60代以上のシニア世代においても、スマホ利用率は高い水準にのぼっています。家族や孫との連絡にこれからスマホを利用したいと考えている人も多いでしょう。
迷いやすいのが、スマホの回線です。どの通信会社のどのプランを選べばよいのか、答えは簡単に出ません。通信会社が用意しているプランは複雑で、人によってぴったりなプランはまちまちです。
そこで今回の記事では、特にシニア世代におすすめできるプランを集めました。リーズナブルでありながら、初めてのスマホでも安心して契約するためのポイントを紹介します。
シニア世代におすすめのスマホ回線
ここではシニア世代におすすめのスマホ回線を4つ紹介しています。いずれも大手企業が提供するプランで、ショップでのサポートも受けられます。家族割引があるプランもあるので、パートナーと一緒に加入するのもいいでしょう。
イオンモバイル:シンプルで安い、60歳以上向けプランも用意

イオンモバイルは、全国200店舗以上あるイオンまたはオンラインで申し込める格安SIMサービスです。料金プランが豊富ですが、店頭でサポートを受けられるので安心です。60歳以上を対象にしたシニア向けのサービスも用意されています。
イオンモバイル自体が独自の回線を持っているわけではなく、NTTドコモまたはauの回線を借りてサービスを提供しています。回線を契約する際にユーザーがどちらの回線を利用するのか選択できます。大手キャリアの回線を使用してインターネットを使えるので、安定した回線でインターネットを利用できる点は安心でしょう。
いくつかのプランが提供されていますが、ここでは60歳以上のシニア世代を対象とした「やさしい音声プラン」と「やさしいシェアプラン」をおすすめします。
プラン | やさしい音声プラン | やさしいシェアプラン |
---|---|---|
やさしいプラン mini.(音声0.2GB) | 月額528円 | ― |
1GBプラン | 月額638円 | 月額1188円 |
2GBプラン | 月額748円 | 月額1298円 |
3GBプラン | 月額858円 | 月額1408円 |
4GBプラン | 月額968円 | 月額1518円 |
5GBプラン | 月額1078円 | 月額1628円 |
6GBプラン | 月額1188円 | 月額1738円 |
7GBプラン | 月額1298円 | 月額1848円 |
8GBプラン | 月額1408円 | 月額1958円 |
9GBプラン | 月額1518円 | 月額2068円 |
10GBプラン | 月額1628円 | 月額2178円 |
※60歳以上限定のプラン。下りの通信速度が最大500kbpsに制限される
※「やさしいシェアプラン」の金額には音声SIM追加オプション(月額220円/回線)も含む
「やさしい音声プラン」は、60歳以上のユーザー限定で提供されるプランです。基本プランよりも割安ですが、ダウンロード速度が500kbpsに制限されるので、動画再生やビデオ通話などをする場合はWi-Fiが必要になります。Wi-Fiに繋いでいない状態でデータ通信を使用して画像を開いたり動画を視聴したりすると、うまく表示されないことがあります。
「やさしいプラン mini.」のデータ使用量0.2GBだと外出先でほとんどインターネットに接続できません。自宅でWi-Fiに接続しながら使うといったように、主に自宅でスマホを使う人に向いています。
そのほか、データ使用量が1GB増えるごとに月額料金が110円増える形でプランが用意されています。自分がどの程度スマホを使うかわからないという人もいるかもしれません。外出先での使用頻度が多い人は10GBプラン、外出先であまり使わないという人は3GB〜5GBあたりを選んでおくのが無難でしょう。
もちろん、途中でプランを変更することも可能です。もっとたくさんスマホを使いたい、あるいは思ったより使わないという人は、プランを変更すればよいのです。

イオンモバイルの「やさしいシェアプラン」
夫婦でイオンモバイルを使うなら、「やさしいシェアプラン」もおすすめです。「やさしいシェアプラン」では、2人で1つのデータ使用量を分け合います。
たとえば夫婦それぞれで「やさしい音声プラン」の3GBプランを申し込むと、月額料金は合計で1716円。「やさしいシェアプラン」の6GBプランを申し込めば、2人で6GBを分け合いながら月額料金は1738円です。合計金額はそこまで変わらず料金的なメリットは大きくない場合もありますが、2人でデータ通信量を無駄なく使えます。

