YouTube Musicってどう? 無料版とプレミアム版の違い、魅力・弱点まとめ

無料版でも機能は充実、音楽特化のYouTube

Googleが提供する無料の音楽配信サービス「YouTube Music(ユーチューブミュージック)」は、その圧倒的なコンテンツ力が特徴です。動画や自分専用のラジオステーション、ライブ映像だけでなく、好きなアーティストやジャンルの楽曲がたっぷり詰まったオリジナルのプレイリストは、一度利用し始めたら飽きることなく使い続けられるでしょう。

再生前や合間に広告こそ流れるものの、曲のスキップ回数には制限がなく、気に入った楽曲を好きなだけ楽しめるのも嬉しいところです。無料版の範疇でもそれなりに自由度が高いYouTube Music。その魅力について、SpotifyやApple Musicなど他の音楽配信サービスと比較しつつ探っていきます。

目次

YouTube Musicとは?

YouTube Musicは、いわば音楽コンテンツに特化したYouTubeです。YouTubeにアップロードされた楽曲やアルバム、ライブ映像、ミュージックビデオなどがまとまっています。コンテンツは、スマホやパソコン、スマートテレビなど多様なデバイスでからストリーミング再生できます。

YouTube Musicの無料版とプレミアム版の違い

YouTube Musicには、無料版と有料版の「YouTube Music Premium(プレミアム)」があります。料金や機能の違いを表にまとめました。

YouTube Musicプレミアムと無料版の違い

無料版でも楽曲をスキップできる回数は無制限、好きな音楽を選んで再生できる「オンデマンド再生」は可能です。ただし、音楽の再生前や次の曲との合間に数秒から20秒程度の広告が流れることがあります。また、楽曲のダウンロード(オフライン再生)や、バックグラウンド再生にも対応していません。

YouTube Musicプレミアムでは、そのような制限がなくなります。1億曲以上の楽曲やミュージックビデオ、ライブパフォーマンスを、広告に邪魔されることなく楽しめます。楽曲をアプリにダウンロードすれば、スマホの消費ギガを気にせずオフライン再生でき、画面ロック中や他のアプリ使用中でも音楽をバックグラウンド再生することが可能です。また動画付きのコンテンツでも、音声のみモードと動画モードを画面を1タップするだけで簡単に切り替えられる機能も使えます。

YouTube Music プレミアムの料金は、加入方法により料金が大きく異なります。iPhoneやiPadユーザーの場合、Webサイトから登録するほうが料金が安くなることに注意しましょう。また、学生プランもiOS版アプリから登録はできず、WebサイトまたはAndroid版アプリからのみ申し込み可能になっています。

YouTubeプレミアムとの違い

YouTube全般で特典を受けられる有料サービス「YouTube Premium(プレミアム)」なら、追加料金なしでYouTube Musicプレミアムの全機能も利用できます。

YouTube Musicプレミアムと、YouTubeプレミアムの違い

YouTubeプレミアムは、YouTubeにアップロードされたすべての動画コンテンツが広告なしで見放題になり、バックグラウンド再生やオフライン再生にも対応しています。

個人プランの月額料金を比べると、YouTube Musicプレミアムのほうが200円ほど安いです。ただし、YouTube Musicプレミアムは音楽コンテンツに特化したサービスなので、音楽以外の動画も制限なく楽しみたい人には少し物足りなく感じるかもしれません。

YouTube Musicプレミアムの料金に数百円追加するだけで、音楽コンテンツも含むYouTubeの全コンテンツを網羅できると考えると、YouTubeプレミアムのほうがお得感があります。

YouTube Musicの魅力

他の音楽配信サービスとの比較も交えながら、YouTube Musicの強みについて見ていきます。

ベーシックな機能をしっかり搭載、YouTubeユーザーは使いやすい

YouTube Music
Spotify
LINE MUSIC

左からYouTube Music、Spotify、LINE MUSIC。いずれもUIは似ているが、操作性はそれぞれ異なる

SpotifyやLINE MUSICなど他のサブスク音楽配信サービスと同様、新着やおすすめプレイリスト、チャートやオリジナルミックスがトップ画面にずらりと並ぶYouTube Music。画面を見た印象や機能面はSpotifyに似ています。

