本記事では「イオンモバイル」を利用している人向けに、「LINEMO(ラインモ)」へ乗り換える際のメリットやデメリットをまとめて紹介します。
今まで使っていたサービスが利用できなくなったり、料金が割高になったりするケースもあるので注意が必要です。見落としがちなポイントも含めて解説しているので、乗り換えを検討している人は事前にチェックしてみてください。
イオンモバイルからLINEMOに乗り換えるのはアリ? 両サービスを一覧表で比較
最初に、イオンモバイルとLINEMOの特徴をそれぞれ以下の表にまとめてみました。
イオンモバイル | LINEMO | |
---|---|---|
大容量プランの料金 | 2178円/20GB | 2728円/20GB |
低容量プランの料金 | 1078円/3GB | 990円/3GB |
通話料金(従量制) | 11円/30秒 | 22円/30秒 |
通信制限中の速度 | 200kbps |
|
支払い方法 | クレジットカード |
|
解約金 | 0円 | 0円 |
MNP転出手数料 | 0円 | 0円 |
契約事務手数料 | 3300円 | 0円 |
価格はすべて税込での表記。イオンモバイルは、2021年10月1日以降に提供されている「音声プラン」の内容を記載。
後述しているように、コスト面ではLINEMOよりもイオンモバイルほうが優れています。料金プランはさることながら、30秒あたりの通話料が通常の半額であることも見逃せません。
LINEMOの強みは、低価格でソフトバンク回線を利用できることです。通信速度の安定性といった観点では、LINEMOに軍配が上がるでしょう。また、通信制限中でも送受信時最大1Mbpsの速度を保てるのも魅力です(スマホプランの場合)。
結論、「イオンモバイルの通信クオリティに満足していない」という人なら、LINEMOへの乗り換えはアリだといえるでしょう。上表の通り、LINEMOは契約時の初期費用や手数料などは一切かからないので0円で乗り換えができます。
イオンモバイルからLINEMOに乗り換えるメリット・デメリット
さっそく、イオンモバイルからLINEMOに乗り換える際に考えられるメリット・デメリットを紹介します。それぞれの特徴と自分の状況・優先事項を照らし合わせて、乗り換えるべきかの判断材料にしてください。
メリット1:通信速度が安定する(お昼や夕方でも速度が大きく変わらない)

イオンモバイルは、ドコモおよびauの通信回線の一部の帯域を借り受けてユーザーに提供しています。あくまで一部しか使えないのでキャリアの通信回線と比べると帯域幅が狭く、回線が混み合いやすい傾向があります。
そのため、大勢の人が一斉にスマホを利用する時間帯(昼や夕方)や、都市部や駅の構内など人が多く集まる場所では、通信速度の低下が起こることがあるのです。

一方、LINEMOはソフトバンク回線を借りるのでなく、そのまま使えます。通信の品質は、ソフトバンクユーザーと変わりません。
帯域幅に余裕があるので、ユーザーが増える時間帯や場所でも速度の低下が起こりにくくなります。1車線を10人が通るよりも、2車線で5人ずつ通るほうが到着が速くなるのと同じようなイメージです。
メリット2:スマホプランなら速度制限後も中速で通信できる
LINEMOでもイオンモバイルでも、所定のデータ量を使い切るといわゆる「速度制限」がかかり、インターネット通信のスピードが低下します。

イオンモバイルで月の所定データ量を超えた場合、通信速度が最大200kbpsに低速化してしまいます。一般的なMVNOサービスの制限速度は128kbpsなのでそれよりもわずかに早いですが、画像の読み込みや動画の再生時にもたつくことがあるでしょう。
その点、LINEMOのスマホプランなら、20GBを使い切っても最大1Mbpsで通信できます。1Mbpsは、200kbpsの約5倍の速度です。検索やSNSの閲覧はもちろん、高画質でない動画の視聴ならストレスなくおこなえるはずです。
速度制限中に最大1Mbpsで通信できるのは、LINEMOのスマホプラン(月額2728円)のみ。月額990円の「ミニプラン」で規定のデータ量(3GB)を超過した後は、300kbpsに速度が制限されます。
メリット3:LINEのデータ消費量がカウントされない
「LINEMO」と銘打っているだけあって、LINEMOにはLINEユーザー向けの特典・サービスがたくさん用意されています。

