今回は、2024年12月に発売された「Kindle Scribe Notebook Design」を詳しくレビューします。このKindleシリーズ最上位モデルは、10.2インチの大画面で専用のペンによる手書きに対応します。前モデルからどのように進化したのかチェックしていきましょう。
なお、以降は「New Kindle Scribe」と記載します。また、前モデルのKindle Scribe(2022年モデル)は、「前モデル」と記載します。名称を見てもわかるように、2年ぶりの新モデルということになります。
使いやすい大画面モデルはデザインが進化

同梱物はシンプルだ
パッケージの中には、本体と簡単な説明書、専用のプレミアムペン、交換用のペン先(5本)、充電等に使うケーブルが入っています。充電器は付属していないので自分で用意する必要があります。

Kindle Paperwhite(右)と比較すると画面サイズの差がずいぶんある
New Kindle Scribeは、10.2インチと大画面の電子書籍リーダーです。一般的なタブレットと同様のサイズで、大きな画面が魅力です。人気のKindle Paperwhiteが7インチですから、比較すると大きな差があります。
ただし、使い方には注意が必要です。電子書籍リーダーはサイズが大きければ良いというわけではありません。重量が重くなるので手に持ち続けて読むのが厳しいのです。小説など文字だけの書籍を読むには7インチでも十分です。逆に、マンガや雑誌などを読むなら、10.2インチの大きさがあると読みやすくて便利です。
なお、KindleシリーズではKindle Paperwhiteだけが防水対応です。New Kindle Scribeは防水対応ではないため、お風呂で本を読むのには向きません。
New Kindle Scribe(2024年モデル) | Kindle Paperwhite(第12世代) | |
---|---|---|
ディスプレイ | 10.2インチ | 7インチ |
サイズ | 230×196×5.7mm | 176.7×127.6×7.8mm |
重さ | 433g | 211g |
価格 | 5万6980円〜 | 2万2980円〜 |
フロントライト | LED 35個 | LED 17個 |

前モデル(左)とサイズとスペックはほぼ変わらないが、見た目がずいぶん違う。 画面の縁の白い部分が大きな差だ
今回の新モデルは、デザインが大幅に改良されたのが最大の魅力です。名前の「Notebook Design(ノートブック デザイン)」というのもその点を表しているのでしょう。
画面の縁が白くなり、とても素敵になりました。今回は「メタリックジェード」というエメラルドグリーンのボディカラーをレビューしますが、黒っぽい「タングステン」も同様に画面の縁が白くなります。前モデルに比べると明らかに高級感が増しています。

高級感を増したデザイン。メタリックジェードもとてもいい色だ

Kindle Paperwhiteもシグニチャーエディションならメタリックジェードが選べる
基本的な性能は前モデルとほとんど変わらない
基本的な性能は前モデルと変わっていないようです。画面サイズやフロントライト、ストレージの容量などの公表されている情報は同じです。

画面はおそらく変化ないが、表示は非常に美しくコントラスト比も高い
画面サイズは、どちらも10.2インチで本体サイズも同じですが、厚さだけ新モデルが0.1mm薄くなっています。ちなみに写真のようにデバイス本体は天地を逆にできるので、好きな向きで使うことができます。
重量にも若干の違いがありますが、使った感じではほとんどわからない程度です。付属の専用プレミアムペンに関しても、消しゴム機能が前モデルより改良されたようですが、外観はほぼ同じです。

付属のプレミアムペンは前モデル(上)と大差はない
つまり、デザイン以外はほとんど変わらないと考えてよさそうです。前モデルといろいろ使い比べてみましたが、機能的な違いは本への書き込みくらいです。2年ぶりの新モデルなので、これは少し残念ですが、実売価格やセールの価格を検討して前モデルを選ぶという手もあります。

フロントライトは35個ついており、非常に明るい。暖色系にも調整できる

ダークモードも選べる
電子ノートとしての実力は?
New Kindle Scribeの手書きは素晴らしい完成度です。ペンの反応は良好で筆記が遅れることもほとんどなく、残像もあまり気になりません。筆者は数え切れないほどの電子ペーパーをレビューしていますが、そのなかでも筆記に優れた1台です。

ペンの書き味やペン先の種類は満足
画面が非常に明るくきれいなので、書いていて楽しくなるでしょう。電子ペーパーデバイスのなかでも、画面の美しさはかなり上位です。
また、付属のプレミアムペンはお尻側が消しゴムになっており、ボタンにも機能を好きに割り当てられるので便利に使えます。

ノートは専用のアプリで利用する。フォルダー分けが可能でパソコンにも転送できるが、同期は不可だ
ただし、ノートデバイスとして考えると、非常に物足りない点があります。専用のノートアプリが用意されていますが、このアプリでパソコンやスマホとは同期ができません。というより、パソコン用のアプリがないのです。他の電子ノートデバイスは、Google KeepやMicrosoft OneNoteなどにも手書きができるものが増えています。OSがAndroidなのでアプリをインストールできるわけです。
その点でNew Kindle Scribeは独自のアプリでの手書きになるので、情報記録の核として使うのは少々心許ないのです。
本への書き込みができる点が非常に便利
New Kindle Scribeでは、本の文中にペンで直接メモを書き込んで登録できる機能(Active Canvas)が新しく搭載されました。本を読みながら手書きでポイントを書くなどができます。

Active Canvasで、横書きの本なら直接メモを書き込める
ただし、対応するのは横書きの書籍のみで、マンガや縦書きの書籍には対応していません。使ってみるとなかなか便利な機能なのですが、多くの小説に対応していないのは残念です。人によってはあまり使えない機能だと感じてしまうかもしれません。
縦書きの書籍でも、メモ(付箋)を添付してそこに手書きで書き込むことは可能です。とはいえ、やはりわかりやすさや便利さでは劣ってしまいます。テキストでの注釈なら他のKindleでも記録できますが、電子ペーパーで文字を手打ち入力するのは少しストレスになります。
そう考えると、メモをペンで書きながらじっくりと本を読んだり、研究をしたりする人にはActive Canvas機能はとても役立ちます。
まとめ:手書きメモが書き込める電子ブックとしてはかなりおすすめ
New Kindle Scribeは、5万6980円と手書きができる電子ペーパーデバイスとしては妥当な価格です。ライバル製品も書きやすいペンが付いてくるものはそれなりに高く、レスポンスがよい製品は高価になります。
New Kindle Scribeの手書き機能は「電子ブック+メモ」ならライバルがいない点がメリットです。ただし、ノートを書くと考えると他のアプリが使えないのが大きなマイナス点になるでしょう。このポイントを理解して買うなら非常によい製品だと思います。
なお、前モデルはセールにも登場することがあるので、割り切ってこちらを買う手もあります。電子ブックへのメモも添付する形なら利用可能です。