地震や台風、豪雨など大規模な自然災害により停電が発生した時、登山やキャンプなど、終日屋外で過ごし、長時間コンセントを利用できない時。このような状況下で共通して気になるのが、スマートフォンの充電残量ではないでしょうか?
そこで今回は、コンセントを使えない場合でも充電可能な3タイプのモバイルバッテリーをそれぞれの特徴やメリット・デメリットとともに紹介します。コンセントが使えない時のために1つ持っておくと、災害時などいざという時に役立ちます。
コンセント不要なモバイルバッテリーのメリット
最初に、コンセントなしで充電できるモバイルバッテリーのメリットや重宝するシーンを確認しておきましょう。
キャンプや登山など長期間コンセントが確保できない場合
普段外出する際にモバイルバッテリーを持ち歩いている人は、コンセントから充電するタイプの製品を使っている人が多いと思います。出かける前に自宅で充電して持ち運べば、スマホに何回か充電できます。
しかし、キャンプや自転車旅、数日間縦走する登山など、終日屋外で過ごす場合は、長時間コンセントを利用できません。そんなときは、他の手段で充電できるモバイルバッテリーが便利です。アウトドアが好きな人は、どんな製品があるかチェックしておくと良いでしょう。
地震などの災害発生時
地震などの災害が発生すると、自宅に戻れず長期間避難所などで過ごす可能性もあります。また、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、道内で大規模停電が発生し、一時的にコンセントが使えなくなりました。ドコモなどが用意した充電スポットに長い行列ができている様子をテレビなどで見ていた人もいるでしょう。
スマホは、有事の情報収集には欠かせません。ラジオやライトなどの代わりにもなるので、モバイルバッテリーは防災グッズとして持っておくと、いざという時に必ず役立ちます。
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軽量で持ち運びにも便利な「電池」タイプ
電池を入れて充電するタイプの製品です。家電量販店以外にコンビニや100円ショップなどにも並んでいる手に入りやすい製品なので、外出中にスマホのバッテリーが切れても急場しのぎに利用できます。災害などでコンセントが長期間使えない場合でも、電池を持っていれば充電可能です。
ダイソー製の電池式モバイルバッテリー
手のひらに収まり、軽量かつコンパクト
ダイソーには、100円で購入できる電池タイプのモバイルバッテリーも売っているので、気軽に購入できます。実際に試してみたところ、単三電池2本でiPhone 7を40%程度充電できました。
あまり効率は良くありませんが、手のひらに収まるサイズで軽いため、普段からカバンに入れていても負担になりません。モバイルバッテリーは重いしかさばるので、持ち歩きたくないけど、たまに帰り道の途中で充電が切れて困るという人にはおすすめです。
さらに大容量の製品もあり、たとえばGREEN HOUSE(グリーンハウス)から販売されている下記商品では、単三電池4本で2100mAh以下のスマホをフル充電することが可能です。
メリット
電池さえあれば、コンセントで充電するタイプの製品と同じように使えます。旅行先などでスマホの充電が切れても、近くのコンビニなどで電池を購入できます。
デメリット
頻繁に使っていると、電池代がかさんでしまいます。また電池の廃棄も面倒なので、普段使いと災害時用を兼ねて利用したい人は、エネループなど充電して繰り返し使えるタイプの電池を用意すると良いでしょう。
また災害時は、品薄だったりお店が閉まっていたりして、電池が確保できないケースもあります。北海道胆振東部地震では、多くの店が停電で営業できませんでした。防災グッズとして利用する場合は、あらかじめ電池も買っておきましょう。ただし、10000mAh以上充電できる大容量のモバイルバッテリーに比べて容量は少ないので、事前に自分のスマホがどの程度充電できるか確認した上で電池を用意してください。
必要なのは太陽光のみの「ソーラー」タイプ
太陽の光を利用して充電できる製品もあります。モバイルバッテリーにソーラーパネルがついており、日なたに置いておくことで充電されます。