そのひとつが、スマホプラン/ミニプランに組み込まれている「LINEギガフリー」システムです。
LINEのトーク送受信、音声・ビデオ通話など対象サービスは、どれだけ使ってもデータ通信量を消費しません。規定のデータ量超過後も、LINEだけは高速通信のまま使い続けられます。
- 各タブトップの表示
- 音声通話・ビデオ通話
- トーク(テキスト・音声・スタンプ・画像・動画・ファイル)などの送受信
- 「みんなで見る」機能による画面シェア
- 各トークにおける設定・アルバム・ノートなどの表示・設定
- タイムラインの表示・投稿・シェア
- ディスカバーの表示
- ウォレットタブでのLINE Pay利用
- ウォレットタブでのLINE家計簿の利用
- 友だち追加画面の表示・設定・友だち追加
- プロフィールの表示・編集・投稿・検索
- 設定および各項目の表示・編集
日常のほとんどの連絡をLINEで済ませている人には、嬉しいサービスです。
もちろん、トークや通話では相手もデータ容量を消費するので配慮は必要ですが、よく連絡する家族や恋人と一緒に加入すれば、よりデータ量の節約が見込めるでしょう。
また、LINEスタンプ使い放題のサブスク「LINEスタンププレミアム」の加入者には、毎月LINEポイント240Pを付与するという嬉しい特典も。月額料金がちょうど月額240円のベーシックコースなら、実質無料で使えます。
メリット4:eSIMに対応している
LINEMOは、物理型のSIMカードを挿さずに回線接続できる「eSIM」を取り扱っています。

物理カード型のSIM(SIMカード)の場合、自宅に郵送されるのを待ったり、SIMカードを抜き挿ししたりと、手間も時間もかかります。
一方、eSIMなら手続きが完了し次第、すぐに利用可能です。SIMカードを入れ替える必要がないため、より手軽に乗り換えができます。


1台で2つの回線を使い分けられるのも、eSIMの魅力です。
デュアルSIM対応のスマホ1台に物理型のSIMカードとeSIMを両方設定すれば、スマホ上で簡単にデータ通信回線や電話番号の切り替えがおこなえます。スマホを2台持ちをしなくても「仕事用」と「プライベート用」の電話番号を使い分けられるというわけです。
eSIMはすべてのスマホで利用できるわけではなく、対応機種のみで利用できます。手持ちのスマホがeSIM対応機種でなければ、利用できません。
たとえばiPhoneの場合、LINEMOにおけるeSIM対応機種はiPhone XR以上です。それよりも古い機種では、eSIMを使えません。
Androidスマホも、対応している機種は限定的です。eSIMの利用を検討している場合は、自分のスマホが対応機種がどうかを事前に公式サイトの動作確認端末で確認しましょう。
デメリット1:LINEMOのほうがプラン料金は割高
イオンモバイルからLINEMOへの乗り換えで一番懸念されるのが価格面です。
というのも、イオンモバイルは2021年10月1日に音声プラン/音声シェアプランの料金の値下げを実施しており、どの容量も業界最安クラスの価格になっています。

「音声通話付きで月あたり20GB」という同じ条件で両サービスを比較すると、同じ容量でもイオンモバイルのほうが月550円安く利用できます。
月に20GB以上を消費する人で、かつ低価格であることを優先する人なら、イオンモバイルにとどまるべきでしょう。

一方、3GBで990円のミニプランで考えると、両者に大きな差はありません。むしろLINEMOのほうが若干割安です。
データの消費量が3GB以内で収まりそうなら、速度の安定性やLINEギガフリーなどのメリットを求めて、LINEMOへ乗り換えるのもアリかもしれません。
デメリット2:LINEMOには中間的な容量プランがない/データの繰り越しができない
イオンモバイルの特徴は、業界屈指の充実したプラン数。0.5GB〜50GBまでなんと17種類のプランがあり、10GBまでは1GB単位で選べます。過不足なく適切な容量を選択できるので「毎月データを消費しきれない」という失敗は起こりづらいはずです。
イオンモバイル | LINEMO | |
---|---|---|
0.5GB | 803円 | - |
1GB | 858円 | - |
2GB | 968円 | - |
3GB | 1078円 | 990円 |
4GB | 1188円 | - |
5GB | 1298円 | - |
6GB | 1408円 | - |
7GB | 1518円 | - |
8GB | 1628円 | - |
9GB | 1738円 | - |
12GB | 1958円 | - |
14GB | 1880円 | - |
20GB | 2178円 | 2728円 |
30GB | 4158円 | - |
40GB | 5258円 | - |
50GB | 6358円 | - |
価格はすべて税込表記です。イオンモバイルは、2021年10月1日以降に提供されている「音声プラン」の内容を記載。
一方、LINEMOに用意されているのは、20GBの「スマホプラン」と3GBの「ミニプラン」の2種類のみ。シンプルで分かりやすいのは利点ですが、中間的な容量プランが用意されていないのが気になるところです。
3GB以上20GB未満のプランが選択できないので、結果的にデータを持て余して損をしてしまう可能性があります。

