HUAWEI(ファーウェイ)の中核となるモデル、Pシリーズが3機種発売されています。手ごろな価格の「HUAWEI P20 lite」と最上位モデル「HUAWEI P20 Pro」はすでにレビューを掲載していますが、今回はその中間のモデル「HUAWEI P20」について詳しく検証します。
P20はSIMフリーで提供されており、価格は6万円台半ば。SIMフリースマホの中では上位機種という位置づけです。P20 Proにトリプルカメラというわかりやすい特徴があり、P20はやや影に隠れている印象もあります。しかし、SIMフリーの上位機を狙っているユーザーなら最有力候補の1台といえるでしょう。
5.8インチは頃合いのサイズ
P20とP20 Proではカメラなどが違うだけでなく、位置づけも異なります。P20 Proは6.1インチディスプレイを搭載する大画面モデルです。対して、P20は5.8インチディスプレイで、一回りコンパクトです。
HUAWEI P20はSIMフリーモデルの上位機だ
さすがに同じシリーズなだけに、写真で見てもサイズの差がわかりづらくなっています。iPhoneにPlusシリーズがあるのと同じように、そもそもの大きさが違うことを把握しておきましょう。ただし、サイズの差はiPhoneシリーズほどはありません。実物を並べると多少違いますが、そもそもディスプレイのサイズでも0.3インチの差しかないのです。
P20 | P20 Pro | ZenFone 5 | |
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サイズ | 70.8×149.1×7.65ミリ | 74×155×7.9ミリ | 75.6×153×7.7ミリ |
ディスプレイ | 5.8インチ | 6.1インチ | 6.2インチ |
価格帯が近いのでライバルとも考えられるSIMフリーの「ZenFone 5」も一緒に並べてみました。こちらは6.2インチと、サイズ的にはP20 Proと近くなります。
左からP20 Pro、P20、ZenFone 5。3モデルのサイズの差は意外に少なく、ZenFone 5は額縁が極めて細いことがわかる
ガラス製の高級ボディ、3色がラインナップ
今回はブラックのモデルをレビューしていますが、カラーは他にもミッドナイトブルーとピンクゴールドが用意されます。P20 Proは男性のガジェット好きな男性ユーザーを意識しているのでしょう、ブラックとミッドナイトブルーしか用意されていません。一方でP20は、女性にも似合うピンクゴールドが手に入ることで、位置づけの違いがよくわかります。
背面はガラスで高級感がある
本体の背面はガラス製で、質感は非常に高く、持っていて嬉しくなります。ただし、P20 Proはガラスパネルが直接金属のフレームに取りつけられていたのに対し、P20は細いバンドが取り巻いています。細かく見ると、P20のほうがより高級な造りであることがわかります。
ガラスとフレームの間に細いバンドがあるのがP20との違いだ
ディスプレイは最近流行のワイドタイプで、2.5Dガラスを採用しています。このあたりは、3万円クラスのスマホでも採用されており、もはや当然と言えるでしょう。インカメラのノッチが気になる人は、設定で隠すこともできます。しかし、せっかくの広い画面を無駄にするのももったいないので、そのまま使うのがおすすめです。
液晶のガラスは2.5Dで、縁(フチ)がアールを描いている
設定でノッチを隠せるが、そのまま使うのがおすすめ
イヤホン端子がないことに注意
P20は最新モデルらしく、構成にかなりの割り切りが見られます。
賛否が分かれそうなのが、イヤホン端子を搭載しないことです。イヤホンを使うなら、ワイヤレスにするかUSB-C接続のタイプもしくはアダプターを利用するしかありません。充電しながら音楽を聴こうと思ったら、ワイヤレスを使うしかないのです。ケーブル接続の高級イヤホンが手元にあるユーザーは注意が必要です。
また、nanoSIMを2枚セットできますが、microSDカードは利用できません。内蔵ストレージは128GBなので当面は不自由しないとは思いますが、ビデオをたくさん撮ったり、映画をダウンロード視聴したい人は足りなくなるかもしれません。これら2点は、最近の上位モデルが割り切るケースが増えています。
USB-C接続のイヤホンとアダプターが付属する
nanoSIMを2枚セット可能だが、microSDカードは使えない
指紋センサーを本体前面下端に搭載する
生体認証は指紋と顔認証に対応しています。顔認証はとても高速ですが、iPhone Xほどの精度はなく、サングラスを掛けていると認証できないことがあります。指紋と両方を使えば不自由することはまずないでしょう。
対応バンドは次のようになっています。
- FDD LTE: B1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 12 / 17 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28 / 32
- TDD LTE: B34 / 38 / 39 / 40 / 41
- キャリアアグリゲーション対応
- WCDMA: B1 / 2 / 4 / 5 / 6 / 8 / 19
- TD-SCDMA: B34 / 39
- GSM: 850 / 900 / 1800 / 1900 MHz
ソフトケースが標準で付属している
ディスプレイは有機ELでなく液晶を採用
価格は6万円台ということを考えると、やや残念なのがディスプレイに液晶を採用していることです。
この価格帯では、OPPO R11sが有機ELを採用しています。また9〜10万円クラスのスマホは、ほとんどが有機ELです。とはいえ、P20の液晶はとても明るく美しいので、正面から見ると有機ELにも引けをとりません。ZenFone 5の液晶もかなり明るく美しいので、いい勝負です。
