本日より連載を開始する土曜日コラム「ere's eye」。
のっけから特にテーマらしいテーマを決める前に締切を迎えそうなので、とりあえず幅広くAndroid界隈の色々なネタを紹介したり分析したり褒めたり貶したりしながらやっていこうかと。
で、記念すべき第1回、何かインパクトのあるネタを……と考えていたが、如何せんCES2012の直後ということもあり、どこもかしこもこの話で持ちきり。それ以外の話などありゃあしない。
そんなわけで、1月も半分を過ぎようとしているタイミングではあるが、(CES2012を踏まえて)「2012年のAndroidはどうなる?」というタイトルで、主に日本におけるAndroid事情がどうなるのかを予想してみたい。
Androidはスマホで大躍進、タブレットは苦戦か
2012年のスマートフォンは
まず、2012年はAndroidユーザーが増える。これはもう確定的で、世界でも日本でもほぼ間違いない流れだ。
都市圏では、昨年中頃から急激にAndroidユーザーが増えてきた。特にGalaxy S IIとXperia acroの人気はかなりのもので、電車などでもこれらの端末を触っている人を多く見かけるようになった。
そして、冬春モデルから、ドコモとauは全部入り『ガラスマ』とハイスペックな『グロスマ』を取り揃えてきた。ドコモはさらにQ-pot.Phone SH-04DやPRADA phone by LG L-02Dなどのコンセプトモデルで幅広い層を狙っている。
こうした端末の充実度が高まるに連れて、「次の買い替えではスマホにする」という人たちが増えている。本格的なスマホ普及前にケータイを買った人たちの買い替え需要が高まってくる2012年は、スマホの年になるだろう。
そこで問題なのが、iPhoneとAndroidどっちが勝つの? という話。
世間では"声が大きい人"たちがiPhoneを推しているので、Androidは劣勢のように思われるが、実際にはこれまで以上にAndroidがシェアを伸ばすだろう。
その理由は、iPhoneの優位点であった「操作性」「アプリの環境」について、確実に差が詰まってきているからだ。
特に前者については、デモ(参考:Galaxy Nexus Vs iPhone4S、富士通クアッドコアスマホデモ)などを見るに「ヌルヌル」がいいか「サクサク」がいいか、といった単純な好みの問題程度の話になると思っている。
後者についても、Androidは「マーケットの使い勝手が悪い」などと言われてきたが、1年前と比べたら大きく改善された。今年もどんどん改善されていくだろう。品質の高いアプリの少なさや、アプリ利用がなかなか進まないという点は気がかりだが、これも環境が整えばマシになる。世界的にAndroidは大きなシェアを獲得したので、アプリ開発者はiOS中心から並行、もしくはAndroid中心へと少しずつ移行していくだろう。
なにより、周りにAndroidユーザーが増えてきたということが大きい。「〇〇はiPhoneじゃないとできない」と思い込まれていたことが、実はAndroidでもできるということが浸透してきた。そして、おサイフケータイやワンセグ、赤外線通信といった『ガラスマ』機能に加え、高速通信LTE、テザリング機能などへの対応、Razikoといったアプリや、ホーム画面や日本語入力といったカスタマイズなど「iPhoneではできないがAndroidならできる」ことについてもちょっとずつ知られてきている。
これらを総合すると、たとえドコモがiPhoneを発売したとしても、秋口に発売されるであろう『iPhone5』が圧倒的に革新的なプロダクトでもない限り、引き続きAndroidがトップシェアを維持・やや拡大するものと推測している。
2012年のタブレットは
一方、タブレット端末についてはどうだろうか。
こちらは、iPadの一人勝ち状態が継続でAndroid系はキャリア販売で苦戦するも、キャリア以外の販売でアジアのメーカーが躍進しそうだ。Androidタブレットについてのキーワードは『クアッドコア』『7インチ』ではないだろうか。
まず、春先に発売されるであろうiPad3は超高解像度でLTEに対応しているようだ。となると、「その時点で唯一LTEサービスを提供する」ドコモより発売される可能性が現実味を帯びてくる。もしそうなれば、キャリアが販売しているAndroidタブレットはこれまで以上に冷や飯を喰うことになりそうだ。キャリア各社に課せられた厳しいAppleノルマを「お互いが食い合う状況」で達成しなければならず、他のタブレットを売る余裕はなくなってしまうだろう。アプリの充実度という面でも、まだiPadに分がある。
一方、家電量販店などで購入する「キャリア契約不要」のタブレットについては、まだまだ一般的に広く認知されるには至らないだろうが、面白くなりそうだ。というのも、CES2012では、ASUS、Acer、Lenovo、東芝といったアジア系メーカーが今年発売のAndroidタブレットを強力にプッシュしており、その力の入れようはかなりのものだからだ。
特に目立ったのが、当面の間、最速であり続けるだろう『クアッドコア』プロセッサNVIDIA Tegra 3を搭載したタブレット達で、これらのハイスペックタブレットが市場に出てくると、Androidタブレットの可能性が大きく広がりそうだ。
また、今年は7インチサイズのタブレットがAndroidタブレットの主役になりそうだ。iPadをはじめとする現在主流の10インチというサイズについて、「どうにも気軽に持ち運びにくい、もっと小さいサイズを」という声が結構あった。また、7インチサイズのKindle Fireが爆発的にヒットしたことを受けて、それに追従しよう(あるいは対抗しよう)という動きが目立つ。
自分も10インチのiPadと7インチのGalaxy Tabを持っているが、iPadはリビングに置いて、外出時はGalaxy Tabを持ち歩くようになった。7インチサイズはジョブズが言ったように中途半端な大きさだと思うが、持ち運びのし易さ、片手で持てる大きさなど、
使ってみると意外といいということに気づく。
もし日本で発売されればヒットしそうなのが、『クアッドコア』搭載で『7インチ』サイズ、それでいてあまりにも安い『ASUS Eee Pad MeMO ME370T』と、『クアッドコア』搭載の超ハイスペック機『Lenovo IdeaPad K2』だ。
前者は、本気でKindle Fireを潰しにきた価格設定でありながら、比較にならないスペックを搭載しており、どうしてこの値段で出せるのか疑問に思うほど。間違いなくコストパフォーマンスでは最高。
後者は、とにかくスペックを追い求めるマニアな人たちと、ビジネス用途で売れるのではないだろうか。特にビジネス用途では、自分たちでカスタマイズできないiOSを嫌ってきた企業がAndroidを採用する動きがちらほらと出てきている。
今年は、LTE対応でテザリングが可能なスマホが多くなることから、外出先でもそれを使って通信すればよく、タブレットはWi-Fi接続だけでも十分使えるようになる。Android陣営の2012年は、価格とサイズでiPadに対抗していくことになりそうだ。
まとめ……きれず
と、ここまでハードウェアな話をしてきたが、長くなりすぎたので、アプリなどについてはまた来週……。
本当は面白いガジェット(腕時計、NFCキーボードなどなど)にも触れたかったのにっ