いわゆる「3大キャリア」以外の選択肢が増えている今、着実にユーザー数を伸ばしているのが「楽天モバイル」。auからの乗り換えを検討している人も多いはずです。
しかし、auと楽天モバイル、それぞれに特徴や強みは異なります。乗り換えで得られるメリットだけでなく、どのようなデメリットが伴うのかをきちんと理解することが大切でしょう。
そこで本記事では、auから楽天モバイルへの乗り換えを検討している人のために、楽天モバイルとauそれぞれのサービス内容や特徴を比較し、メリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
auから楽天モバイルに乗り換えるメリット・デメリット
さっそく、auから楽天モバイルに乗り換える際に考えられるメリット・デメリットを紹介します。それぞれの特徴と自分の状況を照らし合わせて、乗り換えるべきかの判断材料にしてください。
メリット1:スマホの利用料金を安く抑えられる
スマホの料金は毎月発生する固定費なので、少しでも節約したいと考える人は多いでしょう。
4月1日から楽天モバイルに適用される「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ(ラクテンアンリミットシックス)」の最低利用料金はなんと0円。3GB以降は段階的に金額が上がり、20GBを超えた分はどれだけデータ量を消費しても3278円という内容になっています。
現在、プラン料金が3カ月間無料になる「プラン料金3カ月無料」キャンペーンを実施しています(終了日未定)。適用されれば、開通日から3カ月間はプラン料金とユニバーサルサービス料が0円です。
とはいえ、スマホ料金がお得かどうかはデータ通信量などの各種条件によります。そこで以下では、月あたり最速で利用できるデータ通信量と月額料金をau最安の「新ピタットプランN」と比較しました。
価格はすべて税込み
料金の差は一目瞭然。 同じ4GBを使ったとしても楽天モバイルのほうが月4400円安い料金で、利用することができます。あくまでも目安ですが、1年間に換算すると5万2800円もの差が生まれることに。
基本的に自宅などのWi-Fi環境があるところでデータ通信をおこなう人は、利用料金を0円に抑えることも不可能ではありません。楽天モバイルに乗り換えることで、より節約効果が見込めるでしょう。
メリット2:楽天モバイル回線エリア内なら高速データ通信が無制限で利用可能
月あたり利用できるデータ通信量に制限がないことも、楽天モバイル独自の魅力です。
auの場合、最安値の「新ピタットプランN」では月間7GBまでの制限があります。規定のデータ容量を超えると速度制限になってしまうため、毎月末はデータ通信量を気にしながらインターネットを利用しなければなりません。
しかし、楽天モバイルならその心配は不要です。Rakuten UN-LIMIT Ⅵでは、月あたりのデータ通信量に制限が設けられていません。例えば、20GBを超えて50GB、100GBになっても楽天モバイルの自社回線内なら通信制限なく利用できます。
楽天回線は拡大の最中であり、まだ日本全国をカバーしきれていません。そこで、楽天回線が構築されていない「パートナー回線エリア」と呼ばれる場所では、au回線を借りて通信する仕組みになっています。
前述で紹介した「データ無制限」の恩恵が受けられるのは、楽天モバイル自前の回線エリアに限定されています。パートナー回線エリアでの高速データ通信量は月間5GBまでの制限が設けられており、それを超えると、パートナー回線エリアでの通信に速度制限(1Mbps)がかかってしまうので注意が必要です。
といっても、1Mbpsという速度はYoutubeの低画質動画であれば視聴可能な非常に緩い制限です。LINEやインスタグラムの利用、WEBサイトの閲覧などは問題なくできるはずなので、日常生活に支障が出ることは少ないでしょう。
メリット3:国内通話とSMSが無制限で使い放題
価格はすべて税込み
ここまでデータ通信の利用料金について解説してきましたが、通話料金も気になるところ。
例えばauの場合、現行プランは22円/30秒の通話従量制になっています。国内通話かけ放題のオプションもありますが、月額1980円(税込み)と決して安くない金額。逆に、そこまで通話しないのに、かけ放題オプションのせいで無駄にスマホ料金が高くなってしまうケースも多いでしょう。
その点、楽天モバイルでは「Rakuten Link」アプリを用いた国内通話・SMSでは、通話料や送受信料が一切発生しない仕組みになっています。
「Rakuten Link」アプリは音声通話、SMS、ビデオ通話などの機能が統合されたコミュニケーションアプリ。RCS(Rich Communication Service)という規格を採用しており、LINEやスカイプでの通話と違って、電話番号を使って発着信できるのが特徴です。
もちろん、楽天モバイル同士だけでなく、他キャリアや固定電話との通話・SMSもおこなえます。
