スマホの機種変更は、そう何度も経験することではありません。そのため「データ移行はキャリアショップに頼むもの」「自分ではできない」というイメージを抱いている人はまだ多いでしょう。
しかし、昨今のAndroidスマホにはとても簡単にデータを移行できる仕組みが搭載されています。写真・動画・音楽からアプリまで、旧スマホのほとんどのデータを一括で移せるので、機種変更を自分だけで実行することは十分に可能です。
本記事では、Androidスマホの機種変更でやるべき作業を具体的にわかりやすく解説します。AQUOS/Galaxy/Xperia/Pixelなど、各機種ごとに最適なデータ移行手順を紹介しているので参考にしてください。
【図解】Androidスマホ機種変更に伴うデータ移行のやり方と流れ
Androidスマホの機種変更におけるデータ移行は、旧スマホが手元に「ある」場合と手元に「ない」場合で作業内容が変わります。状況別にやるべき作業とデータ移行の大まかな流れをまずは確認しましょう。
旧スマホが手元にある場合
結論からいうと、旧スマホさえ手元にあればAndroidスマホへのデータ移行は超簡単にできます。
パソコンやSDカードなどの機材やバックアップなどの事前準備も一切不要です。また、キャリア(ドコモ・ソフトバンク・auなど)が提供している移行ツールや外部アプリなども使いません。

Android 12以降を搭載したスマホは、セットアップ中に旧スマホから新スマホに直接データを移行できるようになっています。ここで、画像や動画、音楽といったメディアファイルからアプリ、設定まで旧スマホの“大半”のデータを移行できる仕組みです。
ただ、この作業で旧スマホのデータを“すべて”一括で移行できるわけではありません。特に、アプリ内データなどは漏れてしまう可能性が高くなっています。移行できなかったデータは、新しいスマホのセットアップやSIMカード入れ替えなどが完了した後に、順次引き継いでいきます。
旧スマホが手元にない場合
旧スマホが手元にない、もしくは故障などで操作できない場合は、デバイス同士をつなげてのデータ移行はできません。バックアップデータからの復元を試してみましょう。

AndroidスマホにはGoogleアカウントに紐付いた自動バックアップ機能(Google Oneへのバックアップ)が搭載されており、デフォルトでオンになっています。ユーザーが意識しなくても勝手にデータをバックアップしてくれている可能性がある、というわけです。
- 画像ファイルの一部
- 動画ファイルの一部
- 連絡先(電話帳)
- 通話履歴
- SMSのメッセージ送受信履歴
- インストールしていたアプリ(有料・無料問わず)
- アプリ内のデータ(一部のみ)
- Google Play Point/クレジット残高
- Google Play ストアの購入履歴
- ホーム画面の壁紙
- Wi-Fiネットワークのパスワード
- Google関連サービスのデータ(Gmail/Googleドライブ/Googleカレンダー/Googleフォト)
自動でバックアップされるデータは上記の通り。重要なデータは網羅されているので、ほとんど元通りに復元できるといっていいでしょう。
ただ、一部の画像、動画ファイルや音楽、文書ファイルなどバックアップ対象外のものもあります。また、LINEのトーク履歴など別途バックアップ作業が必要なデータも、残念ながら消えてしまうかもしれません。
機種変更に伴うデータ移行の手順
ここからは、実際のAndroidスマホの機種変更に伴うデータ移行の手順を紹介します。
なお、機種変更に伴うデータ移行は、キャリアによって手順が変わるわけではありません。ドコモで買ったスマホでも、ソフトバンクで買ったスマホでも、SIMフリーのスマホでも同様の手順でデータを移行できます。
ステップ1:新しいスマホの電源を入れてWi-Fiに接続する

まずは、新しく入手したスマホの電源ボタンを長押しして起動しましょう。電源ボタンの位置は端末によって異なりますが、多くは側面にあるはずです。どれが電源ボタンか分からない場合は、それぞれを3〜4秒間長押ししてみてください。画面が起動したらそれが電源ボタンです。


「ようこそ」等の画面が表示されたら、Wi-Fiに接続してください。
や 、 などをタップ。画面に表示される手順に沿って操作し、通信量が大きくなる可能性が高いので、モバイルネットワーク接続での作業はおすすめしません。
ステップ2:旧スマホから新スマホにデータを移行

