Amazonの電子書籍リーダーとして人気の高いKindle端末ですが、ディスプレイは電子ペーパーと呼ばれる反射型の液晶を使用し、明るい場所では紙と同じように表示できます。暗い場所では、フロントライトと呼ばれる方式で画面を照らしています。つまり、スマホやタブレットの液晶のように画面の後ろから強く光るわけではないため、おだやかに明るく長時間の読書でも目に優しく読みやすいのです。
この記事では、Kindleシリーズでいま買える最新機種を比較して、選び方やおすすめモデルを紹介します。取り上げるのは「Kindle(第11世代)」「Kindle Paperwhite(第11世代)」「Kindle Oasis(第10世代)」で、通信内蔵モデルやキッズモデル、シグニチャーエディション、デジタルペーパー機能も兼ねる「Kindle Scribe」の特徴などについても解説しています。
本体サイズと重さ、質感などを比較

左からKindle(第11世代)、Kindle Paperwhite(第11世代)、Kindle Oasis(第10世代)
本体サイズを比べてみましょう。Kindleはかなりコンパクトで、Kindle Paperwhiteが一回り大きくなります。また、Kindle OasisもKindle Paperwhiteに近い面積です。
ディスプレイ | サイズ | 重さ | |
---|---|---|---|
Kindle (第11世代) |
6インチ | 157.8×108.6×8mm | 158g |
Kindle Paperwhite(第11世代) | 6.8インチ | 174×125×8.1mm | 205g |
Kindle Oasis(第10世代) | 7インチ | 159×141×3.4〜8.44mm | 188g |

Kindleはコンパクトな最軽量モデル

実はKindle Paperwhiteが一番重い

Kindle Oasisは金属ボディーだが軽い
今回、Kindleが新モデルになり額縁が細くなりました。すべての機種がモダンなデザインに変わっているわけです。持ち歩きや使い勝手を考えると、なるべくコンパクトで画面サイズが大きいに越したことはありません。
Kindleが狭額縁になったのはうれしい進化です。なお、Kindleは防水ではないため、お風呂やプールでの読書には向きません。
ディスプレイのサイズを比較

左のKindleだけが一回り小さな画面になる。真ん中のKindle Paperwhiteと右のKindle Oasisは画面サイズが近い
ディスプレイのサイズをチェックしてみましょう。ほぼ同じ本体サイズならディスプレイは大きいほうがよいと思うかもしれません。しかし、電子書籍リーダーの場合はバランスが大事です。
小説など文字ばかりの本を読むときには、画面が大きすぎると文字を目で追うのが大変になります。たとえば10〜11インチのiPadで小説を読むと、画面が大きすぎると感じる人もいるでしょう。Kindleシリーズなら頃合いのサイズなのでそんな心配はありません。
Kindleは6インチで画面はかなり狭くなります。文庫本感覚で小説を読むなら問題ありませんが、マンガを読むにはかなり窮屈です。Kindle Paperwhiteは6.8インチの大画面になり、小説やマンガが読みやすくなりました。Kindle Oasisも7インチで使いやすいサイズです。
フロントライト(見やすさ)を比較

Kindle(第11世代)のフロントライトが明るくなり、全機種でさほど違いがなくなった
Kindleシリーズ3モデルは、どれも同じ解像度なので、文字の美しさなどは変わりません。大きな違いはフロントライトです。Kindleシリーズはフロントライトという形で、LEDライトで電子ペーパーを照らして暗い部屋でも快適に読書ができます。
Kindle Oasisは25個、Kindle Paperwhiteは17個、Kindleは4個のフロントライトを搭載しますが、見た目の違いはさほどありません。どの製品でも十分快適に利用できます。

Kindle(左)以外は色合いの調整に対応する
Kindle PaperwhiteとKindle Oasisは画面の色合いを調整できます。部屋の明かりが暖色の場合には調整すると読みやすくなるでしょう。3製品を比べて見ると、Kindleがどうしても見劣りします。
USB Type-C端子が主流に

