サブスク音楽配信サービスは、いまや曲数が多いだけでは選びにくくなりました。配信楽曲が1億曲を超えることや好みの音楽をおすすめしてくれる機能、オフライン再生なども当たり前になっています。
そんななかで「Qobuz(コバズ)」は単に便利な聴き放題ではなく、「いい音で音楽を楽しむ」ことに軸足をおいた注目のサービスです。この記事では、Qobuzの料金やメリット・デメリット、使い勝手をレビュー。高音質に定評のある音楽サブスクの「Amazon Music Unlimited」や「Apple Music」とも比較しました。
「Qobuz」(コバズ)とは? 料金プラン一覧
Qobuz(コバズ)はフランスのXandriteが提供する音楽配信サービスで、ストリーミングだけでなく楽曲のダウンロード販売もおこなっています。
世界26カ国で利用でき、国内での正式スタートは2024年11月と後発。ハイレゾ配信サービスの大手であった「e-onkyo music」と統合し、ストリーミングとダウンロード販売の両方を提供する形でスタートしました。
アカウントは無料で作成できます。ストリーミングサービスを利用するには、有料プランに登録する必要があります。フリープランはありませんが、ダウンロードストアでなら30秒程度のサンプルを視聴することが可能です。
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ソロ |
デュオ |
ファミリー |
学生 |
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|---|---|---|---|---|
| 月額料金 | 1480円 | 1980円 | 2480円 | 599円 |
| 年額料金 | 1万5360円 | 2万160円 | 2万4960円 | ― |
| アカウント数 | 1アカウント | 2アカウント | 6アカウント | 1アカウント |
| 無料期間 | 初回1カ月間 | |||
ストリーミングのサブスクリプションは個人プランの「ソロ」、カップル向けプランの「デュオ」、同一世帯で最大6アカウントまで使える「ファミリー」、学割プランの「学生」の4種類で、いずれも1カ月の無料体験があります。
ソロ・デュオ・ファミリーには一括払いの年額プランもあります。1カ月あたりに換算するとソロが月1280円、デュオが月1680円、ファミリーが月2080円です。
価格だけ見ると、Qobuzは他社サブスクリプションよりも割高です。コストで選ぶなら他に候補はあります。
Qubuzをレビュー、その魅力と弱点
実際にQobuzを利用して感じた魅力と弱点を紹介します。
魅力1:ハイレゾ音源の配信数は世界最大級、高音質を楽しめる環境が充実
音質は24bit/192kHzのハイレゾ音源に対応
Qobuzは高音質をうたった音楽配信サブスクです。音質は最も低いものでMP3の320kbpsで、これは基本的にモバイル用です。すべての音源がロスレス(CD音質)に対応し、さらに楽曲によっては最高24bit/192kHzのハイレゾ音源に対応しています。
Qobuzは1億曲以上の楽曲をストリーミングで提供しています。ハイレゾ音源の配信数は世界最大級で、少なくとも18万5000枚のハイレゾ音源アルバムを含んでいます。
「見つける」タブではニューリリースやおすすめを表示する
「マガジン」タブには独自の記事、レビュー、インタビューなどが多数掲載されている
ディスカバリー画面(ホーム画面)では、ハイレゾ対応の楽曲が一目で分かるほか、ハイレゾ音源を収録したプレイリストなども用意しています。独自の記事も配信されており、音源以外にも音楽に触れられるコンテンツを楽しめます。
WIndows版アプリは排他モードをサポートする
楽曲の再生には、スマートフォン(iOS/Android)とデスクトップ(MacOS/Windows/Webプレーヤー)の両方が利用できます。
特にWindows版アプリは排他モードをサポートしており、OSのオーディオミキサーを通さずにビットパーフェクトな状態で音声を出力可能です。
魅力2:ワイヤレスでもハイレゾ再生が可能
Qobuz Connect対応スピーカー
公式のアプリとは別に、Roon(ルーン)やAudirvana(オーディルヴァーナ)のような高機能な音楽再生管理ソフトからライブラリを管理したり、Sonos(ソノス)製スピーカーとつないで再生環境を構築できたりと、音楽をより楽しむための環境が充実しています。
またQobuz Connectに対応したスピーカーなら、アプリをリモコンにして接続されたデバイスを直接操作し、最大192kHz/24bitのハイレゾで音楽を再生できます。Qobuzのサーバーを経由することで、ハイレゾ音源を中継なしに送ることが可能です。
手軽に音楽を楽しむというよりは、少しいい環境を用意して音楽としっかり向き合いたいというユーザーを想定したQobuzならではの仕組みです。
魅力3:ダウンロード販売があり、高音質な音源を手元に置ける
