本の内容をプロのナレーターや声優が朗読してくれる「オーディオブック」が人気です。家事などで手が空いていないときや、移動中などのすきま時間に耳で聴くだけで書籍を楽しめるとあって、いま注目を集めています。
ジャンルはビジネス書から参考書、古典、童話、小説といった具合に多彩です。また、料金をはじめ配信の仕組みはさまざまで、どのオーディオブックサービスを選べばよいか迷ってしまうかもしれません。
本記事では、オーディオブックとはどんなものなのか、そのメリットや注意したい点を解説。そのうえで、おすすめのオーディオブックアプリ7本について特徴をまとめて紹介します。
耳で聴く本「オーディオブック」とは?

Audibleのアプリ画面
オーディオブックとは、書籍の内容を朗読した音声提供サービスです。どのような魅力で人気になっているのでしょうか、また利用するにあたって注意すべき点はあるのでしょうか。
オーディオブックのメリット
オーディオブックには以下のようなメリットが挙げられます。
- 目が疲れない
- すきま時間の「ながら」読書が効率的
- 読書のハードルが下がる
- 読書量が増える
- マルチデバイスで聴ける
オーディオブックは本の内容を耳で聴けるため、利用中も両手が自由になることが大きなメリット。ふだん集中して読書をする時間がとれない人も、日常のさまざまなシーンで「ながら読書」ができます。
「読書する機会が増やせる」というメリットも見逃せません。これは、オーディオブックだと「読書のハードルが下がる」ということも意味しています。
活字を読むのが苦手だったり、集中力が続かなかったりする人も、オーディオブックなら気軽に聴けます。好きなナレーターや声優、タレントが朗読している作品があれば、さらに楽しめるはず。物語調で進む本や会話形式が多い本などは、文字で読むよりも格段に理解しやすく感じられ、オーディオブックとの相性も抜群です。
また、普段スマホやPC漬けで目が疲れがちな人、年齢を重ねて文字を読むのがしんどい人にも、耳だけで楽しめるオーディオブックはおすすめです。実際、オーディオブック利用後に読書量も増加する傾向がみられます。

オーディオブック白書2021
会員数250万人を超えるオーディオブック国内大手のaudiobook.jpが公表した「オーディオブック白書2021」によれば、audiobook.jp利用者2216人にアンケート調査した結果、オーディオブックを利用後、利用前と比べて、読書時間の平均が1.7倍に増加していることもわかりました。
オーディオブックで読書が身近になったユーザーも多いようです。

