Amazonから10.1インチのモニターが付いた画期的なスマートスピーカー「Echo Show(エコーショー)」が登場しました。もはやスマートスピーカーというより、スマートディスプレイといった製品です。
Echo Showを手に入れると、果たしてどんなメリットがあるのでしょうか? 最新の画面付きスマートスピーカーの魅力を探ります。
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本体はタブレットのようだがもっと大きくて重い
写真でEcho Showを見ると、タブレットのような外観かと思うかもしれません。たしかに、ディスプレイサイズは10.1インチで、iPadやAndroidタブレットと近い大きさです。正面から見るとタブレットのようなのですが、実際には後ろ側にスピーカーを内蔵した本体部分があって、ピラミッド型になっています。
サイズは246×174×107ミリで、奥行きは10センチちょっとあります。さらに重量は1755グラムと、タブレットに比べると驚くほどの重さです。こんな重量も、スピーカーとして考えれば妥当でしょう。重いほうが安定して良い音が出るとされています。
本体はタブレットのように見える
後ろ側がピラミッド型に出っ張っており、奥行きを取る
内蔵するスピーカーは2インチで、パッシブラジエターが付いており、Dolbyに対応しています。この点もタブレットとは大違いで、音質や音量はまさにスピーカーそのもの。比較にならないほど良い音が楽しめます。本体の後ろにはコネクターが配置されていますが、使うのは電源くらいです。
スピーカーはかなり良い音ですが、逆に残念なのがディスプレイです。サイズは10.1インチなので、家族で見るのには向きません。あくまでも個人向けです。とても気になるのが解像度で、1280×800ドットにとどまります。これは最近のスマホ以下です。近くから見るとドットのざらつきを感じます。
コネクターで使うのは電源ポート。microUSBポートは有線LANにアダプターで接続するために利用する
スイッチはボリュームとマイク・カメラのオン/オフができるが、こちらもほとんど使わない
セットアップはとても簡単
セットアップはとても簡単で、まず迷うことはありません。スピーカーのみのEchoシリーズとは違って、Wi-Fiの選択やパスワードの入力などもタッチ操作でできるので、スマホ感覚で利用可能です。
ただし利用にあたっては、スマホに「Alexa」アプリをインストールします。これによって、様々なスキルを追加するなどして、活用できるようになります。このあたりの使いこなしは、他のEchoシリーズと同様です。
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スマホにインストールしたAlexaアプリを利用しよう
用途を勘違いするとガッカリも
Echo Showをパソコンやタブレット、テレビなどの代わりに使おうと考えると、ガッカリします。基本的にはスマートスピーカーに画面が付いていると考えるべきです。
基本操作を声で行うのは他のEchoシリーズと同じですが、一部タッチでも利用可能です。とはいえ文字入力はほとんどしませんし、メニューも表示されません。天気予報を調べたいと思ったら、「アレクサ、天気を教えて」などと話しかけます。スマホやタブレットなら画面上のアイコンをタップすればよいのですが、それはできません。
このように、独特な使い方や機能を理解して手に入れないと、「そんなつもりではなかったのに」となってしまいます。スマートスピーカーと基本機能は変わりませんが、情報が画面に表示されるのが便利なのです。
たとえばホーム画面では、時刻と天気が表示されます。その上で季節のイラストやニュース、話題などが切り替わって表示されます。スマートスピーカーでは、自分から「ニュースを教えて」といったアクションをしなければ、情報は得られません。Echo Showなら、自動的に画面が切り替わりながら情報が見られます。病院の待合室などのディスプレイのようなイメージです。
常にニュースなどが切り替わりながら表示される
声を掛けるとおなじみのブルーのラインが画面に表示される
多くの情報がひと目でわかるのが便利
スピーカー単体のEchoシリーズは、追加の情報を見るためにはスマホを開く必要がありました。ところが、Echoは自分でディスプレイを持っているので、わざわざスマホを開かなくても情報が一目瞭然です。天気予報やニュースも音声で読み上げるだけだと、頭に入ってこないことがあります。しかし、画面で見れば週間天気予報なども一発で把握できます。
天気予報でも多くの情報がひと目でわかる
週間天気予報も見やすい
ニュースには映像も付いているので、よりわかりやすいと感じます。さらにニュースの下には、「○○と言って」という形で、ニュースに関連するキーワードが表示されます。
