日々iPhoneを使っている中で、「動作がもたついて重い」「遅くなって困っている」ということはないでしょうか。
重く感じる原因はバッテリーの寿命をはじめ、アプリやキャッシュ、ネットワークの影響、OSや端末の不具合など様々なことが考えられます。そこで本記事では、なるべく利便性を損なうことなく、緩慢になったiPhoneの動きを軽くできる可能性のある設定や改善法をまとめてみました。
iPhoneの動作が重くなる原因とは?
iPhoneが「重い」「遅い」と一口に言っても、その症状はアプリの速度低下にはじまり、動作が固まる、突然クラッシュするなど多彩です。原因はストレージ容量の不足や一時的なメモリ逼迫のほか、アプリ単位ではデータが端末に溜まりすぎているといったことが影響していると考えられます。
かつては、iOSをアップデートするとiPhoneの動きが全体的に遅くなった、といった報告が散見されましたが、最近はiOSバージョンの新旧はiPhoneの動作速度には大きく影響しないようです。
このように、実際に何が原因となっているのかを正確に特定することは現実的に難しいため、まずは以下で紹介する方法で動作が改善されるか試してみましょう。それでも効果に乏しいという場合には、最終的にiPhoneを修理に出すといった対応が必要になるかもしれません。
詳しくは後述しますが、iPhoneのバッテリー劣化がパフォーマンスに影響を与えていることも知られており、その可能性が高いときにはバッテリー交換が最大の特効薬となるでしょう。
iPhoneが重い・遅いときに試したい対処法
iPhoneの動作が重い・遅い場合に試してみたい対処法について、なるべく手軽におこなえて効果が期待できるものに絞って列挙しました。
使っていないアプリを完全に終了させる
特定のアプリによってiPhoneの動作が重くなってしまっている場合には、アプリの強制終了により動作が改善することもあります。
起動されたアプリはメモリ上に作業領域を確保しますが、アプリの起動状況によってはメモリ領域が不足し、動きが遅くなるということが起こり得ます。そこで非常に基本的な方法として、いったんアプリを終了させることが挙げられます。
画面下部をタップしたまま上にスワイプ(ホームボタン搭載機ではホームボタンを2度押し)すると、現在動いているアプリや過去に使ったアプリがAppスイッチャー画面(マルチタスク画面)に表示されます。ここでアプリを上にスワイプすれば、完全に終了させることができます。
アプリのバックグラウンド更新をオフ
iPhoneに様々なアプリをインストールしていると、その分だけ「Appのバックグラウンド更新」もおこなわれています。これは、アプリを直接起動して使っていない時も裏(バックグラウンド)でコンテンツを更新することを許可しているということです。


すべてを無効にすることは、利便性を考えるとあまりおすすめできませんが、更新する必要のないアプリ(リアルタイムの情報が不要なアプリ)のバックグラウンド更新をオフにすれば、メモリへの負荷軽減だけでなくデータ通信量やバッテリー消費の節約にもつながります。
設定方法は簡単で、「設定」アプリから
→ と進み、更新が不要なアプリのスイッチをオフにします。視覚効果(視差効果や透明度)を見直す
iPhoneには、画面の切り替えを美しく見せたり、壁紙などを奥行きがあるように表現できる効果が搭載されています。これらをオフにすることにより、CPUやグラフィックなど端末への負担軽減が期待できます。特に“軽くなった”感を得られる効果が高いとされているのが「視差効果」と「透明度」です。
視差効果を減らす


