外出先でスマホなどを複数回充電できる、主に10000mAh以上の蓄電量を持つ大容量タイプのモバイルバッテリーが人気です。様々な製品が販売されていますが、性能や価格も異なり、実際どれを選べばよいのかわからない人も少なくないでしょう。
そこで今回は、ヨドバシカメラ新宿西口店ケータイ・スマートフォンチーム・プロダクトスペシャリストの秋元誠一マネージャーに、大容量モバイルバッテリーの選び方や、売れ筋のおすすめ製品ランキングなどを教えてもらいました。
どれがおすすめ? 利用デバイスで考える最適な「モバイルバッテリー」の選び方【スマホ/iPhone/パソコン/急速充電など】
大容量モバイルバッテリーの選び方
手持ち端末のバッテリー容量を確認する
モバイルバッテリーの容量は一般的に「mAh」(ミリアンペア・アワー)で表され、数字が大きいほどバッテリー容量が大きいことを示しています。ただし、この数字はモバイルバッテリーが蓄電している電池の総容量のことで、実際にスマホに充電できる電力の総容量ではありません。
充電には電圧を変換するなどの熱によるロスがあるため、実際に充電できる電力の総容量は6~8割程度です。したがって、10000mAhではスマホを2〜3回、20000mAhだと4〜5回程度充電できる計算になります。モバイルバッテリーは容量に比例して重くなるので、充電したい回数を決めて適切なモデルを選ぶことが大切です。
手持ちのデバイスの内蔵バッテリー容量を確認し、何回充電できるかチェックしましょう。
機種名 | バッテリー容量 |
---|---|
iPhone X | 2716mAh |
iPhone 8 Plus | 2691mAh |
iPhone 8 | 1821mAh |
iPhone 7 Plus | 2900mAh |
iPhone 7 | 1960mAh |
iPhone 6S Plus | 2750mAh |
iPhone 6S | 1715mAh |
iPhone SE | 1624mAh |
iPhone 6 Plus | 2750mAh |
iPhone 6 | 1810mAh |
iPhone 5S | 1560mAh |
iPhone 5 | 1440mAh |
Xperia XZ Premium | 3230mAh |
Xperia XZ、Xperia XZs | 2900mAh |
Xperia XZ Compact | 2700mAh |
Xperia X | 2570mAh |
Galaxy Note8 | 3300mAh |
Galaxy S8+ | 3500mAh |
Galaxy S8 | 3000mAh |
Galaxy S7 edge | 3600mAh |
Galaxy S6 edge | 3600mAh |
Galaxy S6 | 2550mAh |
Androidスマートフォンの場合、公式サイトのスペック(仕様)に内蔵バッテリー容量が記載されています。Appleの公式サイトではiPhoneのバッテリー容量は公表されていませんが、修理に関する情報を公開しているiFixitの分解調査によれば、iPhone Xは2716mAh、iPhone 8は1821mAhのバッテリー容量とされています。
またモバイルバッテリーは、バッテリーの容量だけでなく外装によっても重さが違います。「アルミ製は丈夫で熱を逃がしやすく、熱暴走を防いでくれるために壊れにくいといわれています。熱の対流が起こりにくいので、アルミ製を選ぶ人が多いです。しかし、金属で重いという弱点もあるので、軽さを求める人はプラスチック製を選ぶとよいでしょう」(秋元マネージャー)
ヨドバシカメラ新宿西口店・秋元誠一マネージャー
出力が2A以上対応のものを選びたい
充電の速さに大きく関係するのが電流です。これは「A(アンペア)」で表記されており、出力できる電流の大きさを表しています。以前は1A出力のみの製品が多かったのですが、最近のスマホやタブレットは高性能化しており、2Aの急速充電対応の製品が増えてきました。出力値が大きいほど充電時間が早くなるので、1Aのほぼ倍のスピードで充電ができます。
モバイルバッテリーの出力値は製品パッケージなどで確認できますが、大容量タイプのモバイルバッテリーは急速充電やタブレットの充電に対応する2A以上のものがほとんどとのこと。特にタブレットは、2A以上の電流出力がないと充電できないものもあるので注意してください。便利に利用するためには、出力が2A以上に対応しているかを確認して購入すると安心です。
Image:Qualcomm
また、最近はQuick Chargeなどの「急速充電」が注目されています。充電スピードを上げるため、電流(A)を増やすか電圧(V)を上げることで通常よりも充電時間を短くしています。スマホの機種にもよりますが、急速充電対応のモバイルバッテリーやケーブルを利用すれば、今まで3時間程度だった充電時間が1〜2時間で可能になるなど、短時間で充電できるようになります。
スマホの「急速充電」とは、対応充電器・ケーブル等の選び方とおすすめ製品
USBポート数と1ポートあたりの出力もチェック
複数の出力用USBポートを備えているマルチポート機では、複数の端末を同時に充電できるため、スマホを2台持ちしている人や、外出先でタブレットを利用する人には重宝します。
大容量タイプはポートが2口用意されているのが標準的ですが、「2ポート合計で合計2.4Aの出力に対応」と記載されていても、ポートそれぞれが2.4Aの出力にならず、1台の利用で最大出力が2.4Aである場合がほとんどです。つまり、2台同時につなげると折半になってしまうため、合計出力と個々の出力ポートの上限の両方を確認しておくことも大切です。
充電用ケーブルも忘れずに
モバイルバッテリーを利用するためには、端末とモバイルバッテリーをつなぐケーブルにも気を付けなければなりません。