サブスクで気に入った作品を、そのまま購入して手元に置けるのがQobuzの特徴です。Amazon MusicやiTunes Storeではハイレゾ音源を購入することはできませんが、Qobuzならサブスクで聴くだけでなく、好きな作品の高音質な音源を手元に置くことができます。
サブスクのほか、ハイレゾ・ロスレス音源の楽曲をダウンロード販売している
アルバムの価格は1枚2500〜3000円程度。1曲から購入でき、ハイレゾ音源が500円前後、CD品質で400円前後です。ディスカウントセールも度々おこなっており、半額程度の割安な料金でアルバムを購入できることもあります。
ハイレゾ・ロスレス音源はWAV、AIFF、ALAC、FLACなどさまざまなオーディオフォーマットに対応しています。圧縮音源のMP3やWMA、AACでもダウンロードできます。ダウンロードしたファイルはすべてDRMフリーです。
ダウンロード販売はストリーミングとは別のページでおこないます。Qobuzの場合、アプリではなく公式のダウンロードストアから購入します。
弱点1:他社の音楽配信サブスクと比べて料金が割高
| 個人プラン | デュオプラン | ファミリープラン | 学生プラン | |
|---|---|---|---|---|
| Qobuz |
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月額599円 |
| Amazon Music Unlimited(※) |
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― |
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月額580円 |
| Apple Music |
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― |
月額1680円 |
月額580円 |
| 楽天ミュージック |
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― | ― | 月額480円 |
| LINE MUSIC |
|
― |
|
月額480円 |
| Spotify |
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月額1480円 | 月額1880円 | 月額580円 |
(※)Amazonプライム会員向けの料金を記載
他社の音楽配信サブスクと比較してみると、Qobuzの利用料金が割高であることがわかります。月額払いの場合、個人プランだと月400〜500円、ファミリープランだと月500〜800円ほど割高です。これだけの価格差になると誤差の範囲とは言い難いでしょう。
音楽配信サブスクにコスパを求める人にQobuzは向きません。ハイレゾ・ロスレス音源を手軽に楽しみたいなら、Amazon Music UnlimitedやApple Musicという選択肢もあります。
弱点2:国内アーティストのラインナップが弱い
まず気になったのは、楽曲のラインナップです。アーティストやアルバムによってはダウンロード販売でしか聴けない曲があります。特に国内のアーティストでそのような傾向がみられます。
国内アーティストのラインナップは他の音楽配信サブスクと比べて乏しい
配信数は「1億曲以上」とされており、数字だけを見ればAmazon Music UnlimitedやApple Musicと比べても遜色ありません。しかし、サブスクリプションに登録すればAmazon Music UnlimitedやApple Musicと同程度の楽曲を聴けると思っていると、がっかりすることになります。
無料期間のうちに自分の好みにあった楽曲が配信されているかどうかを見極めましょう。
弱点3:プレイリストのカテゴリが少ない
プレイリストは8種類と心もとない
プレイリストを絞り込むためのジャンルは12種類ある
Qobuzには専門のキュレーターによる数千のプレイリストが用意されていますが、プレイリストを探すときに使うカテゴリの種類が9種類と、数えるほどしかありません(2026年3月時点)。
用意されているカテゴリは、「ハイレゾ」「ニューリリース」「フォーカス」「ムードアーティスト」「ウィズ(アーティストやミュージシャン自身が選曲・監修するプレイリスト)」「イベント・メディア」など。シンプルでわかりやすくはありますが、Amazon Music UnlimitedやApple Musicなどの細かく整理されたプレイリストと比較すると、物足りなく感じるかもしれません。
弱点4:歌詞機能がない
多くのストリーミング配信サービスでお馴染みの歌詞表示機能がありません。歌詞を見ながら音楽をじっくり聴きたいという人は多いです。
Roonのような外部アプリと連携すれば、Qobuzの楽曲を聴きながら歌詞を表示できますが、サブスクリプションが別途必要となり、あまり現実的ではありません。
他社の音楽配信サブスクと比較
| Qobuz | Amazon Music Unlimited | Apple Music | |
|---|---|---|---|
| 料金(個人プラン) |
