「Kyash(キャッシュ)」とは、アプリで発行できるプリペイド式のバーチャルカードサービスです。その場ですぐ、審査なしでVisaブランドのカード情報を発行でき、コンビニなどの実店舗やオンラインショップで利用できます。
また、プラスチックのリアルカード(Kyash Card/Kyash Card Lite)を発行すれば、全国のVisa加盟店でクレジットカードとほぼ同じように使うことも可能です。とはいえ、バーチャルカードというサービスは日本ではまだあまり馴染みがなく、どういった流れで決済に使うのかイメージしづらい人も多いでしょう。
そこで今回、実際にKyashを使ってコンビニで買い物をしてみました。支払うまでの一連の流れや利用上の注意点、おすすめの使い方などを詳しく解説します。
必要な準備や支払いの流れをイラストで確認
Kyashアプリをインストールしてから、支払うまでの流れをイラストで紹介します。
コンビニやスーパーなど実店舗での使い方
コンビニやスーパーなどの実店舗での支払いにKyashを利用する場合、バーチャルカードのまま使うか、リアルカードを発行するかで支払いの手順が異なります。
リアルカードを発行せずバーチャルカードのまま使う場合
まず、リアルカードを発行せずバーチャルカードのまま実店舗での支払いに使う手順は以下のとおりです。

KyashにはPayPayや楽天ペイのようなQRコード決済機能が備わっていないので、アプリ単体での決済はできません。
Kyashアプリで表示される16桁のカード番号、3桁のセキュリティコード、有効期限などの情報を「Apple Pay」や「Google Pay」といったスマホ決済システムに登録することで、QUICPayとして電子マネー決済をします(詳しい手順は後述)。
リアルカードを発行する場合
リアルカードは、アプリ登録後に申し込むと郵送で送られるプラスチック製のプリペイドカードです。Visaに加盟する実店舗で、クレジットカードとほぼ同じように使用できます。

リアルカードには「Kyash Card」と「Kyash Card Lite」の2種類があります。それぞれの違いは以下の通り。
Kyash Card | Kyash Card Lite | |
---|---|---|
デザイン |
![]() |
![]() |
年会費 |
0円 |
0円 |
発行手数料 | 900円 | |
還元率 | 最大1% | 最大0.5% |
決済上限(1回/24時間) | 5〜10万 | 30万円 |
決済上限(月間) | 12〜15万円 | 100万円 |
有効期限 | 5年 | 5年 |
本人確認 | 必要 | 不要 |
海外実店舗での利用 | ○ | × |
3Dセキュア認証 | ○ | × |
上表を見てわかるように、「Kyash Card」のほうがさまざまな点で優遇されていることが分かります。発行手数料900円がかかるのが難点ですが、今後Kyashを決済手段のメインとして利用する予定なら「Kyash Card」を発行するのが断然おすすめです。
オンラインショップでの使い方
オンラインショップでKyashを使う場合は、リアルカードもバーチャルカードも手順は同じです。

Kyashアプリに表示される16桁のカード番号、3桁のセキュリティコード、有効期限といった情報をサイトの支払い方法として登録すれば、クレジットカードと同様に決済に使えます。
Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングといった通販サイトをはじめ、Google PlayストアやApp Storeを通したアプリ内課金やデジタルコンテンツの購入にも利用できます。
Kyashのバーチャルカードを使ってコンビニで買い物をしてみた
ここからは、実際にKyashのバーチャルカードを使ってコンビニで買い物をする手順を紹介します。
Kyashアプリをインストールする
まずは、上のボタンからKyashアプリをインストールします。


アプリを起動し、
をタップします。 を押して登録画面に進みましょう。なお、FacebookやApple IDといった外部サービスの情報を使ってログインしてもOKです。会員情報の登録と電話番号認証を済ませる

登録画面が表示されたら、必要情報をすべて埋めて[次へ]をタップしてください。


電話番号を入力すると、SMS(ショートメッセージサービス)で6桁の認証番号が届きます。これを入力して認証をおこなってください。
なお、070、080、090で始まる電話番号を保有していない場合は認証ができません。その場合は別途SIMを契約し、これらの番号を入手するほかないでしょう。



