音楽配信サービスにはさまざまなものがあるため、どれを選べばよいか迷ってしまう人も少なくないでしょう。本記事では、音楽配信サービスの中でもよく名前が挙がる「Spotify」と「Apple Music」を比較します。
Spotifyといえば、全世界で3億6500万人ものユーザーを抱える、世界最大手の音楽配信サービスです。一方のApple Musicは1億曲以上の音源をすべてロスレス化、空間オーディオをサポートするなど、大きく刷新しています。
メリットとデメリットをしっかり把握したうえで、自身にぴったりのサービスを選択しましょう。
プランの違いは?
まずはプランの違いです。個人向けと学生向けのプランは基本的に同じです。Apple MusicにあってSpotifyにないのは、個人向けの年間プランのみ。逆に、SpotifyにあってApple Musicにないのは、2人用のデュオプランと無料プランです。
Spotifyのプラン
基本的なプランはApple Musicと同じですが、Duoプランという聞き慣れないプランがあります。これは一緒に暮らすカップルを対象にしたプランで、2つのアカウントがセットになっています。お互いでよく聴く曲が選曲されたプレイリスト「Duo Mix」が利用できます。
Familyプランが6人用というのはApple Musicと同じですが、料金は100円高くなっています。ただし、こちらは家族で楽しめる「Family Mix」(プレイリスト)や、子ども向けの専用アプリ「Spotify Kids」が含まれています。
プラン | 料金 | 最大アカウント数 | 無料期間 |
---|---|---|---|
Standard(個人)プラン |
980円/月 |
1つ | 3カ月 |
Duoプラン | 1280円/月 | 2つ | 1カ月 |
Familyプラン | 1580円/月 | 6つ | 1カ月 |
Studentプラン | 480円/月 | 1つ | 1カ月 |
Freeプラン | 0円/月 | 1つ | - |
Apple Musicのプラン
Apple Musicには無料プランがなく、有料プランのみです。個人向けには年間プランがあり、これを利用するとSpotifyよりも1カ月分割安になります。
プラン | 料金 | 最大アカウント数 | 無料期間 |
---|---|---|---|
個人プラン | 1080円/月、1万800円/年 | 1つ | 1カ月 |
ファミリープラン | 1680円/月 | 6つ | |
学生プラン | 580円/月 | 1つ |
配信楽曲数の違いは?
配信楽曲数では、Apple Musicが1億曲以上、Spotifyは8200万曲以上となっており、Apple MusicのほうがSpotifyよりも2000万曲ほど多いです。ただし、この2000万曲の違いがどこにあるかは定かではありません。
以前は洋楽のSpotify、邦楽のApple Musicと言われていた時代もありましたが、現在では見る限りさほど違いがないようです。
違いがあるとすれば、レコメンド機能でしょう。どちらも曲を聴いたり、お気に入りを付けたりすることで、曲の好みを学習していきます。再生した曲やお気に入りの傾向から、ユーザーの好みに合う音楽をおすすめしてくれるのがレコメンドです。

Spotify

Apple Music
Spotifyの「Daily Mix」は優秀です。よく聴く曲の中に、聞いたことのないけれど傾向が似ている曲をさりげなく挿入したミックスが作られます。自分の好みが正確に反映されていることに感心のし通しです。それでいて未知の音楽に出会えるという楽しみもあります。
また「Radio」機能を使うと、選択したアーティストの作品やジャンル、年代などをもとに、好みの音楽を自動選曲してくれます。
Apple Musicでも、ユーザーの好みを反映させた「今すぐ聴く」があります。自分用のステーションや、好みのアーティストと似たアーティストを集めたステーションが常に再生可能です。Spotifyほどピンポイントではありませんが、何も考えず好みの曲を聴き続けられます。
音質の違いは?

Apple Musicは、通常の256kbps AACのほか、可逆圧縮の「ALAC」を採用しロスレスとハイレゾロスレス、ドルビーアトモス(Dolby Atmos)に対応した楽曲を配信しています。ロスレスは、スタジオで制作したままの音源をロス無しで記録した形式です。中でもCD品質を超える最大24ビット/192kHzの音源はハイレゾロスレスと呼ばれています。
これらの音質で音楽を楽しむのは一部のマニアだけというイメージでしたが、Apple Musicが1億曲すべての楽曲をロスレス化(ハイレゾロスレスは一部)したことで、一気に一般化しそうです。
Spotifyは今のところ、320kbpsの不可逆圧縮形式で配信しています(無料プランは最高160kbps)。音質としては普通ですが、ロスレスオーディオが標準になると見劣りするかもしれません。
ただ今後、高音質ストリーミング「Spotify HiFi」がスタートする予定です。品質については、CDクオリティのロスレスオーディオ(1411kbps)とされています。ハイレゾへの対応や料金は不明ですが、Apple Musicとの音質面での差が小さくなるのは確実です。
SpotifyとApple Musicの特徴的な機能を比較
どちらもグローバルに展開しているサービスなので、SpotifyとApple Musicで基本的な機能に違いはあまり見られません。そこで次は、各サービスで独自のサービスについて見ていきましょう。
【Spotify】ポッドキャストを統合

