Androidスマホの機種変更でデータ移行する方法──機種別にやることを解説
本記事では、Androidスマートフォンの機種変更に伴うデータ移行の方法を解説します。AQUOS・Galaxy・Xperia・Pixelと各機種シリーズごとに最適なデータ移行方法を紹介しているほか、Androidスマホ⇄iPhoneの異なるOS間での機種変更など様々なパターンを網羅しています。
Androidスマホの機種変更で押さえておきたい5つのポイント
Androidスマホへの機種変更に伴うデータ移行を成功するためには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
これらは移行方法や機種に関わらず、全Androidスマホに共通するものです。機種変更の前に、軽く目を通しておくとスムーズにデータ移行を進められるでしょう。
最適な移行方法はメーカー・機種によって異なる
iPhoneと違い、Androidスマホは製造メーカーや機種、機能がバラバラのため、端末内のすべてのデータを移行できる統一的な方法は存在しません。
セットアップ時にすべてのデータを丸ごと移動できる機種もあれば、データごと段階的に移行作業が必要な機種もあり、最適なデータ移行方法は機種によって異なります。「Androidスマホ」と一括りにしてデータ移行方法を紹介するのは難しいところです。
本記事の後半では、機種ごとに最適なデータ移行方法を紹介しています。自身の環境に合わせて、実際のデータ移行手順確認してください。
キャリアショップ(ドコモ・au・ソフトバンク等)への丸投げは難しい
携帯電話会社の3大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)ユーザーなら、ショップ・量販店などで機種変更手続きと同時にデータ移行についての相談もできるはずです。「自分で移行するのは不安」という人は、近くのショップや量販店でスタッフに相談するのも一つの手でしょう。
ただ、かつてのような「スタッフにまかせて全部やってくれる」サービスは期待できません。個人情報の観点から、やり方は教えてくれても代行はしてくれないケースが多いのが現状です。
Googleアカウントの情報(同期)は必ず確認しておく
左:端末の「設定」アプリで[アカウント]をタップ右:自分のアカウントを確認
Googleアカウントは、Androidスマホの多くの機能と連動しています。
新しいスマホで確実にログインできるように、Googleアカウント(メールアドレスとパスワード)の情報は、必ず確認しておきましょう。パスワードの記憶があいまいであれば、再登録して正確なものを把握しておくと安心です。
左:自分のアカウントをタップ右:同期されていない項目をオンに切り替える
また「Gmail」「Googleフォト」「Google カレンダー」といったGoogle関連サービスのデータは、すべてGoogleアカウントに紐付いています。機種変更前に、設定アプリで各サービスの同期がオンになっているか確認しましょう。
アプリは個別にデータの移行方法を確認しておく
旧スマホで入れていたアプリは、新しいスマホでも利用したいはず。でも、一つひとつインストールし直すのはかなり面倒です。
この点、搭載OSがAndroid 6.0以降で、かつ「Googleドライブへのバックアップ」がオンの状態なら、新しいスマホでGoogleアカウントにログインするだけで、全アプリが自動でインストールされます。
このとき、一部のアプリデータも一緒に復元されるので、設定した項目なども引き継ぐことが可能です。
しかし、アプリによっては、この方法でバックアップできないデータを保持しているものがあります。LINEのトーク履歴や「パズドラ」「モンスト」といったゲームアプリなどが挙げられます。
このようなアプリは、アプリ内での引き継ぎ作業をあらかじめおこなっていないと、データが消えてしまう可能性もあります。自動バックアップ機能を過信せず、各アプリのヘルプページを見るなどして対策をしておきましょう。
特にLINEのトーク履歴は、バックアップを取らずに機種変更してしまい後悔するユーザーが少なくないようです。以下の記事を参考に、確実にバックアップをおこなってください。