イオンモバイルの通話かけ放題オプション
また、60歳以上は国内通話がかけ放題になる「イオンでんわフルかけ放題」(通常料金は月額1650円)が、440円引きの月額1210円で利用できます。離れて暮らす子供や孫とたくさん通話したい人に向いています。
通話頻度は多いけれど通話時間は短いという人は、「10分かけ放題」(月額935円)の選択肢もあります。通話時間が10分以内なら、何度かけても通話料金が無料。10分超過後は30秒ごとに11円の通話料金が発生しますが、イオンモバイルは他のスマホ回線よりも通話料金が安いのも特徴です(大半のスマホ回線の通話料金は30秒ごとに22円)。
「10分かけ放題」を申し込んだ60歳以上のユーザーには、スマホの使い方を電話で相談できる「イオンスマホ電話サポート」が付いています。本来は月額330円のオプションが無料で付くので、スマホの操作に不安がある人に向いています。
店頭のサポートは基本無料ですが、アカウントやスマホの初期設定、電話帳データ、写真の移行、LINEの設定、アプリのインストールなどをサポートしてもらえる有償サービスも充実しています。サポートの内容に合わせて3000円から6000円のパックになっていて、初期設定もお任せできます。
イオンモバイルは割引サービスの適用を前提にしておらず、誰でも同じ格安のプランで利用できます。店頭はもちろん電話のサポートも充実しているので、初めてスマホを使い始める人も安心です。
- 60歳以上限定の格安プラン「やさしい音声プラン」、夫婦2人でデータ使用量を分け合える「やさしいシェアプラン」を用意
- 60歳以上ならかけ放題オプションが毎月440円割引
- 10分かけ放題オプションは電話サポートオプション(月額330円相当)が無料
- 国内通話が11円/30秒と低料金
- 全国のイオンでサポートを受けられる
- やさしいプランは通信速度が遅い
- 同時に購入できる端末が少ない
- 初期契約時にSIMカードの代金として3300円の事務手数料がかかる
- スマホの初期設定・電話帳や写真データの移行・LINEの設定など一部のサポートは有料
楽天モバイル:通話が無料、プラン選びも迷わない

Rakuten最強プランの料金の仕組み
楽天モバイルは、「楽天市場」などを提供する楽天のグループ会社のキャリア回線です。最近では大々的にテレビCMも打ち出しているので、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
提供されているプランは「Rakuten最強プラン」のみで、プラン選びに迷うことはありません。Rakuten最強プランは毎月のデータ使用量に応じて料金が変動する仕組みとなっており、3GB未満なら月額1078円で使えます。

最強シニアプログラム(65歳以上は毎月110ポイント還元)

最強家族プログラム(家族で使うと毎月110円割引)
Rakuten最強プランを利用する65歳以上のユーザーは、毎月110ポイントの楽天ポイントをもらえる「最強シニアプログラム」も用意されています。特設ページから最初にエントリーするだけで、楽天ポイントを毎月もらえます。
また、家族に楽天モバイルを使っている人がいれば、プラン料金が毎月110円割引される家族割サービス「最強家族プログラム」も利用できます。同居する家族はもちろん、離れて暮らす子供や孫も家族割の対象です。
最強シニアプログラムと最強家族プログラムを併用すれば、毎月220円相当もお得に使えます。


楽天リンクアプリの通話画面
楽天モバイルを契約しているユーザーだけが使える専用通話アプリ「Rakuten Link(楽天リンク)」を使えば、国内通話が無料となります。0570から始まる番号など一部例外はあるものの、固定電話や携帯電話にかけた場合も無料になるので、家族とたくさん通話したい人にも向いています。
オンラインで契約することもできますが、不安な人は楽天モバイルショップで相談しながら契約するのもいいでしょう。近くにショップがない人は電話やビデオ通話でも相談・契約できます。
プランの詳細をチェック
- 提供されているプランは「Rakuten最強プラン」だけなので迷わない
- データ使用量に応じて料金が変動、3GB未満なら月額1078円
- 65歳以上のユーザーは毎月110ポイント還元
- 家族割を使えばプラン料金が毎月110円割引
- Rakuten Linkアプリを使えば国内通話が無料(一部番号除く)
- 楽天モバイルショップで申し込み可能、電話やビデオ通話でも相談できる
- 夫婦で使えるシェアプランはない
- プランは「Rakuten最強プラン」の1種類だけなので、データ使用量に応じて細かくプランを選択できない
irumo(イルモ):ドコモショップでサポートを受けられる