Amazon Echoシリーズ
さらにオーディオブックは、スマホやタブレット、パソコンなどマルチデバイスで利用できるので、いつでもどこでも楽しめます。
スマートスピーカーに対応するサービスもあります。たとえばAmazonが提供するオーディオブックサービスのAudibleでは、ダウンロードしたコンテンツをAmazon EchoシリーズなどのAlexa対応端末に、「アレクサ、〜(コンテンツのタイトル)を読んで」と呼びかけるだけでオーディオブックを再生することができます。
オーディオブックの注意点
オーディオブックの魅力を紹介してきましたが、万能なサービスではありません。デメリットを挙げるとすれば、品揃えがまだまだ少なく、新作や単品購入では高額なケースもあるという点でしょう。
当然ながら、すべての書籍がオーディオブック化されているわけではなく、話題の本やベストセラーがその中心となっています。マニアックなジャンルや、写真・図解などが多いようなビジュアル重視の本はラインナップが少ないのが現状です。
オーディオブックの単品価格は、一般書籍と同じかそれ以上と高額になりがちな傾向にあります。数冊程度を買うなら単品購入でもかまいませんが、たくさん利用したいなら聴き放題や定額プランなどの月額会員に登録したほうがお得なケースが多くなっています。
オーディオブック おすすめアプリ鉄板7選
おすすめのオーディオブックサービス(アプリ)を7つ紹介します。まずは、各アプリの配信コンテンツの特徴や料金などを一覧表でまとめました。
サービス名 | 料金(税込) | 作品数 | 主なジャンル |
---|---|---|---|
Audible | 聴き放題プラン 月額1500円 |
40万作品以上 (聴き放題の対象は12万作品以上) |
ビジネス、自己啓発、現代文学、ライトノベル、BL、声優、SF、ファンタジー、名作文学、時代小説、自伝、ミステリー、ホラー、宗教、哲学、エンタメ、カルチャー、社会、政治、コンピューター、テクノロジー、落語、寄席、演芸、評論、対談、ヒーリング、健康、暮らし、語学、絵本、児童書、古典、神話、洋書 |
audiobook.jp |
|
作品総数は非公開 (聴き放題の対象は1万冊以上) |
ビジネス、自己啓発、教養、語学、実用、資格、文芸、落語、ライトノベル、アニメ、ラジオドラマ、講演会、BL、TL、ロマンス、官能、アダルト |
Audiobooks HQ | 基本無料で使えるがプレミアムオーディオブックの作品は有料(金額は作品ごとに異なる) | 無料作品1万2500冊以上、プレミアムオーディオブック60万冊以上 | 古典、童話、小説、ラジオ |
himalaya | 聴き放題プラン 月額750円/年額7500円 | 1万点以上 | ニュース、実用書、ビジネス、小説、落語、講談、語学、社会、科学、歴史 |
Kikubon | プレミアム会員 月額550〜5500円 | 700冊以上 | SF、推理、サスペンス、ミステリー、ホラー、ファンタジー、歴史、時代小説、青春、恋愛、ヒューマンドラマ、短編小説、文学、エッセイ、哲学、思想、経済、キッズ、エンタメ、ヒーリング、ラジオ、インタビュー |
Google Playブックス | 作品を都度購入(作品ごとに価格は異なる) | 非公開 | 小説、ラノベ、ビジネス書、児童書、古典、言語、自己啓発 |
Apple Books | 作品を都度購入(作品ごとに価格は異なる) | 非公開 | 自己啓発、ビジネス書、小説、フィクション、児童書、古典、言語 |
それぞれ聴ける作品のジャンルや機能に特徴があるため、聴きたいコンテンツがあるかどうか、どのような目的で利用したいのか、によって選ぶのがおすすめです。
料金プランは、サブスクリプションによる聴き放題のプラン、作品別に個別購入するプランなどさまざまです。ポイントやチケットが付与される月額プランを提供しているところもあります。
また聴き放題であっても聴き放題の対象外となる作品があることや、個別購入で好きな本を読もうとしても、聴き放題専用の作品だと購入できないといったことがあります。プランによって読める作品が異なる点は注意したほうがよいでしょう。
最近は、いわゆる電子書籍ストアでも、オーディオブックを取り扱うサービスが増えてきました。本記事では、その代表格として「Google Play ブックス」と「Apple Books」を紹介しています。
【Audible】12万作品以上が聴き放題、Amazonが展開する定番アプリ

「Audible(オーディブル)」は、Amazonが提供するオーディオブックアプリです。
40万タイトル以上のオーディオブックを配信しており、ベストセラー小説やビジネス書、瞑想といったヒーリングコンテンツまで充実のラインナップ。プロの声優やナレーターによる朗読で、クオリティの高い作品とポッドキャストを楽しめます。
- 12万タイトル以上のオーディオブックが楽しめるアプリ
- オリジナルコンテンツに力を入れている
- さまざまなデバイスに対応、どこにいても続きから聴くことができる

アプリのホーム画面

コンテンツの再生画面

さまざまな作品を楽しめる
Audibleには定額制の聴き放題プランがあり、月額1500円で12万以上の対象作品を楽しめます。ストリーミング再生とオフライン再生の両方に対応し、機器や環境に応じて作品を楽しめます。
Audibleの特徴はオリジナルコンテンツに力をいれていることです。書籍よりも先に音声で届ける「オーディブルファースト作品」や、主要ラジオ局と制作するオリジナルのポッドキャストなど、ほかでは聞けないコンテンツを用意しています。
Audibleではさまざまなデバイスに対応しているのも特徴です。iOS端末、Android端末はもちろん、PC(Windows・Mac)、Fireタブレット、スマートスピーカーのAlexaでも音声を再生できます。
毎月支給されていたコインは廃止されましたが、会員は聴き放題の非対象作品を30%引きの値段で購入することも可能です。購入した作品は聴き放題プランを解約後も聴くことができます。無料の体験期間も用意されており、通常は30日間ですが、不定期で2〜3カ月間無料になる登録キャンペーンをおこなうこともあります。
【audiobook.jp】日本語コンテンツ数は随一、聴き放題も充実の老舗サービス

オトバンクが展開する「audiobook.jp」は、声優やナレーターが本を読み上げてくれる“聴く本”、いわゆるオーディオブックアプリの定番です。前身は2007年から運営のオーディブック配信サービス老舗「FeBe」で、2018年3月に「audiobook.jp」にリニューアルしました。
日本最大のオーディオブック配信サービスを謳っており、月額制の聴き放題コンテンツは約1万点。単品購入作品を含めると、2万7000点以上のラインナップです。日本語オーディオブックの品揃えは随一でしょう。特にビジネス書が豊富で、日本マーケティングリサーチ機構による2021年11月の調査の結果でも「オーディオブック書籍ラインナップ数 日本1位」と「ビジネス書籍ラインナップ数 日本1位」に選ばれています。
- 約1万点の作品が聴き放題、選べる月額プラン
- 聴きたい作品がすぐ見つかるホーム画面と検索機能
- ビジネス書のラインナップが数が豊富

