さまざまな用途で活躍するタブレットは、いまやiPadがメインになっていますが、予算が合わないという声も耳にします。また動画視聴を中心に、気軽な使い方をするのでなるべく安く手に入れたいという人も少なくないはず。
そこで魅力的なのが、リーズナブルな価格のAmazonオリジナル端末「Fireタブレット」です。なんと「Fire 7」は8980円から買えます。たびたびセールがおこなわれており、割引で販売される狙い目のタイミングです。また人気の「Fire HD 10」も、エッセンシャルセットを筆頭にとてもお得感があります。
この記事では、Fireタブレットに向いていることや不向きなこと、各モデルの特徴などをまとめました。それらを踏まえ、現在販売されている3モデル「Fire 7」「Fire HD 8(Plus)」「Fire HD 10(Plus)」を買うならどれがおすすめか、選び方もわかりやすく紹介します。
Fireタブレットでできること・できないこと

FireタブレットはAndroidタブレットの一種ですが、Amazonが独自にカスタマイズしたOSを搭載しています。そのため、Androidタブレットともできることが違っています。Googleの提供する「Playストア」が利用できず、Amazon独自のアプリストアからアプリをインストールすることになるわけです。
このあたりを含めて、Fireタブレットではどんな作業ができるのか、反対にどのようなことに向いていないのか見ていきましょう。なお、FireタブレットにGoogle Playストアをインストールする裏技もあるにはありますが、本記事では推奨しません。

アプリは独自のストアから利用する
ブラウジングやメールはできるがLINEは使えない
ブラウジングやメールなどの一般的な作業はもちろん可能ですが、快適に使えるとは言い切れません。一部は利用できないものもあります。
ブラウザでWebページを見るのは特に問題なくできますが、その種類は限られます。標準で採用されているのは、Silkブラウザです。普通にWebページが見られますが、Chromeのようにさまざまなデバイスと連携して使うのは得意ではありません。
メールのやりとりも可能ですが、こちらもプリインストールされている「Eメール」アプリを利用することになるでしょう。Gmailが純正アプリで快適に使えるわけではありません。また、LINEはアプリがインストールできないので使えません。
動画視聴は快適だがアプリ非対応の配信サービスも
動画視聴は、Fireタブレットに向く機能の一つです。Amazonプライム・ビデオはもちろん、HuluやNetflix、U-NEXT、DAZN、ABEMAなどもアプリをインストールして視聴できます。
また、YouTubeはブラウザ経由で見ることになります。このように、アプリが非対応の動画配信サービスも少なくなく、iPadやAndroidタブレットにはアプリ対応しているTVerなどはブラウザで視聴するほかありません。

プライム・ビデオは問題なく視聴できる

YouTubeもブラウザから見られる
電子書籍の利用はKindleをメインに考えたい
Kindleを使った電子書籍の利用も文句なしに快適です。画面がカラーなのでマンガを読むのにも向いています。ただし、他の電子ブックストアは使えない可能性が高いので、Kindle向きだと考えたほうがよいでしょう。

Kindleの電子書籍がカラーで読める

もちろん、小説などの電子書籍も読みやすい
なお、Fireタブレットを購入すると、200万冊以上のKindle本が読み放題になるサービス「Kindle Unlimited」が3カ月間無料になるオプションを利用できます(端末を単体で購入する場合と同価格)。
ただし対象端末は随時更新されており、現在はFire 7とFire HD 8、Fire HD 10が対象になっています。購入時には「3カ月分のKindle Unlimitedつき」のオプションを選択する必要があります。
ゲームはタイトルが限定的だが割安に遊べる場合も
ゲームもAmazonのアプリストアからインストールできるものに限られます。有名タイトルはインストールできるものが6〜7割と言った印象です。プレイしたいゲームが対応していないケースも少なくありません。また、Fireタブレットは性能があまり高くないため、ヘビーなゲームには不向きです。
しかし、よい話もあります。Amazonのアプリストアからインストールできるゲームは、独自のAmazonコインを利用して課金できます。このコインが安く売られているので、同じゲームならAndroid端末やiPhoneでプレイするより課金が割安になっているケースが多いのです。

