2021年3月17日にスタートしたソフトバンクの新ブランド「LINEMO(ラインモ)」。月々の利用料金を大幅に下げられることから、乗り換えを検討している人も多いはずです。
しかし、LINEMOはサポート面やサービス面での不安要素が多く、すべての人におすすめとは言い切れません。ソフトバンクで当たり前だったサービスがLINEMOでは受けられなくなり、後悔する人も少なくないでしょう。
そこで本記事では、ソフトバンクとLINEMOそれぞれのサービス内容や特徴を比較し、乗り換えで考えられるメリットとデメリットを詳しく解説します。それぞれの特徴と自分の状況を照らし合わせて、乗り換えるべきかの判断材料にしてください。
ソフトバンクからLINEMOに乗り換えるメリット
さっそく、ソフトバンクからLINEMOに乗り換える際に考えられるメリットを紹介します。料金を大幅に抑えれるのはもちろんのこと、使い勝手の良さや特典の多さも魅力です。
メリット1:スマホの利用料金が格段に安くなる
ソフトバンクからLINEMOに乗り換える最大のメリットは、なんといっても月額利用料金を抑えられることでしょう。
たとえば、ソフトバンク最安の「ミニフィットプラン+」は税込み3278円から利用できますが、月1GB未満という制限付き。2GB以上を利用した場合、税込み5478円になります。
一方、LINEMOの料金プランは「スマホプラン」の1つだけ。税込み2728円で月20GBまで高速通信が可能、というシンプルな内容になっています。
価格はすべて税込み
両者を比較してみると、同じ3GBを使ったとしても、LINEMOのほうが月2759円安い料金で利用できることが分かります。あくまでも目安ですが、1年間に換算すると3万3000円もの差が生まれることに。
ソフトバンクで月2GB以上使っているなら、LINEMOに変えることで月額料金を大幅に安く抑えられるでしょう。
メリット2:契約から1年間は通話オプションが無料
ソフトバンクからLINEMOに乗り換えると、確かに基本料金は安く抑えられるかもしれません。
しかし、気になるのが通話料金。LINEMOの「スマホプラン」には音声通話の料金は含まれておらず、22円/30秒の通話従量制です。3分通話すると120円かかってしまうので、ソフトバンクで通話かけ放題オプションをつけていた人は、逆に出費が増えてしまうことが懸念されます。
価格はすべて税込み
その点、LINEMOにも通話かけ放題のオプションが用意されているので心配は不要です。しかも、留守番電話などの付帯サービスがない分、ソフトバンクのかけ放題プランよりも安い料金設定になっています。
さらに、LINEMOでは、スマホプラン加入から1年後まで通話オプションの料金が550円割引となるキャンペーンが開催中。1回5分以内の国内通話かけ放題の「通話準定額」なら、実質無料で利用できるのでかなりお得です。
メリット3:ソフトバンク回線をそのまま使える
LINEMOのほうが料金が安い分、ソフトバンクより通信の質が劣るのではないかと感じる人も多いでしょう。
確かに、「MVNO(格安スマホ・SIM)」は、キャリアの回線の一部を借りているため、大勢の人が一斉にスマホを利用する時間帯(昼や夕方)に速度の低下や接続の不安定が起こることがあります。
しかし、MVNOと違いLINEMOはソフトバンクの回線をそのまま使うので、通信の品質やサービスエリアは変わりません。ソフトバンクと全く同じ回線を、より安い料金で利用できるのがLINEMOなのです。
Image:ソフトバンクニュース
また、同じ料金内でソフトバンクの5G回線を使えるのも嬉しいポイント。ソフトバンクだと5G対応の料金プランへ変更しなければならないケースがありますが、LINEMOの「スマホプラン」は元から4G、5G回線の両方に対応しています。
メリット4:20GB超過後も十分な速度で通信できる
通常、所定のデータ量を使い切るといわゆる「速度制限」がかかり、インターネットの通信スピードが著しく低下します。
例えば、ソフトバンクで月の所定データ量を超えた場合、通信速度が最大128kbpsに低速化してしまいます。128kbpsというのは、検索すらもたつき、なかなか進まない程の低速です。
その点、LINEMOは20GBを使い切っても最大1Mbpsで通信できます。
1Mbpsは、128kbpsの約8倍の速度。大きい影響があるのは、高画質の動画再生や大容量ファイルのダウンロードなど一部の操作に限られます。検索やSNSの閲覧、LINEやメールの送受信程度なら、ストレスなくおこなえるでしょう。
メリット5:LINEのデータ消費量がカウントされない
