2017年、各社がこぞってスマートスピーカーを日本国内で発表・発売しています。これまでのスピーカーとは違って単体でインターネットに接続して、さまざまな機能を利用できます。
今回は、中でも注目を集めている「Google Home」(税抜1万4000円)をレビューします。Google Homeは、AndroidスマートフォンやiPhoneでも利用できる会話型AI「Googleアシスタント」を搭載しており、Googleのサービスだけでなく、動画配信サービスや音楽配信サービス、スマート家電などの操作にも対応するスマートスピーカーです。
なお、同時に発表された小型タイプは「Google Home Mini」(税抜6000円)です。できることはさほど変わりませんが、音楽を聴くならスピーカーとしての性能が高いGoogle Homeがおすすめです。
サイズは一般的なワイヤレススピーカーと近い
Google Homeは、最近トレンドになっている円柱形に近い形のスピーカーです。BOSEなどからも、似たような形の円柱形のスピーカーが登場しており、大まかな形は似ています。360度どの方向からでもサウンドを楽しめるスタイルです。
Google Homeは円柱形のスピーカー
スピーカーとしての基本性能はまずまずで、同価格帯のBluetoothスピーカーと比べても見劣りすることはありません。普通のユーザーなら満足できる音質です。ただし、過剰な期待は禁物。サウンドにこだわる方は物足りなく感じる可能性もあります。そんな時には、音楽再生用として別のスピーカーを併用すると良いでしょう。音声認識には、手ごろな価格のGoogle Home Miniを購入して音声認識などをさせればよいわけです。
サイズは、高さが142.8ミリで直径96.4ミリです。かなりコンパクトなので置き場所を取りません。
HUAWEI P9と比較してもこの通り。かなりコンパクトだ
デザインはかなりいいのですが、それと知らずに見るとアップル製品のような外観です。ボディーは上質な白のつや消しの樹脂とファブリックで構成されています。
本体下部はファブリックで質感が上々
本体にはほとんど触れずに利用する
基本的には、ほとんどの操作を音声だけでコントロールできるので、本体にはあまり触れることなく使うことになります。本体上部にはLEDが内蔵されていて、音声認識や手動操作に対する反応をフィードバックしてくれます。近未来的なランプの点滅がなんとも素敵です。また、この上面を指でスワイプするとボリュームが調整でき、タップで音楽などを停止できます。
上部のLEDで動作の状況がわかる。とてもお洒落だ
また、本体背面にはボタンが1つあってマイクをミュートすることができ、音声認識を止められます。
本体背面のボタンでマイクをミュートできる
基本的には電源アダプターを接続すれば準備完了。あとは、スマホにアプリをインストールすれば利用可能です。詳しい設定方法は下記記事を参考にしてください。iPhoneとAndroidスマートフォンの両方で試してみましたが、設定方法の違いはほとんどありませんでした。
「Google Home(グーグルホーム)」の使い方 完全ガイド
定番の「天気」はそつなく答えてくれる
スマートスピーカーは、単に音楽などを再生するだけでなく、スマホ的な機能を持っています。声で問いかけたことを音声で返してくれたり、さまざまな機器の操作ができます。
Google Homeへの問いかけは、「OK Google」もしくは「ねぇ Google」と話しかけることでスタートします。このキーワードを話さない限り、Google Homeに搭載されたGoogleアシスタントは自分への命令だとは思いません。ちょっと面倒なのですが、慣れてしまえば気になりません。スマホに「OK Google」と話しかけるのと同じだと思って下さい。返事をしてくれる声もAndroidスマートフォンでおなじみの女性の声です。
「百鬼夜行」の意味を教えてもらった
音声サービスの利用でまず試してみたくなる天気を尋ねるには「ねぇ、グーグル。明日の天気を教えて」などと話しかけます。これで、気温や天候を教えてくれます。「明日の山梨の天気を教えて」と、場所を入れても正しく回答してくれました。認識率はほぼ完璧で、レスポンスも上々です。ほとんど待たされないのは良いところです。
天気を問いかける定番の操作は問題なくおこなえた
割り込みにもきちんと対応する
「今日はどんな日?」と尋ねると、時刻に加え、今日の天気などを教えてくれます。朝起きたらとりあえず聞いてみると良いでしょう。気候に加え、最新のニュースまで教えてくれます。
「今日はどんな日」と尋ねると、朝に知っておきたい情報をまとめて取得できる
ここで面白いのが割り込みで質問した場合の動作です。ニュースを再生している途中で「ねぇ、Google。東京駅へ行きたい」と、外出の予定について問いかけてみました。すると、ニュースの読み上げを一時停止して道案内をしてくれたあとで、ニュースの読み上げを再開してくれるのです。割り込みにきちんと対応してくれる点は便利だと感じました。
