ファーウェイから「P20」シリーズが発売されます。大きな話題になっているのはカメラに徹底してこだわった「HUAWEI P20 Pro」ですが、価格も10万円程度と張るので、おいそれとは買えません。スマホにそこまでの費用をかけたくないという人も多いでしょう。
一方で、昨年売れに売れた「HUAWEI P10 lite」の後継に位置付けられる「HUAWEI P20 lite」は、au版で3万2400円と多くのユーザーがターゲットにするミドルレンジ機として頃合いの価格です(au版のほかUQモバイル版、SIMフリー版も取り扱い)。
本記事では、このHUAWEI P20 liteの魅力や気になる点についてレビューしていきます。
本レビューではau版モデルを取り上げています。価格はすべて税別表示です。
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コンパクトで薄い本体は絶妙なサイズ感
HUAWEI P20 liteの実機を手にして最初に思ったのが、適切なサイズ感と軽さです。最近は大型スマートフォンが花盛りなので、とてもコンパクトに感じました。ディスプレイサイズは5.8インチと大画面なのですが、最近流行のワイドタイプの液晶を採用しているため、意外にスリムなのです。参考までにiPhoneシリーズと比較してみましょう。
HUAWEI P20 lite | iPhone 8 | iPhone 8 Plus | iPhone X | |
---|---|---|---|---|
ディスプレイ | 5.8インチ | 4.7インチ | 5.5インチ | 5.8インチ |
サイズ | 71×149×7.4ミリ | 67.3×138.4×7.3ミリ | 78.1×158.4×7.5ミリ | 70.9×143.6×7.7ミリ |
重さ | 145グラム | 148グラム | 202グラム | 174グラム |
iPhone 8シリーズは液晶がワイドではありません。画面サイズはHUAWEI P20 liteのほうが大きいのに、iPhone 8 Plusよりサイズは小さいのです。ただしワイド画面は細長くないので、インチ数だけを見て単純にサイズを比較するのは間違っています。
大きさはiPhone Xに近く、ディスプレイのサイズは同様です。iPhone Xに比べるとやや大きいのですが、ほとんど気にならないでしょう。その上で、0.3ミリほどスリムです。iPhone 8はとても薄く感じますが、ほぼ同じ薄さのHUAWEI P20 liteも絶妙なサイズ感です。しかも、今回比較したモデルの中では最軽量。ポケットに入れていても、ほとんど負担を感じません。
コンパクトで軽量なHUAWEI P20 liteは手ごろなサイズのモデルだ
左からiPhone X、HUAWEI P20 lite、ZenFone 5と画面占有率の高いモデルを並べた
画面占有率が高級モデルよりやや劣る
本体の魅力をデザイン面からもう少し追加しておきましょう。手ごろな価格帯ながら、背面はガラスで角度によって色の変わる美しい仕上げを採用しており、カラーはクラインブルー、サクラピンク、ミッドナイトブラックの3色をラインナップ。au版、UQmobile版ともに3色が展開されます。
最近はガラスのボディに光が当たると表情を変える、ミラー仕上げが流行しています。HUAWEI P20 liteのそれも非常に美しく、カバーに入れてしまうのが惜しいほどです。ただしガラス製で滑るため、剥き出しで使うことはあまりおすすめしません。ボディサイドには、目立ちませんが2本線のラインが入っており、より薄く見せるのに成功しています。
背面はガラス製で、光の当たり方で表情が変わる
ディスプレイは5.8インチと十分な大きさですが、iPhone Xに比べるとやや縁(フチ)が残っています。特に下部分にある程度のフチがあるのが大きな違いです。さすがに最高級モデルのiPhone Xは、より狭額縁に設計されているのです。また、HUAWEI P20 liteもインカメラ部分のノッチが残っていますが、これは多くのモデルと同様です。
デザインに驚きや凄さを感じる上位機には及びませんが、価格を考えると文句なしのスタイリッシュなモデルといえます。
ノッチが残るのは好みが分かれるところだが、他の多くのモデルでこうなっている
ボディサイドには目立たないが2本の線が入っており、より薄く見える効果に
iPhone Xよりも薄いのが素晴らしい
液晶はフルHD+の解像度で合格点の美しさ