セットアップを進めるなかで、「アプリとデータのコピー」という画面が表示されるはず。ここで[次へ]などをタップします。
ここからは、機種ごとの案内にしたがって旧スマホと新スマホを接続してデータを移行します。以下、Androidスマホの主要メーカーごとにデータの移行方法をざっくりまとめました。自身の環境に合わせて確認してください。
移行先のスマホ | 移行方法 |
---|---|
Google Pixel(ピクセル) | ケーブルもしくはワイヤレスで、旧スマホと新スマホを接続してデータを移行する |
Xperia(エクスペリア) | ケーブルもしくはワイヤレスで、旧スマホと新スマホを接続してデータを移行する |
AQUOS(アクオス) | ケーブルもしくはワイヤレスで、旧スマホと新スマホを接続してデータを移行する |
Galaxy(キャラクシー) | 「Smart Switch」アプリを経由(ケーブルもしくはワイヤレスで、旧スマホと新スマホを接続してデータ移行) |
OPPO(オッポ) | 「OPPO Clone Phone」アプリを経由(旧スマホのQRコードを新スマホで読み込む) |
Xiaomi(シャオミ) | 「ShareMe」アプリ経由(旧スマホのQRコードを新スマホで読み込む) |
方法1:ケーブル接続でデータを移行する
Android 12以降を搭載した「AQUOS」「Xperia」「Pixel」などのスマホは、USB Type-Cのケーブルでデバイス同士を接続して直接データを移行する方法が採用されています。

周囲の影響を受けやすいワイヤレス接続と比べ、ケーブル接続は安定した通信ができます。バックアップなどの事前準備も必要ないので、比較的素早くデータ移行を完了できるでしょう。
デメリットは、USB Type-Cのケーブルを用意する必要があること。とはいえ、この方法を採用するスマホは、付属品としてUSB Type-Cのケーブルが同梱されているケースが多いので、あまり問題はないはずです。
同じメーカー間 | 異なるメーカー間 | |
---|---|---|
画像/写真(.JPEG/.PNG/.GIF) | ○ | ○ |
動画(.MP4/.MOV) | ○ | ○ |
音楽/音声ファイル(MP3/MPEG/WAV) | ○ | ○ |
Adobeファイル(.PDF) | ○ | ○ |
Microsoft関連ファイル(.XLS/.XLSX/PPT/.PPTX/.DOC/.DOCX) | ○ | ○ |
インストールしていたアプリ | ○ | ○ |
アプリ内のデータ | △(一部のみ) | △(一部のみ) |
ホーム画面のアプリ配置 | ○ | × |
ホーム画面の壁紙 | ○ | × |
日付と日時 | ○ | ○ |
連絡先(電話帳) | ○ | ○ |
通話履歴 | ○ | ○ |
SMSメッセージ送受信履歴 | ○ | ○ |
Wi-Fiネットワークとパスワード | ○ | ○ |
Bluetoothの接続設定 | ○ | × |
通知設定 | ○ | × |
- 同じメーカー間はAQUOS sense plus(Android 9)→AQUOS sense 5G(Android 12)、Pixel 4(Android 12)→Pixel 6(Android 12)、Xperia 5(Android 10)→Xperia AceⅢ(Android 12)へのデータ移行で検証
- 異なるメーカー間はXperia 5(Android 10)→Pixel 6(Android 12)、AQUOS sense plus(Android 9)→Xperia AceⅢ(Android 12)へのデータ移行で検証
筆者が試した際は、写真・動画・音声といったメディアファイルはもちろん、アプリや一部のアプリデータまで再現されていました。
特に同じメーカー間での機種変更ならホーム画面のアプリ配置や壁紙、設定なども再現されたので、「旧スマホの環境をほぼまるごとコピーできる」といってもいいでしょう。
-
旧スマホと新スマホをType-Cケーブルで接続する
「アプリとデータのコピー」画面が表示されるので、
をタップ。「以前に使用していたスマートフォンをご用意ください」と表示されたら、旧スマホと付属のUSB Type-Cケーブルを準備します。上の画像のように、付属のUSB Type-Cケーブルで旧スマホと新スマホをつなぎましょう。旧スマホに「新しい端末にデータをコピーしますか?」と表示されるので
を押します。このまま、セットアップが終了するまで旧スマホと新スマホを接続した状態にしておきましょう。
2020年以降に発売されたAQUOSスマホ、およびPixelスマホは購入時に「クイックスイッチアダプター」が同梱されています。旧スマホの充電端子がType-C以外の場合は、クイックスイッチアダプターを経由して接続してください。
-
旧スマホから新スマホにデータをコピーする
デバイス同士が正常に接続されると、旧スマホから移行できるデータが一覧で表示されます。デフォルトではすべての項目にチェックが入っています。問題なければコピーボタンをタップしてください。
「データをコピーしています」と数秒間表示された後、「Googleサービス」という画面が表示されます。一読して問題なければ、すべてにチェックを入れて[同意する]を押しましょう。
特に「Googleドライブへのバックアップ」はオンにしておくのがおすすめです。新しいスマホで蓄積されたさまざまなデータが自動的にクラウド(Google One)にバックアップされるので、端末の故障や紛失対策として有用です。
-
セットアップ完了と同時にデータのコピーが始まる
セットアップが終わり次第、再び「データをコピーしています」と表示されます。ケーブルで端末同士を接続したまま、終了まで待ちましょう。
「コピーが完了しました」と表示されたら
をタップ。旧スマホと新スマホからケーブルを抜いて大丈夫です。ホーム画面が立ち上がり、アプリが順次インストールされはじめます。Wi-Fiに接続した状態を保ってしばらく待ってください。
方法2:ワイヤレス接続でデータを移行する

