有料の音楽配信サブスクは毎月1000円程度、年間プランに加入しても年1万円前後のコストがかかるため、費用がもったいないと感じる人もいるかもしれません。
そこで選択肢に挙がるのが、2025年9月に大幅アップデートされたSpotifyの無料版プラン「Spotify Free」です。果たして、Spotifyの無料版は有料の音楽配信サブスクに代わりとして十分なのでしょうか。メリット・デメリット、どんな人が有料の音楽配信サブスクからの乗り換えに向いているのか解説します。
有料版の音楽配信サブスクはもったいない?
有料版の音楽配信サービスに登録している場合、月額1000円前後の料金が毎月かかります。日頃から音楽を聴く頻度が高くない人にとっては「有料版に登録するのはもったいないのでは?」と思いたくなることもあるかもしれません。
| Spotify Premium |
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|---|---|
| Amazon Music Unlimited |
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| Apple Music |
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| LINE MUSIC |
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| 楽天ミュージック |
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(※)いずれも個人プランの料金を記載
音楽配信サブスクの中にはお得な年額プランを提供しているものもありますが、それでも年間1万円程度の費用が発生します。
有料版の音楽配信サブスクに加入するのがもったいないと感じるなら、無料で聴ける音楽配信サブスクが選択肢に入ります。とりわけ、Spotifyの無料版「Spotify Free」は機能が充実しており、無料で音楽配信サブスクを使いたい人にはおすすめです。
無料で音楽サブスクを使うなら大幅に進化した「Spotify Free」がおすすめ
Spotifyは2025年9月にFreeプランを大幅に強化しました。有料版のPremiumプランにしか解放されていなかった、オンデマンド再生の提供を無料版のスマホアプリにも提供したのです。
Spotifyの無料版「Spotify Free」
「オンデマンド再生」とは、楽曲を自由に選んで聴ける再生方式のこと。無料版の音楽配信サブスクはランダムに楽曲が再生される「シャッフル再生」が採用されるのが一般的ですが、Spotifyは無料版でもオンデマンド再生に対応しています。
実はこれまでもデスクトップアプリやブラウザを利用すれば、無料版でもオンデマンド再生が可能でした。しかしスマホアプリは、再生する楽曲がランダムで選ばれるシャッフル再生のまま。1時間にスキップできる回数には制限があり、「好きな曲を聴く」ということができないストレスがありました。
強化後の現在は、アルバムでもプレイリストでも、好きな楽曲を選んで再生ボタンを押すだけですぐに再生できます。オンデマンド再生の対象はSpotifyが配信するほぼすべての楽曲で、曲名などから検索した楽曲を再生することも可能です。
無料版のユーザーもLINEなどで友達と楽曲を共有できる
オンデマンド再生が可能になったことで、友達と音楽をシェアすることも簡単にできるようになりました。LINEやSNSで送られてきたリンクをタップすれば、Spotifyを起動して楽曲を再生できます。
Spotify無料版と有料版の違い
有料版のPremiumとの違いについて、公式ページに掲載されている表を見ながらもう少し細かく検討していきましょう。無料版はスマホアプリでもオンデマンド再生ができるようになりましたが、いくつかの制限が残っています。
まずは広告の有無です。無料版にはこれまで通り広告が挿入されます。またオフライン再生やロスレス再生もPremiumだけの機能で、無料版に変更はありません。
無料版だと2曲目以降は選んで再生できない
無料版はアルバムやプレイリストを順番に聴くのに向かない
次に気になるのが、「好きな曲順で再生」です。無料版はオンデマンド再生に対応しましたが、次に再生される曲はランダムで選曲されます。つまり、選べるのは最初の1曲目だけで、「アルバムやプレイリストを通して聴く」ということができません。
構成されている曲順の通りに再生するには、そのつど曲を選択するほかなく、曲順を変更しようとするとPremiumへのアップグレードが提案されます。
無料版はリピート再生も非対応
