iPhoneのバッテリー(電池)は消耗品なので、経年劣化が進むにつれて性能が低下し、駆動時間が短くなります。Appleによればバッテリーの劣化が激しくなると、突然シャットダウンしてしまうこともあるそうです。普段iPhoneを使っていて、バッテリーの持ち時間が気になってきたら交換を検討しましょう。
本記事では、iPhoneのバッテリー交換にかかる費用や予約方法などを整理。そのうえで、実際にiPhoneを店舗に持ち込んだり、配送修理を依頼したりしてバッテリーを交換したときの流れや必要な準備などについて解説します。
iPhoneのバッテリー交換にかかる費用はいくら? 方法は?
長い間、iPhoneを使っているとどうしてもバッテリーの性能が低下してきます。そこで、いざバッテリーを交換しようというときに、いくらの費用がかかるのか、そもそもどうやってバッテリー交換を申し込むのかという点について以下にまとめました。
料金は機種や状況によって異なる、無料になる場合も
iPhoneのバッテリー交換にかかる費用は、使用している機種および保証状況によって変わってきます。無償修理で済むケースと、有料修理になってしまうケースの2つに分けて解説します。
無償修理になる場合
Image:AppleCare+
iPhoneのバッテリー修理が無償になるのは、「Apple製品限定保証」または「AppleCare+」の保証対象である場合に限られます。
Apple製品限定保証とは、製品購入後1年以内の不具合を対象に無償の修理を保証するというものです。ただし、バッテリー交換に関しては製造上の欠陥によるバッテリー不具合のみの対応となるため、通常の使用による劣化は保証の対象外になる点について注意が必要です。
AppleCare+は、iPhone購入時に加入できるAppleの保証プランです。保証期間は2年間で、その間に発生した本体のトラブルに対して特別料金もしくは無償で対応してくれるサービスです。iPhoneのバッテリー交換は、AppleCare+の無償での対応に含まれます。
ただし、AppleCare+でバッテリー交換が無償となる対象は、iPhoneのバッテリーの蓄電容量(最大容量)が本来の80%未満に劣化した場合に限られます。80%以上の蓄電容量がある場合は、AppleCare+に加入していても無償対応の対象にはなりません。
自身のiPhoneがAppleCare+の対象であるかどうか分からない場合は、下記ページでiPhoneのシリアル番号を入力して確認できます。
製品の保証状況とサービス期間を確認する - Apple サポート
有料修理になる場合
上記の無償修理になる場合以外のバッテリー交換は、すべて有料修理となります。有料修理の場合は機種によって料金が変わるので、自分のiPhoneだといくらになるのか事前に確認しておきましょう。
- iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone 11 Pro Max、iPhone 11 Pro、iPhone 11:7400円
- iPhone SE、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone 8、iPhone 8 Plusほか:5400円
ただしAppleによると、上記価格はAppleで修理をおこなった際にかかる料金であり、Apple正規サービスプロバイダでの修理料金は異なる場合があるとしています。
交換方法は「持ち込み修理」「配送修理」の2通り
iPhoneのバッテリー交換の方法には大きく、「持ち込み修理」と「配送修理」の2通りがあります。
「Apple サポート」を利用すれば、簡単にApple正規店でのバッテリー交換予約ができる
持ち込み修理の場合は、Apple StoreかApple正規サービスプロバイダ、携帯キャリアの直営ショップに、バッテリーを交換したいiPhoneを直接持っていく必要があります。
Apple Storeは現時点で東京、名古屋、京都、大阪、福岡にしかないため、それ以外の地域に住んでいる人はApple正規サービスプロバイダを探して持ち込むのがよいでしょう。持ち込み修理の場合、バッテリー交換だけであれば、その日のうちにiPhoneを持ち帰ることができます。
配送修理では、着払いで配送業者が端末を引き取りにきてくれる(Image:Apple)
配送修理は、iPhoneをAppleリペアセンターに配送し、バッテリーの交換をしてもらうサービスです。iPhoneを発送してから手元に戻ってくるまでの時間はかかってしまいますが、Apple Storeなどにわざわざ行く必要がないので、日本全国どこに住んでいてもバッテリー交換ができます。
オンライン上で配送を手配すると、配送業者が集荷に来るので、バッテリーを交換したいiPhoneを渡すだけでOKです。詳しい手順は後述します。
交換前に自分でバッテリー状態(最大容量)を確認しよう
iPhoneでは、「設定」アプリでバッテリーの状態を確認できます。バッテリーの劣化具合がそこまで高くなければ、無理に交換する必要はありません。また、AppleCare+に入っていても、バッテリー蓄電容量(最大容量)が80%以上であればバッテリー交換は有料になってしまいます。
以下の手順でiPhoneのバッテリー状態を確認できます。
「設定」アプリの[バッテリー]から[バッテリーの状態]を開きます。
このiPhoneの最大容量は89%
「バッテリーの状態」の中にある「最大容量」という項目が、現状のバッテリー容量を示しています。ここに表示されるパーセンテージは、新品時のバッテリー容量を100%としたときの数字です。
最大容量が低下してくると、「バッテリーに関する重要なメッセージ」としてバッテリーの交換を促すメッセージが表示されます。このメッセージの出現が、バッテリー交換時期の目安の一つといえます。
店舗に持ち込んでiPhoneのバッテリーを交換する手順
Appleストアや正規サービスプロバイダへ直接持ち込んで、iPhoneのバッテリーを交換してもらう方法を解説します。店舗への事前予約やデータのバックアップを済ませておけば、2〜3時間でバッテリー交換が完了します。
持ち込み修理が可能な店舗は?