たとえば「正月に向けて連だこ作りが盛んです」といったニュースが流れれば、その下には「アレクサ、連だこについて教えてと、言ってみて」といったキーワードが提示されます。その通りに発声すると、ニュースの内容が詳しく表示されます。スマートスピーカーよりは踏み込んだ情報が取れるわけです。
しばらく使ってみて、かなり便利だと感じたのが乗換案内です。運行情報と経路案内を表示してくれるのですが、画面があれば乗換や料金がよくわかります。音声だけだと、聞き逃さないように注意していなければなりません。
乗換案内では経路探索と運行情報を見られる
乗換の情報も文字で読んだ方がわかりやすい
「Echo Showならでは」の機能も豊富だ
画面が付いているEcho Showならではの機能もたくさんあります。当たり前ですが、写真を見る機能は、画面の付いていないスマートスピーカーでは使えません。スライドショーで写真を順次見せてくれます。
写真はAmazonが提供するクラウドストレージ「プライムフォト」に保存しているものが表示されます。アルバムを作っておけば、その名前で表示できます。ちょっと残念なのは、スマホで縦の写真を多く撮っていると、画面の縦横比に合わずに左右が余ってしまうことです。Echo Show向けのアルバムを自作するなら、横位置の写真を選びましょう。
写真をスライドショーできる。特定のアルバムの再生にも対応する
また、映画を観ることもできます。こちらはプライム・ビデオの映画が表示できるのですが、タイトル選びなどは、パソコンやスマホのほうが便利に感じました。
「アレクサ、映画が観たい」という問いかけだけだと、有料の映画がサムネイルでいくつか表示されるにすぎません。有料の映画は「アマゾンウェブサイトで購入オプションを確認してください」と言われてしまいます。映画のタイトルがわかっていれば、ズバリそのものを見つけやすいでしょう。10インチのディスプレイは個人向けにはぴったりで、サウンドの迫力も映画向きです。
音楽を再生する際も、アルバムタイトルや歌詞が表示されるので、興味がある方には向いています。面白いのがカラオケで、ジョイサウンドでは字幕付きのビデオが流れるので、合わせてカラオケの練習ができます。曲数が少ないのが残念ですが、なかなか楽しめます。
音楽は再生中にアルバムジャケットが表示される
歌詞が表示される楽曲もある
カラオケアプリはなかなか楽しい
カラオケビデオを再生しながら歌う練習ができる
買い物やビデオ通話、ネットワークカメラ的な利用にも
さすがはアマゾン、と思ったのが買い物です。「抹茶を買いたい」などと欲しいものを言うと、リストを表示してくれます。リストは画面のスワイプでも送っていけます。
そもそも、Amazonのアカウントでログインしているので、簡単に買えるわけです。Echo Showからそのまま発注することもできますし、カートに入れてパソコンやスマホなどから発注することもできます。間違えて注文した場合には、声でキャンセルもできました。買うものが決まっている場合には、すぐにオーダーできるのが便利です。
買い物はおすすめ商品をリストアップしてくれるので手軽に楽しめる
Echo Showからオーダーすることも可能だ
また、ビデオ通話も可能です。Echo ShowとEcho Spotなどディスプレイとカメラを持つモデル同士やスマホとのビデオ通話ができます。現実的には、Echo同士で通話できる相手を探すのはまだ大変ですが、離れた部屋と通話できるのでインターフォン的に使っても良いでしょう。
「Echo Spot」レビュー、画面搭載でひと味違う使い勝手のスマートスピーカーに進化
特に便利なのがスマホとの通話で、出先から家族とビデオ通話ができます。これまでは、パソコンやスマホを使ってお互いに専用アプリを立ち上げる必要がありました。Echo Showなら、自宅のデバイスを呼び出すだけでOKです。この仕組みで、自分のスマホを使って自宅のEcho Showをセキュリティカメラ的に利用できます。旅行などで不在の際にも安心です。
Echo Show同士やEcho Spotと簡単にビデオ通話ができる
スマホからはセキュリティカメラのように自宅の様子を見てもよい
まとめ
繰り返しますが、Echo Showはあくまでもスマートスピーカーにディスプレイが付いた製品です。タブレットやパソコンのように使えるわけではありません。あまり手を触れずに情報を見たい人にはおすすめできます。
キッチンなどで手を離せないときに使うのもありでしょう。またリビングや寝室などに置いて、ちょっと情報を見たり、買い物に使ったりするのも便利です。テーブルに置いておけば、いつでも天気などがわかります。
ただし、過大な期待は禁物です。映画も観られますが、手間を考えたらタブレットやパソコンを使ったほうがよいと思えました。Echo Showはその特徴や使い方を理解して手に入れれば、この上なく便利な製品。あくまでもスマートスピーカーなのです。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部