失敗しない「モバイルバッテリー」の選び方、おすすめ製品も紹介

出先でスマホを充電したい時に重宝する「モバイルバッテリー」。すでにスマホと合わせて持ち歩いている人も少なくないと思いますが、その容量や機能は千差万別で、正直どれを選べばよいか、おすすめ製品はどれなのか迷うことも多いはずです。

本記事では、モバイルバッテリーをはじめ、ケースやヘッドフォンなどスマホ関連アクセサリーを数多く取り扱う「Smart Labo新宿東口」の内山さんに、モバイルバッテリーを選ぶ際のポイントを教えてもらいました。初めてモバイルバッテリーを買う人も、新しい製品に買い換えようとしている人も参考にしてみてください。

どれがおすすめ? 利用デバイスで考える最適な「モバイルバッテリー」の選び方【スマホ/iPhone/パソコン/急速充電など】
プロが選ぶ、モバイルバッテリー売れ筋ランキング【ビックロ ビックカメラ新宿東口店&アンカー・ジャパン編】

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

Smart Labo新宿東口・内山さん

モバイルバッテリーの容量を選ぶ

モバイルバッテリーと持っているスマホの容量をチェック

モバイルバッテリーには様々な容量があります。まずは、モバイルバッテリーの容量を確認しましょう。各製品には「○○mAh(ミリアンペアアワー)」という表記があり、この数値が大きいほど大容量のバッテリーになります。それでは、できるだけ大きい製品を選べば良いかというと、一概にはいえません。

基本的に、モバイルバッテリーは容量の大きさに比例して重くなります。たとえば、Anker社が発売している5200mAhの製品は約119g、20000mAhの製品は約356gと約200gの差があります。重いバッテリーを毎日カバンなどに入れて持ち歩くのは負担になるので、自分の利用シーンに合わせて最適な容量を選びたいところです。

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

Xperia XZのスペック表。バッテリー容量は2900mAhと記載されている

そこで確認したいのが、持っているスマホの内蔵バッテリー容量です。Androidスマホの多くは、公式サイトを見ると仕様(スペック)欄に容量が記載されているので確認してみましょう。なお、iPhoneの容量についてAppleは公表していませんが、Apple製品の修理に関連する情報などを公開している「iFixit」の分解調査によれば、iPhone 7は1960mAh、iPhone 7 Plusは2900mAhのバッテリーを搭載しているとのこと。

スマホの容量さえ分かれば、何mAhのモバイルバッテリーなら何回充電できるか計算できます。ただし実際には、表記されている容量分をフルに充電することはできないそうです。

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

モバイルバッテリーは、繰り返し充電可能なリチウム電池を使っています。リチウム電池の電圧は3.6Vもしくは3.7Vになっていますが、充電時は5Vで出力するため、電圧変換による電力のロスが発生してしまいます。さらに、スマホに内蔵されているリチウム電池に充電する際にも、再度5Vから3.6V(3.7V)に戻すため、同じくロスが発生します。結果、表記された容量よりも、実際に充電できる容量が少なくなってしまうのです。

ロスの割合は製品によって異なりますが、どんなに品質が良いバッテリーでも、2~3割程度は少なくなると考えておいたほうが無難とのこと。つまり、表記が10000mAhのモバイルバッテリーでも、3割減の実質7000mAhと考えると、2000mAhのスマホは3.5回程度しか充電できないということになります。

iPhoneのバッテリー交換の現状(診断・費用)と、電池の劣化を抑え寿命を延ばすコツ
スマホのバッテリー交換の目安と費用、電池の劣化を抑えて寿命を延ばす使い方【Android】

日常生活でどれくらい充電するか確認

あとは、実際にふだんの生活で何回くらい充電が必要になるかチェックして、購入する容量を決めましょう。ゲームや動画の視聴などは多くのバッテリーを消費します。ちなみに「ポケモンGO」が配信された時は、家電量販店などでモバイルバッテリーが飛ぶように売れました。Smart Laboでも売り切れが相次いだそうです。

なお、容量は多少余裕があるものを買うと、充電の手間が省けます。これまで、1日1回モバイルバッテリーの容量を使い切って毎日充電している人は、2倍の容量の製品を購入すれば充電は2日に1回で済みます。カバンに入れたまま、夜に充電するのを忘れたという時も安心です。

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

Anker社のモバイルバッテリーで5200mAhモデルの「Astro E1 5200mAh」

またリチウム電池の特徴として、充電回数が増えるほどバッテリーは劣化します。仕様欄には、使用回数が記載されている製品もあります。回数が500回の製品で毎日充電するとおよそ1年半しか持ちませんが、2日に1回の充電ならおよそ3年持つ計算になります。

余談ですが筆者の場合、状況によって持ち歩くモバイルバッテリーを使い分けています。容量が小さい代わりに軽くて薄いバッテリーを通勤など普段の外出時に、やや重い20000mAh超の大容量のバッテリーを旅行や出張など1~2日充電するタイミングがない場合に持っていきます。