iPhoneの持ち込み修理ができる店舗は、大きく分けて4種類あります。
- Apple Store
- Apple 正規サービスプロバイダ
- 携帯キャリアの直営ショップ
- 非正規の修理業者
Apple Store・Apple 正規サービスプロバイダ・携帯キャリアの直営ショップでは、Appleの専門研修を受けた技術者がApple純正部品を使用してバッテリー交換修理をおこないます。AppleCare+の保証が受けられなくても、最大7400円(税別)で電池交換ができます。
Appleが定めた料金より比較的安く交換できるのは「非正規の修理業者」です。ただし、部品がAppleの純正でない点や、正規店での修理が以後受けられない、あるいはメーカー保証が受けられない可能性があるといったデメリットが存在します。
事前準備:持ち込み修理に必要な予約や準備
自宅の近くにあるAppleストアや正規サービスプロバイダに持ち込む場合は、あらかじめ予約をしておきましょう。予約をせずに直接ストアへ行っても他の客でいっぱいで、当日の対応を断られる可能性があります。予約は「Appleサポート」というアプリを使ってiPhoneから申し込めます。
Appleサポートを起動したら、[サポート]タブからバッテリーを交換したいiPhoneを選択しましょう。
ここには、同じApple IDを登録している端末が表示されます。
[バッテリーと充電]→[バッテリー交換]と選択して進みます。
画面が切り替わったら予約をします。[正規のストアを検索]をタップしてください。
現在地から近いストアが一覧表示されます。タブを切り替えれば、地図上で近隣ストア一覧が確認できます。「原宿駅」などのキーワードを入力して検索することも可能です。
今回はApple丸の内店で交換することにしました。
ストアを選択すると、予約可能な日時が一覧表示されるので、都合のよい時間を選び[予約]すれば完了です。
バッテリーを交換する際はストアでiPhoneを初期化するため、予約前にはバックアックを取得しておきましょう。手順は以下を参考にしてください。
持ち込み当日:店舗で修理、どれくらいの時間で済むか
予約日時に、東京駅の近くにあるAppleストア丸の内店へ行きました。ストア内の写真は撮れませんが、交換する際の流れを紹介します。
店頭でのバッテリー交換には、写真付きの身分証明書(免許証など)が必要です。忘れずに用意しておいてください。
1店舗にて、スタッフに予約で来店した旨を伝える
丸の内店は、1FでApple製品を販売していて、2Fに修理や交換をするGenius Barがあります。2Fへ案内されたら、スタッフにバッテリー交換の予約で来店した旨を伝えると、テーブルで待つように告げられます。
筆者は事前に予約していた時間より5分ほど早めに着いたのですが、ほとんど待たずにスタッフに声をかけられました。
2バッテリーの状態を診断
最初にスタッフが持っている端末で、バッテリーの劣化具合や、修理可能な条件が揃っているかを診断した後、あらためて交換するか確認されます。バッテリーの交換を推奨する目安は、最大容量が80%以下だそうです。ただし、希望すれば80%以上でも交換するとのことでした。
現在のバッテリー最大容量は、「設定」アプリで[バッテリー]→[バッテリーの状態]から確認ができます。
また、バッテリー持ちをよくさせるコツを、その場でスタッフが教えてくれました。筆者の端末利用状況を一緒に見ながら、あまり使用しないアプリでの位置情報サービスをオフにすることや、画面の輝度を「自動」に設定しておくとよいなど、個別性の高いアドバイスがもらえ、参考になりました。
3バッテリー交換は2時間程度かかる
バッテリー交換には2時間ほどかかるとのこと。いったん外で時間を潰して再度来店してほしいと告げられます。このときは特に控えや整理券は受け取らず、Genius Barに再来店した際にスタッフに声をかけるだけでOKと言われました。
ただし、バッテリーの在庫がない場合は、後日に来店する必要があるとのこと。バッテリーの用意には最長で1週間程度かかるそうです。
左:「iPhoneを探す」をオフに右:Walletに紐づくモバイルSuicaを一旦削除する
iPhoneを預ける前には、Walletに紐づいている「モバイルSuica」の削除と、「iPhoneを探す」をオフにするように指示されます。