irumo(イルモ)は、NTTドコモが提供する小容量プラン。全国にあるドコモショップまたはオンラインで申し込むことができます。同時にスタートした「eximo(エクシモ)」より低廉なプランで、ドコモショップでのサポートをしっかり受けつつ、あまりデータ通信を使わない人にちょうどよい内容になっています。
0.5GB | 3GB | 6GB | 9GB | |
---|---|---|---|---|
月額基本料金 | 550円 | 2167円 | 2827円 | 3377円 |
割引後の月額利用料金(※) | - | 880円 | 1540円 | 2090円 |
※「dカードお支払い割」(-187円/月)、「ドコモ光セット割」または「home 5G セット割」(-1100円/月)適用時
料金プランは4種類です。0.5GBだとデータ容量が少ないので、3GBまたは6GBがちょうどいいでしょう。0.5GBのみ4G LTE回線(最大3Mbps)を使用し、ほかは5G回線が利用可能です(混雑時はeximoやahamoよりも優先して速度制限がかかる場合があります)。
割引前の基本料金は大してリーズナブルではありませんが、「ドコモ光セット割」または「home 5G割」「dカードお支払い割」を適用することで、格安SIM並の低料金となります(0.5GBプランは除く)。オンライン専用プランのahamoと違って、「ギガホ プレミア」や「ギガライト」などのプランから乗り換えた際も、一部の割引サービスを引き継げるのはうれしいところです。その一方で、これらの割引サービスを適用しないと割高に感じます。
また、irumo自体は「みんなドコモ割」の対象外となるものの、irumoの契約回線はカウントの対象になります(0.5GBを除く)。この場合、ドコモのプランを利用している家族が月額料金の割引サービスを受けることができます。
ahamoとの違いは、ドコモメールを有料で取得できる点です。また、ahamoには5分以内の国内通話が無料になる5分通話無料オプションが付いていますが、irumoは別途申し込む必要があり、家族であっても通話には料金がかかります(22円/30秒)。5分通話無料オプションは月額880円、かけ放題オプションは月額1980円です。
- 割引後の価格がリーズナブル
- 5G通信に対応(0.5GBを除く)
- ドコモショップでサポートを受けられる
- 割引がないと安くはない
- 家族間でも通話に22円/30秒かかる
- かけ放題オプション、5分通話無料オプションが割高
UQ mobile:家族や60歳以上が使うとお得に

UQ mobileは、auのサブブランドとして展開されているKDDIが運営する通信サービスです。UQ mobile取扱店は全国に2700店舗以上あります。専門のUQスポット(専売ショップ)だけでなく、auショップでもUQ mobileを取り扱っており、新規登録や機種変更などのサポートを受けられます。
利用できるプランは「トクトクプラン」「コミコミプラン+」「ミニミニプラン」の3種類。シニア世代におすすめなのは「ミニミニプラン」です。
ミニミニプラン | |
---|---|
データ容量 | 4GB |
月額基本料金 | 2365円 |
家族セット割 | -550円 |
ミニミニプランはデータ容量4GBで、対象プランを家族で2回線以上契約すると適用される「家族セット割」なら回線ごとに毎月550円の割引となります。たとえば離れて暮らす子どもと一緒にUQ mobileの対象プランに加入すれば、それぞれ550円の割引となります。
そのほか、「家族セット割」との併用はできませんが、auひかりやauでんき、ケーブルテレビなど割引対象のサービスとセットで契約すれば毎月1100円が割引されます。

