2022年春版の新型iPadの選び方をお届けします。新型のiPadは「iPad」「iPad mini」「iPad Air」「iPad Pro(11インチ/12.9インチ)」の全5モデルが販売され、タブレットとしては他に類を見ない幅広いラインナップから選べるようになっています。
本記事では、各モデルのショートレビューと違い(比較ポイント)を中心に解説。あなたに最適なおすすめ機種を選ぶためのお手伝いをしていきます。
記事中写真の一部モデル(iPad Pro 12.9インチ、iPad mini)には、画面にフィルムが貼ってあります。また、iPad Pro 11インチの写真は旧モデルですが、外観はほとんど変わっていません。
新型iPadの各モデルをショートレビュー【比較表あり】
現在購入できる5つのモデルの簡単なスペックなどを比較表で紹介します。なお、価格は本記事の後半でまとめているのでそちらをご覧ください。
iPad(第9世代) | iPad mini(第6世代) | iPad Air(第5世代) | iPad Pro(11インチ) | iPad Pro(12.9インチ) | |
---|---|---|---|---|---|
価格(税込) | 3万9800円〜 | 5万9800円〜 | 7万4800円〜 | 9万4800円〜 | 12万9800円〜 |
CPU | A13 Bionic | A15 Bionic | M1 | M1 | M1 |
ディスプレイ | 10.2インチ | 8.3インチ | 10.9インチ | 11インチ | 12.9インチ |
接続端子 | Lightning | USB-C | USB-C | USB-C | USB-C |
Apple Pencil | 第1世代 | 第2世代 | 第2世代 | 第2世代 | 第2世代 |
フルラミネーション | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
スピーカー | 2 | 2 | 2 | 4 | 4 |
iPad(第9世代)
2021年の秋に新モデルが登場した「iPad」です。特別な名前が付かないので、無印とも呼ばれます。前モデルと区別しやすいようにiPad(第9世代)と記載します。
画面サイズは10.2インチ。上下のフチが太く、ホームボタンが付いた古くからのiPadと同じデザインを採用しています。価格の安さが特徴で、3万円台から購入できます。新モデルはCPUにA13 Bionicを採用し、ストレージ容量も増えています。


iPad mini(第6世代)
こちらも2021年秋に新モデルが登場した8.3インチディスプレイを採用する小型のiPadです。
ボディがフルモデルチェンジを果たし、額縁の細い今どきのスタイルに変化しました。最新のA15 Bionicを採用し、コンパクトながら高性能なのが魅力です。また指紋センサーを搭載し、端子もUSB-Cに変わっています。


iPad Air(第5世代)
2022年春に登場したiPadの中堅モデルで、本体カラーは5色用意されています。最大の特徴はチップがM1にアップグレードされたことです。とても高性能で、iPad Proと同じになりました。末永く快適に使えることは間違いありません。
電源ボタン一体型の指紋センサーは大変便利です。Cellularモデルは5Gに対応しているので、高速なデータ通信も可能。iPad Air(第4世代)に比べると価格が少し高くなりましたが、その価値は十分にあります。


iPad Pro(11インチ)
最上位モデルのiPad Proです。チップは、MacBookと同じM1を採用しています。ストレージも最大2TBの大容量に対応し、1TB以上のモデルはメモリーの容量もアップします。
iPad Air(第4世代)と同じような額縁の細いデザインを採用しますが、iPad Proのほうが縁(フチ)が細くなります。最上位モデルのため、そのぶん価格も高くなります。なお、指紋センサーは搭載しません。


iPad Pro(12.9インチ)
12.9インチという最大画面を採用するiPad Proです。各種の創作など、クリエーターから高く評価されています。
コンテンツを見るのにも向いていますが、価格が高いので特別な作業により適しています。基本的なデザインや性能などは11インチモデルと同様です。


iPad各モデルのさまざまな違いをチェック
ここからは、各モデルのさまざまな部分の違いを紹介していきます。
サイズ
iPadを選ぶ上で、重要なポイントがサイズです。大きさはざっくり言って3つに分かれています。最大のiPad Pro(12.9インチ)と最小のiPad mini(第6世代)は、12.9インチと8.3インチという特別なサイズです。
iPad Pro(12.9インチ)は、さまざまなコンテンツを作るなどパソコンのように使うのに向きます。外出先に持ちだしてもよいのですが、気軽に使うには重すぎます。
iPad mini(第6世代)は、コンパクトで300gを切る軽さが魅力です。いつでも携帯して動画やWebを見るのに向きますし、手に持ってゲームプレイするのにもおすすめです。ただし画面がやや狭いので、コンテンツの視聴でも小さく感じるでしょう。
iPad Pro(11インチ)、iPad(第9世代)、iPad Air(第5世代)は、画面サイズがほとんど変わりません。画面サイズによる使い勝手は同じと考えてもいいでしょう。