最新の「AQUOS」「Xperia」「Pixel」「arrows」などのスマホは、ワイヤレスでのデータ移行も可能です。USB Type-Cのケーブルが同梱されていない、Xperiaシリーズなどでは有用な手段となるでしょう。
デバイス同時を近く(0.5メートル以内)に置き、上の画像のように模様(シェイプ)の一致を確認してペアリングします。あとはGoogleアカウントにログインできれば、即座にデータ移行が開始される仕組みです。
同じメーカー間 | 異なるメーカー間 | |
---|---|---|
画像/写真(.JPEG/.PNG/.GIF) | ○ | ○ |
動画(.MP4/.MOV) | ○ | ○ |
音楽/音声ファイル(MP3/MPEG/WAV) | ○ | ○ |
Adobeファイル(.PDF) | ○ | ○ |
Microsoft関連ファイル(.XLS/.XLSX/PPT/.PPTX/.DOC/.DOCX) | ○ | ○ |
インストールしていたアプリ | ○ | ○ |
アプリ内のデータ | △(一部のみ) | △(一部のみ) |
ホーム画面のアプリ配置 | ○ | ☓ |
ホーム画面の壁紙 | ○ | ☓ |
日付と日時 | ○ | ○ |
連絡先(電話帳) | ○ | ○ |
通話履歴 | ○ | ○ |
SMSメッセージ送受信履歴 | ○ | ○ |
Wi-Fiネットワークとパスワード | ○ | ○ |
Bluetoothの接続設定 | ○ | ☓ |
通知設定 | ○ | ☓ |
- 同じメーカー間はAQUOS sense plus(Android 9)→AQUOS sense 5G(Android 12)、Pixel 4(Android 12)→Pixel 6(Android 12)、Xperia 5(Android 10)→Xperia AceⅢ(Android 12)へのデータ移行で検証
- 異なるメーカー間はXperia 5(Android 10)→Pixel 6(Android 12)、AQUOS sense plus(Android 9)→Xperia AceⅢ(Android 12)へのデータ移行で検証
移行できるデータの種類は、前述したケーブル接続と変わりません。ただし、ワイヤレス接続でのデータ転送はケーブル経由よりも低速です。大容量のデータを移行する場合は、少し時間がかかってしまうかもしれません。
-
ワイヤレスでの接続を選択する
「アプリとデータのコピー」画面が表示されたら
をタップ。「以前のスマートフォンをご用意ください」の画面で を押します。「以前のスマートフォンのケーブルをご用意ください」の画面で[ケーブルがない場合]を選択します。
「以前のデバイスを使用してワイヤレスでデータを転送」という画面が表示されるので
をタップしてください。 -
デバイス同士をペアリング(ワイヤレス接続)する
「古いデバイスでGoogleアプリを開いてください」と表示されたら、旧スマホで「Google」アプリを開いて新スマホの近く(0.5メートル以内)に置きます。
検索欄に「デバイスのセットアップ」と入力し、検索結果に進みます。(もしくは「OK Google、デバイスのセットアップ」と話しかける)。
しばらくすると旧スマホにスタートガイドが表示されるので、問題なければ
をタップしてください。ペアリングが正しくできていれば、新旧スマホに同じシェイプ(模様と数字)が表示されます。シェイプが同じことが確認できたら、旧スマホで
をタップします。 -
旧スマホから新スマホにデータを転送する
デバイス同士が正常に接続されると、旧スマホから移行できるデータが一覧で表示されます。
デフォルトではすべての項目にチェックが入っています。問題なければ
ボタンをタップしてください。「データをコピーしています」と数秒間表示された後、「Googleサービス」という画面が表示されます。一読して問題なければ、すべてにチェックを入れて[同意する]を押しましょう。
特に「Googleドライブへのバックアップ」はオンにしておくのがおすすめです。新しいスマホで蓄積されたさまざまなデータが自動的にクラウド(Google One)にバックアップされるので、端末の故障や紛失対策として有用です。
途中で、セットアップを続行するか問われます。早くデータ移行を終わらせたい場合は[中断し、リマインダーを受け取る]を押してください。
セットアップが終わり次第、再び「データをコピーしています」と表示されます。ワイヤレスで端末同士を接続したまま、終了まで待ちましょう。
「コピーが完了しました」と表示されたら[完了]をタップ。旧スマホと新スマホからケーブルを抜いて大丈夫です。ホーム画面が立ち上がり、アプリが順次インストールされはじめます。Wi-Fiに接続した状態を保って、しばらく待ってください。
方法3:メーカー提供のアプリを使ってデータを移行する

