iPhoneにおける「書類とデータ」とは、アプリ内に蓄積されるキャッシュや一時ファイル、履歴、ダウンロードデータなどを指します。アプリを利用していると、知らないうちにこのような書類とデータがiPhoneの中に溜まっていき、ストレージの容量を少しずつ圧迫していきます。
iPhoneのストレージの空き容量を一気に確保するなら、不要なアプリを削除するのが手っ取り早いですが、データを全部消すのは避けたい場合も。iPhoneでは、アプリの本体とユーザーが作ったデータを別々に管理できるので、不要なものだけ削除してストレージの空き容量の確保ができます。
本記事は、iPhoneの容量を圧迫しがちな「書類とデータ」などにフォーカス。目的に合った方法でストレージの空き容量を増やす方法や注意点について解説します。
アプリの「書類とデータ」だけを削除する
アプリによっては、使い続けているうちに古いデータがどんどん溜まっていくものがあります。たとえばメッセージのチャットや、ブラウザが作成するキャッシュファイルなどです。ストレージをものすごく占有しているわけではありませんが、不要なデータが端末に残っているのは嫌な感じがする人もいるでしょう。
厄介なことに、こうしたデータをまとめて削除する方法はありません。一部は「設定」アプリから[一般]を開き、[iPhoneストレージ]と進んだ画面で削除できますが、たいていはアプリ別に対処する必要があります。ここでは、その一部を紹介します。
古いメッセージや添付ファイルを削除する
「メッセージ」アプリで写真などを受け取る機会が多いなら、書類とデータにたくさんのファイルが溜まっているかもしれません。

[一般]をタップ

[iPhoneストレージ]をタップ

「メッセージ」アプリをタップ
ストレージをどのくらい占有しているかを確認するには、「設定」アプリから[一般]→[iPhoneストレージ]の画面を開き、アプリ一覧から[メッセージ]をタップします。

「おすすめ」や「書類」から削除したいファイルを選択

添付ファイルを1つずつ確認しながら削除できる
メッセージをよく利用している人には「大きい添付ファイルを再検討」という表示が出る場合があります。タップすると、データ量の大きい写真や添付ファイルなどがリストで見られるので、右上の[編集]をタップして、不要なものを選択して削除できます。
「書類」欄には、上位チャットと写真などが項目別で表示されるので、項目をタップして内容を確認しながら1つずつ削除できます。

[メッセージ]をタップ

[メッセージの保存期間]をタップ

保存期間を短くすれば容量の節約に
古いメッセージを削除することで容量を節約できる場合もあります。「設定」アプリを開き、末尾の[アプリ]をタップ。続いて[メッセージ]を開いて、[メッセージの保存期間]をタップします。
デフォルトでは無制限に設定されているので、「1年」もしくは「30日」を選択すれば、保存期間が過ぎたメッセージと添付ファイルは自動で削除されるようになります。
ブラウザ(Safariなど)のキャッシュを削除する
「Safari」には、オフライン用のWebページ(リーディングリスト)や履歴のほか、キャッシュが保存されています。これらはブラウザを使っているうちに、どんどん溜まっていき、ときには数百MB以上に膨らむことも。
iPhoneストレージの画面では、ブラウザが使用しているファイルがどれくらいあるか確認できます。サイズが肥大化しているようなら、Webサイトデータの消去を実行しましょう。

[一般]をタップ

[iPhoneストレージ]をタップ

[Safari]をタップ
「設定」アプリで[一般]を開き、[iPhoneストレージ]をタップします。アプリ一覧から[Safari]を探してタップします。

[Webサイトデータ]をタップ

[全Webサイトデータを削除]をタップ

[今すぐ削除]をタップ
「Safari」を開いたら、[Webサイトデータ]をタップします。Webサイトデータの一覧画面末尾にある[全Webサイトデータを削除]をタップし、確認メッセージで[今すぐ削除]を選択するとSafariのキャッシュが削除できます。
なお、この操作をおこなうとSafariで開いているWebページがすべて閉じ、保存していない作業などは消えてしまいます。キャッシュ削除のタイミングは慎重に決定してください。


「リーディングリスト」を左へスワイプして[削除]をタップ
「リーディングリスト」のキャッシュを削除したいときは、同じ画面(iPhoneストレージ内「Safari」)にある「リーディングリスト」の項目を左にスワイプし、[削除]をタップします。

「アプリ」から[Safari]をタップ

[履歴とWebサイトデータを消去]をタップ

「すべての履歴」に変更して[履歴を消去]をタップ
Webサイトデータと合わせて履歴データも削除したい場合は、「設定」アプリを開いて末尾[アプリ]をタップ。[Safari]を探して開きます。
[履歴とWebサイトデータを消去]をタップすると期間を指定できるので、[すべての履歴]を選択し、[履歴を消去]をタップします。これで、すべてのWebサイトデータと履歴が削除されました。
不要な音楽データを削除する
「ミュージック」アプリで聴かなくなった音楽は、「設定」アプリの[iPhoneストレージ]から整理できます。「ミュージック」を開くと、アーティストの一覧がファイルサイズの大きい順に表示されます。