→ の順にタップして進むと、チャージ方法の一覧が表示されます。いったん[スキップ]を押して飛ばしましょう(後ほどトップ画面からチャージします)。
本人確認を済ませる(推奨)
Kyashでは、本人確認をしていないアカウントは「Kyashバリューアカウント」、本人確認を済ませているアカウントは「Kyashマネーアカウント」と区別されています。
本人確認未完了(Kyashバリューアカウント) | 本人確認済み(Kyashマネーアカウント) | |
---|---|---|
決済上限額(1回/24時間) |
|
|
決済上限額(月間) |
|
|
ポイント還元率 | 一律0.2% | 最大0.5%(チャージ方法による) |
ポイント還元上限 | 200P/月 | 600P/月 |
送金 | ○ | ○ |
出金 | × | ○ |
※リアルカードの「Kyash Card」は本人確認完了が前提なので上表からは除外しています。
本人確認をすることでユーザーの安全性が認められ、決済の上限額が拡大したり、銀行口座やATMへの出金(現金化)ができるようになったりと利用シーンが広がります。このほか、ポイントの還元率もアップするなど特典面でも優遇されます。
本人確認は必須ではありませんが、今後も長くKyashを使っていきたいなら済ませておくのがおすすめです。



本人確認をするには、Kyashアプリの「アカウント」タブで自身のアカウント名をタップ。[本人確認]に進み、任意の本人確認書類を提出してください。
チャージする(入金)


続いて、「入金」をタップしてKyashにお金をチャージします。Kyashのチャージ手段は、以下6つが用意されています。
チャージのおおまかな手順 | 決済時のポイント還元率 | 送金 | 出金 | |
---|---|---|---|---|
銀行口座 |
|
|
○ | ○ |
クレジットカード/デビットカード |
|
0.2% | ○ | × |
セブン銀行ATM |
|
|
○ | ○ |
コンビニ支払い |
|
|
○ | ○ |
ペイジー(銀行ATM) |
|
|
○ | ○ |
ペイジー(ネットバンキング) |
|
|
○ | ○ |
イマすぐ入金 |
|
0.2% | × | × |
チャージ方法によってポイント還元率(後述)や送金・出金の可否が異なります。お得感を求めるなら、クレジットカード/デビットカードでチャージするのは避けたほうがいいかもしれません。
なお、「イマすぐ入金」はいわゆる「あと払い」のサービスなので、利用には審査が必要です。未成年などは制限される可能性もあるため注意してください。
セブン銀行ATMでチャージする手順

セブン銀行ATM
最寄りのセブン銀行ATMに向かいます。コンビニのセブンイレブンをはじめ、駅構内やショッピングモールなどさまざな場所にあるので、Googleマップなどで探してみましょう。

トップ画面で[スマートフォンでの取引]をタッチします。

画面が切り替わって、QRコードが表示されます。


「Kyash」アプリを開き、「セブン銀行」を選択。
ボタンを押しましょう。端末のカメラが起動してスキャン画面が表示されます。
そのまま、表示されているQRコードを読み取ってください。

読み取りが完了するとKyashアプリの画面に「読み取りました」というメッセージとともに、企業コード「8428」が表示されているはずです。ATMのキーボードを操作して「8428」を入力しましょう。

「取引をはじめます」と表示されたら「確認」を押してください。

チャージする金額を入力します。ここでは「1000円」を選択しました。

現金を使ってチャージができる
ATMの入金口が開くので、チャージしたい金額分の現金を入れましょう。

最後に「終了」ボタンを押せばチャージ完了です。


チャージ完了後、Kyashアプリを見ると残高が増えていることが確認できます。
自身のカード情報を確認


決済に進む前にアプリのトップ画面で[カード番号を表示]をタップし、自身のカード情報を確認しておきましょう。各項目はタップしてコピーできるようになっています。
iPhoneは「Apple Pay」、Androidスマホは「Google Pay」にKyashを登録する

Kyashアプリには、PayPayや楽天ペイのようなQRコード決済機能は備わっていません。
そのため、Kyashを使って実店舗で支払いをするには「Apple Pay」や「Google Pay」といった決済システムを経由する必要があります。
iPhone:Apple PayにKyashを登録する手順


Kyashアプリのトップ画面にある[Apple Payを設定]をタップ。続く画面で[設定を始める]を押しましょう。

電話番号認証が求められるので、SMS(ショートメッセージサービス)に届く6桁の番号を入力します。


Apple Payの概要が表示されるので、
をタップ。続く画面で[次へ]に進みます。

利用規約が表示されたら、一読して問題なければ[同意する]を押します。最後に[完了]ボタンを押せば設定完了です。
Androidスマホ:Google PayにKyashを登録する手順
まずは「Google Pay」アプリを起動します。Google Payアプリは、Androidスマホのほとんどにプリインストールされているはずです。ホーム画面に見当たらない場合は、アプリ検索を使って探してみてください。