上位モデルのHUAWEI P20 Proは、有機ELディスプレイを採用しています。iPhone Xも同様です。しかしP20 liteは、これまでのディスプレイと同様に液晶を採用しています。表示の美しさやキレの良さでは、間違いなく有機ELに軍配が上がります。しかし、このクラスの液晶としては文句なしです。
P20 liteのディスプレイは液晶の中ではかなり美しいほうで、満足して使えます。解像度は2280×1080ドットとなっています。いわゆるフルHD+と呼ばれる解像度で、十分に美しいと感じるはずです。画面の精細さはフルHD(1920×1080ドット)とほぼ変わりませんが、ワイドになっている分だけ縦の解像度が増しているわけです。
今回は撮影テストのために明るい屋外で使ってみましたが、さすがに直射日光が当たっている場所ではちょっと見づらく感じました。iPhone Xはかなり見やすかったので、このあたりが差になってきます。
ディスプレイは十分に明るく美しい。ただし左のiPhone Xは明るすぎて白飛びしている
横から見ても、iPhone Xがあまりにも明るく美しいことがわかるだろう。これが有機ELの実力。P20 liteと右のZenFone 5も合格点ではある
性能はまずまず、満足できるのは2年程度か
しばらくP20 liteを使ってみましたが、きびきびと快適に動作しています。ただし最高性能のモデルと比べると、ブラウザなどを使い比べた際にもテキパキ感の違いを感じます。もちろん、並べて比べないとわからない程度の違いです。
2年前の中・上位モデルと同じ程度の性能なので、現時点ではこのスペックでもほぼ満足できるはずです。しかし、ヘビーなゲームなどを楽しみたいユーザーには、もっと高性能なモデルをおすすめします。
AnTuTuベンチマークの結果。体感で遅く感じることはほとんどない
メモリは4GBで、ブラウザやSNS、ちょっとしたゲームを楽しむ程度の一般的な使い方なら、2年程度は不満を感じることはないでしょう。ただし3年、4年と快適に使うのは難しくなります。とはいえ価格は3万円台前半なのですから、2年後に買い換えても納得できるはずです。
モデルによって内蔵ストレージ容量が異なり、au版は64GB、UQ版とSIMフリー版は32GBです。気になる急速充電にも対応していますが、独自規格なので汎用性が低いのが残念です。
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背景ぼかしが得意なデュアルレンズカメラを搭載
P20 liteはダブルカメラ(デュアルレンズカメラ)を搭載しています。最近はレンズが2つあるモデルが増えています。機種によって2つのレンズの性格が異なり、標準+望遠、標準+広角、標準+モノクロなどがあります。
P20 liteでは標準(1600万画素)+200万画素のカメラで、主に背景を正確に捉えるために使われています。撮影時だけでなく撮影後もピント位置を調整できる「ワイドアパーチャ」機能によって、背景をぼかすことができるわけです。
設定メニューは他のHUAWEI製スマホと近い
撮影機能は充実していて十分だが、AIには対応していない
背景ぼかしは強弱(しぼり)の設定が可能
今回はiPhone Xと撮り比べてみました。やや明るい曇りの日だったのですが、甲乙付けがたいほどよく撮れました。色合いなども似ていて、言われなければどちらで撮ったかわからないほどです。
iPhone Xにはズームが使えるメリットがあり、iPhone Xが勝っていることは間違いありませんが、普通にスナップ写真を撮るならP20 liteでも十分に満足できるでしょう。価格差を考えると立派でしょう。

ほぼ引き分けといっていいだろう。ややiPhone Xのほうが色合いが鮮やかだ

iPhone Xのほうが白飛びしているが、拡大するとノイズは少ない。とはいえ差は小さい

どちらもケーブルが自然にぼけていて合格点

P20 liteはぼかし具合を最強にした。こちらも甲乙付けがたい
まとめ
3万円台前半で買えるスマホの中で、HUAWEI P20 liteはとてもバランスよくまとまっています。コンパクトなボディはユーザーを選びません。低価格なスマホで美しい写真を撮りたいなら、おすすめの1台です。ただし、ゲームや動画を大画面で楽しみたい人には、6インチクラスのモデルのほうがよいかもしれません。
低価格スマホの中では1、2位を争う売れ行きになるでしょうが、万人に推奨するわけではありません。特に、おサイフケータイを搭載していないのがウィークポイントとなります。またワンセグ・フルセグ非対応で、テレビの視聴もできません。購入時にはこの点に留意が必要です。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部