「iPhoneは本体購入時に付属品としてケーブルがついているため、モバイルバッテリーでもそれを利用する人が多いですが、Androidの場合はType-Cケーブルが本体とワンセットで付いているというモデルがほとんどなく、本体購入時に一緒に買うケースが多いです。キャリアショップ純正の充電器はACアダプタからケーブルが外れない設計になっているものもあるので、事前に手持ちのアダプターがどのようなタイプかを調べて購入してください」(秋元マネージャー)
大容量モバイルバッテリー売れ筋ランキング
それでは、大容量モバイルバッテリーのおすすめ製品を紹介します。
【1位】RAVPower 10400mAh 大容量モバイルバッテリー
USB Type-Cケーブルが付属しているということで、Androidスマホユーザーに人気があるモデルです。
iPhoneを利用している人は、本体購入時に付属品としてLighting充電ケーブルが付いてくるのでそれを利用すればよいのですが、Androidスマホの場合、USB Type-AやType-B、Type-Cなど機種によって対応するケーブルが異なります。本体購入時に一緒に付いてくるケースはほとんどないため、ケーブルが付属しているモバイルバッテリーを選ぶ人も少なくありません。
特にUSB Type-Cケーブルは最新機種に取り入れられて拡大してきた新タイプのケーブルであり、持っているユーザーも少ないことから、付属品つきのモバイルバッテリーを選ぶ人が多いそうです。また「iSmart」と呼ばれる急速充電が搭載されており、自動判別機能によって接続されたデバイスを自動的に検知し、最適な電流を送って充電時間を短縮させることができます。
- メーカー:RAVPower
- 型番:RP-PB073
- 容量:10400mAh
- サイズ:高さ140 mm×幅57mm×奥行22mm
- 質量:241g
- 充電時間:約6時間
- 急速充電:出力合計最大4.5A
- 入力:2A
- 出力:1.5A ・2A
- ヨドバシドットコム価格:6350円(税込)
【同率1位】ASUS ZenPower Pro with Bumper 10500mAh
ポートが2つあり、1つはQuickCharge 2.0に対応しているため、2.1Aの出力が可能で、合計3.1Aで充電できます。タブレットとスマホに分けて使用できるので、スピーディーに充電できる点で便利な商品です。また容量は10500mAhなので、動画の視聴やゲームの利用など長時間の利用に重宝します。
- メーカー:ASUS
- 型番:90AC00S0-BBT052
- 容量:10500mAh
- サイズ:高さ約100×幅59.6×奥行22mm
- 重量:約230g
- 入力:5V/2.0A
- 出力:(ポート1)5.1V/2.4A、9.1V/2A、12.1V/1.5A
、(ポート2)5.1V 2.4A - ヨドバシドットコム価格:7530円(税込)
【3位】Cellevo Stick Seriesモバイルバッテリー 14000mAh
こちらも1A、急速充電が可能な2.1Aの出力に対応したモデルで、タブレット、スマホそれぞれの用途に分けて充電することができます。カラーバリエーションも豊富で、レッド・ローズピンク・ゴールド・シルバー・ブラック・シルバーヘアライン・ゴールドヘアラインの7種類から選べます。
- メーカー:Cellevo(セレヴォ)
- 型番:EP14000
- 容量:14000mAh
- サイズ:長さ141mm×幅56.8mm 高さ15.6mm
- 重量:約250g
- 充電時間:約9~10時間(バッテリー残量が0で直接ACに5V/2A対応充電器を使用した場合)
- 入力:Micro USB 5V/1.5A
- 出力:USB 5V/2.1A + USB 5V/1A(同時2.1A+1A)
- ヨドバシドットコム価格:9980円(税込)
【4位】ASUS ZenPower Ultra 20100mAh
Quick Charge 2.0に対応し、容量が20100mAhもある超大容量タイプのモバイルバッテリーです。3000mAhのスマホを5〜6回充電できます。
ボディは大きめですが軽めの設計になっているので、持ち運びもそれほど苦ではありません。しかも、容量が大きいぶん充電回数が少なくなるので、容量が小さい1回充電のタイプよりもバッテリーが劣化しにくいという利点も。スマホを2年契約で買い替えることを考えると、モバイルバッテリーを毎日充電するよりも、容量を大きいものにして数日に一度充電した方が経済的です。
- メーカー:ASUS
- 型番:90AC00M0-BBT017
- 容量:DC3.6V/20100mAh
- サイズ:高さ175mm×幅59.6mm×奥行き22mm
- 質量:約420g
- 充電時間:7.5時間(DC9V/2A)、11時間(DC5V/2A)、18時間(DC5V/1A)
- 急速充電:Qualcomm Quick Charge 2.0 をサポート(入力/出力)
- USBポート:microUSB×1(入力)、USB Type-A×2 (出力)
- 入力:DC 5V/2A(最大)、DC 9V/2A (最大)
- 出力:DC5.1V/2.4A (最大)、DC9.1V/2A (最大) 、DC12.1V/1.5A (最大)
- ヨドバシドットコム価格:1万2500円(税込)
【5位】Idmix Qiワイヤレスパワーバンク 8000mAh
容量は8000mAhとやや小さめですが、ワイヤレス充電に対応した新しいタイプのモバイルバッテリー。iPhone XやiPhone 8なら2回~2回半程度充電でき、Quick Charge 3.0の急速充電に対応しています。スマホ本体とモバイルバッテリーをつなげるためのケーブルを用意する必要がないので、重ねるだけで充電ができる便利なモデルです。
- メーカー:IQ Labo
- 容量:8000mAh
- サイズ:長さ162mm×幅76mm 高さ12mm
- 重量:約191g
- 入力:Type-C& Micro USB DC 5V/2A
- 出力:Type-C& Micro USB DC 5V/2A、9V/2A
- ワイヤレス充電5W
- ヨドバシドットコム価格:7980円(税込)
構成・文:吉成早紀
取材協力:ヨドバシカメラ
編集:アプリオ編集部