Google Payアプリを開いたら、[開始]をタップします。追加する決済機能の一覧から「クレジット/デビット/プリペイド」を選択し、
を押しましょう。

カードの登録画面が開いたら、[カード情報を手動で入力してください]をタップ。前述したKyashのカード情報と、本名や郵便番号などの個人情報を入力して[保存]ボタンを押してください。
いくつか利用規約や注意事項が表示されるので、一読して問題なければ
をタップしましょう。

本人確認が求められるので、SMS(ショートメッセージサービス)で確認コードを受け取って入力します。無事認証されれば、カードの登録は完了です。

最後に、GooglePayアプリのホーム画面に戻り、QUICPayのメインカードにKyashが登録されているか確認してください。
レジで「クイックペイで」と伝える

スマホ決済としてのKyashは「QUICPay+(クイックペイプラス)」のマークがある店舗で利用できます。レジ横の支払い方法一覧にQUICPay+マークがあるか確認してみましょう。
2022年3月末時点で全国186万カ所以上の場所で利用できます。セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンといった大手コンビニチェーンはいずれもQUICPay+対応です。

支払い方法に「QUICPay+」マークがあることを確認したら、決済時にレジスタッフに「クイックペイで」と伝えてください。
スマホを専用端末にかざして決済を済ませる
店頭スタッフに「読み取り機にかざしてください」などと指示されたら、スマホの背面をレジに設置してある読み取り機にかざして決済を済ませればOKです。
iPhoneでのやり方
Face IDを搭載したiPhoneの場合はサイドボタンをダブルクリック、Touch IDを搭載したiPhoneの場合はホームボタンをダブルクリックします。すると「Wallet」アプリが起動し、メインカードに設定したカードが表示されます。

Face IDやTouch IDの認証を済ませると、画面が「リーダーにかざして支払う」に変わるので、そのまま読み取り機にiPhoneの背面をかざします(Touch IDを搭載したiPhoneは、ホームボタンに指を触れたままカードリーダーにかざしても構いません)。決済が済むと「完了」と表示されます。
Androidスマホでのやり方
Androidスマホの場合、そのままスマホの背面を読み取り機にかざせばOKです。

スマホにはなにも表示されませんが、読み取り機側には決済金額と電子マネー名などが表示されるはずです。なかなか読み取られないときは、端末のFeliCaマークを読み取り機のFeliCaマークに合うように位置を合わせてかざしてみましょう。
なお、1万円を超える決済をする際や設定でセキュリティロックをかけている場合は、画面ロックの解除(パスコードの入力や指紋認証)が求められます。
決済日より3〜7日後、ポイントが付与される
Kyashで決済をすると、決済日より3〜7日後の売上確定のタイミングで「Kyashポイント」が付与されます。付与されたポイントは、1ポイント=1円として残高に入金し、Kyashによる決済で利用できます。