KindleとKindle PaperwhiteはUSB Type-Cになった

Kindle OasisはいまだにmicroUSB端子だ
KindleとKindle Paperwhiteの充電端子がUSB Type-Cに変わりました。Androidスマホと同じ充電器やケーブルが使えるのでとても便利です。
ただ、Kindle OasisのみmicroUSB端子なのは残念でなりません。最上位モデルなので、いち早く変更して欲しいところです。
各機種の特徴と容量・価格などを確認
続いては、各機種の違いと知っておきたいポイントを紹介します。それぞれ「広告付き」モデルが用意されています。また、Kindle Oasisにはデータ通信付きモデルもあります。
広告付きモデルとは、たまにバナーや全画面の広告が表示される製品です。その分、価格が安くなっています。毎日のように本を読む人には、広告がうっとうしいと感じるので、広告なしモデルをおすすめします。とにかく少しでも安く買いたいなら、妥協して広告つきでもよいでしょう。
またデータ通信の付いているモデルは、出先で本をダウンロードする際にもWi-Fiにつなぐ必要がありません。データ通信にかかる費用はAmazonが負担するので、月々の支払いはないのがメリットです。出先で頻繁に本を読むユーザーには魅力的です。
Kindle(キンドル)

Kindle(第11世代)
「Kindle(第11世代)」は、2022年の秋に登場した新モデル。最も安価なモデルである一方で、素晴らしい進化を遂げています。価格は前モデルより少し高くなりましたが、容量が16GBへとアップしています。シンプルなモデルでサイズも小さいので、カバンにすっきり収まるのもメリットのひとつ。Kindle入門にはおすすめで、ギフトなどにも最適です。
ただし、画面が狭いのでマンガや雑誌を読むには不向きかもしれません。さらに防水非対応なのも残念なポイントです。
- 広告なし:1万2980円(税込)
- 広告付き:1万980円(税込)
Kindle Paperwhite(キンドルペーパーホワイト)

Kindle Paperwhite(第11世代)
「Kindle Paperwhite(第11世代)」は2021年10月に登場した中堅モデルです。画面が広く充電端子もUSB Type-Cに変わっています。操作のレスポンス速度も向上しており、快適に本が読めます。
一度のフル充電で最大10週間の利用が可能になります。ストレージは8GBと16GBが選べます。価格差は1000円なのでどう考えても16GBがおすすめです。
- 8GBモデル
- 広告なし:1万6980円(税込)
- 広告付き:1万4980円(税込)
- 16GBモデル
- 広告なし:1万7980円(税込)
- 広告付き:1万5980円(税込)
Kindle Paperwhiteには、シグニチャーエディションも用意されています。ストレージが32GBに増え、Kindle端末初のワイヤレス充電にも対応しています。また、画面の明るさが自動調整できる点も通常モデルとは異なります。

左のKindle Paperwhite シグネーチャーエディションは明るさの自動調整に対応
Kindle Oasis(キンドルオアシス)

Kindle Oasis(第10世代)
「Kindle Oasis(第10世代)」は、2019年7月に発売された上位モデル。本体にはハードウェアボタンが搭載されていて、ページめくりが快適です。片手で本を読み続けるにも画面をタッチする必要がありません。タッチしすぎてページが行きすぎることもなく、操作性はとても良好です。
ただし、いきなり買うには価格が高く、すでにKindleを持っている人の買い換えや、ヘビーな読書好きにおすすめします。
第10世代の特徴は、色調整ライトを搭載していることです。ホワイトからややオレンジがかった色合いまで、好みに合わせて色を調整できます。紙の本の色も真っ白というよりはややアイボリーな色味であることが多いので、Kindle Oasisの画面はとても自然です。暗い部屋で読むには、画面が多少オレンジがかっているほうがおだやかに感じられます。
通信内蔵モデルは、このKindle Oasisのみになりました。
Wi-Fiのみ | Wi-Fi +無料4G | |
---|---|---|
8GB(広告なし) | 3万1980円 | - |
8GB(広告付き) | 2万9980円 | - |
32GB(広告なし) | 3万4980円 | 4万980円 |
32BG(広告付き) | 3万2980円 | - |
通信内蔵モデルのメリットと使い方
4Gモデルの特徴は、いつでもどこでも通信ができることです。Wi-Fiがない場所でも、読み進めた位置の保存ができたり、書籍のデータをダウンロードしたりすることが可能です。