ゲームは種類が限られる
Alexaと充電スタンドでEcho Showのようにも使える
Echoシリーズなどに採用されている音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」は、Fireタブレットが得意とする機能の一つです。設定すれば、話しかけるだけでアレクサが利用できます。
専用の充電スタンドに対応するFire HD 8 PlusやFire HD 10 Plusでは、スタンドに置くだけでShowモードになって、画面付きスマートスピーカー「Echo Show」のように活用することも可能です。

Showモードではアレクサが活かせる

Showモードにしなくても話しかけるだけでアレクサが使える
Microsoft Officeとキーボードを付ければPCライクに活用できる
Fire HD 10シリーズは標準対応するキーボードカバーが発売されています。これを使うとパソコンのような使い勝手になります。もちろん、市販のキーボードを使っても良いでしょう。
Microsoft Officeもインストールできるようになりました。ただし、性能が高いわけではないのでライトユース向きで、仕事の書類を閲覧したりちょっと手直しする程度の使い方がおすすめです。

Fire HD 10ではMicrosoft Officeが使える
Apple Musicなど利用できない音楽配信サービスに注意
Amazon MusicやSpotifyは利用できますが、Apple Musicは使えません。音楽が好きな人は、自分が利用している音楽配信サービスが利用できるかどうか調べたほうがよいでしょう。なお、Bluetooth接続のイヤホンは利用可能です。
LTEや5Gが使えず、GPSも非搭載
他の安価なタブレットと同様に、FireタブレットにはGPSを搭載していません。カーナビや位置情報を活用したゲームなどには不向きです。
LTEや5GのSIMを搭載できる製品もありません。外出先での通信はWi-Fiを探すか、スマホのテザリングを使うことをおすすめします。
Fireタブレット各モデルの特徴まとめ【比較表あり】
Fire 7 | Fire HD 8 | Fire HD 8 Plus | Fire HD 10 | Fire HD 10 Plus | |
---|---|---|---|---|---|
ディスプレイ | 7インチ | 8インチ HD | 8インチ HD | 10.1インチ フルHD | 10.1インチ フルHD |
解像度 | 1024×600 (171ppi) | 1280×800 (189ppi) | 1280×800 (189ppi) | 1920×1200 (224ppi) | 1920×1200 (224ppi) |
本体サイズ | 181×118×9.7mm | 201.9×137.3×9.6mm | 201.9×137.3×9.6mm | 247×166×9.2mm | 247×166×9.2mm |
重さ | 282g | 337g | 342g | 465g | 468g |
メモリ | 2GB | 2GB | 3GB | 3GB | 4GB |
ストレージ | 16GB | 32/64GB | 32/64GB | 32/64GB | 32/64GB |
バッテリー | 最大10時間 | 最大13時間 | 最大13時間 | 最大12時間 | 最大12時間 |
MS 365セット | - | - | - | ○ | ○ |
ワイヤレス充電 | - | - | ○ | - | ○ |
キッズモデル | ○(1万3980円〜) | ○(1万7980円〜) | - | ○(2万3980円〜) | - |
microSDカードスロット | 1TBまで | 1TBまで | 1TBまで | 1TBまで | 1TBまで |
カラー | ブラック | ブラック、ブルー、ローズ | グレー | ブラック、デニム、オリーブ | スレート |
価格 | 8980円 | 1万3980円〜 | 1万5980円〜 | 1万9980円〜 | 2万2980円〜 |
世代(発売年) | 第12世代(2022年) | 第12世代(2022年) | 第12世代(2022年) | 第11世代(2021年) | 第11世代(2021年) |
Fireタブレットは、画面サイズで7インチ・8インチ・10インチの3モデルに分けられ、各モデルの製品名の数値で画面サイズがすぐにわかります。さらに、子ども向きのキッズモデルが用意されています(後述)。
Fire 7
スマホより二回りほど大きな7インチの「Fire 7(第12世代)」は、2つの長所があります。1つは、コンパクトなサイズで持ち歩きに負担が少ないことです。電車の中で動画を見るなど、持ち出す使い方がメインの人にもおすすめです。
もう1つは価格の安さです。本体価格は16GBモデルで8980円(税込)。解像度や性能は値段相応といったところですが、9000円程度でコンパクトな外使い用タブレットを購入できるのは魅力の一つです。

