『梨泰院クラス』のヒロイン、キム・ダミが怪物少女を演じる壮絶なアクション映画『The Witch/魔女』

『梨泰院クラス』のヒロイン、キム・ダミが怪物少女を演じる壮絶なアクション映画『The Witch/魔女』

韓国ドラマがNetflixで大人気となっている昨今ですが、映画も年々存在感を高めています。

今年の始めにはアカデミー作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』が大ヒットしていますし、『82年生まれ、キム・ジヨン』も話題となりました。内容もアクション映画から、女性のドラマなど多岐に渡っています。

そんな韓国映画の中でも異色の輝きを放つのが、『The Witch/魔女』です。日本では公開規模が小さかったため、劇場公開時にはあまり話題にはなりませんでしたが、熱心なアクション映画ファンの間で隠れた傑作と扱われています。

ある実験で生まれた超人的な能力を持つ女子高生が、敵をなぎ倒していくアクション映画です。その壮絶な描写とスタリッシュなアクションで、韓国では300万人を超える観客動員を記録しています。

記憶を無くした女子高生の正体は

ある日、牧場を営む優しい夫婦が、倒れている8歳の少女を発見します。夫婦のおかげで一命をとりとめた彼女は、ジャユンという名前以外は記憶を失っており、自分が何者かわからないまま、しかし夫婦の愛情をたっぷりと得て成長します。

高校生になったジャユンは、経済状況がきびしくなってきた養父母のため、賞金目当てでオーディション番組に出場し、勝ち抜いていきます。すると、彼女の前に謎の男たちが現れ、生活を脅かすようになっていくのです。

ジャユンは、実はある特殊な実験施設で生まれた少女で、その超人的な能力は組織が生み出した最高傑作と称される存在でした。ジャユンは8歳の時に組織から逃げ出し、死んだものと思われていたのですが、生きていることがオーディション番組で明らかになり、ジャユンと同じ実験で生まれた能力者や幼い頃にジャユンに痛めつけられた者たちが彼女の命を狙うようになっていきます。

一方、ジャユンは自分の命が短いことを医者に宣告されており、それは実験で生まれたせいであることを知ります。ある夜、ジャユンの家が何者かに襲撃され、ジャユンは連れさられるのですが、そこで衝撃の事実が明らかになります。

かわいい女子高生が実はとんでもないパワーの持ち主だった、という点が本作の衝撃ポイントなのですが、それだけにとどまらないどんでん返しが終盤に用意されています。それはとにかく背筋が凍るような恐ろしさで、主人公の底知れない魅力につながっています。

本作の監督は、『新しき世界』や『V.I.P. 修羅の獣たち』など、バイオレンス描写を得意とするパク・フンジョン。本作でも壮絶かつスタリッシュなアクションを作り上げており、その迫力はハリウッド映画にも勝るとも劣りません。映像の早回しとスローモーションを巧みに利用し、人間の限界を超えた動きを見事に表現しています。

彗星のごとく現れた新人キム・ダミの怪演

本作の主人公を演じるのは、キム・ダミ。彼女はオーディションで選ばれ、本作が長編映画初出演です。怪物新人と呼ばれ、大評判となりました。本作を見れば、それも納得の怪演で、底知れない人物の二面性を巧みに演じており、新人離れした演技力を披露しています。

本作出演後、彼女は2年間映画やドラマには出演せず、CMの仕事だけの期間が続いたのですが、日本でも今年大きな話題となった『梨泰院クラス』のヒロインに抜擢。IQ162でソシオパス、そして人気ブロガーであるチョ・イソを演じ、さらに知名度を上げています。本作でも、『梨泰院クラス』でも一癖も二癖もある役柄を演じており、実力者の若手俳優として今最も注目されている存在と言っても過言ではないでしょう。

本作は「第一部」と銘打たれており、続編の制作も決定しています。韓国では2021年に公開予定で、日本での公開は未定ですが、ぜひとも公開してほしいですね。

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構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部