アプリのホーム画面

アプリの検索画面

オーディオブックの再生画面
audiobook.jpには選べる4つのプランがあります。
- 無料会員:聴きたい作品だけをその都度単品で購入できる
- 聴き放題プラン:対象作品1万冊以上が聴き放題
- チケットプラン:好きなオーディオブックと交換できるチケットが毎月もらえる
- 月額会員プラン:オーディオブックの購入に使えるお買い物ポイントが毎月もらえる
聴き放題プランは、公式サイトから登録するのが最安で月額1000円(税込)です。最初の14日間は無料体験が付いてきます。チケットプランは、チケットが毎月1枚もらえる「シングル」プラン(月額税込1500円)、2枚もらえる「ダブル」プラン(月額税込2900円)の2つがあります。月額会員プランは、毎月もらえるポイントに応じて月額税込550円〜3万3000円まで用意されています。1ポイント=1円として利用できます。
アプリのホーム画面ではおすすめ特集や最新作、聴き放題人気ランキングなどが表示されます。検索機能は作品名や著者だけでなく、ナレーター名を入力して検索したり人気作品順にソートして検索したり、さまざまな切り口からコンテンツを探せます。提携コンテンツも多く、ビジネス書の著者などがスピーカーとなり、肉声で解説する音声メディア「VOOX」のコンテンツや、英語教材の「スピードラーニング」なども聴き放題プランで聴けるようになっています。
【Audiobooks HQ】世界中のオーディオブックが聴き放題、英語の勉強にも役立つ

米国企業のInkstone Softwareが提供する「Audiobook HQ」(日本の無料版アプリ名は「のオーディオブック HQ」)は、日本の古典や洋書を朗読してくれるiOS向けオーディオブックアプリです。1万2500冊以上の無料作品と、60万冊以上のプレミアムオーディオブック(有料)などを配信しています。海外企業が作ったアプリのため、日本版アプリ名の表記が「のオーディオブック HQ」とおかしいですが、怪しいものではないので安心してください。
同じ会社が作成したアップグレード版アプリ「Audiobooks HQ」(税込320円)もあり、アプリを一度購入すれば、対象作品12万冊が無料で聴き放題になります。
- 1万2500冊以上、世界中のオーディオブックが聴き放題
- 直感的に使えるシンプルな再生画面
- 世界中のラジオで歴史を学び、英語のリスニング向上もできる

アプリのトップ画面

オーディオブックの再生画面

リスニングにも役立つ作品がそろう
パブリックドメイン化された作品を中心に、1万2500冊以上のオーディオブックや、海外ラジオのアーカイブを聴くことができます。配信されている作品は日本語書籍よりも洋書が多く、ラジオも海外のアーカイブだけです。
聴けるラジオのアーカイブは10万点以上で、1930年代〜1960年代が中心。「あの時、世界で何が起きていたのか」といった歴史の貴重な一部分に触れることができるでしょう。オーディオブックやラジオで倍速機能を駆使することで、英語のリスニング向上にも役立ちそうです。
【himalaya】国内外の豊富なコンテンツが魅力、ニュースやラジオも聴ける

シマラヤジャパンが提供する「himalaya(ヒマラヤ)」は、中国で6億以上のユーザを抱える巨大音声プラットフォーム「喜馬拉雅(シマラヤ)FM」の日本版サービス。オーディオブックやラジオといった豊富な音声コンテンツを楽しめるアプリとなっています。
- ビジネス書や絵本まで家族で楽しめるコンテンツが豊富なアプリ
- ユーザーに合ったおすすめコンテンツをアプリが提案、さまざまな切り口で探せる検索機能
- コンテンツをダウンロードするとオフライン再生対応、シンプルで使いやすい再生画面

himalayaのアプリホーム画面

オーディオブック再生画面

ニュースや小説などさまざまなジャンルがある
ホーム画面には、おすすめのオーディオブックやラジオなどのコンテンツを表示。聴き放題プランに登録すると、1万以上の作品が聴き放題になります。料金は月額750円(税込)または年額7500円(税込)。どちらの料金プランを選んでも30日間の無料体験が可能です。有料プランに登録しなくても、会員になるだけでオーディオブック1冊が無料で進呈されます。
オーディオブック以外にも、ポッドキャストやASMR/癒やし音など豊富なコンテンツが用意されています。ユーザーが音声を配信できる機能は廃止されましたが、多彩なジャンルから2万7000以上の音声コンテンツを楽しめます。
【Kikubon】SFやミステリーが充実、自分に合った料金プランが選べる