NITIUMI(ニチウミ)の20000mAh超大容量 太陽エネルギーパネル電池充電器
こちらのNITIUMI 20000mAhは、表面にソーラーパネルがついています。試しに晴天の日に3時間ほど外に置いていたところ、10%程度充電できました。日照時間にもよりますが、仮に100%充電するとしたら晴れた日に4~5日程度は置いておく必要がありそうです。
普段利用する分にはかなり非効率ですが、コンセントや電池がない状態では役に立つでしょう。ちなみに、本製品はコンセントからも充電可能なため、普段使いにも利用できます。
シリコン製のカバーで、USBポート部分には厚いカバーもついており、雨天でも安心
また、カラビナを使ってリュックなどに繋げるので、登山などで移動をしている際にも充電できます。重量は約230gで、普段持ち歩いていない人には少し重く感じるでしょう。裏面や側面にはコンパスやLEDライトなど、アウトドアに役立つ機能も搭載されています。
コンパスも搭載
LEDランプは「懐中電灯」「SOSストロボ」「警報灯」の3つのモードに切り替えが可能
メリット
屋外に置いておくだけで充電できる手軽さが魅力です。次に紹介する手回しタイプのように、ずっと手を動かし続ける必要もありません。
デメリット
気になるのはソーラー充電の不安定さです。基本的に雨や曇りの日はほとんど充電できません。また、太陽光の当たり方や日差しの強さによって充電量にバラつきが出ます。災害時など、確実に充電をしたいシーンでは、電池タイプや手回しタイプもあると良いでしょう。また、キャンプや登山など屋外にいる場合は役立ちますが、車や電車での移動がメインだと充電が難しいので、利用シーンを事前に確認してください。
災害時にも安心な「ハンドル手回し」タイプ
最後は、手でハンドルを回して発電するタイプです。多くの製品はモバイルバッテリーだけでなく、ラジオやライトなどさまざまな機能が付いています。
今回は「Defend Future ダイナモLEDラジオライト」を試してみました。ラジオやライト、自分の居場所を知らせるために鳴らすサイレンなどが搭載された災害時に役立つ製品です。
Defend Future(ディフェンドフューチャー)の ダイナモLEDラジオライト
側面にはハンドルがついており、手回しで充電ができます。5分間回したところ、iPhone 7が約5%充電できました。ちなみに、5分間でライトは約60分、サイレンは約12分使えるそうです。
なお、たとえ5分でもハンドルを回していると手は疲れます。雑談をしながらでも回せますが、途中で何度か左右の手を持ち替えました。ずっと回し続けるのはなかなか大変です。
ただ、本製品は電池でも充電可能なので、用意しておくと便利でしょう。付属の蓄電用ケーブルを使えば、USB端子を搭載するパソコンなどからも充電できます。
メリット
ハンドルを回せば充電ができるため、電池の有無や気象条件に関係なく確実に利用できます。一緒に避難している人にも貸し出しやすいので、災害時には特に重宝するでしょう。
デメリット
どこでも充電できるのは便利ですが、ハンドルをずっと回し続けるのは大変です。また、ハンドルがついている分本体は大きいので、普段使いには向きません。値段も高いので、ラジオやライトがついた防災・アウトドアグッズと割り切って購入するのが良いでしょう。
まとめ
いろいろなタイプの製品を使ってみて、個人的には電池の有無や天候に関係なく使える手回し発電可能な製品が便利だと思いました。今回紹介した製品は少し大きいですが、ラジオも使えるので、車で移動できるキャンプなどでも活躍するでしょう。
毎日の通勤や旅行など、大抵の場合は普通のモバイルバッテリーがあれば十分ですが、震災などを見ていると、連絡や情報収集の手段としてスマホが欠かせない今は、コンセントが使えない時でも充電できる製品があると安心できそうです。
なお、通常タイプのモバイルバッテリーは以下の記事でも紹介しているので、参考にしてください。
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構成・文:藤原達矢
編集:アプリオ編集部