「Galaxy」や「OPPO」「Xiaomi(Redmi/Mi)」「ASUS(ZenFone)」といった中国・韓国メーカー製のスマホは、専用のアプリを使ってデータ移行するのが主流です。旧スマホと新スマホそれぞれにデータ移行アプリをインストールした後、ケーブルやワイヤレス接続、QRコード認証などでデータを移行します。
同じメーカー間 | 異なるメーカー間 | |
---|---|---|
画像/写真(.JPEG/.PNG/.GIF) | ○ | ○ |
動画(.MP4/.MOV) | ○ | ○ |
音楽/音声ファイル(MP3/MPEG/WAV) | ○ | ○ |
Adobeファイル(.PDF) | ○ | ○ |
Microsoft関連ファイル(.XLS/.XLSX/PPT/.PPTX/.DOC/.DOCX) | ○ | ○ |
インストールしていたアプリ | ○ | △(一部のみ) |
アプリ内のデータ | △(一部のみ) | △(一部のみ) |
ホーム画面のアプリ配置 | ○ | × |
ホーム画面の壁紙 | ○ | × |
日付と日時 | ○ | ○ |
連絡先(電話帳) | ○ | ○ |
通話履歴 | ○ | ○ |
SMSメッセージ送受信履歴 | ○ | ○ |
Wi-Fiネットワークとパスワード | ○ | × |
Bluetoothの接続設定 | ○ | × |
- 同じメーカー間はGalaxy A20(Android 10)→Galaxy S21 5G(Android 12)へのデータ移行で検証
- 異なるメーカー間はXperia 5(Android 10)→Galaxy S21 5G(Android 12)へのデータ移行で検証
移行できるデータの種類はメーカーにより異なりますが、Galaxy(Samsung)による「Smart Switch」の場合は、かなり完璧に旧スマホのデータをコピーできていました。
専用アプリを経由してのデータ移行は、旧スマホの機種やOSバージョンによって上手くいかないケースもあるようです。必要に応じて、後述するGoogle One経由のバックアップ&復元を利用してみてもいいかもしれません。
方法4:Google Oneにデータをバックアップ&復元する