このほか、好きな曲を繰り返し流すためのリピート再生や、お気に入りの部分を再生する機能も利用できません。
これらの制限は、すべてスマホアプリにのみ当てはまります。デスクトップアプリでは、さまざまな制約がなくなります。たとえば再生コントロールではシャッフルやリピート再生などが利用でき、次に再生する曲を編集することも可能です。
Spotify無料版のメリットとデメリット
無料版でもスマホアプリでオンデマンド再生できるようになったことで、Spotifyのメリットやデメリットにも変化が生じています。ここで一度整理してみましょう。
メリット1:完全無料で利用可能
無料版の最大のメリットは、完全無料で利用できることです。有料版の「Premium Standard」(個人プラン)は、月額1080円または年額1万800円。年額でも1カ月あたり900円のコストがかかります。無料版は費用が一切かからないため、1年間で1万800円もの節約が可能です。
最近では音楽配信サブスク以外にも、さまざまなサービスがサブスクで提供されています。毎月のコストを抑えたい人にとって何より嬉しいメリットです。
メリット2:オンデマンド再生が可能
Spotifyは無料版でもスマホアプリで好きな音楽をフル再生できるのが大きな特徴です。
これまでは好きなアーティストやプレイリストを選んで再生しても、どの楽曲が再生されるかはランダムに決まっていました。スキップできる回数も1時間に5回までに制限されていたため、聴きたい曲が再生されるかは完全に運任せだったというわけです。
しかし、新しいSpotifyでは好きな楽曲を選ぶだけで再生できます。次に再生される曲はシャッフルになりますが、以前のような「好きな曲を自由に聴けない」という状況からは改善されています。
デメリット1:広告が挿入される
無料版だと広告が流れる
無料版では広告が挿入されます。広告が挿入されるのは10分に1度程度なので、あまり多くありません。広告は15秒から30秒程度です。
ただ、1時間のうち1〜2回くらいは広告が連続で2〜3つ挿入されることがあります。この場合、60〜75秒程の長さになるので、少し長く感じられます。ながら作業をしているときはあまり気になりませんが、音楽をじっくり聴いているときなどはストレスを感じるかもしれません。
デメリット2:音質は最大160kbps
無料版だとアプリで選べる音質は最高でも160kbps
無料版には音質の制限があります。アプリを使用した場合の音質は最高160kbpsです。ブラウザを利用すると128kbpsとさらに下がります。高性能なヘッドフォン/イヤホンやDACを持っていても活かすことができません。
Premiumはこの点、ロスレスにも対応しておりApple MusicやAmazon Music Unlimitedの音質に迫る勢いです。ロッシー音源でも最高320kbps(ブラウザは256kbps)なので無料版とも差別化されています。
デメリット3:利用できない機能がある
無料版はダウンロード機能に非対応
無料版はオフライン再生に対応していません。オフライン再生は、楽曲をストレージに保存して再生する機能です。インターネットへの接続が不要になるので、外出先でも通信量を気にせず音楽を楽しめます。
無料版は楽曲をダウンロードできないため、常にストリーミング再生の状態です。モバイル通信ではデータ通信量を消費しながらの再生となり、通信会社との契約プランによっては毎月のデータ通信量が気になるかもしれません。
また前述のように、再生コントロールや「次に再生する曲」の編集もできません。オンデマンド再生で最初の1曲を選んでも、そのあとはシャッフル再生になります。
まとめ:有料版の音楽配信サブスクからの乗り換えに向いている人は?
Spotifyの無料版はオンデマンド再生に対応し、使い勝手が大きく向上しています。これだけでも無料版で十分使えると判断する人も多いでしょう。
ただ2曲目以降がシャッフル再生になるため、BGMとして音楽を流すのにはぴったりでも、アルバムやプレイリストの楽曲を順番通りに聴くといった楽しみ方ができません。また音質が低いことや広告が挿入されることも、音楽を積極的に楽しみたい人にはマイナスです。
Spotify Freeと有料の音楽配信サブスクを比較
有料版の音楽配信サブスクを利用している人がSpotifyの無料版に乗り換えるかどうかは、音楽をどのように楽しみたいかで決まります。
音質にこだわりたい人や音楽をじっくり楽しみたい人、外出先で音楽を聴くことが多い人は、Spotify Premiumを含めて有料版の音楽配信サブスクを検討する価値があります。音楽をBGMとして流したい、ながら作業中に聴きたいという人はSpotifyの無料版でも十分に目的を果たしてくれそうです。