おサイフケータイのデータは機種変更前にサーバーに預ける
Androidスマホでおサイフケータイ・Google Payなどを利用している人は、機種変更前に忘れずに各電子マネー残高の移行作業をしましょう。
旧スマホにデータを残したままだと、新スマホで電子マネーデータにアクセスできなくなってしまいます。
おサイフケータイの各電子マネー移行手続きは、各サービズのサイトにアクセスし、(1) 登録した会員情報チャージ残高などのデータを一旦サービス事業者のサーバーに預け、(2) 後にIDやパスワードでログインしてデータをサーバから受け取る、という流れです。
移行費用 | 引き継ぎ時に必要な情報 | |
---|---|---|
楽天Edy | 1. Edy残高のみ(無料) 2. Edy残高とユーザー情報(税別100円) |
ユーザーID、パスワード |
モバイルSuica | 無料 | 登録時のメールアドレス、パスワード |
モバイルPASMO | 無料 | Googleアカウントのメールアドレス、パスワード |
iD | 無料 | アクセスコード、パスワード |
モバイルWAON | 無料 | 機種変更反映用パスワード、本人情報 |
nanacoモバイル | 無料 | 引き継ぎ番号、パスワード |
QUICPay | 無料 | 受け取りID、受け取りパスワード |
データを受け取る際はアクセスコードやパスワード、ID番号などの情報を入力しなければならないため、しっかりメモを控えておきましょう。

Androidスマホ同士の機種変更で利用できるデータ移行方法
ここでは、簡単かつ確実にデータを移行できる方法を3つを取り上げ、メリット・デメリット含めて紹介します。なお、他にキャリアの移行ツールや、パソコンを利用する方法もありますが、本記事では割愛します。
3つの方法の一番の違いは、データの保管場所です。
Googleサービス経由の場合はインターネット上に、移行ツールやケーブルでデータを転送する場合は新スマホの内部ストレージに、SDカード経由ではSDカードにデータが保存されます。
新しいスマホでどのようにデータを保管しておきたいかを基準に、移行手段を決めるのもいいでしょう。
手段1:Googleサービス(クラウド)経由でデータを移行する
- メーカー・機種・キャリア・OSを問わずほとんどのスマホで利用できる
- バックアップデータさえあれば旧スマホが手元になくても復元できる
- 新スマホの内部ストレージ節約・データ消失対策になる
- バックアップ・同期していないデータは移行できない
- インターネット通信環境に左右される
メーカー・機種・キャリア・OSを問わずほとんどのスマホで利用できるのが、Googleサービス(GoogleドライブやGoogleフォト)経由でデータを移行する方法です。
厳密には、旧スマホから新スマホにデータを「移行」するのではなく、旧スマホでバックアップしたデータに新しいスマホでアクセスする、という手法をとります。
インターネット(クラウド)上にデータを保管しておけるので、新しいスマホの容量を消費しません。そのほかにも、スマホの紛失や故障といったトラブルから大切なデータを守れたり、パソコンやタブレットなどからもアクセスできたりと、さまざまなメリットがあります。
Googleの各種サービスを活用してデータをバックアップ・復元する手順については、以下の記事で詳しく解説しています。

手段2:メーカーが提供している純正の移行アプリ・ツールでデータを転送する
- バックアップなしで簡単にデータ移行を済ませられる
- 他社製AndroidスマホやiPhoneからでもデータ移行が可能
- 機種によって移行できるデータに差がある
- 旧スマホが手元に必要なのでスマホの紛失・故障時などは利用できない
- 新スマホの内部ストレージ容量を消費する
メーカーが提供している純正の移行アプリや独自のツールを利用するのもいいでしょう。
ケーブルやWi-Fi Directでスマホ同士を接続して直接データを移行するので、バックアップなどの事前準備はほとんど必要ありません。いずれのツールもデータの互換性が高く、他社製AndroidスマホはもちろんiPhoneからでもデータ移行が可能です。
左:Galaxyシリーズは「SmartSwitch」でデータ移行できる右:Pixelシリーズはケーブル接続でデータ移行できる
特に、PixelシリーズやGalaxyシリーズは非常に使い勝手がよく、セットアップ時に旧スマホの環境をほぼ丸ごと新スマホに転送できます。
ただデータを直接転送する場合、新しいスマホの内部ストレージに旧スマホのデータそのまま保存されます。内部ストレージはあらかじめ上限容量が決まっているため、不要なデータは削除し必要なものだけを移行するのがおすすめです。
手段3:SDカードにデータをバックアップして新端末で復元する
- 挿し替えるだけでスムーズにデータ移行ができる
- 大容量のデータでも管理できる
- 物理的にデータが破損する可能性があるため取り扱いに注意が必要
- SDカード非対応の端末への復元が難しい(カードリーダー等が必要)
- アプリ、Googleアカウント、設定などは移行できない
旧新スマホ両方がSDカードに対応機種なら、SDカードにデータをバックアップして新スマホで復元できます。旧スマホから新スマホにカードを入れ替えるだけでなので、大容量のデータでも簡単かつスムーズに移行できるのがポイントです。
ただし、SDカードで移行できるのは、主に画像や音楽、文書などのメディアデータと、標準アプリのデータ(連絡先や通話履歴)に限られます。
そのため、まずGoogleドライブ経由でアプリ、連絡先、設定などのデータを復元し、セットアップ後にSDカード経由でスマホ内のメディアデータ(書類・音楽・画像・動画)などを移行する、という流れで作業を進めるといいでしょう。