画面上部には「ワークアウト」や「リラックス」などさまざまなアクティビティに合う音楽へのアクセスを容易にするアクティビティバーが表示されています。「検索」タブに切り替えて、そのほかのムードやジャンルの音楽にも出会えます。

テーマごとのプレイリストが比較的豊富に用意されているApple Musicなどと比較しても、いま聴きたい音楽に遭遇するための機能は十分に備わっていると言えます。

YouTube Musicアプリの画面
YouTube Musicアプリの画面

YouTube Musicアプリの画面

普段からよくYouTubeを使っている人なら、YouTube Musicの良さにより早く気付くかもしれません。たとえば、YouTubeで登録したアーティストのチャンネルや自分で作成した楽曲動画のプレイリストはYouTube Musicにもすぐに反映されます。

音楽コンテンツに集中したいならYouTube Musicを、他の動画を楽しみたいならYouTubeを、といったように、目的に応じた横断的な楽しみ方ができるようになります。

過去の視聴履歴や季節などに応じて、ユーザーごとにおすすめ曲を表示する「サジェスト機能」も搭載されています。

曲はスキップし放題で、好きな曲を選んで聴ける

YouTube Musicは無料版でもスキップに制限がない

YouTube Musicは無料版でもスキップに制限がない

無料版Spotifyは、1時間に6回までしかスキップできない

無料版Spotifyは、1時間に6回までしかスキップできない

YouTube Musicでは、指定したアルバムを最初から聴けるだけでなく、好きな曲を選んで視聴でき、さらに曲はスキップし放題。ユーザーにとってはかなり満足感が高いといえます。

たとえばSpotifyの無料版では、アーティストのプレイリストからランダムに曲が再生される仕組みで、曲を選んで再生することができません。また、曲のスキップも1時間に6回のみと制限があります。また、Amazon Musicの無料版やAmazon Music Primeも、シャッフル再生が基本で、スキップも1時間に6回のみとなっています。

YouTube Musicプレミアムでは全曲聴けるようになっている

YouTube Musicプレミアムに加入しているユーザーは全曲聴けるようになっている

無料版では一部グレーアウトしていて再生できない楽曲もある

無料版ユーザーだと一部グレーアウトしていて再生できない楽曲もある

ただし、アップグレード版である有料のYouTube Musicプレミアムとは違い、無料版のYouTube Musicでは一部再生できない楽曲がある点には十分に注意が必要です。

自分好みに厳選された音楽の「サンプル」を無限に探索できる

サンプルタブ
サンプルタブ

「サンプル」タブでは、ユーザーの好みに合わせて選ばれたショート動画をスワイプで無限に流せる

YouTube Musicならではの機能は「サンプル」タブです。ここを開くと、YouTubeショートのように縦型の短尺動画で音楽を試聴でき、画面を指で上にスワイプしていくことで、ユーザーの好みに合わせて選ばれた音楽を無限に流せます。

まだ知られていない新人アーティストの曲や、掘り出し物の名曲など、思いがけないお気に入りが見つかるかもしれません。

うろ覚えでも大丈夫な「スマート検索」が秀逸

YouTube Musicには「スマート検索」機能が備わっています。曲名や歌手の名前を正確に思い出せないとき、関連キーワードや歌詞の一部といったあいまいな情報だけでも曲を探せます。

他の音楽配信サービスでも標準化しつつある「スマート検索」ですが、YouTube Musicは他のサービスに比べてこの検索結果が一味違います。

YouTube Musicの検索画面

YouTube Musicの検索画面

Apple Musicの検索画面

Apple Musicの検索画面

たとえば、「おつかれ生です」のフレーズが印象的な「アサヒ生ビール」のテレビCMで採用されていた曲を聴きたいのに、曲名も歌手名も分からなかったとします。そこでYouTube Musicアプリで「おつかれ生です」のキーワードで検索をかけると、関連楽曲一覧にお目当ての曲(竹内まりやさんの『元気を出して』)がトップ表示され、すぐにその曲を聴くことができました。