Apple Musicにない特徴として、Spotifyはポッドキャストを統合しています。音楽もポッドキャストも、1カ所で楽しめるというわけです。
AIのレコメンドにはポッドキャストで再生した履歴も含まれるので、音楽とポッドキャストが1カ所で楽しめるのは、大きなメリットになります。
ポッドキャストのコンテンツは音楽が中心ではありませんが、語学の学習などに使えるコンテンツも豊富です。音楽に飽きたらポッドキャストを聴く(流す)といった使い方ができるのは、Spotifyの魅力です。
【Spotify】カラオケ練習ができるシンガロング機能

歌詞を表示させて左下にあるマイクボタンを押すと、カラオケモード(シンガロング)になります。ボーカルが聞こえなくなって、音楽に合わせてカラオケの練習ができる機能です。
ボーカルの音量は大きくすることも小さくすることも可能です。「LINE MUSIC」のように、リバーブをかけられるといった機能はありませんが、イヤホンが不要なので気軽に練習できます。
【Spotify】カップルや家族でアカウントを共有できる
パートナーなどとアカウントを共有するとき、6人分もアカウントはいらないと思ったことはないでしょうか。Duoプランは、StandardプランとFamilyプランの間を埋める2人向けのプランです。自室とリビングなど2カ所で再生したいといったときも、リーズナブルな料金でアカウントを追加できるプランです。
カップルで利用するときは、それぞれがよく聴く音楽をミックスしたプレイリスト「Duo Mix」が利用できるのもうれしいところです。相手にも聞いてほしい曲をさりげなくアピールできます。
Familyプランでも同様のFamily Mixが利用できます。ドライブに行くときなどにFamily Mixを再生すれば、家族のみんなが納得する選曲で音楽を楽しめるわけです。
【Apple Music】空間オーディオを手軽に体験できる

ロスレス、ハイレゾロスレスとともに対応したドルビーアトモスは、無料期間中にぜひ体験しておきたい機能です。ドルビーアトモスは、単に高音質化を目指しているのではなく、これまでの音楽体験を大きく変化させるものです。
これまでの音楽は、LRに振り分ける2ミックスが主流でしたが、そこに奥行きが加わることで、アーティストや音源の位置が感じられるようになります。具体的には、部屋の中心にいて音楽を聞いているかのような音楽体験になります。
高音質化はよほどのことがないと、はっきりわかりません。ドルビーアトモスはその点、誰でも空間の広がりを感じられ、インパクトが大きいです。ソニーの「360 Reality Audio」と並び、立体音響は現在の大きなトレンドの1つとなっています。
【Apple Music】独自コンテンツのラジオ番組を配信

ただプレイリストを流すよりも、ナビゲーターの紹介があったほうが、曲名やアーティストが記憶に残りやすいものです。ラジオでは、Apple Musicが独自の音声コンテンツを提供しています。
日本発のコンテンツは3つと少ないですが、うち2つは更新も頻繁で、アーティストのインタビューなど聴き応えのある内容です。ポッドキャストはありませんが、今のトレンドを押さえるのにちょうどよいでしょう。
【Apple Music】iPhoneや他のApple製品と親和性が高い
Apple Musicは、Appleのさまざまな機能や製品と連携できるのが強みです。「Hey Siri、○○を再生して」といえば、SiriがApple Musicから曲を探して再生してくれます。
また、CellularモデルのApple Watchを持っているなら、iPhoneがなくてもApple Watch単独でApple Musicを聴くことが可能です。GPSモデルであっても、アプリをいちいち操作せずにApple Watch上で楽曲を再生でき、慣れてしまうと手放せません。
そのほか、Apple TV、HomePod、さらには対応のカーナビまで、Apple Musicを楽しむさまざまな機器が用意されています(ただし、複数の端末で同時に再生するにはファミリープランが必要です)。
各サービスのデメリット
SpotifyとApple Musicにデメリットはあるのでしょうか? いずれも完成度の高いサービスですが、あえて気になる部分を挙げるならということで、以下の点を考えてみました。
【Spotify】楽曲の一元管理に制限がある