機種・OS別にデータ移行手順を確認する
冒頭で述べたように、スマホの機種や移行先のOSによって最適なデータ移行方法は異なります。機種ごとに最適なデータ移行方法の専用記事を配信しているので、自身の環境に合わせて確認してください。
Pixelスマホへ機種変更する場合
Pixelシリーズへ機種変更する場合は、セットアップ時にケーブルでスマホ同士を接続してデータを転送できます。ケーブルで物理的に接続するだけなので、面倒な設定は必要なく、簡単かつスピーディーにおこなえるのが特徴です。
移行元(旧スマホ)にもよりますが、ストレージに保存されているデータをはじめ、アプリのレイアウト、壁紙、設定まで、旧スマホの環境を細かく再現できます。

Galaxyスマホへ機種変更する場合
Galaxyシリーズでは「SmartSwitch」アプリを使って、セットアップの時に旧スマホのデータを丸ごと新スマホに転送できます。ケーブル接続のほか、Wi-Fi Directによるワイヤレス接続が可能なのも嬉しいポイントです。
スマホに保存されているデータ(文書、音楽、画像、動画、連絡先)だけではなく、アプリ、ホーム画面、設定などの情報も新しいGalaxyスマホで復元できます。

AQUOSスマホへ機種変更する場合
AQUOSスマホでは、専用ツールとして「シャープバックアップ」アプリが配信されていますが、PixelやGalaxyのようにセットアップの時に一括ですべてのデータを移行できるものではありません。
そのため、まずはセットアップ中にGoogleドライブ経由でアプリ、連絡先、設定などのデータを復元し、セットアップ後に専用ツールやGoogleフォトなどでスマホ内のメディアデータ(書類、音楽、画像、動画)などを移行する、という流れで移行作業を進めましょう。

Xperiaスマホへ機種変更する場合
XperiaスマホもAQUOS同様、専用アプリ「Xperia Transfer 2」が配信されていますが、アプリデータまでは移行できません。
加えて、Xperia Transfer 2が対応しているのは「Xperia 1 II」「 Xperia 10 II」と2020年10月以降発売のモデルに限られます。Googleの各種サービスを主体にデータを移行をするのがもっともスムーズでしょう。

AndroidスマホからiPhoneへ機種変更する場合
AndroidスマホからiPhoneにデータを移行する手段は複数ありますが、メーカー・キャリアを問わず使える、Apple公式の「iOSに移行」アプリを経由してデータを移行するのがおすすめです。
ただ、異なるOS間で機種変更する場合は、移行できないデータがある点に気をつけなければなりません。

iPhoneからAndroidスマホへ機種変更する場合
iPhoneからAndroidスマホへの機種変更は、有料アプリ、モバイルSuicaの残高、iMessageの送受信データなど移行できないデータに注意が必要です。
とはいえ、iOS・Android共通で使える「Googleドライブ」を活用すれば、ほとんどのデータは問題なく移行できます。加えて、GalaxyスマホやPixelスマホのように、セットアップ時にiPhoneから直接データを受信できる機種もあります。これらなら、移行作業はかなりスムーズに済ませられるでしょう。

検証端末:AQUOS sense plus(Android 10)、AQUOS sense 4(Android 10)、Xperia 5(Android 10)、Pixel 4a(Android 11)、GalaxyA20(Android 10)、iPhone X(iOS 14.1)、iPhone 8(iOS 14.1)