ピクサー新作『ウィン or ルーズ』の魅力とは? ディズニープラスで独占配信中

ピクサー新作『ウィン or ルーズ』の魅力とは? ディズニープラスで独占配信中

8つの視点で描く人生の勝負

勝負に勝つ、というのは人生において大切なことですよね。しかし、人生の勝ち負けというのは、スポーツの勝敗ほどには単純ではありません。人の心の中には様々な葛藤があり、誰もが日々、自分の弱い部分を乗り越えようと戦っているのだと思います。

ディズニープラスで2月19日から配信開始された、ピクサーのオリジナルアニメーションシリーズ『ウィン or ルーズ』は、そんな人々の心の様々な戦いを描いています。ソフトボールの試合に集った8人のキャラクターの勝負を1話ごとに取り上げ、複数の視点を提供する一風変わった構成で、物事を多面的に見つめる視点を提供してくれるユニークな作品です。
 

不安や臆病さと戦う登場人物たち

舞台となるのは、中学生男女混合ソフトボールチーム「ピクルス」が挑む大会の一週間。第1話ではコーチの娘・ローリーの悩みが描かれます。

12歳のローリーはソフトボールチームのコーチを父に持ちながら、上手くプレイできずにチームの足を引っ張っていることを気に病んでいます。それでも「自分はがんばればできるんだ」と言い聞かせながら努力するのですが、なかなか成果に結びつきません。そんな彼女には、彼女にしか見えない不安を具現化した奇妙な生物「汗ボール」がまとわりついています。人の心にある不安を煮詰めたその生物は、ことあるごとにネガティブなことをローリーに言い、それを聞くたびに彼女は自信を失っていくのです。このエピソードでは、ソフトボールに挑む少女を通して、自分の中にある不安の感情との戦いが描かれます。

第2話では、同じソフトボールの試合で審判をやっていた男性・フランクのエピソードが描かれます。公平にジャッジしたのに、負けたチームからはえこひいきだと叩かれる彼は、心に鎧をまとい、周囲をシャットアウトして自分を守るようになります。しかし、守ってばかりでは得るものもありません。彼が想いを寄せる相手に対しても臆病になってしまっていましたが、彼は勇気を出して、一歩を踏み出せるのかの戦いをしているわけです。

こんな風に一つのソフトボールの試合に集うキャラクターたちの、それぞれの人生の戦いが描かれていきます。そうやって色々な思いを抱えた人が試合を形作っていることに気が付かせてくれ、視聴者はこの物語を多角的な視点で見つめることができるようになっていくのです。

複数の視点で見る人の視野を広げてくれる

一つの試合に8つのドラマが交錯する構成によって、なんだか変な奴だなと思った人も後で印象が変わっていきます。逆にすごくいい子だなと思っていた子の意外な裏の顔なんかも見えてしまうこともあります。そして、もし悪いことをしていたとしても、その背景には何か事情があるということも本作は伝えています。人は一つの視点だけでは本当のことはわからず、誰だって多面的な側面を抱えているものだということを描いているのです。

みんな何かと戦っている、そして自分には自分だけの戦いがあって、勇気を出してその勝負に挑もう。本作を見るとそんな気分にさせられ、ちょっぴり背中を押してくれます。派手なストーリーではありませんが、じんわりと胸に沁みるいぶし銀な作品です。

『ウィン or ルーズ』を見る(ディズニープラスで配信中)

『ウィン or ルーズ』のストーリー

ピクサー初のオリジナルシリーズは、8人の異なるキャラクターがそれぞれ、ソフトボール選手権大会の大一番に向け、様々に関わっていく様子を描く。不安定な子供たち、干渉しすぎる両親、恋多き審判員など、それぞれのキャラクター目線での感情を、非常に面白く、表情豊かに、ユニークなアニメーションで明らかにしていく。

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