最小のiPad mini(第6世代)と最大のiPad Pro(12.9インチ)は画面の面積に倍以上の差がある。左上はiPad(第9世代)。
性能
5モデルそれぞれに搭載しているチップが異なります。ここでは、性能が低いものから順にリストにしました。
- iPad(第9世代):A13 Bionic
- iPad Air(第4世代):A14 Bionic
- iPad mini(第6世代):A15 Bionic
- iPad Pro(12.9インチ)、iPad Pro(11インチ)、iPad Air(第5世代):M1
スペック上は最低のA13 Bionicでも、実際に使ってみて遅いと感じることはないはずです。ブラウザや動画を見るような用途なら、どのモデルでも快適です。
ビデオ編集やヘビーなゲームなど、処理の重い用途こそ性能の高いモデルがおすすめです。高性能なモデルほど長く使えます。とはいえ、予算も増えていくのでそこはユーザーの判断になります。
ディスプレイ
ディスプレイの違いは小さくないので必ずチェックしてください。特に、iPad(第9世代)は「フルラミネーション」ではありません。ガラスと液晶面の間にギャップがあるために、画像がやや白っぽく見えます。また、Apple Pencilでの筆記でも視差を感じることがあるでしょう。ただし、普通に使って画面が美しくないと感じることはありません。比べなければ十分です。
iPad Proシリーズは、最大600ニトと画面が明るくなります。他は500ニトなので「少し明るいな」と感じる程度の違いです。最大のポイントは、iPad Proシリーズのみ「ProMotionテクノロジー」に対応していることでしょう。画面の書き換えが速いので、残像が気になりません。ブラウザのスクロールも快適で、動きの激しいゲームにも向いています。

左のiPad(第9世代)は斜めから見ると画像が白っぽくなる。
指紋センサー
指紋センサー(Touch ID)があると、マスクをしている際のログインが便利です。他にも、各種IDやネットショッピングの決済などにも利用できます。
iPad(第9世代)は、ホームボタンと一体化した従来の指紋センサーを搭載します。iPad Air(第5世代)とiPad mini(第6世代)は、電源ボタンと一体化した指紋センサーを本体の脇に採用しています。
iPad Proシリーズは、顔認証(Face ID)となります。精度は上々ですが、やはりマスクをしていると指紋センサーが欲しくなります。

iPad(第9世代)はホームボタン一体式のTouch IDを採用。

iPad mini(第6世代)とiPad Air(第4世代)は本体の側面に電源ボタン一体式の指紋センサーを搭載する。
Apple Pencil
すべてのiPadがApple Pencilに対応しています。とても書き心地がよく、メモからイラストまで気持ちよく書けます。
iPad(第9世代)は第1世代のApple Pencilを利用します。充電とペアリングはLightning端子に挿し込んで使います。やや使い勝手が悪くなりますが、価格は手ごろです。
他のiPadは、すべてApple Pencilも第2世代に対応します。本体と磁石でくっつけるだけでペアリングと充電が可能なためとても便利です。

左のApple Pencil(第1世代)は1万1800円。右のApple Pencilも第2世代は1万5950円。
端子
充電したりファイルを転送するための端子は、ほとんどがUSB-Cとなりました。iPad(第9世代)のみLightningを採用します。
使い勝手がよいのはUSB-C端子で、Androidスマートフォンと同じ充電器が使える点です。また、外付けのSSDやUSBハブを利用できます。なお、iPad ProはThunderboltに対応するので、高速なデータ転送が可能です。

端子は、iPad(第9世代)のみLightningになる。

USB-C端子ならUSBハブや外付けSSDを快適に使える。
CellularモデルとWi-Fiモデル
iPadは、全機種「Wi-Fiモデル」と「Cellularモデル」を選択できます。Cellularモデルは、SIMを入れるかeSIMを使うことで単体での通信が可能です。家の中だけで使う人はWi-Fiモデルでも十分でしょう。
出先では、iPhoneなどのテザリングを使えばWi-Fiモデルでも通信が可能です。ただし、CellularモデルでなければGPSが使えない点には気をつけてください。
なお、iPad(第9世代)は4Gのみに対応。他の3モデルは5G対応となります。