Wi-Fiがないエリアでは4Gで通信する。画面上部右にLTEの表示がある

Wi-Fiに接続すると4Gから通信が切り替わる仕組み
たとえば、自宅ではiPadを利用してマンガを40ページまで読み進めたとします。外出先では、Kindle Oasisで同じマンガを読む場合には、4Gでデータ通信がおこなわれて40ページから引き続き読めるわけです。

マンガなどファイルサイズが大きいコンテンツは4Gではダウンロードできない
Wi-Fiがない場所でも書籍データのダウンロードがおこなえます。ただし、マンガなどファイルサイズの大きな本は、4G回線ではダウンロードできない場合があります。その際には、Wi-Fiで通信できる場所に移動してダウンロードします。
Wi-Fiが使える場所では常にWi-Fiで利用することになります。外出するなどしてWi-Fiが使えない場合に自動で、4G通信に切り替わります。通信費用は本体代金に含まれているので、月々の料金はかかりません。
読み放題のKindle Unlimitedなどを利用して小説をよく読む人には、4Gモデルがおすすめです。Kindle Oasisの場合、4Gモデルは広告なしの32GBしか用意されていません。同じく広告なしの32GB、Wi-Fiモデルとの価格差は6000円です。せっかくですから、ハイエンドモデルが欲しいユーザーは買っても満足できるはずです。
2機種に用意された「キッズモデル」の特徴
KindleとKindle Paperwhiteには、それぞれキッズモデルがラインナップされています。基本的には通常モデルと変わりませんが、専用のカバーが付いているのが外観上の違いです。カバーは色やデザインが選べるので、子どもの好みに応じて選べます。
最大のポイントは、本が読み放題になる「Amazon Kids+」が1年間付いてくることでしょう。子ども文庫から児童文学の名作、歴史・科学などの知育分野まで、1000冊以上の子ども向きの本が読み放題です。読み放題にない本でも、親が購入して追加することができます。
ペアレンタルダッシュボードの見守り機能で、本を読んだ時間や興味を持っているカテゴリーなどもわかります。また、2年間保証が付いてくるので、万が一壊れても交換してもらる点も見逃せません。Kindleは壊れにくいデバイスですが、小さなお子さんにも安心して渡せるわけです(保証には条件があります)。
電子書籍リーダーと電子ペーパー機能を兼ね備える「Kindle Scribe」

2022年11月30日にKindleシリーズの新モデル「Kindle Scribe」が発売されました。Kindle Scribeの画面サイズは10.2インチと、これまでのKindleシリーズで最大となります。さらに専用のスタイラスペンが付属し、Kindle Scribeの画面で直接メモを手書きで作成可能です。
Kindle Scribeは、従来のKindleシリーズと同様の電子書籍リーダーという機能に加え、電子ペーパー機能も搭載したKindleシリーズの最上位モデルとなります。ただし、本体重量が433gである点や、本体価格が4万7980円(税込)からである点など、他のKindleシリーズのように手軽に使い回すのには向きません。
一方で、電子ペーパー採用のデジタルノートデバイスとして見れば、4万円台は手頃な値段と言えます。大画面でビジネス書やマンガなどを読み、手書きのノートを書きたい人にはコスパの良好なデバイスとしておすすめできるでしょう。
まとめ
おすすめはKindleとKindle Paperwhiteです。Kindleは、最廉価モデルながら画質とストレージが向上し、もはや入門機とはいえないほどの製品に進化しました。小説などテキスト中心の本を読むならおすすめです。少し価格は上がりましたが、ストレージが16GBになったので末永く使えるでしょう。コンパクトなのもいいところですが、防水機能がないのでお風呂では利用できません。
マンガやビジネス書なども読むなら、画面が広いKindle Paperwhiteがいいでしょう。バッテリーがかなり持つのも魅力です。ただし、8GBモデルは今となってはあまりおすすめできません。特にマンガをよく読む人は、容量の不足を感じるはずです。
最上位モデルの「Kindle Oasis」ですが、Kindle Paperwhiteの新モデルが大きく性能アップし、現時点ではKindle Oasisの優位性が乏しくなっています。もちろん、ハードウェアボタンに慣れている人にはおすすめできます。予算を多めに確保できるなら、Kindle Scribeという選択もあります。