スマートスピーカーが徐々にブームになりつつあります。テレビでも盛んにCMが流れていて、興味を持っている人も少なくないでしょう。スピーカーにAI(artificial intelligence:人工知能)が搭載され、話しかけるだけでいろいろな情報が得られます。
少しわかりやすく言うと、スピーカーが単体でインターネットに接続しているのです。スマホやパソコンの場合はメニューを選んだり、文字を入力したりして機能を利用します。スマートスピーカーは話しかけることで機能が利用できるため、その認識の部分が主にAIなのです。
できること自体は現状、スマホの機能のごく一部だと考えればよいでしょう。画面を操作しなくてもよいので、ラクで便利。キッチンなどで手が離せない時にも活躍してくれます。また、スマホやパソコンを操作するのが苦手な家族がいるようなケースでも重宝します。
本記事では、このようなスマートスピーカー(AIスピーカー)をこれから購入しようと考えている初心者の方向けに、選び方のポイントやおすすめ機種をわかりやすくまとめてみました。
スマートスピーカーは大きく分けて3つ
現在、国内向けスマートスピーカーには主に3つの種類があります。Google、Amazon、LINEがそれぞれ開発しています。少々ややこしいのですが、この3つは、パソコンやスマホでいうところのOSの違いに近いものだと考えとよいでしょう。パソコンではWindowsとMac、スマホではiPhoneとAndroidがあるようなイメージです。
Googleアシスタント
Googleは「Google Home(グーグルホーム)」という名前で、AIアシスタントの「Googleアシスタント」を搭載する自社のスマートスピーカーを発売していますが、他にもソニーやAnkerなどからGoogleアシスタントに対応する製品が出ています。
「Google Home」レビュー:便利で楽しい発展途上のスマートスピーカー
Google Homeの価格は1万5000円台
Alexa(アレクサ)
Amazonは「Echo(エコー)」というブランドで自社でスマートスピーカーを発売しています。アマゾンのAIアシスタントは「Alexa(アレクサ)」という名前で、ONKYOやHerman Kardon、Ankerから発売されています。
「Amazon Echo(アマゾンエコー)」レビュー、スキル追加で便利に使えるAlexa搭載スマートスピーカー
アマゾンのEchoはAlexaというAIアシスタントを搭載。価格は1万1980円
Clova(クローバ)
LINEのAIアシスタントは「Clova(クローバ)」という名前で、今のところ自社製品しかありません。ややカテゴリは異なりますが、ソニーのイヤホンに対応製品が登場しています。
LINEのAIアシスタントはClovaで、「Clova WAVE」は1万4000円
基本的には、それぞれのカテゴリに属していればAI機能は変わりません。たとえばAlexa対応のスピーカーなら、どの製品を使ってもAI機能は同様です。違いは本体のサイズや音質、デザイン、価格などです。
なお、日本ではまだ発売されていませんが、Appleも「HomePod(ホームポッド)」というスマートスピーカーを販売しています。
本体はどれもシンプル
スマートスピーカーは、基本的に音声で操作するのが特徴です。そのために本体はとてもシンプルになっています。電源ボタンや音量調整ボタン程度しか付いていません。それらのボタンも、実際にはほとんど使うことはないでしょう。音量の上げ下げも声でコントロールできます。
また、スマホと組み合わせて使うのが一般的です。細かな設定などはスマホ(アプリ)を利用します。どのスマートスピーカーもAndroid、iPhone(iOS)の両方に対応しています。
どの製品もボタンなどは最小限しかない
AIの機能をざっくり比較
例として、いくつかのAIアシスタントの機能を比較してみましょう。いろいろな方法で問いかけていますが、違うキーワードでも答えが出る可能性もあります。また機能は日々進化しているので、応答が改善されたり、新機能が追加されたりします。
また、反応時間も大きな差は見られませんでした。Alexaはスキル機能で新しいサービスを追加できますが、Googleアシスタントも同様にいろいろな機能を使えます。この2つはほぼ引き分けと言えるでしょう。Clovaは対応する回答が少ないように感じられました(ただし2018年8月、スキルが追加できる「Clovaスキルストア」が登場しています)。
左:Alexaのスキルストア右:Clovaのスキルストア
天気予報
どれも天気予報を知らせてくれました。Alexaは天気だけでなく、注意報も合わせて教えてくれます。Clovaは「注意報は出ていますか」と尋ねると教えてくれます。
時間
どれも問題なく時間を教えてくれました。
カフェ
「近くのカフェを教えて」と問いかけてみました。Google アシスタントとAlexaはどちらもカフェを探せましたが、Clovaは情報が取れませんでした。
予定
どれも問題なく予定を教えてくれました。Googleカレンダーと連携して、スケジュールを読み上げてくれます。
計算
「30の10パーセントは?」と問いかけてみました。AlexaとGoogleアシスタントは「3」と答えを教えてくれました。Clovaは回答できませんでした。
ニュース
どれも問題なく最新のニュースを教えてくれました。
ラジオ
どれも「radiko.jp(ラジコ)」でネット経由でリアルタイムにラジオを聴くことができます。「アレクサ、TBSラジオを流して」などと局を指定・変えることも簡単です。
radiko.jp(ラジコ)の使い方──無料のタイムフリーやプレミアム登録で聴けるエリアフリーなど
道案内
「東京駅へ行きたい」と問いかけてみました。Googleアシスタントは乗り換え経路を含め、詳しく教えてくれました。Alexaは「まだ交通情報は案内できません」と答えます。Clovaは「決意が固いようですね、応援していますよ」と、ちょっとウィットの効いた答えを出してくれました。どうやらこちらも道案内はできないようです。