一方、Apple MusicやSpotify、Amazon Musicなど他の音楽配信サービスでは、同じキーワードで検索をかけてもオリジナルの楽曲にたどり着けませんでした。

YouTube Musicでは、少しくらい検索する歌詞を間違っていても曲を探せる可能性が高そうで、このあたりはさすがGoogle、という印象です。

鼻歌などでも音楽を探せる
鼻歌などでも音楽を探せる

鼻歌などでも音楽を探せる

また、曲の一部を鼻歌したり、演奏したりすることで、その曲を特定できる機能も付いています。外出中に店内で流れている曲が何の曲か気になったら、この機能で音楽を聞き取って音楽を探すことも可能です。

動画やライブもたっぷり、好きなアーティストをとことん深堀りできる

楽曲のほか、ライブ映像も豊富
楽曲のほか、ライブ映像も豊富

楽曲のほか、ライブ映像も豊富

「聴きたい曲が配信されていない」という心配が少ないのが、YouTube Music最大の魅力。

ユーザーからの動画投稿を軸足とするYouTubeの姉妹サービスだけあって、とにかくコンテンツ数が多く、SpotifyやApple Musicでは観られない楽曲動画が提供されているのが大きな強みです。

Apple Music
YouTube Music

左はApple Music。YouTube Music(右)は表示される動画の種類や総数が違う

アーティストの公式ミュージックビデオのみを配信しているApple Musicと比較してみると、YouTube Musicにはアーティストが出演した音楽番組でのパフォーマンス映像や他のアーティストとのコラボレーション作品なども多く視聴できることが分かります。

特に、YouTube上でしか観られないライブパフォーマンスが観られるのは大きな魅力です。ただし、音質や画像の品質はコンテンツによってまちまちなので気をつけましょう。

YouTube Musicの惜しい点

YouTube Musicを使っていて気になるところや、今後の改善に期待したい部分をまとめました。

無料版は広告あり、バックグラウンド再生などに対応していない

無料版では広告が流れることがある

無料版では広告が流れることがある

YouTube Musicの無料版は、曲を選んで再生したときや、次の曲にスキップした際に広告が流れます。毎回表示されるわけではありませんが、さまざまな曲を連続で聴いている途中に広告が流れると煩わしさを感じるかもしれません。

また、YouTube Musicアプリで曲を再生中に、他のアプリを開いたり、電源ボタンを押して画面をスリープ状態にしたりすると、その瞬間に音楽が止まってしまいます。

広告なしで音楽を楽しみたい、バックグラウンドでも再生できるようにしたい人は、YouTube Musicプレミアムにアップデートすることで、より便利に・快適にYouTube Musicを使えるようになります。

一般クリエーターの「歌ってみた」系も混ざっている

本人ではない「歌ってみた」「弾いてみた」系の動画も多い

本人ではない「歌ってみた」「弾いてみた」系の動画も多い

YouTubeで音楽を検索したことのある人なら想像に難くないと思いますが、YouTube Musicでも検索結果に一般クリエイターの「歌ってみた」「弾いてみた」系の作品が並んでいます。

たとえばアーティストの藤井風さんは、10代からYouTubeに投稿している動画が話題になり一躍脚光を浴びていますが、彼が過去に投稿したオリジナル動画と彼の楽曲を「歌ってみた」動画が入り混じっており、整理されていない感が否めません。

とはいえ、基本的にはアーティストの公式楽曲から順に並ぶように設計されているので、迷うことは少ないです。逆に、公式以外のコンテンツが膨大に配信されているのはYouTube Musicならでは。曲名で検索すると、たくさんのカバーが表示されるので、いろいろな歌い手を聴き比べることができます。