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(※)いずれもプライム会員の場合 |
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| 音質 |
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| 空間オーディオ | ✕ | ◯ | ◯ |
| 端末・外部機器との相性 | Qobuz Connect対応スピーカーならアプリをリモコン代わりにハイレゾ音源の再生が可能 | EchoシリーズなどAlexa対応端末との連携機能が豊富 | Apple製品のイヤホン・ヘッドホンを使ったダイナミックヘッドトラッキング機能 |
Qobuzの魅力は、何といっても高音質な楽曲を楽しめる点です。
ハイレゾ/ロスレス音源に対応した音楽配信サブスクといえば、Amazon Music UnlimitedやApple Musicも候補に挙がります。今回は両サービスとQobuzを比較しました。
Amazon Music Unlimitedとの違い
Amazon Music Unlimitedは、個人プランが月額1180円、プライム会員なら月額1080円です。最近追加されたUnlimitedの廉価版にあたる「Amazon Music Standard」なら月額980円で利用できます。
プライム会員は割引価格で利用できることや、Amazon Echoを持っているユーザーなら購入してすぐにスピーカーから音楽を楽しめるなど、価格や手軽さのバランスが優れています。
Amazon Music Unlimitedの音質設定画面
Wi-Fi接続時/モバイルストリーミング時/ダウンロード時の音質をそれぞれ設定できる
Amazon Music Unlimitedの音質は、Qobuzと同じ24bit/192kHzのハイレゾ音源に対応し、スペック上は同じです。LDAC対応の端末、ヘッドホン/スピーカーを利用すれば、ワイヤレスでも高音質(最大96kHz/24bit)を楽しむことができます。AndroidやWindows環境では排他モードも利用できるため、環境構築を楽しむユーザーにもおすすめです。
また空間オーディオについてはソニー製ヘッドホンと組み合わせることで、耳の形状から個人最適化する機能が利用可能。360 Reality AudioやDolby Atomosに最適化された端末やスピーカーで臨場感のある音楽体験が得られます。
生活に密着しているAmazonらしく、サブスク登録までの動線もスムーズです。コスト面で選びやすいため、手軽に音楽を楽しみたい人にぴったりです。
Apple Musicとの違い
Apple MusicはApple製品との連携しやすさが大きく、iPhone・iPad・Macを使っている人にとっては最有力の選択肢です。1億曲を超える楽曲、ダウンロード再生、ハイレゾ対応、空間オーディオ、さらにApple Music Classicalへのアクセスまで含まれており、個人プランで月額1080円です。
Wi-Fi接続時/モバイルストリーミング時/ダウンロード時の音質をそれぞれ設定できる
Apple Musicは、Qobuzと同じ24bit/192kHzのハイレゾ音源に対応しています。独自の認定プログラム「Apple Digital Masters」を導入することで、iPhoneやMacなどAppleのエコシステムで可能な限り最高の音質を体験できるのが強みです。ただし、ハイレゾで楽しむには有線環境が必要です。
またAmazon Music Unlimitedと同様、Apple Musicは空間オーディオに対応しています。AirPods ProやAirPods Maxと組み合わせたときに頭を左右に振っても音源を空間上の固定された位置から聞こえるようにする「ヘッドトラッキング」や、ユーザーの耳を撮影して音響を最適化する機能などが利用可能です。
Apple Musicは、Amazon Music Unlimitedと同様に総合的な完成度が高いサービスです。Apple製品に共通して見られるUIの親しみやすさや、Apple製ハードウェアとのなじみやすさを備え、幅広い層に受ける要素が揃っています。特にiOSやMac中心で便利に楽しみたいなら、Apple Musicは満足しやすいはずです。
まとめ:Qobuzがおすすめなのはどんな人?
Qobuzは、音楽をBGMとして消費するだけでは物足りない人に向いています。好きなアルバムをしっかり聴きたい、オーディオ機器の組み合わせを楽しみたいといった人にとても魅力的です。万人向けではありませんが、合う人にはかなり深くハマりそうです。
安さと手軽さなら、Amazon Music UnlimitedやApple Musicが最適です。スマホで気軽に楽しむ、すでに持っている端末とすばやく連携させたいといったことを優先するなら、Amazon Music UnlimitedやApple Musicが有力な選択肢です。
コストだけで見るとQobuzは割高ですが、数百円の差でよい音を聴く環境が手に入ります。音楽鑑賞そのものの質を上げたいと考えている人にぜひ試してほしいサービスです。