モバイルSuica以外のクレジットカードなどは、Walletに紐付いていても問題ありませんが、モバイルSuicaだけはバッテリー交換時に影響があるためカードの削除が必要だと説明を受けました。モバイルSuicaは、端末が戻ってきたらWalletから簡単に再設定できるので安心してください。
「設定」アプリを開き、Apple IDページの[探す]から「iPhoneを探す」をオフにできます。いずれも、スタッフと一緒に操作していきます。
4支払いを済ませてiPhoneを受け取る
2時間後に再度Appleストアへ赴くと、バッテリー交換が無事に終わっていました。スタッフに受け取りの旨を伝えると、預けた端末をカウンターに持ってきてくれます。写真付きの身分証明書を提示し、料金を支払えば完了です。
今回はiPhone 7のバッテリー交換で、AppleCare+の保証対象外だったため、5400円(税別)を支払いました。バッテリー交換の費用については前述しています。
バッテリーの最大容量は、交換前の85%から100%に回復しました。
モバイルSuicaをWalletに再追加しておく
バッテリー交換時に「削除」したモバイルSuicaの情報はJR東日本のサーバーに保管されているため、いつでも復元できます。iPhoneの「設定」アプリから[WalletとApple Pay]へ進み、[カードを追加]→[続ける]→[Suica]を選択すると、削除したSuicaの情報が表示されます。
残高などもそのまま変化ないはずなので、右上の[次へ]をタップしてください。WalletへのモバイルSuicaの再連携が完了します。
配送修理でiPhoneのバッテリーを交換する手順
Appleの配送修理を使って、iPhoneのバッテリーを交換する手順を解説します。
配送修理は店舗への持ち込み修理と異なり、バッテリーを交換したiPhoneが手元に届くまで時間はかかります。しかし、持ち込み修理に対応している店舗がない地域に住んでいる人や、店舗まで持っていく時間のない人には便利な手段です。
iPhoneの配送修理の前に確認すべきこと
配送修理をおこなっている間は、手元にiPhoneがない状態となります。iPhoneを配送業者に預ける前に以下の点を必ず確認しておきましょう。
- 修理中の代替機を自分で用意する
- iPhoneのバックアップをとる
- SIMカードやアクセサリーは取り外す
iPhoneの配送修理に代替機などのオプションはないので、配送修理中は以前使っていた古いiPhoneにSIMカードを差し替えて使うなどの対応が必要になります。メインの携帯電話として使っているiPhoneを配送修理に出す場合は、必ず事前に代替機を用意しておきましょう。
また、配送修理に出す前にiPhoneのバックアップをiCloudかPCに取ってください。バッテリー交換の際にはiPhoneのデータが初期化されてしまいます。iPhoneのバックアップの取り方と復元方法は下記記事を参照してください。
配送修理に出す前に必ずSIMカードは抜いておく
最も気を付けなければならないのが、ケースなどのアクセサリー類やSIMカードを付けたまま配送修理に出してしまう場合です。アクセサリーやSIMカードなどを付けたままAppleに送ってしまうと、いかなる場合でも返送されないので重ねての確認が推奨されます。
iPhoneを配送するまでの手順(修理・集荷の依頼)
iPhoneの配送修理をするには、Appleのウェブサイトからバッテリー交換をするiPhoneと集荷日時を事前に登録する必要があります。今回はPCでの登録手順を紹介します。なお、iPhoneのブラウザからでも申し込み手順は同様です。
1Appleのサポートページにアクセスする
Appleのサポートページにアクセスし、[バッテリーと充電]をクリックします。
iPhoneのバッテリートラブルに関するトピックから、[バッテリー交換]を選択してください。
バッテリー交換のためのオプションが表示されたら[配送修理]をクリックします。
2Apple IDでログインする
配送修理を選択すると、Apple IDでのログインが求められます。自身のApple IDとパスワードを入力しましょう。
ログインが完了すると、ログイン中のApple IDで登録しているデバイスが表示されます。ここで、バッテリーを交換したいデバイスを選択してください。今回はiPhone 7のバッテリーを交換します。
3配送先情報を入力する
バッテリー交換をする機種を選ぶと、配送先情報の入力画面に遷移します。ここでは、修理の見積りを確認できます。バッテリー交換を申し込んだiPhone 7は、AppleCare+の保証対象外のため5400円(税別)での修理見積りとなりました。
