Googleから新しく発売された完全ワイヤレスイヤホン「Pixel Buds Pro(ピクセル バッズ プロ)」をレビューします。価格は2万3800円(税込、以下すべて)と高級イヤホンのカテゴリーに含まれます。非常に質感が高く、所有欲を満たしてくれるデバイスです。
高級な完全ワイヤレスイヤホンといえばAirPods Pro(3万8800円)がライバルになるので、こちらと比較しながらPixel Buds Proの特徴や使用感を紹介します。
つや消しのケースが美しい
Pixel Buds Proのケースは楕円形の柔らかな形をしています。本体は樹脂製ですが、曇りガラスや素焼きの陶器のような質感で、非常に高級感があります。Pixel 5の本体仕上げに近く、Pixel 6シリーズでは本体のフチが同じようなつや消し仕上げになっています。
Pixel Buds Proの本体は意外に小さく、耳にフィットする豆のような形をしています。小さくて軽いので長時間つけていても違和感がないでしょう。今回は黒い「Charcoal」をレビューしていますが、Charcoal、Coral、Fog、Lemongrassの4色から選択できます。

イヤホンと付属品

ケースは素焼きの陶器のような質感
イヤホン本体は6.2gと小さな割にはやや重く、ケースも62.4gです。AirPods Proはイヤホン本体が5.4g、ケースは45.6gなので、軽さという意味ではAirPods Proのほうが優れています。
気になるバッテリー駆動時間は、イヤホンのみで11時間、ケース併用で31時間です。アクティブノイズキャンセリング(ANC)をオンにしていると、イヤホンのみで7時間、ケース併用で20時間となります。とはいえ、駆動時間はかなり優れています。
AirPods Proは、本体のみで5時間、ケース併用で24時間以上となります。ANCをオンにすると、本体のみで4.5時間、ケース併用で18時間です。長い時間音楽を聴いていたい人は、Pixel Buds Proの駆動時間の長さが魅力でしょう。

本体はコンパクトだがやや重い
ペアリングはとても簡単
ペアリングはとても簡単。ケースの蓋を開けた状態でスマホに近づけると接続の画面が表示されるので、メッセージに従っていくだけでOKです。
このとき、スマホのBluetoothがオンでなければいけません。この機能に対応しないパソコンやiPhoneなどと組み合わせて利用する場合には、背面のペア設定ボタンを押します。あとは、それぞれ端末のBluetooth機能で接続します。
一昔前までは、iPhoneとAirPodsのペアリングがとても優れていましたが、だいぶ追いついてきた印象があります。

Pixel Buds Proのケースを開けてスマホに近づけると接続のポップアップが表示される


あとは画面の説明に従って接続するだけだ
アクティブノイズキャンセリングは優れた性能
Pixel Buds Proのアクティブノイズキャンセリング(ANC)は、とても優れており、周囲の雑音はほとんど消えて音楽に集中できます。テレビのある部屋で試してみると、話し声だけは消えずに届いてきました。エアコンやファンの音はすべて消えます。
ANC機能はAirPods Proに勝るとも劣らないといえるでしょう。ただし、耳が詰まるような感じがやや強く感じられるので、苦手な人は気をつけてください。
ANCはオン・オフの切り替えが可能で、外音取り込みも利用できます。音質は、高級モデルらしく文句なしです。11ミリのダイナミックスピーカードライバを搭載しており、クセの少ない音質だと感じました。


本体はかなりコンパクトだがそれなりに重量はある。イヤーピースは3種類だ

ワイヤレス充電にも対応する
専用のアプリで細かな設定が可能
Pixel Buds Proは、専用のアプリ「Google Pixel Buds」で各種設定ができます。ただし、インストールしてもアプリのアイコンは表示されないので気をつけてください。Bluetoothの接続済みのデバイスの画面で歯車のマークをタップすると設定が表示されます。
このアプリでは、さまざまな設定がおこなえます。基本的には、Pixel Buds Proの本体をタップ・スワイプしたり長押ししたりすることで操作が可能です。ちなみに長押し操作の内容はカスタマイズできます。


専用アプリ「Google Pixel Buds」でさまざまな設定ができる
Pixel Buds Proは、Googleアシスタントの利用も可能で、初期設定では長押しに割り当てられています。Pixel Buds Proを長押しすれば、「OK Google」と言う必要はありません。長押し後に「今日の天気を教えて」などと話せば、イヤホンから返答が聞こえてきます。
スワイプで音量調整ができるのもなかなか便利です。ただし、トラック移動のダブルタップ、トリプルタップは慣れるまでは苦戦するかもしれません。
素晴らしいのが、マルチポイント接続に対応しているところでしょう。2台のデバイスと接続しておけば、メディアを再生したほうと接続を切り替えられます。
Pixel Buds ProとAirPods Pro、どちらが良いか

ケースを比較。Pixel Buds Proのほうが少し大きいが差は少ない。質感はPixel Buds Proが素晴らしい
Pixel Buds ProとAirPods Proは、どちらが良いのでしょうか。
音質は好みの部分もありますが、引き分けと言っていいでしょう。ノイズキャンセリングはどちらも優れていますが、あとから登場したPixel Buds Proのほうが、より“消える”ように感じられました。AirPods Proは、耳を澄ますとファンの音が聞こえましたが、Pixel Buds Proは完全に消えたので驚きました。ただ効果が高い分、耳が詰まるような印象がある人もいそうです。

本体の形状はかなり違う。Pixel Buds Proのほうがコンパクトだ
圧倒的に違うのが価格で、Pixel Buds Proに比べてAirPods Proは1万円以上高くなります。3万円台後半ではおいそれとは手を出せないでしょう。
ただし、価格以上にデバイスの対応が懸念されます。Pixel Buds ProはAndroidスマホ、AirPods ProはiPhoneと使っていないと機能が快適に利用できません。それぞれカスタマイズできるアプリが対応OSにしかないのです。そのため、メインで使っているスマホのOSも決め手の一つとなります。
両方のデバイスで使い分けたい人は、どちらにも設定アプリがリリースされているソニーなどの完全ワイヤレスイヤホンを手に入れるほうが快適でしょう。