有料動画配信サービス「U-NEXT」と「Paravi」は2023年3月31日付で経営統合し、有料会員数370万人を超えるプラットフォームが誕生しました。今後、Paraviは2023年7月を目処にU-NEXT内にサービスが移管されます。
この記事では、統合の背景や今後の対応、気になる料金などについてユーザー目線でわかりやすくまとめています。
料金など統合によるユーザーへの影響は?

国内動画配信サービスの中でも平均的な月額料金のParaviと、割高ながらポイントや雑誌読み放題サービスなどの付帯特典が魅力のU-NEXT。気になるのは、統合による両サービスのユーザー対応です。2023年4月時点での現状について解説します。
U-NEXTユーザーはどうなる?
2023年7月のサービス移管以降も、U-NEXTの月額プラン内でParaviのコンテンツが視聴できるようになります。
従来から提供されている圧倒的な数の見放題作品や公開されたばかりの独占配信作品などに加え、今後は国内ドラマ・バラエティのラインナップが大幅に強化されます。
Paraviのユーザーはどうなる?
2023年6月末までは、現行のParaviアプリやWebブラウザ上で引き続き視聴できます。
2023年7月を目途にU-NEXT内にサービスが移管されますが、当面は現在の料金のままParavi内でU-NEXTのコンテンツも楽しめるようになります(一部ジャンルは対象外)。
サービスの移行内容や料金の変動などについて、2023年4月13日現在の時点で詳しい内容は明らかにされていません。今後アプリや公式サイトで随時公表される予定です。
U-NEXTとParaviの統合の背景とは

【Paravi】ジャニーズや芸能関係のコンテンツも充実

【U-NEXT】オリジナルコンテンツは少ないが、特に海外作品の先行・独占配信に強い
統合の母体となるU-NEXTは、株式会社U-NEXTが運営する動画配信サービスです。「GyaO NEXT(ギャオ ネクスト)」を前身とし、2023年4月現在で見放題作品数が27万本以上という、国内最大級のラインナップを誇ります。
課金ユーザー数は約285万人。定額制動画配信サービスの横断検索システム「JustWatch」による2022年第4四半期の市場調査によると、国内シェアは第5位。見放題プランの料金は月額2189円と他社サービスに比べてやや高めの設定ですが、毎月付与される1200ポイントを利用して、有料作品やライブ配信のほかコミック・書籍や映画チケットなどの購入が可能です。
さらに、180誌を超える雑誌が料金内で読み放題。31日間の無料トライアルでもポイントが付与され、会員登録前にじっくり内容が吟味できるのもU-NEXTならではです。
一方、有料会員数85万人を抱えるParaviは、TBSホールディングス、日本経済新聞社、テレビ東京ホールディングス、WOWOW、電通グループ、博報堂DYメディアパートナーズが共同で設立した動画配信サービス。「日本最大級の国内ドラマアーカイブ」をモットーに、話題のドラマやバラエティ、アニメ、スポーツ、ビジネスなど、需要の高い国内コンテンツに特化したラインナップが特徴です。U-NEXTとの大きな違いはオリジナルコンテンツの量にあると言えるでしょう。
料金プランは、月額1017円(iTunes Store決済の場合、1050円)。毎月1本、550円以下のレンタル作品が無料で楽しめる「Paraviチケット」が付与され、最新のレンタル作品が気軽に楽しめるのも魅力の一つです。
U-NEXT | Paravi | |
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月額料金 |
2189円 |
1017円(iTunes Store決済の場合、1050円) |
見放題コンテンツ数 | 27万本以上 | 非公開 |
無料トライアル | 31日間 | ー |
対応端末 |
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画質 | フルHD/4K/Dolby Vision®(ドルビービジョン)※デバイスや作品によって異なる | 「自動」「最高画質」「高画質」「標準」「さくさく」※デバイスや作品によって異なる |
同時視聴 | 4台(同一タイトルの同時視聴は不可) | 1台 |
アカウント共有 | ◯(親アカウント:1/子アカウント:3) | ◯(親アカウント:1/子アカウント:6) |
ダウンロード機能 | ◯(スマホ・タブレットアプリのみ) | ◯(スマホ・タブレットアプリのみ) |
特典 |
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以下では、先日オンラインでおこなわれたスモールミーティングの内容を元に、両サービスの統合の背景についてシンプルに解説します。
約370万人のユーザー基盤を構築できる

今回の経営統合により、売上高800億円以上、有料会員数370万人以上、配信コンテンツ35万本以上といった、国内発の動画配信プラットフォームとしては最大規模のサービスが誕生することになります。国内シェアの大幅な拡大も予想され、コンテンツホルダーに対する影響力も増すことが期待できます。
コンテンツラインナップを拡充

ドラマからバラエティに至るまで、オリジナルコンテンツが充実しているParavi
U-NEXTとParaviは、強みをもつ配信コンテンツのジャンルに大きな違いがあります。
U-NEXTは海外ドラマやアニメ、ライブ配信の独占・先行配信に強く、映画も往年の名作から最新作まで幅広くカバーしています。他方で国内ドラマやバラエティの配信に特化しているとは言い難い状況です。日々最新話が更新され、フローな配信を生み出すテレビ系コンテンツが少ない現状は、ユーザーが観たい作品に限りが生じる可能性もあります。
一方のParaviは国内ドラマ・バラエティに強く、配信話数が多いことが特長です。コンテンツラインナップの拡充により、効果的に解約を防ぐことを目指しています。
ブランディングを強化、新たなエンターテイメントの創出を目指す
U-NEXTはWebプロモーションが中心で、ブランド認知がNetflixなどに比べて劣っていたのが現状。Paraviがおこなってきたような「連動型PR」(番組内での告知)も数少なく、Paraviに比べてユーザーの年齢層が低い傾向にあります。
Paraviはこれまで培ってきたマスプロモーションの影響で、ユーザーの年齢層はU-NEXTに比べて若干高め。U-NEXTはParaviとの統合で認知度やブランド力、ユーザーにとっての安心感を高められる利点があります。
コンテンツの開発能力が高く、すでに数多くのアーカイブを抱えるParavi。U-NEXTは、高いIT技術開発力を抱えています。今回の経営統合により補完関係が構築できる両サービス。今後の配信ラインアップ、サービス内容の拡充に期待したいところです。