誰しも「それが無くては日常生活に支障を来す」レベルのアプリやウェブサービスがあるはず。筆者にとってのそれは「Googleマップ」だ。
街歩きが趣味なので、仕事中にChromeからGoogleマップを開き、週末に散歩するコースを考えることに没頭することが多い。Googleマップを眺めていて時が経つのを忘れ、気がついたら日が沈んでいたということも頻繁にある気がする。Googleマップのサービスが突然終了したら、相当の喪失感を感じるだろう。
同好の士は意外と多いのではないかという期待とともに、筆者がGoogleマップについて最高だと感じる6つの瞬間を、簡単なメモとして残しておきたい。
1:3Dモードや地形モードで地図を眺める瞬間
3Dモードに変更して「このタワーマンションから東京タワーは見えるのかな?」なんてことを確かめたり、地形モードにして高低差を調べて地歴に思いを馳せたりする。ここ1週間の記憶を振り返ると、3Dモードは毎日利用していた。それほど、この機能を愛用している。
ところが、意外と3Dモードの存在自体を知らない人が少なくないようだ。「あのグリグリ感を楽しんでいないなんて絶対に人生を損している」(個人の感想です)と断言したくなるのは筆者だけだろうか。
Googleマップの箱庭感が楽しすぎ、 東京を3D表示でグリグリ回転させる方法
2:ストリートビューで土地の過去を知る瞬間
存在するのが当たり前になってしまった感があるストリートビュー機能。一生訪れることのなさそうな国々の道を往く感覚を自宅に居ながらにして仮想体験できてしまう素晴らしさは、改めて再評価されるべきだろう。
新宿駅南口の再開発
ストリートビューにおいて筆者が注目しているのは、過去のストリートビューが蓄積されていった先の未来。100年後のGoogleマップ(もしくは代わりのツール)のユーザーの視覚は、過去を容易に旅することができるようになるからだ。
Googleマップで「マイマップ」「ストリートビュー」を使いこなす方法
3:公開マイマップを見つけた瞬間
Image:東京都市計画道路環状線
東京・中央区の勝どき周辺を散歩していて、大きな高架道路に出くわした。環状2号線(東京都市計画道路幹線街路環状第2号線)の未開通部分だ。環状2号線は、有明から晴海、勝どき、そして豊洲移転で揉めに揉めている築地市場(の跡地)を通過し、いわゆるマッカーサー道路から虎ノ門ヒルズを経由して、皇居をぐるりと一周し、秋葉原に至る。
世の中的にはちょっとマニアックな部類に属する地図でも、有志がマイマップを作成して公開してくれていたりするので助かる。
先日、金曜ロードショーでスタジオジブリの『耳をすませば』を放送していたが、舞台とされている聖蹟桜ヶ丘周辺の聖地巡礼マップを検索してみると、やはり誰かが作ってくれている
Image:映画「耳をすませば」聖地巡礼マップ
4:タイムラインで行動経路を写真とともに記録してくれていた瞬間
正確にトラッキングしてくれていない箇所があるのはご愛嬌
子供の頃に住んでいた東京・杉並区を2月中旬に訪ねた。京王井の頭線を久我山駅で下車し、神田川沿いを浜田山まで歩く。やたらとカラスが多い都立和田堀公園を通り抜け、堀ノ内にある思い出のマンションを見学して、阿佐ヶ谷駅からJR総武線で帰宅した。
Googleマップでは、移動手段、所要時間などとともに、その日の移動経路をタイムライン形式でまとめてくれる。その中でも素晴らしいのが、道すがら撮っておいた写真をタイムラインの中にまとめて表示してくれる仕掛け。これはGoogleフォトと連動することで成立しているものだ。記憶がおぼろげになってきた数十年後に、このタイムラインはひとつの財産になっているに違いない。
ちょっと怖い? Googleマップで自分の移動履歴を経路・地図で日別に全表示する新機能
5:いつものマップアプリでナビゲーションしてもらう瞬間
専用の乗換案内アプリやカーナビアプリは、専用アプリであるだけあって、優れた機能や操作性を有するものが多い。
しかし、Googleマップ愛用者であれば、わざわざインストールアプリを増やさなくても構わないのかもしれない。GoogleマップかGoogle検索で済ませてしまえるからだ。
筆者の場合、普段の行動範囲が狭いせいか、これだけで乗換案内は十分だと感じている。場所や移動に関するツールをできるだけ一箇所に集約させてしまいたいという思考が働いているのかもしれない。
Googleマップの乗換案内(電車やバスのルート検索)を使いこなす方法
ただ、Googleマップのカーナビ機能に関しては、やたらと際どい裏道を勧めてくる傾向にある点に注意したほうがいい。運転初心者は要注意だ。
6:ユーザー投稿レビュー(クチコミ)をむさぼり読む瞬間
たしかに飲食店や観光のレビューや詳細情報をまとめているウェブサイトやアプリは便利な存在だが、旅先でたまたま出会ったお店や観光スポットなどの情報はGoogleマップで手早く調べてしまうのもいい。
特に参考になるのがクチコミ機能だ。ローカルガイドによるクチコミは日々増えつづけており、人気の場所であれば数千件から数万件のレビューが付いていることも珍しくない。地味にディープな情報が投稿されているケースも少なくないことに加え、地図上でザッピングするように次々とクチコミ情報を楽しめるので、さまざまな場所をチェックする誘惑に駆られるのだ。
皇居東御苑のクチコミ
そのほか、場所の詳細情報には各種情報が集約されている。ユーザーは何気なく情報を得ているが、機械によるキュレーションの完成形に近い姿を目の当たりにしていることに意識が向かない人は多そうだ。場所によっては過去の訪問履歴やリアルタイムの混雑状況まで動的に教えてくれるスゴいサービスなのだが。
リアルタイムの混雑状況を表示してくれる場合がある
まとめ:Googleマップは検索ツールだ
ここまで個人的にGoogleマップが最高だと感じる6つの瞬間を並べてきた。そこで気付かされたのは「結局のところ、Googleマップは場所と時間に紐付けられた情報を整理して提供するツールであり、まさに広い意味での検索ツールなんだな」ということだ(Googleが作っているサービスなのだから当然といえば当然)。
Googleのミッションは、もはや言い古された感のある「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」だ。そのひとつの現れが、Googleマップであることは疑いようがない。Googleマップは今後も、筆者をどんな瞬間を与えてくれるのだろうか。
なお、つい最近のアップデートで、場所にスターを付けてお気に入りとして保存できる機能がパワーアップし、自分で好きなリストをカスタマイズして作成できるようになった。このリストは一般公開できる。そしてGoogleによれば、公開リストはGoogle検索にもインデックスされるようだ。ということは、Googleマップユーザーが作成したオススメの飲食店リストや観光地リストが、Google検索の結果に表示されるようになるはずだ。これもGoogleマップが検索ツールのひとつであることの証左だろう。