7インチのコンパクトなモデル

ベンチマークスコアも本体価格相応
Fire HD 8・Fire HD 8 Plus
8インチの新製品(第12世代)が2022年秋に登場。コンパクトな持ち歩きやすいモデルで、性能がアップしてより快適に使えるようになりました。充電はUSB-C端子、Dolby Atmosに対応するスピーカーで音質も上々です。
32GBモデル | 64GBモデル | |
---|---|---|
Fire HD 8 | 1万3980円 | 1万5980円 |
Fire HD 8 Plus | 1万5980円 | 1万7980円 |
Fire HD 8 Plus ワイヤレス充電スタンドセット | 1万9980円 | 2万1980円 |
それぞれの違いはメモリで、「Fire HD 8」は2GB RAM、「Fire HD 8 Plus」は3GB RAMとなり、実用上のレスポンスに若干差があります。

上がFire HD 8 Plusで下がFire HD 8。外観上の違いは背面の色と仕上げだ

Fire HD 8は前モデルより性能がずいぶん向上している

Fire HD 8 Plusもベンチマークの性能はほとんど変わらない
Fire HD 8 Plusはワイヤレス充電に対応しており、専用の充電スタンドを使うことでスマートディスプレイのような使い方が可能です。充電スタンドにセットすると、自動的にAlexaの画面に切り替わります。また、市販のワイヤレス充電器も利用可能です。
Fire HD 10・Fire HD 10 Plus
10.1インチの大画面モデルが「Fire HD 10(第11世代)」で、2021年の夏に新モデルが登場しました。画面の縁(フチ)が細くなり、とても新しい印象を受けるでしょう。
タブレットとしては一般的なサイズで、家でコンテンツを楽しむのに向いています。性能も最も高いので、レスポンスよく利用可能です。大画面のタブレットで映画などを楽しみたいなら最良の選択です。

価格は1万9980円から。本体カラーが3色用意されており、カジュアルな感覚で利用できる


額縁が細くなった新型Fire HD 10は魅力的なタブレットだ

ベンチマークのスコアも程々で、さまざまな用途に向く
Fire HD 10とFire HD 10 Plusの2モデルがラインアップされており、どちらもキーボードに対応しています。Fire HD 10 Plusは、32GBモデルが2万2980円の上位モデル(2023年2月現在、64GBモデルはAmazonで取り扱いなし)。Fire HD 10とは外観とサイズはまったく同じですが、こちらは1色しか選べません。
最大の違いは、RAMを4GB搭載していること。複数のアプリを同時に動かす際に快適になります。また、ワイヤレス充電にも対応しています。


Fire HD 10 Plusの外観はFire HD 10と同様だ

ベンチマークのスコアもFire HD 10より少し高い
Fireタブレットの選び方とおすすめモデル
上述のように、Fireタブレットは性能が高くないのですが、価格を考えると妥当以上だと言えます。ある程度妥協して、コスパを重視して使う人に向きます。また、タブレット入門として9000円程度の予算で買ったなら、後悔することは少ないでしょう。
ここでは、各モデルの特徴を踏まえたうえで、自身に合ったモデルの選び方を紹介します。
サイズによる選び方

左からFire HD 10、Fire HD 8、Fire 7
持ち歩いてアクティブに利用したいなら、Fire 7かFire HD 8シリーズが選択肢になるでしょう。手に持って映画などを見続けるのにも向いています。おすすめはFire HD 8シリーズです。Fire 7はレスポンスがイマイチなので、快適に使えないと感じる可能性があります。
Fire HD 10は465グラムとやや重いので、長時間持っていると疲れてしまいます。家の中でスタンドになどに設置して映画を観るような使い方に最適です。もちろん、膝の上で使うのもよいでしょう。家で映画やビデオを観るならFire HD 10がイチオシ。8インチ以下では画面が狭いと感じる人も少なくないはずです。
ディスプレイの解像度の違いもチェック