一部の楽曲でしか歌詞を表示できない

歌詞が表示できない曲もある
歌詞が表示できない曲もある

聴き取りにくい部分や外国語の曲を調べるのに便利な「歌詞」機能。Spotify(無料版)には搭載されていますが、YouTube Musicで歌詞が表示されるのは一部のアーティストのみです。標準装備されているわけではありません。

また同じアーティストでも、リリースの時期によって歌詞が表示される曲とそうでない曲が含まれていることがあります。

ちなみにカラオケを練習するためのボーカルキャンセラーには未対応ですが、ガイド(歌詞)付きのカラオケ映像が豊富に配信されているので、人気曲などはYouTube Musicでも熱唱できます。

一部の動画で字幕表示が可能
一部の動画で字幕表示が可能

一部の動画コンテンツで字幕表示が可能

YouTube Musicには関連機能として、動画コンテンツに字幕を表示できる機能もあります。言語は、日本語のほかに英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)などが選択可能。楽曲によってはさらに多くの言語字幕が提供されています。実質の歌詞表示機能と言えるでしょう。外国語の歌を日本語字幕で楽しむといった使い方ができるのはうれしいところです。

ただし、今のところ本機能を使えるのは、米津玄師やLiSA、YOASOBIといった一部アーティストの公式ミュージックビデオが大半。今後対応するアーティストが増えていくことに期待したいところです。

音質は悪くないが、他のサービスに比べるとやや劣る

YouTube Musicは、音質を重視する人には少し物足りなく感じるかもしれません。

音質は「kbps」というビットレートの単位を用いて表します。ビットレートの数値が大きければ大きいほど、より詳細な音を表現できるため、音質はよく聴こえます。

YouTube Musicの音質は、無料版で最大128kbps、プレミアム版で最大256kbpsです。他のサービスと比べて無料版は一般的な音質、プレミアム版の音質も「高音質」に分類されるのでそんなに悪いわけではないのですが、SpotifyやLINE MUSICの音質は最大320kbpsになっており、それに比べるとYouTube Musicの音質はやや劣っています。

ただ、実際に256kbpsと320kbpsの音質の違いを聴き分けられる人はほとんどいないので、この点はそこまで気にする必要はないかもしれません。

またYouTube Musicは、Apple MusicやAmazon Music Unlimitedで提供されているような、ハイレゾ音源や空間オーディオに対応していません。

Apple Musicは「ロスレス」や「空間オーディオ」(ドルビーアトモス)に対応
Apple Musicは「ロスレス」や「空間オーディオ」(ドルビーアトモス)に対応

Apple Musicは「ロスレス」や「空間オーディオ」(ドルビーアトモス)に対応

たとえばApple Musicでは、「ロスレス」と「ハイレゾロスレス」の2つのロスレスオーディオがサポートされています。これにより、繊細なニュアンスや生演奏の質感などをリアルに体感できます。また、3Dの立体的な音響体験を可能にする「空間オーディオ」(ドルビーアトモス)も提供しており、音が左右だけでなく上下からも聞こえるように感じられ、360度から包み込まれるような立体的な音楽体験が可能です。

今後はYouTube Musicでも、少なくともプレミアム版に切り替えれば、ロスレス/ハイレゾや立体音響に対応した音質が提供されることに期待したいところです。

まとめ:スキップ無制限で音楽も動画も両方楽しめる

YouTube Musicは、無料でも聴けない曲が少なく、聴きたい曲を自由に選んで再生でき、興味のない曲は何回でもスキップし放題です。ミュージックビデオやライブ映像などの動画コンテンツも多く、耳だけでなく目で見て楽しめるのも魅力です。

もちろん、アーティスト本人ではなく「歌ってみた」などのカバー曲や、音質や画質が低いコンテンツが含まれるなど、楽曲の完全版のみを楽しめるわけはありません。しかし、少なくともここ数年で大幅に状況は改善されています。

高品質な音楽体験以外はしたくないという人には向きませんが、ストレスの少ない音楽ストリーミングサービスを検討している人にはおすすめです。

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MIKAN