斜めから見た時には、有機ELとの差が明確になります。また夏場の屋外などでは、最高輝度で使い続けるケースも少なくないでしょう。そんな時にはバッテリーの減りが気になります。一般的に、有機ELは液晶よりもバッテリー消費量が抑えられるのです。
左からP20 Pro、P20、ZenFone 5。正面から見ると、さほど差がなくどれも美しい
左からP20 Pro、P20、ZenFone 5。ところが斜めから見ると、P20が一段明るいことがわかる
バッテリーは3400mAhと、このクラスとしては十分な容量です。急速充電にも対応しますが、HUAWEI SuperChargeと呼ばれる独自規格なので、対応するモバイルバッテリーやACアダプターが多くありません。
ただし、PowerDelivery(PD)対応の充電器でテストしたところ、9V、0.8〜1.6A程度で充電ができました。公式には対応を謳っていませんが、PDでも急速充電ができそうです。ただし、あくまでも自己責任で利用してください。また、ワイヤレス充電に対応しないのも欠点です。
スマホの「急速充電」とは、対応充電器・ケーブル等の選び方とおすすめ製品
AIを搭載した自社製CPU「HUAWEI Kirin 970 オクタコアCPU(4×2.36GHz A73+4×1.8GHz A53))+i7コプロセッサ」の性能は文句なしで、ベンチマークの値も優秀です。ベンチマークのスコアはP20 Proとほとんど変わりませんが、P20 Proでは6GBのメモリが、P20は4GBになります。また、バッテリー消費量を抑えるのも特徴の一つです。
性能は文句なし。10万円クラスのモデルにも匹敵する
カメラはズームをしなければ大満足
P20はライカブランドのデュアルカメラを搭載しています。HUAWEI P9から続くこのカメラは、非常に美しく撮れます。今回はiPhone X、ZenFone 5とも比べてみました。また、上位モデルでもあるP20 Proとも比較しています。
普通に撮るなら、P20でも大満足だと断言できます。iPhone XやZenFone 5とは同等、もしくは上回る美しさで撮影できます。逆に、あまりカメラにこだわらない人なら、どれでもよいと感じるでしょう。あえて比較しなければ、どのカメラも満足できます。
ただし夜景を撮ると、P20とP20 Proがとても美しく、またズームはP20 Proの画質が粗くならない5倍ズームにはかないません。P20 Proは最高4000万画素で撮影可能なため、普通にスナップ写真を撮っても拡大すると随分と差があります。やはりカメラ機能はP20 Proが最強ですが、P20も文句なしです。iPhone X、ZenFone 5を確実に凌駕しています。
P20とP20 ProのAIはなかなか素晴らしく、花や草木、砂浜などを認識して自動で色合いなどを調整します。ちょっとやり過ぎの感もありますが、わかりやすい美しさで撮れます。絵が気に入らなければタップするだけでオフにできるので、どんどん活用したいところです。
AIによる撮影
AIで草木を認識した
左:草木のAIをオンにして撮影。緑がやや過剰なほど美しい右:AIをオフにした。こちらも解像度が高く自然な美しさだ
通常の撮影
P20で撮影
iPhone Xで撮影
P20 Proで撮影
ZenFone 5で撮影
曇りの日の朝に撮影したので全体にやや暗くなりましたが、どれもスナップ写真には十分でしょう。iPhone Xの写真がやや暗く感じます。またZenFone 5は、オートのHDRがやや効きすぎた感があります。
近接撮影
左:P20で撮影右:iPhone Xで撮影
左:P20 Proで撮影右:ZenFone 5で撮影
花を近くから撮影しました。どれも十分美しく撮れましたが、iPhone Xが一番明るくなっています。
実物に近いのは、P20、P20 Proです。ZenFone 5では、比較すると花がくすんでいます。
背景をぼかす撮影
左:P20でアパーチャなしで撮影右:P20でアパーチャありで撮影
P20のアパーチャ(ピント位置を調整できる機能)で背景をぼかして撮影しました。絞りを中くらいと開放した状態で比較していますが、キレイにぼけていることがわかります。
左:P20 Proで撮影右:ZenFone 5で撮影
P20 ProとZenFone 5で、どちらも一番ぼけるように撮影。ZenFone 5はちょっと不自然になっています。
ズーム撮影
P20 Proで撮影
P20 Proのズームは5倍まで利用可能です。10万画素になるものの、5倍でも非常に美しく撮れています。
P20で撮影
P20も10万画素でズームが可能。タップで選べるのは2倍までです。それでも拡大すると、P20 Proとは比べものにならないほど粗くなります。
夜景撮影
左:P20で撮影右:P20 Proで撮影
左:iPhone Xで撮影右:ZenFone 5で撮影
P20とP20 Proの夜景撮影はほぼ引き分けと言っていいでしょう。どちらも明るく撮れており、すばらしい出来です。
ZenFone 5も同じように感じますが、拡大するとノイズの多さがよくわかります。また、iPhone Xは光源の白飛びが多く、一段劣る印象です。
まとめ
HUAWEI P20は価格と性能のバランスが抜群です。SIMフリーの上位機では迷わずおすすめできる1台で、その中でも写真にこだわるユーザーに推奨します。
P20 ProはNTTドコモでしか購入できませんが、おサイフケータイに対応し、カメラもトリプルになるなど大変魅力があります。しかしP20でも、普通のスナップ写真では両者の差はほとんど感じられません。夜景も同様です。また基本性能では、P20のメモリがやや劣りますが、十分に上位モデルと言えます。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部