トップ画面で「P〇〇」の部分をタップすると、ポイント獲得履歴や確認できる仕組みです。後述しますが、ポイントの還元率は(1)本人確認の有無、(2)チャージ方法、(3)Kyash Cardの有無の3点に応じてユーザーごとに異なります。
また、以下に挙げている決済はポイント付与の対象外です。あらかじめ確認しておきましょう。
- 売上が確定しなかった取引
- モバイルSuicaアプリでの購入、チャージ
- Apple Pay/Google Pay経由によるモバイルSuicaアプリでの購入、チャージ交通機関へのお支払い(定期券、乗車券、切符、回数券、特急券などの料金)鉄道、バス、モノレールケーブルカーなど
- 金券や商品券、有価証券等の現金同等物の購入金券
- 商品券や有価証券等の現金同等物を販売しているサイトでの購入
- 税金、ふるさと納税、各種税金の支払い(Kyash Visaカードを他社サービスに紐付けて各種税金を支払う場合も、還元対象外となります)
- 公共料金の支払い寄付金の支払い郵便局での支払い(実店舗・オンライン)
- 造幣局の販売サイトでの支払い
- 代金未回収が発生している取引
- 本人または第三者による不正利用と弊社が判断した取引
- ポイント還元上限に達したお取引
- 「イマすぐ入金」を利用して入金した残高で決済した取引
- 「イマすぐ入金」の返済が全て完了するまでに行われたKyashバリューでの取引(「イマすぐ入金」を行なった場合、入金された金額の返済が全て完了するまでの間は、Kyashバリューによって行われた取引に対してもポイント付与が行われません)
実際に「Kyash」を使ってみて感じたこと、おすすめの使い方や注意点
ここからは、実際に「Kyash」を使って分かった、おすすめポイントや注意点などを紹介していきます。
バーチャルカードだけなら本当に審査なしで3分以内に発行できた
Kyashでは、16桁のカード番号、3桁のセキュリティコード、有効期限といったインターネット決済に必要な情報がその場ですぐに、審査なしで与えられます。バーチャルカードの発行までにかかる時間は、長くても3分程度です。
「何らかの事情でクレジットカードを発行できない」、あるいは「必要書類の提示や審査が煩わしい」という人には嬉しいサービスでしょう。
サブカードとして1枚持っておくと便利
Kyashはクレジットカードのような“後払い”ではなく、“前払い”のサービス。チャージした金額のみが利用範囲となるため、「使い過ぎを防止したい」「予算を決めて支出管理したい」というケースでの利用に向いています。
また、海外通販で買い物をする場合など「クレジットカード情報を渡したくない」といったときに、サブのカードとして1枚持っておくと便利かもしれません。
ポイント還元率を高めるには本人確認が必須、チャージ方法はクレカ以外がおすすめ
Kyashで決済をすると、支払い金額に応じたKyashポイントが還元されます。ただ、下表を見れば分かるように、Kyashのポイント還元システムはかなり複雑です。
アカウント種別 | チャージ方法 | 決済時のポイント還元率 | 還元上限(月間) |
---|---|---|---|
本人確認が未完了のアカウント(Kyashバリューアカウント) | 全チャージ方法 | 一律0.2% | 一律100P |
本人確認が完了しているアカウント(Kyashマネーアカウント) | 銀行口座 | Kyash Card:1% | Kyash Card:1200P |
Kyash Card Lite/Virtual:0.5% |
Kyash Card Lite/Virtual:600P | ||
セブン銀行ATM | Kyash Card:1% | Kyash Card:1200P | |
Kyash Card Lite/Virtual:0.5% |
Kyash Card Lite/Virtual:600P | ||
コンビニ支払い | Kyash Card:1% | Kyash Card:1200P | |
Kyash Card Lite/Virtual:0.5% | Kyash Card Lite/Virtual:600P | ||
ペイジー | Kyash Card:1% | Kyash Card:1200P | |
Kyash Card Lite/Virtual:0.5% | Kyash Card Lite/Virtual:600P | ||
クレジットカード/デビットカード | 一律0.2% | 一律100P | |
イマすぐ入金 | 一律0.2% | 一律100P |
基本的には、(1)本人確認の有無、(2)チャージ方法、(3)Kyash Cardの有無の3点によって還元率や還元上限が変わる仕組みになっています。
この点、本人確認が完了しているアカウント(=Kyashマネーアカウント)は、本人確認が未完了のアカウント(=Kyashバリューアカウント)よりも還元率の面でも優遇されています。Kyashをお得に使うなら本人確認は必須といえそうです。
また、クレジットカード/デビットカード、イマすぐ入金でのチャージは、還元率が一律0.2%と他より低く設定されています。これらの方法でチャージするのは避けたほうがいいかもしれません(クレカ側で付与されるポイントと合わせて二重取りを狙いたい場合は別)。

さらに、リアルカードの「Kyash Card」で支払えば還元率は最大1%、還元上限は最大1200Pまでアップできます。Visaのタッチ決済が利用できたり、月の利用枠が最大100万円までに拡大されたりと、使い勝手もかなり向上します。
「Kyash Card」は発行手数料が900円かかるのが難点ですが、決済手段のメインとしてKyashを使う予定なら発行しない手はないでしょう。
バーチャルカードはPayPayや楽天ペイなどのQRコード決済と紐付けられない
PayPayや楽天ペイといったQRコード決済では、クレジットカードの不正利用を防止するため、本人認証サービス(3Dセキュア)が設定されたカードしか登録できないようになっています。

3Dセキュアに対応しているのはKyash Cardのみ
この点、Kyash Card VirtualとKyash Card Liteにはこの3Dセキュアが備わっていないので、QRコード決済の支払い元には登録できません。
一方、Kyash Cardは3Dセキュア認証に対応しているので、QRコード決済の支払い元に登録できる可能性があります。