音楽の再生と停止も、特に問題なく声でコントロールできます。しかし、聴きたい曲があって、そのタイトルを忘れてしまったようなときには、目的の曲が再生できません。スマホを利用すると、うろ覚えでもリストを見て曲を再生できます。このあたりが、使ってみるともどかしく感じる部分です。Google Homeは、気軽に操作をしたり、ちょっとした情報を取得するのに向いていると言えるでしょう。
音楽の再生や停止もほぼ問題なくできる
テレビのコントロールが素晴らしい
Google Homeは、スマート家電などのコントロールも対応しています。明かりを点けたり消す操作も音声でコントロールできます。とはいえ、まだ対応製品が少ないので、これから徐々に利用する人が増えていくでしょう。
今回は、テレビの電源オン・オフを試してみました。HDMI-CEC対応のテレビにChromecast(クロームキャスト)を接続して使っているのが前提ですが、試してみたところなかなか快適でした。
対応機種なら音声でテレビの電源をオン・オフにできる
Google HomeとChromecastとの組み合わせでは、音声操作によってYouTubeとNetflix(ネットフリックス)をテレビで再生させることもできます。
また、Chromecastを利用すれば、Googleフォトに保存してある写真のスライドショーをテレビで楽しめます。同一人物が写っている写真をグルーピングできる顔認識機能を有効化していれば、家族や友人、ペットなどの名前を指定して表示することも可能です。
音声指示でGoogleフォトに保存している写真をテレビに表示することも可能
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スマホとの連携が弱いのが欠点
実際に使ってみて欠点だと感じたのが、スマホとの連携が弱いことです。
最近では、常にスマホを手元に持っている人が多いはず。家の中にもGoogle Homeとスマホが両方あるのが普通です。その状態で音声認識をすると、スマホ側(のGoogleアシスタント)はユーザーの意図通りに対応できなくなります。
たとえば地図を見たいときには、ディスプレイのないGoogle Homeではなく、ディスプレイのあるスマホが必要です。Androidスマホであれば「OK Google、地図を見せて」とGoogleアシスタントに話しかければ、現在地周辺の地図を表示してくれます。しかし、Google Homeが近くにあると、スマホに音声で話しかけてもGoogle Homeが反応してしまい、スマホで地図を表示できません。この場合、スマホで文字入力して調べるしかないようです。今後は、このようなスマホとの使い分けをうまくできるようにしてほしいところです。もちろん、天気を知りたいとか、ちょっとした難しい言葉を調べたいなら、Google Homeに任せれば問題はありません。
スマホが近くにある環境で話しかけると、Google Homeが反応してしまい、スマホでは思い通りに音声を認識しない。スマホで地図を見たいのに、Google Homeから音声で情報をもらっても嬉しくない
対応サービスのさらなる拡大を
最も気になったのは、現時点では音楽配信サービスがGoogle Play MusicもしくはSpotifyにしか対応していないこと。Apple MusicやLINE MUSIC、AWAなどから音楽をストリーミングできません(auの「うたパス」は2017年11月下旬に対応予定)。Google Home自体はBluetoothスピーカーなので、ペアリングしたスマホを経由してApple Musicなどの音楽を出力できますが、近くにスマホがないと使えない点はWi-Fi対応のスマートスピーカーとして残念な部分です。
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また、動画配信サービスの対応もYouTubeとNetflixのみ。HuluやdTVなどへの対応も望みたいところです。
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まとめ
Google Homeは驚くほど実用性が高く、とてもおすすめです。特にリビングなどのテレビにChromecastを接続しているなら、テレビを含めて声で操作できるようになるのは便利。実際に使ってみて期待以上だと感じました。
とはいえ、非常に便利だと感じる反面、発展途上で「まだまだだな」と思う場面も少なからずあります。しかし、そういった場面を許容できるなら、おすすめできます。朝の忙しい時間にスマホすら操作せずに、色々な情報を受け取れるのはありがたいところです。寝る前の暗い部屋でリモコンを使わずにテレビを消せるのもいいですね。
「Google Home(グーグルホーム)」の使い方 完全ガイド
出展:Google
出展:Google
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部