さらに、イオンモバイルでは当月に余ったデータ容量を翌月末まで繰り越すことができます。たとえば、10ギガプランで2GBが余ったなら翌月は繰り越し分との合計で12GB利用できます。
LINEMOには、こうしたデータ繰り越し機能はありません。消費しきれなかったデータ量は毎月リセットされ、無駄になってしまいます。毎月のデータ消費量にばらつきがある人は、データ容量を余すことなく使えるイオンモバイルのほうが向いているかもしれません。
デメリット3:通話料はイオンモバイルのほうが安い
イオンモバイルもLINEMOも、通話料金込みのプランは存在しません。どちらも、通話時間に応じて料金が加算される「従量制」です。

この点、LINEMOの国内通話は22円/30秒ですが、イオンモバイルは11円/30秒と半額。イオンモバイルのほうが圧倒的に安く通話できます。
従来は11円/30秒で通話するために、専用アプリ「イオンでんわ」を使わなければならないのが難点でした。しかし、2021年9月10日からは標準アプリからの発信でも11円/30秒の料金体系が適用されるようになっています。使い勝手の面でも、申し分ないといえるでしょう。
イオンモバイル | LINEMO | |
---|---|---|
時間無制限 | 1650円 | 1650円 |
1回5分以内 | 550円 | 550円 |
1回10分以内 | 935円 | - |
価格はすべて税込表記です。イオンモバイルは、2021年10月1日以降に提供されている「音声プラン」の内容を記載。
上表の通り、かけ放題オプションには両サービスほとんど差はありません。
強いて違いを挙げるとしたら、「1回10分以内」のかけ放題オプションが用意されている分、イオンモバイルのほうが選択肢が多いことくらいでしょう。
デメリット4:手持ちのスマホがLINEMOで使えない可能性がある
LINEMOはSIM(eSIM、SIMカード)のみを販売しており、端末をセットで購入することができません。そのため、乗り換えの際は手持ちの端末がLINEMOで動作確認ができているかどうかが、非常に重要なポイントとなってきます。
手持ちのスマホがiPhoneの場合

公式サイトの動作確認端末を確認したところ、iPhoneなら「6s」以降の全機種がLINEMOに対応していました(iPhone 13含む)。
各キャリアまたはAppleストアいずれで購入していても、動作確認の結果は同じです。
手持ちのスマホがAndroidの場合

Androidスマホだと、動作確認済みの端末がかなり限られてしまうので注意が必要です。ソフトバンク・ワイモバイルの販売機種については動作確認済みが多いものの、ドコモ・au販売の端末、SIMフリー端末はほとんど動作確認が済んでいません。
自分のスマホがLINEMOで利用できるか、必ず事前に公式サイトの動作確認端末でチェックしてください。
iPhoneと違い、Androidスマホはどのキャリアで購入したかによって、動作確認の結果が変わってきます。
というのも、通信会社はそれぞれに異なる周波数が国から割り当てられています。キャリアモデルのAndroidスマホは、そのキャリアの周波数にぴったり対応した仕様になっているので、他キャリア回線の周波数を掴めない可能性があるのです。まったく使えないことはないかもしれませんが、周波数の関係で繋がりづらくなるリスクがあります。
ドコモとauが販売するAndroidスマホは、現時点ではLINEMOで動作確認済みのものはありません。ドコモ・auで購入したAndroidスマホは、ひとまず避けるのが無難でしょう。