同じiPad mini(第6世代)でも右のCellularモデルはボディにラインが入っている。
スピーカー
iPadで映画やドラマを見たい人は、スピーカーにも気を配っておきましょう。iPad Proシリーズは4スピーカーを搭載し、とても良い音で視聴できます。iPad Air(第5世代)とiPad mini(第6世代)は横向きの2スピーカーとなり、画面を横にした際に左右から音が出るのでこちらも上々です。
iPad(第9世代)は、縦に置いた際の下からの2スピーカーとなります。つまり、画面を横にしても片側からしか音が出ないのです。動画視聴やゲームでは残念に感じるでしょう。

スピーカーの配置もチェックしておきたい。
カメラ
iPadで写真や動画を撮りたい人は、カメラも気になるところです。iPad Proのみ、広角と超広角の2つのカメラを搭載します。他のモデルは広角カメラのみで、iPad(第9世代)は8メガピクセル、他は12メガピクセルとなります。
Web会議などで役立つインカメラは、どれも12メガピクセルでセンターフレームに対応します。iPad ProシリーズはTrueDepthカメラを搭載しており、ポートレートモードでの撮影できます。
フロントカメラでFaceTimeを使う際などには、被写体を中央に配置する「センターフレーム」機能が全モデルで利用可能です。

カメラの違いもチェックしておきたい。
キーボードの対応
iPad mini(第6世代)以外は、専用の端子で接続するApple純正キーボードを利用できます。とても使い勝手がよく、MagicKeyboardにはトラックパッドが付いているのでパソコンのように使えます。
また、iPad mini(第6世代)を含む全モデルが、Bluetoothで接続する外付けのキーボードに対応します。

キーボードをつけて使うと文字入力する際に便利。
iPadのストレージ容量と価格を比較
各モデルの容量別の価格をまとめました。最低の容量は64GBとなります。64GBでもコンテンツを見たりちょっとゲームを楽しんだりする程度なら十分です。
大量の写真や動画を保存して編集するといった用途に使うなら、256GB以上をおすすめします。このあたりは使い方で変わってきます。容量が多いほうが好ましいのですが、そのぶん価格が高くなるのでバランスよく選んでください。
iPad Proの1TB以上はメモリも増えるため、とても高額になります。3Dコンテンツを作るなど、特別な用途向けです。
iPad(9世代) | iPad Air | iPad mini | iPad Pro11 | iPad Pro12 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Wi-Fi | Cellular | Wi-Fi | Cellular | Wi-Fi | Cellular | Wi-Fi | Cellular | Wi-Fi | Cellular | |
64GB | 3万9800円 | 5万6800円 | 7万4800円 | 9万2800円 | 5万9800円 | 7万7800円 | - | - | - | - |
128GB | - | - | - | - | - | - | 9万4800円 | 11万2800円 | 12万9800円 | 14万7800円 |
256GB | 5万7800円 | 7万4800円 | 9万2800円 | 11万800円 | 7万7800円 | 9万5800円 | 10万6800円 | 12万4800円 | 14万1800円 | 15万9800円 |
512GB | - | - | - | - | - | - | 13万800円 | 14万8800円 | 16万5800円 | 18万3800円 |
1TB | - | - | - | - | - | - | 17万8800円 | 19万6800円 | 21万3800円 | 23万1800円 |
2TB | - | - | - | - | - | - | 22万6800円 | 24万4800円 | 26万1800円 | 27万9800円 |
※価格はすべて税込表記
【まとめ】あなたに向いているiPadのモデルは?
コンパクトなモデルが欲しければiPad mini(第6世代)を選べばよいのでわかりやすいでしょう。10インチ以上の製品とは違う使い方ができます。
また、iPad Pro(12.9インチ)はあまり持ち出さないヘビーな使い方に向きます。こちらも少し特殊になるので、他のモデルと並べて比べるのには向いていません。
iPad Air(第4世代)、iPad Pro(11インチ)、iPad(第9世代)の3モデルで迷うことがありますが、入門用ならiPad(第9世代)をおすすめします。iPadの魅力を感じるには十分で、かつ3万円台から購入できます。もし数カ月使って物足りなく感じたら、下取りに出して上位モデルを買っても十分に元が取れるはずです。予算が限られるなら、迷わずiPad(第9世代)を選ぶとよいでしょう。
すでにiPadを使ったことのある人の買い換えには、iPad Air(第5世代)を推奨します。額縁の細いデザインで使い勝手がよく、指紋センサーも搭載します。多くの人が満足できるモデルと言えるでしょう。
iPad Pro(11インチ)とiPad Air(第5世代)の価格差が少なくなっています。iPad Air(第5世代)を買う際には、iPad Pro(11インチ)もぜひ検討してください。
なお本記事に関連して、iPadの選び方やおすすめモデルについて下記動画でも解説しています。ぜひご覧ください。