また、ミニミニプランとトクトクプランは、「60歳以上通話割」も使えます。60歳以上限定で、通話放題のオプション(通常料金は月額1980円)が月額880円になるのと、メールサービス(月額220円)が無料になります。
毎月のデータ使用量が少なめなら、ミニミニプランやトクトクプランがよいでしょう。ただし、割引サービスを利用しないとお得さはありません。単独で契約するのではなく、家族で契約する、あるいは割引対象のサービスを利用している(利用する予定がある)ユーザーにおすすめです。
- 家族全員お得になる家族セット割に対応
- 60歳以上は通話放題のオプションが割引される
- 5G通信に対応
- auショップやUQ mobile取扱店でサポートを受けられる
- 割引がないと割高
- 新規契約時に3850円の事務手数料が発生する
シニア世代がスマホ回線を選ぶときのポイントは?
シニア世代(60歳以上)がスマホのプランを選ぶ際は、おもに以下の点に着目しましょう。
若い世代であればとにかく料金が安いプランやデータ使用量の多いプランなどが候補にあがりますが、シニア世代なら安心感やサポート面を重視しつつ、リーズナブルなプランがおすすめです。
ポイント1:大手キャリア・大手企業の安心感

「格安SIM」や「MVNO」「オンライン専用プラン」といった言葉を目にすることが増えました。どれもスマートフォンを安く利用するためのキーワードですが、サービスを提供している企業名を聞いても、いまひとつピンと来ない名前ばかりと感じる人も多そうです。よく知らない企業と契約してよいものか、不安になるのも仕方ありません。
しかし、「NTTドコモ」や「KDDI」「イオン」という名前ならどうでしょう。どれも聞いたことのある企業です。これらの企業が提供している通信サービスなら、安心と感じる人は多いのではないでしょうか。
今回、端末については触れていませんが、大手キャリアやそのサブブランドならシニア向けのスマートフォンを用意しています。端末と一緒に契約する場合でもラインアップが充実しているので、特に初心者にも安心です。
ポイント2:ショップでサポートを受けられる

楽天モバイルショップ
格安SIMやMVNO、オンライン専用プランは、スピードと安さを提供する代わりに、手続きをオンラインに限定しているところがほとんどです。この場合、プランの選択から登録、機器の設定まですべて自分でおこなう必要があります。
いくつもある候補の中から自分にぴったりのプランを選ぶのは、詳しい人でも大変です。端末だって、使う本人が実際に触れて試すのが理想のはずです。ショップならシニア向けに作られた端末を試したり、スタッフのおすすめの端末を尋ねたりできます。
今回は、ショップでもオンラインでも登録できるサービスを集めています。最短で登録したければオンラインを利用し、ゆっくり相談しながら決めたい人はショップサポートを選ぶといった選択肢があります。
一部有料のサービスもありますが、希望すればSIMカードをセットして、通信サービスをすぐ利用できる状態で渡してもらえます。スマホに慣れていないなら、ショップサポートを利用できるプランのほうが安心です。
ポイント3:リーズナブルな料金
MMD研究所の調査結果によると、「スマートフォンを契約している通信会社を選んだ理由」の筆頭に、通信料金の安さがあがっています。

シニア世代がスマホ回線を選んだ理由のうち、「料金」が最も多い
今回紹介している4サービスは、いずれも1000円〜2000円程度で利用できるプランを用意しています。キャリアが推すプランを契約するよりも、はるかに低料金です。普段はWi-Fiに接続し、外出時のみモバイルデータ通信を利用するというライトなユーザー向けにして、低料金を実現しています。
注意したい点もあります。イオンモバイルと楽天モバイル以外の2サービスは、特定の条件をクリアしているユーザーだけを優遇しているということです。そうでないユーザーは割高な料金になります。
条件というのは、指定の光回線やルーターサービス、クレジットカードを一緒に契約(使用)するということです。同じキャリア内でプランを乗り換える場合は、すでに条件をクリアしているユーザーも多いかもしれません。しかし新規に契約する場合、これらの条件が重荷になることがあります。
ポイント4:子どもやパートナーと同じ回線

シニア世代の中には家族と同じスマホ回線を選ぶ人も多い
「スマートフォンを契約している通信会社を選んだ理由」では、「家族が同じ通信会社を利用しているから」というのも上位にランクインしています。
子どもやパートナーが利用しているのと同じ通信会社であれば、家族内の通話が割安になったり、基本料金が割引されたりという特典が用意されているケースも多いです。
トラブルがあったときに、家族と情報を共有できるのは心強いことでしょう。通信会社で迷ったら、家族が使っている回線を選ぶという決め方も十分にありです。
本記事で記載している金額はすべて税込金額です。