左からFire HD 10、Fire HD 8、Fire 7。Fire HD 10は画面が白っぽく見えない。これは、フルラミネーションによってガラスと液晶面の隙間がないからだ
ディスプレイはサイズだけでなく、解像度も違います。Fire 7は1024×600ドットと、解像度がやや低くなります。しかし、画面も小さいのでざらつきはあまり感じないでしょう。Fire HD 8シリーズは1280×800ドット、Fire HD 10は1920×1200ドットとなります。画面の緻密さも、画面サイズが大きくなるほど向上します。Fire HD 10は明らかに美しいと感じます。
ガラスと液晶面に隙間があると、画面を斜めから見たときにギャップを感じ、映像が白っぽく見えます。この点もFire HD 10が優れており、斜めから見てもあまり白っぽく感じません。映画やドラマにこだわるなら、Fire HD 10を推奨します。
なお、本体の質感はどのモデルもほとんど変わりません。背面は樹脂製で、つや消しの指紋が目立ちにくい仕上げとなります。ただし、 Fire HD 10とFire HD 8は本体カラーが3色選べます。
ワイヤレス充電やキーボードに対応しているか

Fire HD 10 Plusは専用のスタンドに置くだけで充電できる
専用のワイヤレス充電スタンドに対応するのは、Fire HD 10 PlusとFire HD 8 Plusです。この2モデルはスタンドに置いて、Showモードでアレクサを快適に使えます。
また、純正のキーボードカバーはFire HD 10とFire HD 10 Plusが利用可能です。こちらは、パソコンのような使い方に向きます。
キーボードカバーとMicrosoft Officeが付く「エッセンシャルセット」は、Fire HD 10とFire HD 10 Plusに用意されています。Microsoft Officeを使うことを考えると、大変お得なセットになっています。
モデル | 容量 | 価格 |
---|---|---|
Fire HD 10 | 32GBモデル | 1万9980円 |
64GBモデル | 2万2980円 | |
Fire HD 10 Plus | 32GBモデル | 2万2980円 |
64GBモデル | 取扱なし | |
Fire HD 10 エッセンシャルセット | 32GBモデル | 2万9980円 |
64GBモデル | 3万3980円 | |
Fire HD 10 Plus エッセンシャルセット | 32GBモデル | 3万2980円 |
64GBモデル | 取扱なし |
子ども用なら8インチのキッズモデルがおすすめ
子どもにタブレットを渡している人も少なくありません。レストランなどで騒いだときに動画を見せて、おとなしくさせている場面もよく見かけます。またFireタブレットなら、たくさんの絵本や子供向けの小説、図鑑なども楽しめます。家で時間を過ごす際には、子どものデバイスとしてもとてもおすすめです。
小学生までのお子さんなら、キッズモデルがおすすめです。7インチ・8インチ・10インチが用意されています。「Amazon Kids+」の1年使い放題がセットに含まれているので、年齢に合わせたコンテンツが楽しめます。また、利用時間のコントロールも可能です。
ラバーのカバー兼用スタンドが付いているので、子どもでも使いやすく、落としても壊れにくくなっています。万が一壊れても、2年間の限定保証付きです。ただしこのカバーが重いので、外出先でも使うなら8インチモデルがおすすめです。価格は7インチが1万3980円、8インチが1万7980円、10インチが2万3980円となっています。

キッズモデルはカバーにスタンドが付いているので自立する

取り出すと、それぞれ通常モデルと同じように使える
まとめ
2023年2月に、Fireタブレットシリーズ全体を対象として値上げが実施されました。最大の値上げ幅は4000円で、Fire HD 10シリーズの多くは2万を超える本体価格となっています。エントリーモデルのFire 7も2000円の値上げとなり、本体価格は8980円に。それでも1万円でお釣りがくる価格ではあるので、タブレット入門としてのリーズナブルさは保っていると言えるでしょう。
なお、Fireタブレットシリーズは頻繁にセールが実施されるのでタイミングを選ぶと安く購入できます。