音楽配信
スマートスピーカーは単体で音楽配信サービスを利用できます。たとえば「ジャズを聴かせて」と話しかけると、音楽配信サービスのプレイリストなどを利用して楽曲をシャッフル再生してくれます。
実は、この点が最も機能の差が付くところです。自分が利用している音楽配信サービスがあるなら、対応しているモデルを選ぶのが得策です。特に有料サービスを利用しているなら、ぜひ対応製品を選んでください。
対応する音楽配信サービス
- Google:Google Play Music、Spotify、うたパス
- Alexa:PrimeMusic、Amazon Music Unlimited、うたパス、dヒッツ
- Clova:LINE MUSIC
定額制の音楽配信(聴き放題)サービスおすすめ8選──楽曲や音質、料金、オフライン再生、PC版などを比較
どのモデルを選ぶべきか
一般的におすすめなのは、Googleアシスタント、Alexa対応のモデルです。現状AI機能はさほど変わらないので、自分が利用している音楽配信でどちらかを決めればよいでしょう。さらに、AI機能を主に使うなら安価なモデルで十分です。音楽を楽しみたい人は、スピーカーとしての機能が高いモデルを選んでください。
Clovaは、上記の2モデルに比べるとややAI機能が劣る印象で、また対応する音楽配信も限られます。しかし、音声でLINEを読み上げてくれるという特徴があります。LINEのヘビーユーザーにはおすすめです。ファミリーアカウントという別のアカウントを作成し、そこでやりとりしたメッセージが読み上げの対象になります。また、かわいいキャラクターの外見(Clova Friendsシリーズ)もClovaの特徴の1つです。子ども部屋に置くスピーカーとしてプレゼントしても喜ばれそうです。
Clovaの機能設定画面
LINEの読み上げは家族アカウントが対象になる
スマートスピーカー おすすめモデルは?
Googleアシスタント対応モデル
Google Homeシリーズ
Google製のモデルで、「Google Home mini」(6480円)と「Google Home」(1万5120円)があります。布を採用した本体は、インテリアによくマッチします。音楽再生を主にしたいなら、後者がおすすめです。
LF-S50G(ソニー)
ソニー製のコンパクトなスピーカーで、2万2880円とちょっと高価ですが、ソニーらしく音の良さが特徴です。ジェスチャー操作にも対応するので、手をかざすだけで再生や音量調整ができます。
Harman Kardon Allure(herman/kardon)
高級オーディオメーカーであるherman/kardonブランドのスマートスピーカーです。スケルトンボディが魅力的で、底面には90ミリのサブウーファーを内蔵しています。音楽を中心に楽しみたい人におすすめ。価格は2万4880円です。
Zolo SonicG(Anker)
樽形のコンパクトなモデルで、音楽も程々に楽しみつつAIを使いたい人におすすめします。寝室などに置くセカンドスピーカーとしても頃合いでしょう。価格は8980円と手ごろです。
Alexa対応モデル
Echoシリーズ(Amazon)
「Echo Dot」(5980円)は、手ごろな価格でAlexaでの情報収集がおこなえます。「Echo」(1万1980円)なら、音楽を聴くのにもおすすめできます。さらに、音質にこだわりたい人は「Echo Plus」(1万7980円)が最適です。Bluetoothスピーカーとしても使えるので、映画を観る時にも活躍します。
Echo Dot
Echo
Echo Plus
Eufy Genie(Anker)
4980円と手ごろな価格が魅力のAlexa対応スピーカーです。AIからの情報取得に最適で、スマートスピーカーの入門モデルとしても推奨します。もし気に入って音質のよい製品を買ったなら、寝室や洗面所などに置くスピーカーとして利用してもよいでしょう。
Echo Spot
Amazonのスマートスピーカーの最新モデルです。円形の液晶を搭載し、情報を文字や写真でも表示してくれます。
「Echo Spot」レビュー、画面搭載でひと味違う使い勝手のスマートスピーカーに進化
時計や天気予報が文字やイラストで表示されるのはもちろん、たとえばカフェを探した際には、お店の写真が見られます。また癒やしのサウンドスキルでは、山や森などの写真が表示されるなど、新しい楽しみ方ができます。価格は1万4980円とちょっと高めですが、非常に楽しく使えます。
Echo Spotは、円形のスマートスピーカーで液晶を搭載します
お店の情報などを写真で表示します
時計もひと目でわかります。時計やニュースなどは順次切り替わって表示されます
Clova対応モデル
Clova Friendsシリーズ
大きなClova Friendsはカバーセットで8640円、コンパクトなClova Friends miniは5400円と手ごろな価格が魅力。もちろん、音質はClova Friendsのほうが勝っています。どちらもバッテリーを内蔵しているので、電源から離れた場所でも音楽などを楽しめます。おなじみのLINEキャラクターやドラえもんやミニオンズ等とのコラボが楽しい製品です。
コンパクトなほうがClova Friends mini、奥の大きなタイプがClova Friends
Clova WAVE
20Wのウーファーを備える本格的なスピーカーです。バッテリーを内蔵しているので、好きな場所で楽しめます。価格も1万4000円と本格的なモデルとしては手ごろです。Clova Waveは本体から赤外線を出せるので、スマート家電がなかったり面倒な設定をしなくても、音声でテレビをつけるなどの操作がおこなえます。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部