「LINEMO」と銘打っているいるだけあって、LINEMOにはLINEユーザー向けの特典・サービスがたくさん用意されています。
そのひとつが、スマホプランに組み込まれている「LINEギガフリー」システムです。LINEのトーク送受信、音声・ビデオ通話など対象サービスは、どれだけ使ってもデータ通信量を消費せず、高速通信のまま使い放題になります(対象外のサービスは公式サイトで確認)。
日常のほとんどの連絡をLINEで済ませているという人は、よりデータ量の節約が見込めるでしょう。
また、700万種類以上のLINEスタンプが使い放題のサブスク「LINEスタンププレミアム」の加入者には、LINEポイント240Pを付与するという嬉しい特典も。月額料金がちょうど月額240円のベーシックコースなら、実質無料で使えることになります。
さらに、2021年夏からは追加料金なしでLINEスタンププレミアムのベーシックコースを利用できるようになる予定です。
メリット6:テザリング機能が無料で使える
テザリングとは、スマホのモバイルデータ通信を経由して、Wi-Fiに対応した機械(パソコンやタブレット、他人のスマホなど)をインターネットに接続できる機能のことです。
例えば外出先でパソコンを使いたい場合、Wi-Fiが使えるカフェや施設を探すか、モバイルルーターを持ち歩かなければなりません。しかし、テザリング機能を使えば、スマホがWi-Fi代わりになるので、どこでもインターネットに接続できるというわけです。
ソフトバンクではプランによって500円の月額使用料が発生しますが、LINEMOなら追加料金なし・無料でテザリングを使うことができます。
テザリングは、4G LTEもしくは5Gに対応しているiPhone・Androidスマホで利用できます。詳細や設定方法は、以下の記事を参照ください。
ソフトバンクからLINEMOに乗り換えるデメリット
メリットだけでなく、デメリットや注意点についても把握しておくことが大切です。逆に、この6つのデメリットが大した事ないと感じるのであれば、LINEMOへの乗り換えを前向きに検討すべきでしょう。
デメリット1:端末とのセット販売がない
LINEMOはSIM(eSIM、SIMカード)のみを販売しており、端末を購入することができません。
そのため、乗り換えの際は手持ちの端末がLINEMOで動作確認ができているかどうかが、非常に重要なポイントとなってきます。
公式サイトの動作確認端末を確認したところ、iPhoneなら「6s」以降の全機種がLINEMOに対応していました。
なお公式サイトでは対応キャリア部分全てに「SIMフリー」と記載されていますが、ドコモ/au/ソフトバンクで購入したiPhoneは、すべて「SIMフリーiPhone」の動作確認結果と同じと考えていいでしょう。キャリアとAppleストア、どちらで買ったiPhoneも製品としては何も変わりません。
一方、Android端末の場合、現時点で動作確認済みとなっている機種は少ないものの、ソフトバンク・ワイモバイルで販売している機種については動作確認が予定されているようです。
ソフトバンク・ワイモバイルで購入したAndroidスマホで、かつSIMロック解除に対応しているものなら、そのままLINEMOで使える可能性が高いでしょう。
iPhoneと違い、Androidスマホはどのキャリアで購入したかによって、動作確認の結果が変わってきます。
というのも、ドコモ/au/ソフトバンクなどのキャリアは、それぞれに異なる周波数が国から割り当てられています。キャリアモデルのAndroidスマホは、そのキャリアの周波数にぴったり対応した仕様になっているので、他キャリアの周波数を掴めない可能性があるのです。
全く使えないことはないかもしれませんが、周波数の関係で繋がりづらくなるリスクがあります。
現時点では、他社(ドコモ/au)が販売するAndroidスマホは、LINEMOでの動作確認が予定されていません。ドコモ/auで購入したAndroidスマホは、ひとまず避けるのが無難でしょう。
デメリット2:ソフトバンク・ワイモバイルで購入した端末でもSIMロック解除が必須
ソフトバンク・ワイモバイルの端末なら、SIMを差し替えてそのまま使えるイメージを持つ人も多いですが、それはできません。
ソフトバンクをはじめ、キャリア各社で販売しているスマホには、他社のSIMカードを挿して使えないようにするため「SIMロック」という制限がかかっています。もともと「SIMフリー」のスマホ以外は、SIMロック解除という手続きをしないとLINEMOのSIMカードでは動作しません。
これはソフトバンク・ワイモバイルで購入した端末も例外ではなく、必ずSIMロックを解除する必要があるので注意してください。