「配送先」の部分では、配送業者にiPhoneを集荷に来てほしい住所を入力します。「メールアドレス」欄に入力したメールアドレスに、修理状況の情報が配信されます。ここに入力するメールアドレスは、Apple IDとして登録しているメールアドレスでなくてもOKです。普段使っているメールアドレスを入力しておくと良いでしょう。
続いて、配送業者による集荷日時の指定をおこないます。翌日以降の9時〜21時までの間(2時間刻み)から選択できます。なお、夕方や夜に申し込みをした場合、翌日の日中での集荷は指定できないので注意してください。
集荷日時を指定したら[続ける]をクリックします。
4支払い方法を入力する
最後は支払い方法の入力です。配送修理でのバッテリー交換では、「クレジットカード」か「代金引換払い」のどちらかから支払い方法を選択します。
代金引換払いを選択した場合は、バッテリー交換をしたiPhoneが手元に届いたときに現金で支払いをおこないます。クレジットカードを持っている人は、クレジットカード払いを選択したほうが現金支払いの手間が省けて便利でしょう。
支払い方法を選択し、クレジットカードの場合は必要情報を入力したら[修理の詳細を確認する]をクリックしてください。
5配送修理の準備をおこなう
最後に配送修理前の準備をおこないます。まず、配送修理に出すiPhone上で「iPhoneを探す」をオフにします。「iPhoneを探す」をオフに設定したら、[「iPhoneを探す」がオフになっていることを確認する]をクリックします(①)。
その後、Appleの利用規約を確認し、「Appleの利用規約に同意します」のチェックボックスをクリック(②)。最後に[送信]を選択します(③)。
「リクエストを承りました」という画面が表示されたら、配送修理の申し込みは完了です。配送先情報のページで入力したメールアドレスに確認メールが届きます。
あとは配送業者による集荷を待ちましょう。
iPhoneを発送してから手元に届くまでどれくらいかかったか
配送修理の申し込み時に指定した日時に配送業者が集荷に来ます。最後に配送修理前の準備が確実に整っているかを確認しましょう。重ねての注意となりますが、SIMカードやアクセサリーを付けたまま送ってしまうと、Appleから返送されることはありません。
何も付けていない状態でiPhoneを渡すだけ
集荷に来た配送業者には、バッテリー交換をしたいiPhoneを渡すだけです。こちらで梱包などをする必要はありません。
配送業者にiPhoneを託したら、あとはバッテリー交換が完了するのを待ちましょう。申し込み時に登録したメールアドレスに、Appleから修理状況の最新情報が送られてくるので、気になる人はメールを確認しておくと良いでしょう。
左:iPhone受領のメール右:修理完了のメール
筆者の場合は、配送したiPhoneの受領と修理完了のお知らせがメールで送られてきました。
A4用紙ほどの箱で返送されてきた
その後、修理完了のお知らせの翌日にバッテリー交換が完了したiPhoneが返送されてきました。受け取ったダンボール箱のサイズはA4用紙ほどです。
ダンボール箱を開けると、iPhone大の白い箱が入っていました。
白い箱の中には、バッテリーを交換したiPhoneとともに、修理内容および修理後の保証に関する書類が同梱されています。念のため、Appleによっておこなわれた修理内容がバッテリー交換になっているかを確認しておきましょう。
返送されたiPhoneは初期化されているため、配送前に取ったバックアップからの復元が必要です。iPhoneをバックアップから復元する方法については、下記記事を参照してください。
iPhoneのデータをバックアップして復元する2つの方法──PC(iTunes/Finder)・iCloudバックアップの違いと手順まとめ
左:バッテリー交換前右:バッテリー交換後。「バッテリーに関する重要なメッセージ」も消えている
バックアップからの復元を終え、バッテリーの最大容量を確認してみると、74%から100%になっているのが確認できました。
以上で、配送修理によるiPhoneのバッテリー交換は完了です。筆者の場合、東京都内からAppleのリペアセンターに配送をしたところ、手元に届くまで4日間かかりました。
ただし住んでいる地域によっては、もっと日数を要する可能性があります。Appleによれば、通常の修理期間は5〜7営業日以内に完了するそうです。