ただ、アプリを使った通話というと、気になるのがその音質。これはお互いの通信環境によるところもあり一概に判断するのは難しいですが、一般的にRCSはLINEなどのインターネット通話よりも高品質で、タイムラグも少ないといわれています。
キャリアが提供するVoLTEの音質にはやや劣るかもしれませんが、日常生活で使う上では問題ないクオリティでしょう。
メリット4:契約期間の縛りや各種手数料が発生しない
スマホの利用にかかるお金は、月額利用料や端末代だけではありません。契約・解約時にかかる手数料も、すべて合わせると意外と高額になってしまうもの。例えばauの場合、契約時には「契約事務手数料」、解約時には「MNP転出手数料」「契約解除料」が発生します。
価格はすべて税込み
これまで特にネックとなってきたのが「2年定期契約(俗にいう2年縛り)」の解約金でしょう。その点、2019年の省令改正案で解約手数料を1000円以下にすることが定められ、auでも2019年10月1日提供の「2年契約N」で解約金が1100円に下げられました。
解約金が1100円になるのは「新auピタットプランN」など2年契約Nが適用されるプランのみ。これ以外のプランのまま更新月以外で解約をすると、これまで通り税込1万450円の解約金が請求されてしまうので注意してください。2年契約/2年契約Nの契約解除料はどのようなときに、いくら発生しますか?| au
一方、楽天モバイルの場合、契約・解約時にかかる手数料は0円。そもそも契約期間の縛りや解約金自体が存在しないので、「長い間契約するか分からない」、「必要な間だけ契約していたい」という人には、楽天モバイルは特におすすめです。
デメリット1:auに比べて回線対応エリアが未成熟
Image:楽天モバイル/デジタル変革時代の電波政策懇談会移動通信システム等制度WG
楽天モバイルを使う上で不安を感じるのは、やはり通信面でしょう。
楽天モバイルはゼロから通信エリアを開拓しており、現在も拡大の真っ只中です。楽天モバイルが公表している情報によれば、2020年12月の時点で楽天モバイル回線の人口カバー率はまだ73.8%。
対してauは、2020年12月末時点で人口カバーが99.9%に達していると発表しています。
2021年夏頃には人口カバー率を96%に引き上げる予定としていますが、auと比較すると通信エリアはまだまだ発展途上です。地方で高速データ通信無制限の恩恵を受けられるのは、まだ先かもしれません。
日本国内の楽天回線エリアは公式サイトでチェックできる
とはいえ、前述したように楽天回線がカバーしていないエリアではパートナー(au)回線による通信がおこなわれるので、全くつながらないわけではありません。
また、楽天モバイルの基地局は驚異的なスピードで整備が進んでおり、利用できるエリアは日々拡大しています。自身の住んでいる地域で使えるかどうか、事前に公式サイトのサービスエリアマップで確認してみてください。
デメリット2:手持ちの端末が楽天モバイルに対応しない可能性がある
Image:Rakuten Mini
楽天モバイルに乗り換える方法は、(1)「楽天モバイルが販売している端末とセットで回線契約する」(2)「スマホ本体は手持ちのものを使い、SIM(eSIM、SIMカード)のみを契約する」の2パターンに大別されます。
このうち(1)の端末とセットで契約するパターンは特に難しいことはありません。SIMカードを挿入して初期設定をすればすぐに使うことができます。
公式サイトで手持ちの端末が対応しているか確認できる
注意したいのは、(2)の手持ちのスマホを楽天モバイルで使いたいパターン。手持ちのスマホを使う場合は、その端末が楽天モバイルで使えるかどうかを確認しなければなりません。動作確認ができていない機種だと、楽天モバイルでは使えない可能性があります。
楽天モバイルの公式サイトには、動作確認済のスマホが掲載されているので必ずチェックしましょう。
続いて、確認しなければならないのが自分のスマホに「SIMロック」がかかっているかどうか。
auをはじめとするキャリア各社で販売しているスマホには、他社のSIMカードを挿して使えないようにするため「SIMロック」という制限がかかっています。SIMロックがかかっているスマホの場合、事前にSIMロック解除の手続きをおこなわなければなりません。
iPhone(iOS 14以降)なら「設定」アプリから以下の手順で自身の端末がSIMロック解除されているかを確認できます。Androidスマホの場合は、スマホ購入したキャリアに問い合わせるのが確実でしょう。
iPhoneの「設定」アプリを開き[一般]→[情報]の順にタップします。
「SIMロック」の項目で「SIMロックなし」と記載されている場合、SIMロックは解除されています。一方、「SIMロックあり」と記載されている場合、そのiPhoneはSIMロックがかかっている状態です。案内に従ってSIMロック解除の手続きをおこなってください。