iPhone(iOS 14以降)なら「設定」アプリから以下の手順で自身の端末がSIMロック解除されているかを確認できます。Androidスマホの場合は、スマホ購入したキャリアに問い合わせるのが確実でしょう。
iPhoneの「設定」アプリを開き[一般]→[情報]の順にタップします。
「SIMロック」の項目で「SIMロックなし」と記載されている場合、SIMロックは解除されています。一方、「SIMロックあり」と記載されている場合、そのiPhoneはSIMロックがかかっている状態です。案内に従ってSIMロック解除の手続きをおこなってください。
デメリット3:対面や電話でのサポートを受けられない
ソフトバンクのショップではLINEMOの契約・相談は受け付けていない
LINEMOは、すべての手続きをWEBサイト上で完結させる「オンライン専用」ブランドです。
ソフトバンクショップのような実店舗を持たないので、対面でスタッフに質問・相談したり、初期設定をやってもらったり、といったサポートは受けられません。
さらに、質問や相談は「チャット」か「LINE」でのみ受け付けており、電話での問い合わせもできないシステムです。分からないことがあっても、ある程度は自力で解決せざるを得ないことは覚悟しておく必要があります。
とはいえ、LINEMOは公式サイトに詳細な解説やQ&Aを用意しており、知りたいキーワードで検索することも可能です。
また、ソフトバンクショップは対面サービスが手厚いのは確かですが、場合によっては過剰なケースがあります。スタッフに言われるがまま、不要なオプションを契約してしまうケースが少なくありません。
そういった余計なサービスを回避できるというのは、オンラインで申し込みが完結できるLINEMOならではの利点といえるでしょう。
デメリット4:家族割やおうち割が使えなくなる
複数回線の契約による「家族割り」や、固定インターネット回線の契約による「おうち割」が適用できない点にも注意が必要です。
ソフトバンクで一部のプランに適用される「新みんな家族割」は、複数回線の契約で月額料金が各回線ごとに600〜2000円ほど割引きされます。LINEMOの場合、このような割引きは一切ありません。
価格はすべて税込み
しかし、重要なのは家族割の有無よりも、総合的なスマホの利用料金が安くなることのはず。例えば、「新みんな家族割」が適用されるプランのひとつ「ウルトラギガモンスター+」の基本料金は税込み8228円。4人家族だとして、家族割(各回線2000円割引)を適用したとしても合計2万4912円です(税込み)。
一方、LINEMOには家族割りはないものの、4人合わせての月額料金は1万912円。LINEMOへの乗り換えで家族割りが受けられなくなったとしても、1万円以上安くなることがわかります。
デメリット5:キャリアメールやYahoo!プレミアムの特典を引き継げない
「ソフトバンクメール(@softbank.jp)」「ソフトバンクまとめて支払い(キャリア決済)」などのサービスは、LINEMOに乗り換えることで一切利用できなくなります。
加えて、ソフトバンク加入による特典を引き継げない点にも注意しなければなりません。ソフトバンクユーザーは「Yahoo!プレミアム」会費の無料特典や、PayPay利用時の優遇がありますが、これらはLINEMOユーザーを対象としていません。
これらのサービスを利用している人は、気をつけましょう。
ソフトバンク・ワイモバイルからLINEMOへ番号移行した場合、料金プランに含まれていた「Yahoo!プレミアム」や「Yahoo!プレミアム for Y!mobile」は自動的に解約され、利用できなくなります。下記の例のように特典が利用できなくなりますのでご注意ください。
- 「ヤフオク!」出品中の場合は、出品が取り消されます。
- 「Yahoo!かんたんバックアップ」の容量が減少します。
- 容量無制限の特典が終了し、上限は5GBまでになります。
- 90日以上経過しても5GB以上の容量をお使いの場合、データはすべて削除されます。
- 「プレミアム会員割引」の適用が終了となり、ご加入中の有料サービスの料金が請求されます。
- 「Yahoo!プレミアム(Yahoo!ウォレットでのお支払い)」にご加入中のお客さまは、ソフトバンク/ワイモバイルからLINEMOへ番号移行した後も、引き続き「Yahoo!プレミアム」をご利用できますが、ヤフー株式会社からの月額会員費の請求が再開します。
なお、LINEMOユーザーを対象とする「Yahoo!プレミアム」関連サービス、「Yahoo!ショッピング」などの特典もありません。