「設定」アプリから
→ と進み、「視差効果を減らす」のスイッチをオンにします。アプリ開閉時やロック画面の解除時のアニメーションなどがすべて簡易化されるほか、デバイスを傾けた時に壁紙やアプリが少し揺れ動く効果などがなくなるため、端末の負荷が軽減します。視覚的に動作のゆったり感が失われて速くなったように感じるかもしれません。
また、「視差効果を減らす」をオンにすると、「クロスフェードを優先」というスイッチが表示されます。これは「設定」アプリや「写真」アプリで、新しい項目に移動する際のスライドアニメーションを簡易化する設定です。初期状態ではオフになっているので、端末の負荷を少しでも軽減したい人はオンにしておきましょう。
透明度を下げる


iPhoneのドックやフォルダ、通知センターには背景が透ける視覚効果が施されており、端末への負荷が少なくないとされています。
手順は同じく、「設定」アプリから
→ → と進み、「透明度を下げる」のスイッチをオンにします。
「透明度を下げる」がオフ

「透明度を下げる」がオン
透明度を下げると壁紙などが透ける効果がなくなり、画面の見た目が変化します。こちらも動作の改善が期待できる方法の一つとなっています。
Siriからの提案の無効化(Spotlight検索など)
Spotlight検索やウィジェットに表示される「Siriからの提案」も、iPhoneの動作を重たくさせている要因の一つかもしれません。
まずSpotlight検索を使っているかどうかの見直し、そしてたとえば連絡先を探す目的でしか使っていないということであれば、それ以外のアプリをSiriからの提案対象から除外しましょう。


「設定」アプリの
に進み、「Siriからの提案」のオプションをオフにします。これで、検索でアプリやWebサイトの候補が表示されなくなります。「ホーム画面上での提案」は、Spotlight検索画面でSiriからの提案を表示する機能です。こちらも不要ならオフにしておきましょう。

無効化前

無効化後
「Siriからの提案」を一括でオフにしたくない時や、検索画面に表示される情報を整理したい時は、手間ですが検索対象から外すアプリを一つひとつオフにしていきます。


「Siriと検索」画面をスクロールすると、アプリのリストが表示されます。タップして開き、表示されているオプションをすべてオフにします。


ウィジェットに表示されている「Siriからの提案」は、編集画面で削除できます。ホーム画面を右にスワイプして「今日の表示」を表示したら、画面の一番下にある
ボタンをタップします。「Siriからの提案」の左上にある
をタップし、表示される ボタンでウィジェットから削除されます。キーボードの予測変換をリセットする
キーボード入力がワンテンポ遅れる、もたつくといった症状も多いようです。キーボード入力が遅いと入力ミスも増えるため、ストレスも溜まります。
この原因は、使えば使うほど学習機能によって蓄積される予測変換のデータが重くなっていると考えられています。この変換学習をリセットすることで、キーボードに関する動作が改善される場合もあります。


予測変換候補のデータはリセットされてしまうわけですが(自分で登録した)ユーザー辞書は削除されないため、試してみたい対処法の一つです。
「設定」アプリから[一般]→[リセット]と進み、[キーボードの変換学習をリセット]をタップします。パスコードを入力した後、[変換学習をリセット]を押せばリセット完了です。
サイズが肥大化しがちなアプリを再インストール
特定のアプリにおいて起動や動作が遅い、よく落ちるといった場合は、そのアプリ内でキャッシュなどのデータが大きくなりすぎているのが要因となっていることも少なくありません。FacebookやInstagramなどは、使えば使うだけキャッシュが溜まりやすいアプリの代表例といえます。


キャッシュクリアできるサードパーティアプリを用いるのも手ですが、FacebookやInstagramのようにクラウド上にデータが保存されているアプリなどでは、一度アンインストールした後に再インストールすることにより、動作が軽快になるケースがあります。
アンインストールの方法は、ホーム画面でアプリのアイコンを長押しで表示されるクイックアクション内から
を選択するか、そのまま長押しを続けるとアイコンに現れる をタップし を選択するかです。 をタップしてアンインストールした後はApp Storeでアプリを再びインストールし、アカウントにログインすればOKです。注意したいのは、アプリをアンインストールすると端末内に保存されていたデータも削除されるという点です。代表的なものは「LINEのトーク履歴」などです。
SNSアプリをアンインストールする際は、端末内に保存しているデータがないかを確認しましょう。バックアップをせずアンインストールをすると、当該データが消えてしまい、再インストール後も復元できません。

