問題だらけの大家族がクリスマスに集まったら? 家族の絆を描いた映画『クーパー家の晩餐会』

問題だらけの大家族がクリスマスに集まったら? 家族の絆を描いた映画『クーパー家の晩餐会』

クリスマスには、良い思い出を作りたいと誰もが思っているはず。でも、人生って色々あります。普段抱えている問題があったとして、クリスマスが近づくと急に片付いてくれるわけではありません。

誰もが人生で厄介な問題を抱えているはず。でも、クリスマスのような特別な日にはそんなことは問題にしたくないですよね。だから、みんな幸せそうな顔を取り繕っているのかもしれません。

映画『クーパー家の晩餐会』を観ると、そんなことを考えずにはいられません。この映画は、問題だらけのある大家族のクリスマス・イブの1日をハートフルに描く人間ドラマです。

離婚、失業、独身でいることへの劣等感など、家族のメンバーはそれぞれに葛藤を抱えていて、クリスマスどころじゃないという思いを抱えながらも、1年に1度家族が集まる祝祭をなんとかやり抜こうとがんばります。一癖も二癖もある家族をダイアン・キートンやジョン・グッドマンをはじめとする豪華キャストが演じ、クリスマスイブに巻き起こる狂騒劇を盛り上げています。

仲良し大家族は、実は嘘だらけ?

クリスマス・イブ。クーパー家は毎年、4世代11人の家族が集まり、ホームパーティをして過ごすのが慣例。しかし、今年は家族みんなで集まるのが最後であるとシャーロット(ダイアン・キートン)は悟っています。それは夫のサム(ジョン・グッドマン)との離婚が決まっているため。そのことを家族の誰にも打ち明けておらず、せめて最後のクリスマスパーティだけは楽しく過ごそうとシャーロットは考えています。夫婦が離婚問題を抱えている一方、息子や娘もそれぞれに悩みを抱えています。息子のハンク(エド・ヘルムズ)は失業したことを妻にも隠しており、イブの日にも就職面接を受けますが上手くいきません。娘のエレノア(オリヴィア・ワイルド)は結婚できていないことをプレッシャーに感じており、空港で出会った軍人のジョーを偽の恋人にしてパーティに向かいます。

シャーロットの妹・エマ(マリサ・トメイ)は、優秀な姉への劣等感から出来心で万引してしまい、パトカーで連行されるはめに。父のバッキー(アラン・アーキン)は、孫娘ほどに年の離れたウェイトレスのルビー(アマンダ・セイフライド)にご執心。そんな問題だらけの家族が一堂に会するクリスマスパーティで、問題を隠しながら「楽しい」ホームパーティを作り上げるですが、ある事件をきっかけにそれぞれの本音が漏れ出していくのです。

年に一度のクリスマスくらい誰だって楽しく過ごしたいし、楽しげにするのが社交辞令というものかもしれません。でも、本音を覆い隠して楽しいフリだけしていても、本当の幸せはやってこないし、家族の絆も確かめようがありません。クリスマス・イブの夜にクーパー家に起こるアクシデントは、普通に考えたらイブの夜に絶対起こってほしいものではありませんが、その事件のおかげで家族は本当の団欒を手に入れることができるのです。

豪華キャストを魅了した見事な脚本

雨降って地固まるといった家族の物語をハートウォーミングに演じるのは、ハリウッドを代表する豪華キャストたち。ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、アラン・アーキンにアマンダ・セイフライド、マリサ・トメイやオリヴィア・ワイルド、さらには『君の名前で僕を呼んで』でブレイクする前のティモシー・シャラメまで出演しており、ものすごく豪華な大家族です。さらには、スティーブ・マーティンが意外な役どころで出演しています。

これだけの豪華は出演陣が集まることができたのも、本作の脚本が非常に優れているからで、それぞれのキャラクターが欠点を抱えつつも、共感をもって観られる人物に書かれています。実際、映画を観ていると、この問題だらけの家族にすごく愛情を持つようになるでしょう。

クリスマス・イブという特別な1日だからこそ起こりうる「悲喜こもごも」を温かく描いた秀作です。クリスマスに家族みんなで観てほしい作品です。

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構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部