ストリーミングの音楽と自分で取り込んだファイルをまとめて管理したいというニーズは、常にあります。Spotifyには、パソコンやスマホのローカルにあるファイル(mp3)をインポートする機能があり、プレイリストや楽曲をSpotifyから利用できます。
しかし、インポート操作はデバイスごとに必要です。インポートした楽曲は「お気に入り」にまとめられてしまい、アルバムやアーティスト名などで管理できません。また自分の曲をプレイリストに追加することも不可能です。クラウドを利用してデバイス間で楽曲を自由にストリーミング再生できるApple Musicと比べると、制限があります。
【Spotify】年間プランがない
いざ有料プラン(Premium)へアップグレードしようというとき、年間プランがないのでやや割高に感じます。個人プランの場合、月額980円なので年間では11760円となります。Apple Musicの年間プランと比べると、960円の差があります。
【Apple Music】データ量が多い

Apple Musicのデメリットというより、高音質化の代償と言うべき点です。ロスレスオーディオは、データ量が格段に増えてしまうのがネックです。
高音質な分、データ量は通常の高音質の楽曲に比べて、ロスレスで約6倍、ハイレゾロスレスは約24倍にも増えます(曲によりさらに大きくなるものもあります)。ロスレスほどではありませんが、ドルビーアトモスも約2倍のデータ量です。
通信量、容量ともに消費量が大きく、モバイル環境での再生に向きません。またダウンロード再生の場合では、ストレージを圧迫する原因になります。
【Apple Music】AirPodsはロスレスに非対応
ロスレスオーディオを聴くためには、いくつか条件があります。iOSまたはiPad OS 14.6以降、MacならmacOS 11.4以降へのアップデートが必要です(非対応のMacはこの時点でアウトです)。
また、AirPodsやAirPods ProなどのBluetoothのスピーカー・ヘッドホンでは、ロスレスオーディオになりません。Apple製品同士であっても、ロスレス対応とはならない点は注意が必要です。
ロスレスオーディオを再生するには、有線のヘッドフォンなどを接続する必要があります。通常のロスレスオーディオであれば、「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」を利用してスピーカーやヘッドホンに接続すればOKですが、48kHzを超えるハイレゾロスレスを再生するには、デジタル/アナログコンバーター(DAC)を内蔵したアダプタが必要です(なくても楽曲の再生はできますが、ハイレゾになりません)。
つまり、メリットを最大限に利用したいなら、多少の追加費用が発生する可能性があります。
【Apple Music】無料プランがない
Spotifyと比べたとき、無料プランがないのは、Apple Musicの大きなマイナスです。無料体験はありますが、1カ月間という期限付きです。
Spotifyが向いている人、Apple Musicが向いている人は?
最後にSpotifyとApple Musicが合うのはどんな人なのかをまとめました。
比較の切り口はほかにもあるため、実際に利用して確かめるのが一番ですが、どちらを選んでも音楽ライフが充実すること間違いなしです。
- 初めて音楽配信サービスを利用する人
- 音楽だけでなく音声コンテンツも楽しみたい人
3億6500万人以上というユーザー数は伊達ではありません。ただのお試しではなく、使いやすい無料プランが支持されているのがその理由でしょう。広告はありますが、これまでにあった再生時間制限も2021年に入って撤廃されています。無料版の制限が気になってきたら、より楽しむために有料プランを選択できるという自由度の高さが魅力です。
充実したプレイリストや精度の高いレコメンド機能で、新しい音楽に次々と出会えます。ポッドキャストが統合されたことで、音楽も音声コンテンツもこれ1つでOK。さらにiOS、Android、Mac、Windowsと、プラットフォームを区別することなく利用できる安心感があります。無料で楽しみたい人はもちろん、とりあえず音楽配信サービスを利用したい人にぴったりです。
- 高音質や空間オーディオを楽しみたい人
- iPhoneやiPadなど、Apple製品のユーザー
追加料金なしでロスレスオーディオやドルビーアトモスを利用できることで、Apple Musicの存在感が強まっています。高音質化や立体音響は音楽配信サービスのトレンドで、手っ取り早く体験したいなら、Apple Musicがおすすめです。
またiPhoneやMacのユーザーなら、他にもいくつかAppleの製品を所有しているかもしれません。Apple Musicは、Appleの他の製品と親和性が高く、機器同士がスムーズに連携できます。クラウドを利用してiTunesのライブラリと連携できるのは、Apple Musicだけが享受できる機能です。身の回りのデバイスをiPhoneやMacで揃えているなら、Apple Musicを選んで後悔することはまずないでしょう。