LINEアプリ

Twitterアプリ
そこで、アプリ内でキャッシュを削除できるものについては、再インストールに先立ち、できるだけアプリで操作することをおすすめします。
LINEなら設定ボタン
→ → でキャッシュを削除できます。Twitterであれば、 → → → をタップして、画像のキャッシュデータを削除可能です。Safariなどに溜まったキャッシュ・Cookieをクリア

不要なタブは削除しよう
iPhoneの標準ブラウザ「Safari」もよく使うアプリだけに、動作が重たく感じられることが多いアプリです。もしタブをたくさん開いているならば、閉じてしまいましょう。

Safariはサードパーティ製のアプリと違ってアンインストールできませんが、これまでに蓄積されたCookieやキャッシュ、閲覧履歴を削除することで動作が改善する場合があります。ただし、Webサービスのログイン状態がリセットされるため、再度ログインが必要となります。
削除の方法は簡単で、「設定」アプリから
を選択し、 をタップすることで削除可能です。
なお、「設定」アプリの
で「パスワードを自動入力」がオンになっていれば、履歴やWebサイトデータを消去したあと、再ログインのときに毎回パスワードを入力する手間が省けます。iPhoneをクールダウンさせる
高い負荷をかけるゲームや複数のアプリを操作していると、iPhoneが発熱することがあります。本体が持てないくらいに熱くなっている時は、パフォーマンスも低下しやすくなっています。これ以上の発熱を防ごうと、CPUがパフォーマンスを落とす処理をおこなうためです。そのためアプリを終了したり、別のアプリに切り替えても動作が重たく感じられることがあります。
iPhoneが熱くなっている時は、温度が落ち着くまでしばらく放置します。涼しい場所に置いたり、ケースカバーを外したりしてもよいでしょう。
ただし冷蔵庫に入れたり、保冷剤をあてたりといった、急激な温度変化を起こすのは避けてください。本体の内部で結露が発生する原因になります。CPUがフル稼働できる環境に戻れば、パフォーマンスも戻ります。
iPhoneを再起動する
不具合発生時の定番ですが、iPhoneを再起動してみましょう。再起動には通常の再起動と、端末が操作も受け付けなくなってしまった場合などの強制的な再起動があります。
ストレージ空き容量を確保する
一時ファイルやキャッシュを保存するのに十分な容量がなくなると、iPhoneのパフォーマンスは落ちてしまいます。
ストレージの空き容量が5GBを切るなど極端に少ない時は、使っていないアプリや不要なデータを削除して、iPhoneの空き容量を確保すればパフォーマンスは改善される可能性は高いでしょう。
iPhoneの初期化・復元も検討
いろいろ試して改善がみられない場合、「すべての設定をリセット」することも考慮されます。
ただ、リセット後の手間なども考えると、iTunes/FinderやiCloudでiPhoneのバックアップを取ったうえで初期化し、復元する方法も一考でしょう。
iPhoneのバッテリー交換で改善する場合も
iPhoneのバッテリー劣化が進むと、強制シャットダウンが発生することがあります。そうした状況下でもiPhoneを継続して使えるように、iOSが端末のパフォーマンス(性能)を意図的に低下させ、強制終了を防ぐ仕組み(パフォーマンス管理機能)が採用されています。
「設定」アプリで
→ と進み、「ピークパフォーマンス性能」の項目を確認してみましょう。
上の画像のようにパフォーマンス管理が適用されている場合、バッテリー劣化による性能低下が生じているということになります。これを無効化すれば、性能低下は解除することが可能です(ただし、手動で再びオンにはできなくなります)。

また、バッテリーが著しく劣化していると、上のようなメッセージが表示されます。
そのまま使い続けても安全性自体には問題ないとされていますが、バッテリーを交換すれば快適に使えるようになります。なお、バッテリー劣化は「最大容量」の項目でもある程度確認できます。80%近くになっているようであればバッテリー交換を検討しましょう。