Android 8以降を搭載した端末には、スマホのデータをGoogleアカウントに紐付けてバックアップ・復元するシステム「Google Oneバックアップ」が標準搭載されています。
メーカー・機種・キャリアを問わず、Googleアカウントさえあれば誰でも利用できる便利な機能です。
同じメーカー間 | 異なるメーカー間 | |
---|---|---|
画像/写真(.JPEG/.PNG/.GIF) | ○(Googleフォト経由) | ○(Googleフォト経由) |
動画(.MP4/.MOV) | ○(Googleフォト経由) | ○(Googleフォト経由) |
音楽/音声ファイル(MP3/MPEG/WAV) | ○(Googleドライブ経由) | ○(Googleドライブ経由) |
Adobeファイル(.PDF) | ○(Googleドライブ経由) | ○(Googleドライブ経由) |
Microsoft関連ファイル(.XLS/.XLSX/PPT/.PPTX/.DOC/.DOCX) | ○(Googleドライブ経由) | ○(Googleドライブ経由) |
インストールしていたアプリ | ○ | ○ |
アプリ内のデータ | △(一部のみ) | △(一部のみ) |
ホーム画面のアプリ配置 | △ | △ |
ホーム画面の壁紙 | ○ | ○ |
日付と日時 | ○ | ○ |
連絡先(電話帳) | ○ | ○ |
通話履歴 | ○ | ○ |
SMSメッセージ送受信履歴 | ○ | ○ |
Wi-Fiネットワークとパスワード | ○ | ○ |
Bluetoothの接続設定 | ○ | ○ |
- 同じメーカー間はAQUOS sense plus(Android 9)→AQUOS sense 5G(Android 12)、Pixel 4(Android 12)→Pixel 6(Android 12)、Xperia 5(Android 10)→Xperia AceⅢ(Android 12)へのデータ移行で検証
- 異なるメーカー間はXperia 5(Android 10)→Pixel 6(Android 12)、AQUOS sense plus(Android 9)→Xperia AceⅢ(Android 12)へのデータ移行で検証
メーカー問わず、アプリや一部アプリ内データ、通話履歴、ホーム画面の壁紙などの細かい部分までしっかり復元できていました。
画像や動画、音楽などのメディアファイルはそれぞれクラウドストレージ(Google フォトやGoogle ドライブ)に保存されるので、新スマホのストレージ容量の負担を減らせるというメリットもあります。スマホの故障や紛失対策としても有効です。この方法でデータ移行したい人は以下の記事を参照ください。
ステップ3:アプリ内データを個別に引き継ぐ
すべてのアプリがインストールできたら、それぞれアプリを起動して中身をチェックしましょう。いくつかのアプリは、その内部に記録されているデータを引き継いだ状態で新スマホにインストールされているはずです。

筆者が試した際は、メモ帳アプリに書いたテキスト、時計アプリで設定したアラーム、お絵かきアプリで描いたイラスト、MacroDroidに設定したタスク、オフラインゲームアプリのセーブデータ・スコアなどが引き継がれました。
ただし、アプリデータの一括移行に対応しているのは、一部のみ。全てのアプリが対象というわけではありません。アプリデータを一括で移行できない場合は、アプリごとに手動で引き継ぎ作業をおこなう必要があります。
各アプリにログインする

セキュリティ上、アプリのログイン情報は新スマホに引き継がれません。すべてログアウトされた状態で新しいスマホにインストールされてしまうのです。
まずは、旧スマホを操作してIDやパスワードを確認しつつ、新しいスマホ側の各アプリでログインを進めてください(Wi-Fiに接続されていれば、SIMカードなしでも旧スマホは利用できます)。
LINEアプリのデータを引き継ぐ
LINEアプリのデータは、Androidのデータ移行システムでは移行できません。別途、引き継ぎ作業をおこなう必要があります。ざっくりとした流れは以下の通りです。

旧スマホで表示したQRコードを新スマホで読み取れば、LINEアカウント自体の引き継ぎは完了します。
あとはトーク履歴をバックアップ・復元すれば、元通りにLINEを復元できる仕組みです。LINEアプリの詳しいデータ移行手順は、以下の記事を参照ください。
ゲームアプリのデータを引き継ぐ
ゲームアプリにも、独自のデータバックアップ・引き継ぎ機能が搭載されているケースが多いです。各ゲームアプリの案内に従って、引き継ぎをおこないましょう。
以下、本サイトでもいくつかゲームアプリの引き継ぎ方法を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
ステップ4:「かざして支払う」タイプの電子マネー残高を移行する