削除したいアーティストを左へスワイプして[削除]をタップ
消去したい項目を左にスワイプして[削除]をタップすれば、パソコンを使わなくても楽曲データをiPhoneから削除できます。アーティストごとにまとめて削除したり、アーティスト名をタップすれば、アルバムや曲単位で削除することが可能です。
LINEのキャッシュを削除する
連絡手段として欠かせない「LINE」アプリにもキャッシュは溜まっていきます。容量が大きければ「書類とデータ」のサイズにも影響してきます。こちらもこまめに削除すると、ストレージの容量確保に役立ちます。
なお、キャッシュは、一時的に保存された再ダウンロード可能なデータなので、写真やボイスメッセージ、ファイルのデータは含まれません。

ホーム画面右上の設定ボタン
をタップ
[トーク]をタップ
LINEの「ホーム」タブを開き、右上の設定ボタン
から、[トーク]をタップします。
[データの削除]をタップ

「キャッシュ」横の[削除]をタップ
続いて[データの削除]をタップし、 「キャッシュ」の右端にある[削除]をタップするとキャッシュが即座に削除されます。
「キャッシュ」の下の欄には「すべてのトークデータ」が並んでおり、こちらの写真や動画などの横の[削除]や[すべてのデータを削除]をタップしてしまうと、これまでの写真データやトーク履歴も削除されてしまうため、誤って操作しないように注意してください。
「書類とデータ」を残したままアプリだけを取り除く

まとまったサイズのストレージを確保したいなら、使っていないアプリを減らすのがベターです。とはいえ、これまでのデータを消去してしまうのは気が引ける、ということもあるはず。そこで試したいのが、「アプリを取り除く」という操作です。これは通常のアプリの削除とは異なり、アプリの利用で作成されたデータを残したまま、アプリ本体の容量だけを消去する機能です。
たとえば数GBを超えるゲームなど、本体サイズが大きいアプリで特に有効です。何十時間もかけて進めたセーブデータを削除せずに、アプリだけを端末から取り除くことができます。Game Centerやクラウドにセーブデータを保管できなくても、この方法ならまた利用したくなったときにいつでも元のデータを復元できます。
任意のアプリを1つずつ取り除く方法
不要なアプリを1つずつ取り除いて、「書類とデータ」を残したままストレージの空き容量を増やす方法を解説します。

「設定」アプリから[一般]をタップ

[iPhoneストレージ]をタップ
やり方は簡単です。まずは「設定」アプリを開き、[一般]をタップします。続いて[iPhone ストレージ]をタップしてください。

削除したいアプリをタップ

[アプリを取り除く]をタップ
iPhoneのストレージの利用状況の下に、端末にダウンロードされているアプリがサイズの大きい順(デフォルト時)で並んでいるので、削除したいアプリをタップしましょう。アプリを開いたら、[アプリを取り除く]をタップすればOKです。
その下の[アプリを削除]をタップすると、データすべてがiPhoneから削除されてしまうので、間違えないように注意しましょう。
使っていないアプリをまとめて取り除く方法
1つ1つアプリを削除するのが面倒なら、しばらく使用していないアプリを自動で取り除くことも可能です。

「設定」アプリ末尾の[アプリ]をタップ

[App Store]をタップ

「非使用のアプリを取り除く」をオンにする
「設定」アプリを開き、末尾にある[アプリ]をタップ。続いて[App Store]を開いて、[非使用のアプリを取り除く]を有効にすれば、取り除くアプリを自動的に選んで容量を節約できます。
iPhoneの使用状況にもよりますが、一気に数十GBもの容量を確保できることがあります。あまり使っていないアプリだけを選んで削除してくれるので、デメリットはほとんどありません。容量に困ったら、最初に試したい方法です。
「書類とデータ」とアプリの両方を削除する
アプリもデータも不要な場合は、アプリを削除(アンインストール)します。アプリとデータが占有していた容量は、完全に解放されます。一見シンプルで、何も付け足す必要がありません。
しかし、iCloudのほうはどうでしょう。端末からアプリを削除しても、iCloudには書類とデータが残っている場合が多いのです。これが盲点です。
今後も使わないことが確実なアプリなら、iCloudに書類とデータを残しておく必要はありません。iCloud上でも削除しておけば、iCloudの空き容量も確保できます。

自分の名前(Apple Account)をタップ

[iCloud]をタップ

[ストレージ]をタップ
iCloudのストレージは、「設定」アプリの一番上、自分の名前(Apple Account)をタップします。続いて[iCloud]をタップしたら、一番上の[ストレージ]を開きましょう。

不要なアプリを探してタップ

[iCloudからデータを削除]をタップ
過去にインストールしたアプリがずらっと並びます。長い間使っていないアプリが見つかるかもしれません。アプリにはそれぞれサイズが表示されています。結構な容量を占めているものもきっとあるはずです。
不要なアプリを見つけたら、アプリをタップして内訳を表示します。[iCloudからデータを削除]をタップすれば、データが削除されます。定期的にメンテナンスすれば、iCloudの容量を十分に使うことができるはずです。
iPhoneの「システムデータ」の容量を減らすには?
「設定」アプリから[一般]をタップし、[iPhoneストレージ]を開いた画面の一番下には、「システムデータ」という項目があります。


左が再起動前、右が再起動後。再起動しただけで、システムデータの容量が減った
システムデータには、iOSが利用しているデータが保存されており、ユーザーは自由にアクセスすることはできません。しかし、よく見ると結構なサイズを消費していることがあります。
このシステムデータを軽量化させる方法は、端末の再起動です。iPhoneの電源を一度オフにし、再度起動させるだけで数GBの容量を確保できる場合があります。環境によってはまったく解放されないこともあるようですが、この方法はいつでも手軽にできるので、ぜひ試してみてください。