声優の“声”と“演技”で朗読を楽めるオーディオブック配信サービス「Kikubon(キクボン)」。総作品数は700冊以上あり、そのうち無料で聞けるオーディオブックは300冊以上。SFやミステリー、ファンタジー小説、ラノベを中心に提供されています。
- SFやミステリー、ファンタジー作品が充実のオーディオブックサービス
- 購入頻度や使い方に合わせて選べる会員制度
- 無料で聴けるオーディオブックが300冊以上

アプリのホーム画面

オーディオブックの購入にはポイントを使う

無料で聴ける作品が300冊以上
オーディオブックを単品購入するときは、アプリで必要なポイントを購入し、そのポイントで支払いをおこないます。アプリにオーディオブックをダウンロードすると、オフラインでも聴けます。
月額のプレミアム会員になると、料金コースに応じてオーディオブックの購入に使えるボーナスポイントをもらえます。料金は月額550円〜5500円(税込)の4つを用意。さらに会員特典として毎月おすすめ作品の1章分を無料でもらえたり、プレミアム会員限定のセールに参加できたりします。継続してオーディオブックを購入するなら、プレミアム会員の登録を検討してもよさそうです。
【Google Playブックス】オーディオブックも提供する電子書籍ストア

Googleが提供している「Google Playブックス」は、iPhoneでもAndroidスマホでも利用できる電子書籍サービスです。Googleアカウントがあれば誰でも利用できます。SF・ファンタジーやラノベ、ビジネス書、児童書などのジャンルが中心の印象です。
- Googleアカウントがあれば誰でも利用可能
- 購入した作品は複数のデバイスで再生できる
- 聴くのを途中で止めても「しおり機能」で続きから聴ける

Google Playの音声ブック

オーディオブックの購入画面

オーディオブックの再生画面
Google PlayブックスのWebサイトにオーディオブックが販売されており、気になった作品があれば単品購入できます。他のサービスのように聴き放題プランなどはありません。購入した作品は、同じGoogleアカウントでログインしたGoogle Playブックスアプリで聴くことができます。購入した作品を複数のデバイスで聴けるのも特徴です。
サイトでは「音声ブック」タブからオーディオブックの作品を検索します。セール情報やランキングに加え、「1000円以下で聴ける音声ブック」「子どもと楽しむ」「読み聞かせ、就寝前に」といった特集も充実しています。
アプリの再生画面では、0.5倍速から3倍速まで変更可能。語学学習関連のオーディオブックを聴く際に役立ちそうです。聴くのを途中で止めるときは、しおり機能を使えばいつでも続きから聴くことができます。
【Apple Books】ビジネス系のオーディオブックに強み、iPhone向け電子書籍アプリ

iPhone購入時にプリインストールされている電子書籍アプリ「Apple Books」(アイコンの表示名は「ブック」)。新書やマンガといった電子書籍はもちろん、オーディオブックも配信されています。自己啓発やビジネス系の作品を中心に、フィクション・小説、ラノベ、児童書、古典など幅広い作品が揃っています。
- iPhone購入時にプリインストールされている
- 電子書籍がメインのサービスながら、自己啓発やビジネス書を中心に幅広いジャンルを取り揃えている
- ギフト機能を使えば購入した作品を友だちにプレゼントできる

Apple Booksのトップ画面

ギフト機能で友だちにプレゼントできる

オーディオブックの再生画面
月額制プランではなく、作品ごとに購入します。オーディオブックの作品を購入するには「ブックストア」タブを開いて[セクションを見つける]→[オーディオブック]と進むと検索できます。「ランキング」や「エディターのおすすめ」「人気小説」「声優」などから聴きたい作品を探すのがいいでしょう。
ギフト機能を利用すれば作品を友だちにプレゼントすることも可能です。購入画面でギフトボタンをタップし、相手の名前やメールアドレスを入力して送信すると、購入した作品をそのままプレゼントできます。
購入した作品はライブラリタブから再生します。再生画面では15秒ごとの早送り/巻き戻しに加えて読み上げ倍速の変更、所定の時間で再生を停止するスリープタイマーもあり、操作性の高いUIとなっています。