“かざして支払う”タイプの電子マネーは、セキュリティ上、複数のスマホに同じアカウントで同時ログインできません。
そのため機種変更の際は、(1)旧スマホで登録した会員情報やチャージ残高などのデータをサービス事業者のサーバーに預ける、(2)新スマホでIDやパスワードでログインしてサーバからデータを受け取る、という作業が必要です。
- モバイルSuicaの引き継ぎ方法
- モバイルPASMOの引き継ぎ方法
- 楽天Edyの引き継ぎ方法
- モバイルWAONの引き継ぎ方法
- モバイルnanacoの引き継ぎ方法
- iDの引き継ぎ方法(Google Payで利用の場合は不要)
- QUICPayの引き継ぎ方法(Google Payで利用の場合は不要)
旧スマホにデータを残したままだと、新しいスマホで残高やアカウント情報を引き継げません。スマホを“かざして”支払ったことがある人は、必ずデータの移行作業をおこなってください。
なお、データの移行作業は「おサイフケータイ」アプリや「Google Pay」アプリからはおこなえません。データを預けたり、受け取ったりするのは、各サービスの個別アプリから実行する必要があります。
ステップ5:SIMカードの入れ替えとAPN設定
旧スマホのSIMカードを新スマホでも引き続き利用する人は、SIMカードの入れ替えが必要です。

新しいスマホのセットアップが終了し次第、スマホの電源を落としてSIMカードの入れ替えとネットワーク設定(APN設定)をおこないましょう。eSIMを使っている人は、専用のサイトで機種変更の手続きを済ませればOKです。
なお、旧スマホからSIMカードを抜いても、旧スマホが操作不能になったり初期化したりすることはありません。SIMカードを抜いた後も旧スマホは問題なく使えますし、Wi-Fiに接続されていればアプリ操作やWebサイトのアクセスなどもおこなえます。
-
新・旧両方のスマホの電源を切る
SIMカードの入れ替えをおこなう前には、必ず新・旧両方のスマホの電源を切りましょう。起動したまま入れ替え作業をおこなうと、故障につながるおそれがあります。
-
旧スマホからSIMカードを抜く
続いて、旧スマホの側面や上部にある小さな穴をSIM取り出し用ピンなどでプッシュして、挿し込み口(トレイ)を取り出します。
一部穴がないタイプの機種は、そのままトレイを爪で引き出して取り出せます。
トレイが引き出せたら、SIMカードを取り外します。このとき、チップ部分に皮脂や汚れ、ほこり、水分などがつくと不具合の原因になります。
なるべくICチップ(金属部分)に触れないよう、取り扱いには注意してください。
-
新スマホにSIMカードを装着する
同じ要領で新しいスマホの挿し込み口(トレイ)を引き出し、SIMカードを乗せて挿し込みます。
斜めに欠けている角部分が合うようにSIMカードを置き、トレイと端末のプッシュ穴の位置を合わせて水平に押し込むと正しい向きで装着できます。
-
モバイルデータ通信ができるか確認、必要に応じてAPN設定を済ませる
SIMカードを入れ替えたら、新スマホの電源を入れてモバイルデータ通信ができるか確認します。Wi-Fiをオフにした上で、Googleで何か適当に検索してみてください。
上図のように表示されて検索結果が表示できなかった場合、モバイルデータ通信ができていません。以下の手順でAPN設定をおこないましょう。
対して、正常に検索結果を表示できた場合は、APN設定が済んでいるのでそのままの状態でOKです。
APN設定とは?
自身が契約している通信会社の電波を特定するためにあるのが「APN(Access Point Nameの略)設定」です。
新スマホでSIMカードに合ったAPN設定がされていない状態だと、モバイルデータ通信がおこなえません(電話の発着信やSMSの送受信など電話回線を使った操作はおこなえます)。
キャリアで購入したスマホには最初から自社SIMのAPNが設定されています。たとえば、ドコモで購入したAQUOSスマホにドコモのSIMカードを入れて使う場合、ユーザー側での作業は不要です。
一方、SIMフリーのスマホを使う場合は手動でのAPN設定が必要です。具体的には、シャープのオンラインストアで購入したSIMフリーのAQUOSスマホに、手持ちのSIMカードを入れて使う場合などです。
また、ドコモで購入したAQUOSスマホに楽天モバイルのSIMカードを入れるケースなど、他社製品同士を組み合わせて使う場合もAPN設定をしなければなりません。
端末の「設定」を開き、
をタップ。メニューから を選択します。下にスクロールし、
をタップしてください。すると、挿入しているSIMカードに従って自動的にアクセスポイント名が表示されます。自身の使っている回線を選択してください。回線が見つからない場合は、右上の
ボタンをタップしてAPNの情報を手入力します。「楽天モバイル APN」などのキーワードでGoogle検索すると、APNの情報が調べられるはずです。必要な項目を埋めていきましょう。入力できたらメニューボタン
から をタップ。最後に、登録したAPNにチェックを入れれば設定完了です。