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

Anker社のモバイルバッテリーで20100mAhモデルの「PowerCore 20100」

モバイルバッテリーの充電スピードも考慮

充電スピードを最大化するには

急いでいる時には、できるだけ早く充電したいもの。モバイルバッテリーを購入する際は、充電速度も注目してみましょう。

充電速度は、電流(A:アンペア)が大きいほど速くなります。モバイルバッテリーの仕様に記載されている出力の欄を見ると、「5V2.4A」などと表記されています。このAの数値が大きくなれば、5A×2.4V=12W(ワット)のように流せる電流が大きいということです。

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

では、仕様どおり2.4Aの電流が流せるかというと、そうではありません。モバイルバッテリーから流れてくる電流を受け取るスマホ側でも、発火などを防ぐために流せる電流の大きさをコントロールしています。たとえば、最大1.0Aしか流せないスマホに、2.4A対応のモバイルバッテリーを使っても、1.0Aでしか充電できません。

ちなみにAppleは公表していませんが、iPhone 5以前のモデルで流せる電流が最大1.0Aといわれています。

ケーブルも要チェック

また、電流を最大の強さで流すには、ケーブルの選択も重要です。海外製の激安ケーブルなどは仕様どおりの電流が流せなかったり、そもそも使えないこともあったりするので注意してください。ケーブルの品質による電流の大きさの違いについては、下記の記事を参照。

どれがおすすめ? iPhoneの「ケーブル」を徹底比較【Apple純正/コンビニ/100均/Amazon激安品/MFi認証など】

高速充電器規格「Quick Charge」とは

「Quick Charge」と呼ばれる、米Qualcomm社が開発した高速充電の規格を搭載したモバイルバッテリーも登場しています。

Quick Chargeは、電圧(V)を上げることで充電速度を上げられるのが特徴です。多くのモバイルバッテリーでは5Vの電圧で充電していますが、「Quick Charge」では製品によっては最大20Vで充電できます。これにより、3A×20V=60Wのような高速充電が可能になります。現在の最新バージョンは「Quick Charge3.0」で、将来は4.0の登場も予定されています。

Anker PowerCore Speed 10000 QC

Anker社のQuick Charge3.0対応モバイルバッテリー「PowerCore Speed 10000 QC」

Anker PowerCore Speed 10000 QC

モバイルバッテリーなどを製造・発売しているサンワサプライ社の独自調査によると、Quick Charge2.0と3.0の充電速度は、5V1Aでの充電に比べて、それぞれ約1.8倍と約4倍の速度で充電できるそうです。

Quick Chargeを利用するには、スマホとモバイルバッテリーが両方対応している必要があります。スマホが非対応の場合、対応しているモバイルバッテリーを購入してもQuick Chargeはできません。また、iPhoneシリーズはQuick Charge非対応です。スマホの対応機種一覧は、Qualcommのサイトに掲載されています。

Qualcomm

現在は「Xperia」「Galaxy」など多くのスマホがQuick Charge2.0以上に対応しています。また、ソフトバンクで発売しているスマホの製品仕様欄には「充電時間」の欄にQuick Chargeへの対応も記載されています。またモバイルバッテリーでは、Anker社やRAVPower社などからQuick Charge3.0対応製品が出ています。

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

RAVpower社のQuick Charge3.0対応モバイルバッテリー「RAVPower 20100mAh」

RAVPower 20100mAh

USBポートの数

スマホの2台持ちやタブレットを併用していて、外出先で同時に充電したい人は、充電ポートが複数あるバッテリーを購入しましょう。その際は、各ポートの出力を確認してください。たとえば、2ポートで最大出力が「2A」と記載されていても、2台同時に利用すると1Aずつでしか充電できない製品もあります。

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

大容量バッテリーを搭載したタブレットなどは、2A以上で充電できる製品も多くあります。その場合は、出力Aが大きい製品を購入しましょう。なお最近の製品には、充電するデバイスに流せるAを検知し、最適な電流を流してくれる製品もあります。Anker社では「PowerIQ」、cheero社の製品は「Auto-IC」という名称で呼ばれています。

Power Plus 10050mAh DANBOARD version

2ポート、Auto-IC機能を搭載するcheero社のモバイルバッテリー「Power Plus 10050mAh DANBOARD version」

cheero Power Plus 10050mAh DANBOARD version

ユニークなおすすめモバイルバッテリー

最後に、容量や充電スピード以外にも、便利な機能が付いている、あるいはユニークなデザインで人気のモバイルバッテリーを紹介してもらいました。

Lightningケーブル内蔵のモバイルバッテリー

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

iPhoneを充電する際に接続するLightningケーブルがモバイルバッテリーに内蔵されている製品です。ケーブルを別に用意する必要がないため、コンパクトに持ち運べて、紛失の心配もありません。

Helium Super Thin Mobile Battery Lightning

「追っかけ充電」機能搭載モバイルバッテリー

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

モバイルバッテリー本体をACアダプターに接続して充電している状態でスマホを同時に充電することを「追っかけ充電」と呼びます。旅行先などで、ACアダプターが一つしかないときには、一度に充電できて便利です。

cheero Power Plus 3 13400mAh DANBOARD version

リップスティック型モバイルバッテリー

モバイルバッテリー おすすめ 選び方

一見するとモバイルバッテリーには見えないリップスティック型の製品です。プレゼント用にも人気が高いそうです。

RETOUCH KISSABLE リップスティック型バッテリー 2600mAh

構成・文:藤原達矢

編集:アプリオ編集部

取材協力:Smart Labo新宿東口