デメリット3:ショップ数が少ないので地域によっては対面での相談が難しい
Image:楽天モバイル 恵比寿店
スマホの取り扱いに慣れていない人にとって、契約内容や操作、機種変更などについての相談ができる環境があるかどうかは大きなポイント。
その点、auショップは全国に約2200店舗を展開していますが、楽天モバイルはその4分の1ほどの約600店舗。都市部に限られており、地方には行き渡っていないのが実情です。
近場に店舗がない場合、契約手続きから初期設定、データ移行まで、ユーザー自身でおこなわなければなりません。
気軽に店舗に出向き直接相談する機会は少なくなりますが、代わりに楽天モバイルでは電話やチャットによるサポートを充実させています。公式サイトに詳細な解説やQ&Aを用意しており、知りたいキーワードで検索することも可能です。
また、auショップは対面サービスが手厚いのは確かですが、場合によっては過剰なケースがあります。スタッフに言われるがまま、無駄なオプションを契約してしまうケースが少なくありません。
そういった余計なサービスを回避できるというのは、オンラインで申し込みが完結できる楽天モバイルならではの利点といえます。
デメリット4:auメールやキャリア決済が利用できなくなる
「キャリアメール(@au.com/@ezweb.ne.jp)」「auかんたん決済(キャリア決済)」などのサービスは、auを解約した時点で使えなくなります。
その点、楽天モバイルでも「Google Playストア」での購入代金をスマホ料金とまとめて支払えるサービスを提供しています(楽天モバイルキャリア決済)。しかし、App Storeには未対応でiPhoneユーザーは利用できないため、まだまだ限定的と言わざるを得ません。
楽天モバイルに向いている人とは?
最後に、これまで紹介してきたメリット・デメリットも踏まえながら、楽天モバイルに向いている人の特徴をまとめました。
楽天モバイルに適していると思った人は、以下のサイトから実際の乗り換え方法やプランの詳細を確認してください。
とにかくスマホの利用料金を安くしたい人
auから楽天モバイルに乗り換えることで、毎月の通信費は約2分の1以下に納められるでしょう。
加えて、楽天回線内のデータ通信、Rakuten Linkを使った国内通話/SMSは無制限で使い放題。「思ったより通話時間が長くなった」「インターネットを使いすぎた」という月でも、高額料金を請求される心配はありません。
また、4月1日から適用される「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」プランは、利用するデータ量が少なければ少ないほど料金を抑えられるプランです。毎月データ容量を使い切らずに余らせてしまう人は、特に楽天モバイルに向いているでしょう。
2台目のスマホやタブレット用の回線を契約したい人
楽天モバイルは始まって間もないサービスなので、回線エリアや通信の品質に不安が残るのは確かです。そこで、今使っているau回線に加えて「2台目のスマホ」や「タブレット」用としてお試しで契約してみるのもひとつの手です。
2021年1月22日から、回線とセットで購入することで楽天モバイルのオリジナルスマホ「Rakuten Mini」が1円で手に入るキャンペーンが開催されています(終了日未定)。ほぼ無料で2台目の端末を購入できるので、お試し用に契約するには最適です。
楽天モバイルには契約期間の縛りがなく、事務手数料や解約金が発生しないので、いつでも気軽に解約できます。実際に使ってみて、問題なければメイン回線として乗り換えて、使い勝手が悪いと感じたら解約すればいいでしょう。
楽天サービスを多く利用している人
Image:SPU(スーパーポイントアッププログラム)
楽天ポイントを核とした、いわゆる「楽天経済圏」に生きるなら、楽天モバイルを活用しない手はありません。
というのも、楽天ではグループサービスを利用するごとに「楽天市場」のポイント付与の倍率が段階的に上がる「SPU(スーパーポイントアップ)」という仕組みがあります。楽天モバイルもSPUに組み込まれていて、契約中は楽天市場でのポイント倍率が+1倍になるのです。
「楽天ひかり」「楽天カード」「楽天でんき」など、あらゆるサービスを楽天に集中させることで、楽天市場でのポイント還元率は最大15.5倍までアップします。貯まった楽天ポイントは毎月の楽天モバイルの料金支払いに充当できるので、うまく活用すればスマホ料金を抑えられるでしょう。
また、楽天モバイルの月々の利用料金は楽天カードでの支払いがおすすめです。楽天モバイルでは料金の支払い100円につき楽天ポイントが1P進呈されますが、「楽天カード」で支払うことで楽天ポイントを二重取りできます。
ほかにも、端末の分割払いが可能だったり、分割払いの手数料が無料になったりと、楽天モバイルの支払いにおいて楽天カードユーザーはかなり優遇されています。