してみると効果的かもしれません。
メリット3:着信・通知を完全にシャットアウトできる
映画館での映画鑑賞中や会社でのミーティング中など、着信音や通知音を絶対に鳴らしたくない状況は少なくありません。しかし、その都度スマホの電源をオフにするのは面倒です。そんなときに機内モードにしておけば、着信や通知が来なくなります。
この点、iPhoneで利用可能な「おやすみモード」では着信・通知をオフにできますが、設定次第では同じ電話番号から繰り返し着信したら電話が着信してしまうようなリスクがあります。
またサイレントモードでも、バイブレーションが有効になっていることもあります。しかし、機内モードに設定すると、通信がとれなくなるため、機内モードを解除しない限り着信や通知が来ることはないのです。
メリット4:既読をつけずにLINEメッセージを読める
LINEで「既読」をつけずにメッセージを読みたい──。そんなときにも機内モードを活用できます。機内モードでLINEのメッセージを読めば「既読」がつかないのです。
メッセージが届いた際、トーク画面を開く前に機内モードをオンにします(Wi-Fi接続もオフにする)。機内モードの状態でトーク画面を開くと、「既読」をつけずにメッセージを読むことができます。
ただし、機内モードをオフにした状態でLINEを起動した瞬間(もしくはLINEを起動した状態で機内モードをオフにした瞬間)、相手に「既読」がつきます。既読がつかないのは、機内モードを設定中に限定されるので、注意してください。
メリット5:モバイルデータ通信量を節約できる
機内モードがオンだとオフライン状態になるため、意図せずモバイルデータ通信を使ってしまう可能性がなくなります。
左:iPhoneの場合右:Androidスマホ(Pixel 3a)の場合
また、機内モードがオンでもWi-Fiにさえ接続していれば、データ通信量を消費することなくインターネットを利用できます。月末など"ギガ不足"に陥りそうなときでも、機内モードとWi-Fiの両方をオンにしておけば安心です。
また、飛行機の中で機内モードをオンにせざるを得ないような場合でも、Bluetoothイヤフォンで音楽を聴けるのもありがたいところです。
iPhoneの通信量を節約する11の方法
Androidスマホのモバイルデータ通信量を節約する8つの方法
メリット6:通信できない/通信が遅い場合に有効
通信環境は問題なさそうなのになかなかページが開けないなど、なぜかインターネットに繋がりづらいときがあります。
そこで意外と有効なのが機内モードのオン・オフの切り替えです。機内モードの「オン→オフ」を切り替えることで通信状況がリフレッシュし、インターネットに繋がるようになる場合があります。
通信環境を改善したいときに試したい手段の中でも最も簡単な方法です。知っておいて損はないでしょう。
機内モードに関するよくある疑問と答え
機内モードを利用する際によくある疑問点とその答えをまとめています。
Q1:機内モード設定中でも電話はかかってくる? 着信履歴はどうなる?
A:機内モードがオンの状態では、電話を着信することはありません。また、着信履歴も残りません。
機内モードがオンになっている相手に電話をかけると、「電波が届かない場所にいる」というアナウンスが流れてしまい、通話が切れてしまいます。Wi-Fiに接続していても、機内モード設定中は電話が繋がることはありません。機内モードを解除しても、機内モード設定中にかかってきた着信履歴は残らないので注意が必要です。
LINEであれば機内モード設定中の着信でも履歴が残る
なお、LINEの無料通話も相手が機内モードを設定していると繋がりません(相手がWi-Fiに接続していれば繋がる)。ただし、LINEであれば機内モードを解除すると不在着信の通知が届くため、いつ誰から着信があったのか分かります。
Q2:機内モード設定中にWi-Fiが繋がらない?
A:機内モードがオンでもWi-Fiに繋げることは可能です。どうしてもWi-Fiに繋がらないときは、接続しているWi-Fiの電波状況が悪い可能性があります。Wi-Fiの接続を解除し、もう一度接続し直してみてください。
Wi-Fiに接続する方法は以下の記事で詳しく解説しています。
Q3:機内モードがオンだとアラームは鳴る?
A:機内モードがオンの状態なら着信や通知はシャットダウンできますが、アラームは鳴ります。
そもそも、機内モードはスマホをオフラインにする機能であり、音を鳴らなくする機能ではありません。そのため、機内モードでもアラームを設定していれば鳴ることになります。
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Q4:機内モードにするデメリットはある?
A:機内モードのデメリットは、設定するとオフライン状態になってしまうためインターネット接続や通話を利用できないという点です。機内モードをオンにする際は、LINEの通知に気づくのが遅れてしまったり、通話の着信履歴が残らなかったりすることに注意しましょう。
しかし機内モードを解除すれば通信環境もリセットされ、LINEの通知や電話の着信も受け取れるようになります。機内モードにしたからといって、何かのデータが消失したり重要な設定がリセットされたりすることはありません。
飛行機に搭乗する場面以外でも、前述で紹介した6つのケースのように、使い方にってはメリットの方が大きい機能です。
検証端末:iPhone XR(iOS 14.6)、Pixel 3a(Android 11)