Appleの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」シリーズに、新モデル「AirPods Pro(エアポッズプロ)」が登場しました。そもそも完全ワイヤレスイヤホンのブームの立役者となったのがAirPods(第1世代)で、登場は2016年の秋でした。
街中でも、白い棒状のボディが目立つAirPodsを付けている人をよく見かけます。その割合は、他の製品を圧倒していることは間違いありません。そこに今回、最新のAirPods Proが登場したわけです。製品名にProと付くように、素晴らしい機能を搭載した上位モデルです。詳しくレビューしていきます。
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製品ラインナップは3種になった
現在販売されているのは、第2世代のAirPodsと、新しく登場したAirPods Proの2モデルになります。なお、第2世代目のAirPodsはワイヤレスで充電できないケースが付くタイプが1万7800円で、これが最廉価です。
少し整理しておきましょう。
- AirPods Pro:2万7800円
- AirPods with Wireless Charging Case:2万2800円(※)
- AirPods with Charging Case:1万7800円
※基本的には第2世代のAirPods(AirPods with Charging Case)と同じだが、ケースがワイヤレス充電に対応する
モデルとしては、第2世代のAirPodsとAirPods Proの2つになりました。価格がかなり近いので、これから購入する人の多くがAirPods Proになると予想されます。
右から第1世代、第2世代のAirPods、そしてAirPods Pro
AirPods Proにはイヤーピース3種類が付属する
ハードウェアも変わり、フィット感が大幅アップ
AirPodsは、いわゆるオープン型のイヤホンで耳との間にスキマがあるために、周囲の音が聞こえました。また、音漏れが気になるという声も少なくありませんでした。しかし、周囲の音が少し聞こえるので、歩きながら利用する際にも不安が少なかったのです。
この点、AirPods Proは多くのイヤホンが採用しているカナル型となりました。イヤーピースは3種類が付属し、交換することで耳にフィットするようになっています。
この作りが秀逸で、取り外す際にはかなりしっかり引っ張る必要があります。つまり、外れてなくなることがほとんどないわけです。逆に装着する際には、特に力がいることもありません。パチンという感触で正しく付いたことがわかります。
ケースの蓋を開けるとペアリングできる仕組みは以前と変わらず、とても簡単だ
AirPods Proは、イヤーピースが耳に合っているかどうかを判断する機能が備わっています。密閉状態になっていればOKで、隙間が空いていると注意が促されます。
これは、AirPods Proには内外に複数のマイクが備わっていて、音を聞いて判断しているからできることです。装着状態がきつすぎるときには正しく判断されてしまいます。3種類のイヤーピースからきつすぎないものを装着し、テストしてみるとよいでしょう。注意が表示されたら密閉されていないので、実際にはゆるいことがわかります。
イヤーピースの装着状態をテスト中
AirPods Proが装着状態を判断して密閉具合を知らせてくれる
シンプルになった本体デザインと大満足の基本性能
これまでのAirPodsに比べると、伸びた棒状の部分が短くなりました。「うどん」などと揶揄されていたスタイルが、よりシンプルな形状に近づいたわけです。ケースを含めてサイズなどを比べて見ましょう。
AirPods Pro | AirPods(第2世代) | |
---|---|---|
本体サイズ | 30.9×21.8×24ミリ | 40.5×16.5×18ミリ |
本体重量 | 5.4グラム | 4グラム |
ケースサイズ | 45.2×60.6×21.7ミリ | 53.5×44.3×21.3ミリ |
ケース重量 | 45.6グラム | 40グラム |
再生可能時間 | 本体:4.5時間(外音取り込みモードをオフにすると5時間)、ケース:24時間以上 | 本体:5時間、ケース:24時間以上 |
AirPods Proは、本体もケースもやや大きく重くなっていますが、気になるほどでありません。他の製品に比べるとどちらもかなり小さく、ポケットに入れておいても負担になりません。また本体、ケースともに十分な再生時間です。
付属品は充電に使うケーブルとイヤーピースなど
本体が大きくなったために、ケースのサイズも少し大きい
付属のケーブルはUSB-C×Lightningだ。iPhoneで利用すれば急速充電も可能
ケースにはLightning端子を搭載
ケースはワイヤレスチャージに対応する
Galaxy S10のリバースチャージでもワイヤレス充電できる。iPhoneでできないのが残念すぎる
ノイズキャンセリングと外音取り込みが凄い
これまでのAirPodsは、使い勝手が良く音質も上々で人気がありました。しかし、他の完全ワイヤレスイヤホンには、及ばなかった点があります。それが、ノイズキャンセリングと外音の取り込みです。ノイズキャンセリングをするためには、当然ながら密閉しなければなりません。オープン型のAirPodsでは、機構的にも対応できませんでした。
しかし、密閉するカナル型にすると屋外での利用で危険があると判断していたのでしょう。そこでAirPods Proは、密閉できるカナル型を採用しつつ、ノイズキャンセリングと外音の取り込みを採用しました。
高性能なアップル製のH1チップによりノイズキャンセリングの性能は素晴らしく、周囲の音が自然に消えます。他のノイズキャンセリングイヤホンで気になった圧迫するような印象も少しはありますが、音楽を再生すれば気にならなくなります。密閉しているカナル型のAirPods Proですが、実は通気口の穴が開けられているのです。
また外音の取り込みモードでは、非常に自然に周囲の音が聞こえます。筆者は他のイヤホンでも同様の性能を持つモデルを所有していますが、外音はスピーカーで聞いたような不自然な音になってしまいます。この点で大きな違いがあります。
イヤホンの軸の部分にある窪みが感圧式センサーになっている。ここを軽くつまむと停止、再生が可能。2度押すと早送り、3度押しで戻し、長押しでノイズキャンセリング・外音取り込み・通常の切り替えが可能だ
iPhoneのコントロールセンターからも切り替えできる
Apple Watchでもモードの切り替えは可能
まとめ
気になる音質ですが、所有している他の完全ワイヤレスイヤホンと比較しても勝るとも劣りません。全体的にクセがなく、万人が良い音だと感じるでしょう。他の製品と比較してみると、完全ワイヤレスイヤホンの中ではバツグンの音質です。
2万円クラスの完全ワイヤレスイヤホンには、音質の良いものも多数ありますが、ノイズキャンセリングと外音取り込みを備え、音質がよい製品はあまり見当たりません。ライバルと言えるのがソニーのWF-1000XM3ですが、ケースや本体がかなり大きくて重く、日常的に使う際の利便性はAirPods Proのほうが上回っています。
現時点の完全ワイヤレスイヤホンとしては、最高クラスの製品と言えるでしょう。すでに品切れも多いので、手に入れたい人は早めの予約をおすすめします。
本記事の内容に関連して、AirPods Proのレビューを下記動画でもまとめています。ぜひご覧ください。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部